第20話 アイ・アム・パーフェクト
「な……何だこの女は……?」
神話にて魔神ベネクスが数多もの破滅を呼び込む怪物を生み出し、三十の神々を翻弄させ破壊の限りを尽くした創世の奇書。
盲信的であるサーレは一体どのような怪物が現れるのかと警戒していたが結果として目の前にいるのはたった一人の少女。
それも普通とは程遠く、己を完璧なる存在だと謙虚性の欠片もない言葉と態度を取るエキセントリックな美少女のメイド。
「ハッ……フハハッ……アッハハハハハハハハハハハハハハハハァァァッ! どんな奴が来るかと思えばたった一人の生娘だけか? 肩透かしにも程があるって話だなッ!」
猛威を振るったフレイも同じく創世の奇書から創造された存在と認知していないサーレは嘲笑に寄った爆笑を木霊させる。
相手の持つ切り札がこのザマかと再びヴァルベラを行使する蹂躙を行おうと指示を送ろうとした時だった。
「お言葉ですが」
ピッと人差し指を立てたセラフ。
爪まで繊細に手入れされた細長い指を面前まで近付けると煽るように左右へ振る。
爬虫を喰らう猛禽類のように鋭い瞳がサーレの芯深くの心へと痛烈に突き刺す。
「第一印象のみにて生娘という評価を下すのはパーフェクトではないロジックかと」
「はっ?」
「私は汎用人型制圧兵器第一級相当セラフィム型改弐式の戦闘アンドロイド及びシンギュラリティによって覚醒した史上最高完璧究極超絶美麗のメイド、さぁ讃えなさい、パーフェクトなる私を、天使の君臨に祝福は必然なのです」
「何をさっきから珍妙事をごちゃごちゃほざいてるんだ貴様はッ!? もういい、アレル様の断罪によって裁かれろッ!」
異常なまでに自らの美顔や体格に固執するセラフの奇天烈な言動は理解を軽々と凌駕し、我慢が限界を迎えたサーレ。
呑み込まれるペースに憤りと焦りが混じり合う叫びをキッカケにヴァルベラはナルシズムに包まれる天使へと大剣を振るう。
だが圧倒的なパワーからなる一撃は間もなく無惨にも相殺される事となった。
腰部へと装着された黒鉄のホルスター。
顕現したのは煌めく白銀のコイン。
天高く親指で弾かれたコインは陽の光からなる輝きを纏い、彼女の手元へと戻る。
「見えざる聖域はキリエを謳う」
一言、彼女の放った詠唱は掴み取ったコインは純白の光を纏わせ、形状という形状を変化させていく。
ドグォァン__!
耳を切り裂く乾いた轟音。
十字架に閃光するマズルフラッシュ。
手中からは白銀に煌めく長身の武具は発砲音と共にヴァルベラを仰け反らせた。
鋼鉄の剣は瞬く間に一部の損壊に陥り、巨体は余りの衝撃に堪えきれず体勢を崩しながら後方へと崩れ落ちる。
「はぁッ!?」
彼女が変形を行った武器は異世界の者に衝撃を与えるには十分過ぎるだろう。
絶大なる火力を所持する超高速にて目標を粉砕する現代兵器。
雪のような純白の色に反して雷鳴にも似た音を響かせ、広範囲へと火薬の雨が散らばる殺傷効果を極めたコッキング式の長銃。
機械仕掛けの天使が持つ武装を名付けるのならばショットガンが相応しいだろう。
「そ、その武器はッ!? クッ、仕留めろヴェルドラッ!」
人造によって生まれた決戦兵器であり、支配者への絶対的忠誠を持つヴァルベラ。
故に感情などは存在しない、ただ支配者を害する脅威を無心にて断罪するのみ。
しかし支配の更に内に眠る本能か、自らと同じ人造天使を前に何処か困惑と怒りを抱きながら立ち上がり、再度猛攻を仕掛けた。
「少しお待ちを我が主人、私のパーフェクトなる戦闘をティータイムでも取りながら是非ご堪能ください」
己が創造する銃へ口づけを行うと一拍の末にセラフはヴァルベラへと加速する。
アンドロイドからなる肉体は人間を有に超える速度を誇り、全方位による絶え間ない銃撃のワルツを奏でていく。
大振りの剣術は精密的かつ無駄のない挙動を見せるセラフを捉えきれず、四方八方からの銃弾を一方的に喰らわざるを得ない。
すばしっこい彼女に痺れを切らすヴァルベラは動きを読み地面を抉るほどの刺突を繰り出すものの、易々と回避されるとセラフは大剣の上へと身軽に飛び乗った。
「お掃除と行きましょう」
弾切れとなるショットガンの破棄と同時に天使は新たな白銀のコインを取り出す。
命を削り合う緊迫に満たされる場面に関わらず巧みなコインロールの後に次なる一手へとなる武器を顕現。
現出したのは双銃型の六連回転式弾倉ロングバレルのリボルバー。
地を蹴る加速と共に引かれる引き金は鮮やかな銃声を天空へと轟かせる。
駆け上がる度に魔力を帯びる銃口からは白銀の弾丸は放たれ、ヴァルベラが有する大剣を骨の髄まで破壊の限りを尽くす。
「殺せ……殺せ殺せ殺せェェェッ!」
狂乱に満たされるサーレの命令が響くが彼女の無双劇を終焉させる効果はなく、剣は無惨にも木っ端微塵に砕き散らされた。
着実に自らを追い詰める小蝿を振り解こうとヴァルベラは巨体を大きく揺らす。
地響きにも似た衝撃にセラフは派手に投げ飛ばされるがその表情は沈着。
「矮星に微笑むクォーツ第二楽章」
刹那、セラフが紡いだ詠唱は彼女の背部へと生えた三対六枚の翼が空中へと羽根を散らし、肉体は空中へと飛翔した。
矮星に微笑むクォーツ第二楽章、背部へと羽根状の高機動ウイングユニットを展開するセラフが持つ天使の力。
即座に空中へとコインをばら撒きオールレンジ攻撃用兵器を顕現したセラフは天空からなる超高速の乱撃をヴァルベラへ与える。
一機ずつから高火力のレーザーが放たれる休みない鉄槌は肉体を着実に蝕んでいく。
「どうなってる……何故倒せない、何故あんな小娘如きに神の力が圧されるッ!? 何故だ何故だ何故だァァァァァァッ!」
サーレは知らない、いや実態を知った所で彼は視界に焼き付く白金の熾天使を理解することは出来ないだろう。
彼女はこの世界の概念に存在しない、何もかもがソウジの妄想によって生み出された存在なのだから。
(セラフ……こいつは想像以上にヤバいな)
憤るサーレとは対照的にソウジは華麗なるセラフの舞踊に口角が上がる。
自らが作り上げたフレイに続く二人目の創造されし存在。
切り札として用意した彼が作り上げた天使は創世の奇書にこう記載されている。
【名前】
セラフ・ロイヤル・A・セブンスソード
旧名∶汎用人型制圧兵器第一級相当セラフィム型改弐式
【概要】
熾天使の名を持つ女型戦闘アンドロイド。
かつては軍事国家サラキアによって生み出された第一級人造兵士シリーズであり、紛争の鎮圧に暗躍していたが人の温かみからシンギュラリティの覚醒により離反及び交戦。
セラフ・ロイヤル・A・セブンスソードと改名を行い、レジスタンスとしての活躍及びクォーターバーストの決戦によりサラキアの完全壊滅を果たした過去を持つ。
アンドロイドではあるものの肉体構造や器官は人間と差はなく、ゼルアシステムを元にした高次元生命維持プログラムを駆動力として永久的な活動時間を所持。
【外見】
クリスタルブルーの瞳と白金色に青メッシュの掛かったショートカットが特徴。
ビスクドールにも似た色白の肌を持ち、首筋には型番が刻まれている。
高速的な戦闘を実現するコンセプトからボディ構造はスリムながら引き締まりのある効率性を高めた肉体をしており、均整の取れた長身のプロモーションを持つ。
衣服は己の趣味とセンスに全てを任せた機能性と芸術性を兼ね備えた改造型のメイドスーツに身を包んでいる。
【性格】
冷静沈着な性格だが感情は豊かであり、ウィットに富んだ口調が目立つ。
元来の理念である戦闘アンドロイドの「完璧なる任務の遂行」に影響してシンギュラリティ後は完璧主義な一面があり「パーフェクト」が口癖。
適応性が非常に高く、優れた知性との兼ね備えにより大体のことは即座に把握可能。
合理的な手段を主に用いる反面、己の感情に従ったロマンや独自の美学を有しており、独特のネーミングセンスや舞踊のような動きなど奇抜な一面も兼ね備える。
【スペック】
全身へと備えられた学習分析システムバレエソニッカーによる高速演算により数多の戦闘に即座の対応を実行する。
希少金属からなる変異ナノマシンヴァールを神経へと浸透させることで攻撃、防御、速度全てにおいて高度な戦闘技術を持つ。
腕部の神経プログラムには下記の能力にも利用されるゼロから物体を顕現させる空間投射装置マーバラススペックⅢを装備。
戦闘活動は数時間以上の連続戦闘にも対応する耐久性を誇るが一度オーバーヒートすると三日は活動停止するデメリットを持つ。
【必殺技】
・見えざる聖域はキリエを謳う
所持する特殊形状のコインに触れ、マーバラススペックⅢが持つ空間投影機能を利用して自在にオリジナルの道具へと作り変える。
・終焉なき白練のナヴィガトリア
見えざる聖域はキリエを謳うを発動する特殊コインをプログラムにより生成し、永久的な弾切れの解消を可能としている。
・矮星に微笑むクォーツ第二楽章
自身の背部へと三対六枚からなる天使状の羽根をした高機動推進ウイングユニットを展開し亜音速級の空中移動を実行する。
・幼き幻想のマドゥルガーダ第四律
全システムのリミッターを解除することで潜在能力を最大まで引き出す技、但しエネルギー消耗が激しく活動停止のリスクがある。
【備考】
尚、能力に関しては完成形ではなく成長の余地を残す。
また創造主に対しての忠誠心を持つが自らでも意志を示す自立性を有しており、これまでの物語を全て認識している。
かつて奴隷だった機械は覚醒によって熾天使メイドへと進化を遂げる、これがセラフであり、彼の考えるコンセプトだ。
己の創造力と妄想を駆使した存在は最高の形としてこの地へと舞い降りる。
フレイと同じく忠誠心と同時に自らの意志を持つ創造体の躍動はソウジの想定を超えるレベルに達していた。
「貴方の
まさに完璧究極の戦闘アンドロイド。
紛い物の天使へとセラフはトドメの一撃を意味する武装を内蔵される空間投射装置マーバラススペックⅢから顕現した。
彼女の長身を有に超える電撃を散らす尨大かつ荘厳なる砲身には翼の文様が無数に張り巡らされている。
ソウジ達の世界の言葉を利用するならレールガン、又は電磁加速砲が相応しい。
蓄電を始める稲妻とエネルギーの渦は空間すら歪みを見せていく。
「クソッ!? ヴァルベラァァァッ!」
詳細は分からずとも目の前に顕現した砲身に青白の稲妻が覆う様子は絶大な威力を有すると察するのは容易だろう。
トドメを行おうとするセラフへとサーレは叫びヴァルベラは直線的に駆け、抗いの魔力を纏う剣撃を振り下ろす。
放たれるのなら迅速の翼を用いてその前に潰す、至極単純な話だが現状は彼らにとって最も有効な手段だ。
(馬鹿が……あの鉄塊から放たれる前に切り裂けばこちらの勝利ッ! 神の名による断罪は達成されるッ!)
唯一の勝ち筋、それはまだセラフが持つレールガンは蓄電の完了を終えてないこと。
どれだけ強力だろうと充填されていなければ葬り去ることは出来ない。
即ち、神の断罪は適用され、熾天使を討ち滅ぼし聖なる勝利を掴み取れる。
「勝った! 死ねェッ!」
豪風を切り裂く大振りの一閃、凶刃の断罪は純白の天使へと強襲を行う。
だが刹那、決したかと思われた聖なる死闘の運命は覆される。
「ハッ!」
誰がこれを予想出来ただろうか。
一度銃を手放したセラフは迫るヴァルベラへと目掛けて至近距離からの蹴撃によりレールガンを胴体へと痛烈に叩き込む。
衝撃は攻撃の姿勢を完全に崩し、仰け反らせる程に凄まじく、鋭利な銃口の先端は腹部へと抉られていく。
同時に稲妻の蓄電はレールガンへと遂に完全なる収束を果たし、臨界点へと達した。
「どれ程の障壁だろうとどれ程の力だろうと私はさらなる上を行く、何故なら私は」
舞い吹く微風。
群青の瞳には閃光が走り、憐憫なる天使へ細長い指が引き金へと掛けられる。
「パーフェクトですから」
バギャァァァッ__!
瞬間、荒れ狂う電磁砲はサーレの体の内部を駆け巡る電流を最大限の高エネルギーへ変換され放たれた。
進撃に光の螺旋を描いた一撃は無防備な天使を容赦無く貫く。
心臓を震わす衝撃音には罅が入り砕け散る爆発の音色が混じり合う。
天にも届くが如き巨大な破壊の渦は吹き飛び舞う黒煙と共に爆風と粉塵を散らし、周囲は灼熱のような熱気で満ち溢れる。
「ま……さか……こんな……こんな下等な奴に……下劣な奴に……!」
熾天使の猛攻によって胴体をぶち抜かれ、風穴より煙が吐き出されたヴァルベラの残骸は無惨にも地へと崩れ去った。
呂律の回らないサーレは神の断罪が打ち砕かれた野望の霧散なる結末にただ唖然と散らばる人造天使を見つめるしかない。
混乱に満たされる彼の心を囃し立てるようにセラフは地面へと優雅に着地を果たす。
女神をもひれ伏す美貌を持つ天使が視界に映った途端、彼の心にはどうしようもない殺意に近い憤怒が湧き上がった。
「貴様ァ……貴様のせいで……貴様のせいで俺は女神の加護をォォォォォォォッ!」
完全に錯乱するサーレは詰みの状況への最後の抗いと我武者羅に駆け魔法陣を展開。
せめて己の全てを破滅へと導いた彼女だけでも道連れにしようと襲いかかるが天使の前に神もどきの人間が打ち勝つ機先を生み出せるはずがない。
「何ッ!?」
彼女が創造出来るのは何も単なる現代的な銃に限った話ではない。
新たなにコイン変化による顕現で誕生したのは超速の氷結効果を持つ特殊なロングバレルのハンドガン。
迷いなく発射したセラフの銃弾はサーレの足元へと着弾し、空気中の気体を凝縮、凝固を行い凍てつく事で彼の肉体範囲のみを強固な氷によって身動きを封じる。
神への崇拝すらも忘れ、ただ獣のように怒りを振るう彼にセラフは哀れの視線を投げかけた。
「醜くリデザインされた貴方に用はない」
最後の一手は渾身の上段蹴り。
拘束した氷ごと破壊する天にまで届く蹴撃はサーレの顔骨を砕く。
「ハァッ!」
「グボェアッ!?」
粉砕されゆく氷塊と共に肉体は軽々と蹴り上げられ、何度も回転を行いながら地面へと叩きつけられていく。
白目を剥き、痙攣を起こす彼と佇むセラフの対比は勝者と敗者を表している。
国をも滅ぼそうとした元凶の末路は実に呆気ない物であった。
「……やったのか?」
「ご安心を、気絶程度で済ませております。そして同時に大勝利でごさいます」
翼を仕舞い込んだセラフは報告と共に改めて創造主へと視線を向ける。
自らでデザインを行い、自らで生み出した存在、なのだがソウジはフレイ同様彼女の姿に思わず息を呑んでしまう。
彼女の美貌、彼女の強さ、彼女の多才さ、そして彼女の完璧さ、全てが現実離れした自分では不相応と言える存在。
(セラフ……緊急時用と予め仕込んでいたキャラクターだがこれは完全に想像を超えているな……何もかも)
フレイの近距離特化のリカバリー用にと仕組んだ全距離に差なく対応可能な機械仕掛けの熾天使メイド。
国家規模の人造兵器を簡単にかつ一方的に蹂躙した事実は想定を上回る力も相まってソウジに責任感と恐怖を持たせゆく。
伊達ではない神の力、創造も破壊も自由に行える創世の奇書を持つ者としての自覚を。
一つでも間違えればルイーナレクス以上の怪物を暴走させ、逆に己自身が怪物へと取り返しのつかない選択を下しかねない事を。
「改めて私の名はセラフ・ロイヤル・A・セブンスソード、この度は我が空虚の魂にデザインを施し下さり感謝申し上げます。全ては我が主人の意のままに」
フレイと同じく言わずとも生み出された存在だと認知しているセラフは膝を地面に着きながら改めて礼を尽くし忠誠の儀を行う。
彼女の透き通る声質からなる言葉にソウジは恐れ多くも応えようした時だった。
「あぁ……よろしくなセラ「しかし」」
「ん?」
彼の声は遮られ、頭を上げたセラフの表情は不服と言える物だろう。
「まさか暴走したのか?」そう警戒したソウジの鼓膜にはまたも彼の想定を超える事態が痛烈に襲いかかった。
「我が主人、老若男女が思う最も理想なカップ数はご存知でしょうか?」
「はっ? カ、カップ?」
「理想と言われるのはCカップ、つまりはそれこそパーフェクト、ですが私の胸は精々Bカップ程に過ぎない。これはパーフェクトではありませんね?」
「はっ? えっはっ?」
「答えてください我が主人、何故私のお胸は理想より貧乳に設定されたのか……パーフェクトな論理で」
「いや……別に意味はないというか……そこは細かく設定してなかったから勝手に胸のサイズは決まっちゃったというか……まぁその貧乳は貧乳で良いみたいな?」
瞬間、先程まで忠誠の儀を果たしていたセラフは同一人物なのかと疑うレベルで主人の頬を両手で抓りだす。
戦術の面において抜かりない性格とする目的で付与した完璧主義、だがそれは予期せぬ部分にまで彼女に影響を与えていたのだ。
「いだだだだっ!? ちょ待っ、おい何してんだセラフ!?」
「断じて……断じて有り得ません。私の主人というのであればそれ相応の器量を持って頂かなくては。いいですか? 私のおっぱいはより大きくパーフェクトなおっぱい、さぁご唱和ください、私のおっぱいはより大きくパーフェクトなおっぱいッ!」
「ごめんなさいそこまで考えてなかったんです! だからちょ、止めっ……頬を引っ張るの止めろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! 主人だぞぉぉぉぉぉぉぉぉッ!?」
「私ならば許されるのです、何故ならば世界は私を中心に回っている、つまり私はパーフェクトなる美少女ッ!」
「言い訳になってねぇんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!?」
彼女に設定された完璧主義さはおっぱいなどの細かな事にまで及んでいた。
己の意思を持つ、故に完璧主義の範囲を詳細に設定していなかったからこそ受け取り方のすれ違いによる解釈違いが発生する。
新たな創世の奇書の弊害、また作家としてのミスをソウジはようやく自覚するも時は既に遅かった。
「マスター! 遅れてごめんね、加勢に来たよ……って、えっ?」
数分遅れて全ての財団を蹴散らしたフレイは争乱の場へと直ぐ様駆け付けるが彼女の視界に映ったのは愛しの主人が同じ美少女に抓られ悶えている光景。
「さぁ認識し、反省なさい我が主人? このパーフェクトな私のおっぱいはより大きくなくてはならないと」
「分かった分かったから! 頬千切れるから止めろつってんだよぉぉぉぉぉぉ!」
「……何やってんのマスター」
砂上の楽園を巻き込んだ騒動はおっぱいのサイズに不服な従者のメイドに頬を抓られる形で幕を下ろす。
ある意味混沌を極めたラストにフレイはただ唖然と立ち尽くすのであった。
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