第3章46話:パーティー
「よかったらうちのパーティーに入らねえか? そこのじいさんと、弓使いとで3人パーティーを組んでるんだが」
男性が、パーティーメンバーを指差した。
魔法使いのローブを着込んだ老人が一人。
たくましいあごヒゲをたくわえている。
弓を背負った少し小柄な女性が一人。
ウェーブがかかったオレンジ色の髪であり、目が隠れるぐらいに前髪が長い。
「おっと。すまねえ。先に名乗るべきだったな。俺はバルードだ。見ての通り大剣使いだ」
バルードと名乗った男が、続いて老人と弓使いの女性を、親指で示唆する。
「じいさんがオーファン、弓使いの女がサラだ」
「オーファンじゃ。よろしくのう」
「サラです~。よろしくお願いします~」
「アリスティ、と言います。よろしくお願いします」
挨拶をされたので、こちらも名乗り返した。
アリスティは言った。
「えっと……自分はソロ中心でやっているので、パーティーに入るつもりはないです。すみません」
そう断る。
絶対にソロにこだわる必要はない。
ただ、パーティーだと報酬が山分けされてしまう。
アリスティはなるべく母のために稼ぎたいと思っていた。
だから報酬は独り占めできたほうがありがたかった。
「そうか。できればもう一人ぐらいメンバーが欲しかったんだがな」
残念そうにバルードが肩をすくめた。
そこでサラがアリスティに言った。
「でも、うちらはたぶん"本命"ですよ~? パーティーに入らないのはいいとしても、単独行動は危険じゃないですか~?」
「……? 本命?」
アリスティは首をかしげる。
するとサラの代わりにオーファンが説明する。
「南西班は、
ああ……!
そういうことか。
アリスティは合点がいった。
バルードが言う。
「見たところ、この南西班は手練ればかりだからな。たとえばホラ、あいつとか」
彼は、親指でくいっと示唆した。
そこには小さなドラゴンを肩に乗せた女性がいた。
「魔剣のセレーネ。あいつはちょっとした有名人だよ。Cランク冒険者で、実力的にはBも有り得るって話だ」
有名人……?
でも名前は聞いたことがないな。
アトラミルカで活動する冒険者ではないのかもしれない。
オーファンが補足するように言った。
「まあセレーネが有名なのはそれだけではない。あのミニドラゴンが目立つのじゃ」
たしかにあんなドラゴンを連れていたら注目されるだろう。
魔物使い、テイマーというやつか。
今まで一度も見たことがないタイプの冒険者だ。
「だが俺も負けてねえけどな! なにしろ俺もCランクだ。俺の大剣はドラゴンだって斬り殺すぜ。実際ドラゴンとは互角まで殴りあったんだからよ」
と、バルードは言った。
そこでサラが突っ込んだ。
「まあ互角ってだけで、勝てなかったんですけどね~」
「うるせえ! 次やれば勝てるんだよ! あと一歩だったんだから!」
「その一歩が遠いんじゃがな」
軽口を叩き合うバルードさんたち。
和気あいあいとしている。
良いパーティーだ。
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