第3章48話:森で夕食
しばらく歩いて、最初の森に入る。
森に入ってすぐ、魔物の一団と出くわした。
全部で4匹か。
まずクレディアたちが手前の一体に斬りかかった。
バルードが残りの相手に斬りかかる。
バルードを援護するように、サラの弓矢と、オーファンの魔法が宙を舞った。
結果。
あっという間に、瞬殺。
クレディアたちものびのび戦っているけれど。
バルードたちもさすがに強い。
前衛・後衛の役割分担が見事で、華麗な連携攻撃だった。
討伐隊に選ばれるだけはある。
さて、それ以後も何度か魔物の一団と遭遇する。
余裕で蹴散らして、ぐんぐん進み続ける。
結局、周りの活躍がすごくて、アリスティが戦うことは一度もなかった。
やがて夕刻が過ぎ去り――――
だんだんと空が暗くなってきたので、野営をすることになった。
焚き火をおこす。
討伐した魔物の肉を焼いて、それを全員で囲んで食べた。
魔物肉。
持参してきた野菜やキノコを使ったスープ。
ミルク。
……などなどがメニューである。
「ところで」
アリスティはルグイノシシの串肉を食べながら尋ねた。
「どうして南西班が一番人数が少ないんですか? ボスと戦うなら、大勢で攻めたほうがいいのでは?」
すると、クレディアが肉を食べる手を止めて答えた。
「少数精鋭のほうが良い、と判断したからだ」
そうなのだろうか?
直感的には、数で攻めたほうがいいように思うが……。
と、そこでオーファンが納得する。
「まあ今回集まった15名は、火力が高い者が多そうじゃからな。味方が多いと存分に暴れられんやつもいるじゃろう」
「セレーネさんとか、完全にそのタイプですもんね~」
ふむふむ、そういうことか。
範囲攻撃などの大技を持っているから、少数精鋭のほうが戦いやすいということだろう。
「それにいざとなったら、アリスティさんがいますからね!」
と、女兵士の一人が言った。
茶色の短髪で、鎧に身を包んだ小柄な女性であり、クレディアの配下。
たしか名前は、ヒューリスだったか。
「わ、私ですか?」
ヒューリスは面識がない相手だ。
なのに、いきなり話題を向けられて、アリスティは困惑する。
その件について、クレディアが説明した。
「すまない。実は、ヒューリスはアリスティのファンだ」
「はい! ファンです! アリスティさんのオーガ討伐、私、見てましたから!」
見てた……ということは、あのときヒューリスは、地上で魔物たちと乱戦をしていた兵士の一人だろう。
石橋を防衛するアリスティの姿を目にしていたわけか。
バルードが興味を示す。
「そういえば今回、アリスティが戦ってるところをまだ見てねーな。やっぱり強いのか?」
ヒューリスが答える。
「超強いですよ! なんならアリスティさんだけで敵を全滅させられると思います!」
「ちょ、ちょっとヒューリスさん? 私はそこまで大した人間ではないですっ」
褒められるのは嬉しいが、やたら期待を上げられるのは困る。
さすがに単身で、敵を全滅させるのは無理だろうし。
クレディアがヒューリスに注意する。
「ヒューリス。初対面からいきなり馴れ馴れしく話しかけたら、嫌われるぞ」
「あ、うう。すみません。アリスティさん!」
「いえいえ……」
と、アリスティは答える。
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