第2章30話:とかげの魔物
アオドランとアリスティは対峙する。
アオドランが地を這って、接近してきた。
「フシャアアアアッ!!」
前脚を大きく上げて、ひっかき攻撃をしてくる。
アリスティはそれを回避する。
そして。
「フッ!!」
右足のキックを繰り出す。
そのキックが、アオドランのあごに炸裂した。
アオドランの巨体が、二度、三度と地面をもんどり打って。
樹木に激突。
木をなぎ倒して、大地に倒れ付した。
「あれ……? 終わり、でしょうか?」
一撃であった。
呆気ない幕引きに、アリスティは多少の困惑を覚える。
「全然弱かったですね」
アオドランに近づいて、本当に死んだか確認する。
うん……死んでいるようだ。
念の為、頭を踏み潰して、完璧にトドメを刺しておくことにする。
さて。
(このサイズの魔物を持って帰るのは、無理ですよね)
アオドランは3メートル近くある。
全身を持ち帰るのは不可能だろう。
魔石だけ回収して、それ以外は放置するしかない。
アリスティは、石のナイフを取り出した。
アオドランから魔石を摘出する。
(ふう……これでいいでしょう)
ひと息ついた。
魔石のサイズもデカく、バッグに入りきらない。
バッグに収納することはあきらめ、アオドランの魔石は、腕に抱えて持ち帰ることにした。
自由都市アトラミルカへ戻る。
一直線に冒険者ギルドへ向かって、受付嬢のもとへ向かう。
さきほどの受付嬢―――ノアがカウンターの内側に座っていた。
アリスティは話しかける。
「あの……魔石の買取。お願い。です、します」
たどたどしい文法と言語で、要望を伝える。
ノアが言った。
「はいはい。どちらの魔石を――――」
アリスティが魔石をカウンターに置いた。
「アオドラン。魔石、です」
アリスティはそう述べる。
しかし、受付嬢は怪訝そうな顔をして、魔石を見つめた。
そして、驚いたような顔をする。
「こ、これ、アオドランの魔石じゃないですよ!?」
「え?」
「このサイズ……大アオドランの魔石です! アリスティさん、大アオドランを倒したんですか!?」
大アオドラン……?
大きなアオドランってこと?
倒したのか、と聞かれても、普通のアオドランを知らないので、なんとも答えようがない。
アリスティは説明する。
「ウルフを倒した途中、いきなりです。青色のトカゲモンスターが現れる。です。その魔物を倒して。この魔石、とりました……」
ノアは納得する。
「なるほど……つまり、大アオドランだと知らず、普通のアオドランだと思って倒したということですか」
「えっと……そうみたい、です、かもしれない?」
話の流れからするに、アリスティがアオドランだと思って討伐したのが、大アオドランだったということだろう。
全然気づかなかった。
ノアは告げる。
「大アオドランはCランク上位の魔物です。それを、冒険者になって初日で倒してくるとは……アリスティさんは、なかなか大物ですね?」
「そうなのか、です? よくわからない、なのですが……」
「結構すごいことですよ? ……で、買取は大アオドランの魔石だけですか?」
「いえ。あと、ホーンラビットとウルフの討伐。できたのでした。確認お願い。します」
「かしこまりました」
こうしてアリスティは、そこそこの報酬を得ることができた。
ついでに、今回の功績をもって、冒険者ランクをDランクに上げてもらえることになった。
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