第3章50話:魔剣と氷柱

テントを張って、交代で見張りをし、野宿。


翌朝。


10人で出発する。


アリスティは改めてメンバーを確認した。


クレディアさん、ヒューリスさん、ヴァルガンさんの兵士3人。


バルードさん、サラさん、オーファンさんの冒険者3人。


それから昨日加わった男性3人組。


そして、最後にアリスティを入れて合計10人だ。


この10人で、ぐんぐん森の奥へと進んでいく。


バルードが言った。


「敵の数が増えてきたな」


彼の言う通り、魔物と遭遇する回数が増えている。


そこかしこに魔物がいるのだ。


サラが言った。


「ここが敵の本拠地である、という予測は、正しかったみたいですね~」


「ふむ。特にグランウルフが多いのう」


オーファンが言う。


確かに、グランウルフが多い。


青い毛並みを持つグランウルフの姿がそこかしこに見える。


オーファンが注意喚起をする。


「このぶんだとロード種もいるやもしれん。いつ遭遇するともわからんから、気を引き締めていかんとな」


そのとき、前方で激しい戦闘音がした。


バルードが言う。


「誰かが戦っているようだな」


「おそらく一人ですね~」


サラが応じた。


それは……助けにいかないとまずいんじゃないか? とアリスティは思った。


クレディアが言った。


「今回の作戦の参加者だろう。さっそく加勢にいくぞ」


おう、と全員が声を上げて、駆け出した。


森の中を草を蹴飛ばしながら突っ走る。


やがて前方からズバァンッと激しい轟音が鳴るのが聞こえてきた。


直後、交戦する物音も――――


おっと、グランウルフが一匹見えた。


「撃ちぬきますね~」


サラがサッと弓を構えて射撃。


見事、グランウルフの脳天を貫いて絶命させた。


手馴れた早業であった。


そのままアリスティたちが突っ走っていくと、グランウルフたちが大量に湧いている場所にたどり着いた。


次の瞬間、アリスティたちの視界に氷の刃が舞い飛ぶ。


それを放ったのは小さなドラゴンであった。


さらに、紫色をした光の激流が炸裂していく。


その光撃こうげきの中心点にいたのは、セレーネ。


魔剣の名を冠するにふさわしい、紫色のオーラをまとった剣を振り回していた。


「ハアアァァァァッ!!!」


何もないところで剣を振りぬく。


瞬間、剣からほとばしる紫色の光が、彼女の前方にいた2体のグランウルフに殺到した。


回避もままならず、光の激流に飲まれてグランウルフは2匹とも絶命する。


しかし他のグランウルフはひるまず、セレーネに突撃する。


それを阻んだのはミニドラゴンである。


氷魔法なのだろうか……


中空に発生させた氷柱を、グランウルフに目掛けて発射した。


高速で飛んでいった氷柱がグランウルフの額に突き刺さり、その命を刈り取る。

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