第33話 〜エルフと裕介の親戚〜

「はぁ.....裕介さんたちがいないとなると暇ですね...」


裕介たちが学校へ向かって数時間後。現在の時刻はそろそろ午後1時を回ろうとしていた。アリスは、暇を持て余していた。実際言うと、彼女の見た目では街へ行けばすぐに注目されてしまう。でも、街へ行きたいという思いが交差し部屋をウロウロしているとチャイムが聞こえてきた。

ティロリンティロリンティロリンティロリン♪


「あ、誰か来た様子ですね....は〜い、今行きます。」

ガチャッ....


「あ、アリスさんかな?」


....誰?そう思っていると今日は誰かが来るという予定だった。そうして、記憶を辿っていくと今日は裕介の親戚である柏原さんが訪問する日だったのだ。


「あ、柏原さまでしたか。どうぞ、上がって下さい。」


「....そんなにかしこまられるとこっちまで緊張してしまうよw裕介の友達なのにねぇ...」


「す、すいません....私はそういうのに慣れていなくて....」


緊張させてしまった。本当はこちらもフレンドリーに行きたいのだが、出身が貴族

出身なのでかしこまってしまう。でも、それなりの温かい雰囲気を作っていく。


「あ、飲み物いりますか?え〜と...『ハーブティー』、『紅茶』、『麦茶』、『天然水』

がありますけど....」


「それじゃあ....紅茶をもらってもいいかな?私は紅茶しか飲めなくてね...」


そういえば、この家はリボンさんが紅茶のパックを買っていたのを思い出した。

柏原さんは温かいほうが好きなのかな...?と思いつつ聞く。


「了解いたしました。あ、温かいほうが良いですか?一応、冷たいものもあります

けど...」


「じゃあ、温かいものを頂こうかな。」


予想的中であった。私の偏見ではあるが、紅茶が好きな者は温かいものを欲する傾向にあるらしい。そうして私は、紅茶を作っていく。

コポコポコポ...


「お待たせしました。数分待ってからお飲みくださいね。」


「君はお店の接客のような言い方をするね....悪い意味ではないから安心してくれ。」


また言われてしまった。悪い意味でなくてもこれは私が直したい言葉遣いなのだ。でも、こんな言い方を許してくれるのはやはり裕介の親戚さんだな...と思った。そうして、静かな時間が経ち、現在午後4時。この静寂を断ったのは...チャイムだった。

ティロリンティロリンティロリンティロリン♪


「お、裕介たちが帰ってきた様子だね。私が出るよ。」


「あ、ありがとうございます。私は裕介様方の飲み物の準備をしますね。」


「うん、ありがとうね。ごめんね、働かせっぱなしで。本当は私が働けばいいものの...」


「良いんです。私の生きがいは、ここにもあるんですから。」


「そうか....君は本当にいい子だね。では、迎えに行ってくるよ。」

....ガチャッ


「「ただいまぁ....」」


「「ただいまもどりました。」


「「.....なんか知らない人が一人増えてるんですけど。」」

                        第33話 END.

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る