第七十一話:『変化』の時代~検証㉓~
※※ 71 ※※
やや
「べ、別にエラソーにしてないぞ」
「どーだか。あんたが
微妙な挑発を含む口調で灼の微笑みが俺の胸を
「そうだったかな。まあ、取り敢えず『源
不意を突かれた俺は、しかし
「永保三年<1083>
灼はこくんと頷き、
「武士には『源氏』や『平氏』という
「そうだな。世間では『源氏』と『平氏』との対立で、源
まあ、そういう意味での
実は同じ
俺の
「藤原
その言葉に釣られるように、
「……まあ、
しかし今回は大江
対面で笑顔の灼がティーカップを
「なるほどね。菅原
俺は大きく
「大江
恐らく『大江家』は源
表情に陰を入れて見せる灼は、降参の溜息を
「――『
つまり
つまり用兵において不合格だった。でも、それを聞いた
しかし、俺はあっさりとした顔で言う。
「そうだな。そう考えると
つまり『菅原家』が育てた平氏を『大江家』と源氏が乗っ取ったということだ。
この頃の『菅原家』は、ようやく
まあ、これは
動揺の極みにあるような顔をして灼は
「その大江
俺は空っぽのカップに視線を落とし、
「『菅原家』にとっては冬の時代だな。しかし道真が失脚してから常に武器にしてきたものがある」
灼は
「歴史を
言葉が次第に哀しみから可能性へと変化していくことを確信した灼は、正面から凛とした強い笑顔で言った。
「そうよ。最後に『菅原家』の誰かさんが『大江家』も『源氏』も
「……ぎゃふん、ねえ。
俺は感嘆と呆れの声で
「おまたせ」
灼が階下からティーポットを持って戻って来た。再びカエルのクッションにペタンと座り、
「ありがとう」
素直な感謝を示して、付け加える。
「
まあ、そんな同族同士の足の引っ張り合いに影響されたのか、
「……やっぱり、そうなるのね。当然
灼の
「当然だ。
「つまり、
自らのカップにお茶を注ぐ灼は、言うほど驚きも怒りもない。もはやあるのは『源氏』に対する無関心。いや、源
「
密かに
「いや、かなり強引で横暴だったようだぞ。結果的に坂東は平定されても、やり方が
ともあれ、帰京した義朝は坂東での影響力と財力を
「……なんだかんだで『源氏』って、
灼は
「――あんたも何時までも、しらばっくれてると『源氏』みたいに
「な……ななな、なんの話だ」
動揺の
「あたし、あんたが変な本を持ってても怒らないわ。あんただって男の子だもんね。でも、そうやって
物分かりが良い雰囲気を出して
「んなッ!? 見せるわけないだろ」
「見せるわけないだろ?
俺は圧倒的な存在に
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます