いんとろだくしょん

『後ろからギュッて抱きしめて、髪に顔ををうずめたい。うん。好き。普段みんなの前では無表情なのに、僕の前では笑ってて欲しい。猫耳のカチューシャなんかつけちゃったりして上目遣いで可愛く『にゃーん』って言ってほしい。朝駅のホームで偶然会って、少し気まずそうにしながら「一緒に行く、?」って言って欲しい。』


 わたしがチラッと後ろに目を向けると、彼はスッと目をそらす。


『今こっちみたよね?え、好き。口角上がりそうヤバい。ヤバい好きすぎるさすがにそれは好き。うん好き。』






 ///


『後で校舎裏きて』


 その言葉が僕の脳内に何度もリフレインする。


 校舎裏へニコニコしながら向かった僕は、現在中庭を歩いている。空から射すサンサンとした日照りは、僕の心を表してるみたいだ。


ルンルン鼻歌を歌いながら校舎裏へ向かうこと数分、ついに絶対零度の姫を見つけた。ドキドキ、胸が高鳴るのを感じる。やばい、緊張してきた。ポツンと校舎裏に1人立つ氷華さんは、相も変わらず無表情で何かを見つめていた。期待と不安を胸に抱えながら、僕は彼女の下へ足を進めることにする。


 駆け寄る僕に気づいた彼女は、絶対零度の名にそぐわないような表情を浮かべ、顔を赤らめた。


 え、この反応って確実に。無表情どこいったの?え?ああ、うん、とりあえず、好きだ。もちろん君の告白を受け入れるよ。大好きだ。愛してる。


雲ひとつ無い晴天、日本晴れ。完全に僕の気持ち表してるね天気さん、空気読めてていいね、ナイス。


 彼女は俯いてた顔をそっと上げ、僕の目を見た。ドキドキ、ドキドキ。僕は期待に目を輝かせて氷華さんの瞳をじっと見つめる。焦らすように彼女はゆっくり口を開いた。


 そうして一言。




「…私でえっちな妄想するの、やめてほしい」


「はい!!よろこんで!!!」


「…」


「…あれっ」




 ん?



先程までこの上ない日照りだったと言うのに、何故か一瞬で雲が出て陽射しを遮っている。あぁ、過ごしやすそうな気温だなぁ。




 えー




現実逃避はこの辺で。



 想像もしてなかった答えに思考が停止した。

 えっと、僕は告白されたんじゃなくて、エッチな想像するのをやめろと言われたのか。なるほど。



 なるほど、、?



 あーーー。


 えー、うん。とりあえず。




「なんでバレてるの?!?!………………いやマジですみませんでしたああああああああああああ!!!!」



 

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