第七十話:集まった『13人』~検証㉒~
※※ 70 ※※
俺は乱れたベッドを整え、床に散らばっていた歴史書をまとめて
「何を今さら。わざとらしく
ドアの前でミルクティーのカップを二つ持った灼が
「今度、あんたの部屋を掃除してあげようか」
積み上げられた歴史書の中からカエルのクッションを
「せっかく整理したのに……。俺にとってはこの方が便利なんだ」
散らばった本を集め、ぶつぶつ文句を言いつつも微妙によそよそしい俺の態度から灼は伏目がちにベッドの下を
「変な本とか、
「な、なな……何を言ってるんだッ! そんなものあるわけないだろ」
俺は
「ふ~ん……。まあ、いいわ」
半信半疑の目つきで灼は
「あんた、以前に『
俺は落ち着きと冷静な判断を取り戻すためにティーカップを
「世間では確かに
「と、いうと?」
灼もミルクティーの
「『
灼は思わず絶句した。しかし、声だけは穏やかに追及を続ける。
「『源氏』や『平氏』といった立場はあまり重要ではないということね。じゃあ具体的には
「まあ、ピンポイントで『
つまり幕府の
俺は灼の表情に残る落胆を
「確かに『平家物語』や『
「うん。大江
灼の言葉に、俺は強く
「実は、もともと『
と、困った風に笑った。もはや観念した顔で灼は大きく嘆息する。
「……やっぱり『菅原家』が
「まあ、そこが出発点だからな」
俺は頭を掻いて苦笑し、そして何気なく『
「今後の内容は朝廷側である『菅原家』の暗躍と誤算、それから『平氏』の台頭と武士による荘園支配だ。――いよいよ
俺と灼の前にはミルクティーのカップが二つ。そこに俺は一枚の紙を床に置いた。
「これって源
「ああ。ちなみにそれぞれの出自を見てみろ」
灼がそれを覗き込む。
「どうだ? これだけでも鎌倉幕府の内情を
「まあ……ね。それにしても極端に言えば……事務方は『菅原家』の
「藤原北家
当初、藤原北家で唯一の
「その
灼は戸惑いを突き抜けて、もはや嫌味
「
灼はウンザリ顔で言葉の先を
「その七名に『中原家』が入ってた、ってことでしょ」
「まあ、そうだな」
思わず俺は苦笑が
「鎌倉幕府によって全国の荘園に『地頭』と『守護』を設置するという
俺はよろしい、とばかりに大きく
「そうだ。かつて菅原
「む……それ、なんかエラソーで嫌」
灼は
※ ※ ※ ※ ※ ※
●灼のうんちく
鎌倉幕府の13人。
この人たちの出自や関係性について実ははっきりとは分かっておらず諸説あります。
例えば三善康信は漢族系
関係性と言えば。
安和二年<969>に起きた安和の変の10日前に藤原
『橘好古』の祖父『橘広相』は道真の父・是善のもと『菅家廊下』で学び、道真の同僚でもあります。また広相が起草した藤原基経を関白に任じる詔勅に「
この7人はよほど深い絆があったのでしょうね。。。。
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