続き
感情を殺す、そんな代償によって他人の心の声が聞こえなくなるはずだった。だが何事にも例外というのは存在する。席替えで後ろになった男の子。彼の声だけ私の中に常に鳴り響いている。心の声が聞きたくなくて心を殺しているのに、どうして。殺しきれない心の部分が、私の努力を返してよ、そう叫んでいる。だが鳴り響く声は私を褒めるものばかりで、どうしたらいいか分からなかった。心の声に対してトラウマがあった私だけど、彼の声は嫌いじゃなかった。
でもやっぱり、心の声に対しては苦手意識があった。どうしようかと悩んだ結果、彼本人にやめて貰えるように伝えることにした。
校舎裏に呼び出したけど、やっぱり彼の気持ちはすっごく大きかった。こんな純粋な好意を向けられたことはなくて、耳が赤くなるのを感じる。
そんな最中か、ハンカチを落としてしまったのは。
慌ててそれを拾おうとして、彼と不意に、手が触れ合ってしまった。
どんっ
そんな音が聞こえるかのように、
『好き』という気持ちが私の体の中に叩きつけられた。圧倒的な気持ちの大きさ、暴力。
ドキドキと心臓が鼓動を刻んでいる。
私のコアとなる部分が揺さぶられているかのような感覚に陥った。
謎の高揚感で荒くなった息を整えていたら、とある違和感に気づいた。背中を向けて走る彼の声が聞こえない。私の中に先程の余韻はあるが、いつも聞こえていた彼の声が聞こえなくなっていた。
もしかして
そんな淡い期待から、わたしは抑圧している心を解き放った。
いつもより景色が綺麗に見える。
聞こえない。
彼の声だけではない。この距離では聞こえるはずの、教室からの声もない。
私は心を抑えつけなくても、心の声が聞こえないことに気づいた。
呆然とする私の頭の中には、彼の姿が浮かんでいた。
私は夢を見すぎなのだろうか。
彼は私を普通の日常に戻してくれるのかもしれない。楽しかったら笑って、悲しかったら泣いて。そんな普通の女の子に、私を色のある人生に戻してくれるのでは無いか。そんな期待を持っていることに気づいた。
その夜、メッセージアプリから、クラスのメンバーを探して、彼を友達に登録した。
打っては消して、打っては消して。彼になんて送ろうか悩んでいること10分程度
『もう、えっちな妄想しないでね?』
私は彼にメッセージを送った。
大好きな女の子が僕の心を読んで性癖にぶっ刺さることしてくる場合どうすればいい? わわわわっふる @tgjgHhj
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。大好きな女の子が僕の心を読んで性癖にぶっ刺さることしてくる場合どうすればいい?の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます