ブレイナット公国_ Principality of Breynat



 ——この文献には付箋が挟まれ「再調査の必要あり」と記されている。


 リードランは全体としても寒い地域であるがブレイナットはアークレイリに次いで寒波の強い国である。アークレイリのように雪に覆われることはなく暑くなる季節では、他のどの国よりも暑さを感じる傾向にある。


 西の国境付近に横たわる強大な淡水湖コリゴールに面する都市コリゴールは西からの侵攻を抑止する自然の障壁となるとともに、夏場の避暑地として多くの貴族が別荘を所有したり、貿易路沿いには宿場町が形成されているため、夏場は非常に観光客で賑わうことでも有名である。


 フリンフロンの東に位置するブレイナットはフリンフロン建国以前から、魔術の研究が盛んな国でリードランで使われる魔術の殆どはブレイナットから誕生した学派からもたらされている。魔術は、各学派が生み出した術式に魔力を注ぎ込むことで発動させるもので、その多くは物理干渉や魔力に物理的な特徴を与え顕在化させるものである。


 通常は術者が手にする装備に術式を刻み込み利用をするが、術者の力量で刻み込める質と量が変わる。また、ごく稀に頭の中に術式を思い浮かべ発動をする術者もいるが、脳を焼き切ってしまう可能性があることから推奨されていない。術式を刻み込む物は基本的には、なんでも良いので多くの場合は軽い樫木の木の杖だったり、小ぶりなダガーを数本持ち歩くなどが多いが、中には大型の剣や細身のレイピアに術式を刻み込んで格闘戦も想定した術者が存在する。


 ブレイナット人の多くは、金髪に蒼い瞳のものが多い。また国歴も深く、古くから伝わる建築物は国を挙げて建築物を保護したりと創作物や文化的な価のあるものに対しての造詣が深い反面、長く続く歴史の中での様々な分野の様々な流派間の争いの歴史も長く陰鬱な空気を積もらせてきている。東の国境の先は黒山脈が横たわり、かつてそこを超えて南に行った者は居ないとされている。遥か南は妖精の地や悪魔の地と語られることが多い。

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