第3章45話:班分け

集まった者たちが列に並ぶ。


それを、クレディアさんの部下である兵士たちが、手元にあるリストを見ながら一人ずつ班分けしていく。


「エミネ・セーヴィス。魔法使いか。君は南東班だ」


「シードラ・マルク。Eランクの冒険者か。君は西班だ」


「君はあそこの連中とパーティーを組んでいるな? では同じ南班に」


班に分けるといっても、ざっくりしたものだ。


東班とか、西班とか、南東班とか。


……同じパーティーメンバーの者たちがバラつかないように。


……魔法使いやヒーラーなどが一ヶ所に固まらないように。


程度の配慮はあるようだが。


アリスティも名前を呼ばれる。


「よし、班が分かれたな」


クレディアが満足げにつぶやく。


アリスティは南西班になった。


……あれ?


南西班だけ、やたらと数が少なくない?


15人ぐらいしかいない。


それに対して、他の班は50~60人ぐらいはいる。


この偏りはなんだろう?


よくわからないまま、クレディアさんの説明が続く。


「なんとなく察しはついていると思うが、班の名前が、お前たちが担当する方角だ。たとえば南班は、アトラミルカの南のフィールドを担当する。南東班は、アトラミルカの南東のフィールドを担当する」


アリスティの場合は南西班だから、南西の掃討を担当するわけだ。


わかりやすい。


「その方角にいる魔物を見つけ次第、駆除していき、アトラミルカから5日の距離にある村まで進行してもらう。その村の周辺にいる魔物もあらかた駆除できたら、アトラミルカの街へ帰還してもらおう。往復で10日に渡る掃討作戦というわけだ。なお、中級ポーションや上級ポーションを、それぞれの班員の何名かに持たせているから、もし大怪我をした場合は大声で呼ぶといい」


一拍置いてから、クレディアは告げた。


「以上、作戦の説明を終了する。では、理解した者から討伐を開始して良し! ああ、ただし南西班だけは残ってくれ」


南西班。


アリスティが配属された班であった。


アリスティたちが残される。


他の班の者たちは既に行動を開始している。


どんどんこの場から戦士たちが、自分たちの持ち場の方角へと消えていく。


というか、どうして南西班だけが残されているんだろう?


首をかしげていると、横から声をかけてくる者がいた。


「あんた、一人か?」


鎧を着た大柄の男性である。


大剣を背負っている。


「え……? えっと、はい」


アリスティは答える。

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