第六十七話:そんな『武士』の治め方ありですか?~検証⑳~
※※ 67 ※※
放課後の空が夕暮れの
「あ、あたしと平良は……会長にとって仲間じゃなかったの? まあ、あたしだって今も昔も会長に言いたい文句は
「まあ……」
ポカッと。
「あんた、昨晩みたいに『会長の制御下から俺たちが離れないように
「まあ……谷がどう思っていようと、山科会長も四字熟語先輩も、
会長は
「……とにかく、ここにいるメンバーは次期生徒会の仲間だ。俺はそう思ってる。そして俺たちのマニュフェストには、武家政権を
俺は今度は強く、
「
その後の
気まずさを鼻で飛ばす部長に、尾崎が思い出したように手を打った。
「あたし、お
いかにも不思議そうな声で言う尾崎に灼が答える。
「たった今、部長が言ったことだけど……。オザキに分かりやすく説明すると――またお菓子で例えるなら、大事に
「弟は恐れて食べないッスね」
灼は大きく
「そう。これが
「荒れ放題ッスね」
と、尾崎。灼は続ける。
「今度は荒れ放題の国営地を
気が付くと、新庄が全員分のお茶を用意して
「まだ続くわ。そうすると全国の荘園がどんどん有力貴族の物になっていき、
やがて朝廷には税が入らなくなるし、藤原
「なーるほどッ! よく分かったッス」
尾崎の拍手と
「双月の授業は『日本史』が苦手なあたしにもよく分かったけど、これと生徒会とどんな関係が?」
新庄の
「そうね、こういうことよ。もともと部室棟は学校の物で部室も規定に従って割り振られていたわ。でも廃部や新規立ち上がった部が繰り返され、規定も徐々に骨抜きになってゆく――これが『班田制の
また実績が高く有力な体育会系の部が、部員の多いことを理由に部員の少ない部室を不法
「いや……だって、部員が少ない『女子バドミントン部』はほとんど使わないし。「貸して」って言ったら「いいよ」と二つ返事だったわよ。何でそれが――っ!?」
心からの
「『寄進地系荘園』……ようやく、あたしにも
有元
「あたしたち『地質調査研究部』も『落語研究会』と『アニメ研究会』に部室を貸してたわ。まあ、曜日と時間を決めてシェアしてたって感じだったけど……ルールに反した行為だったのよね」
「私の『百人一首部』も『自転車ツーリング愛好会』の同居を
最初は責任者の部長に一任してたけど、混乱は増すばかり。最近になって部費まで
四字熟語が無表情の奥で
「
俺と灼は全てを知り、その真意を
「そっか。
ということは、これから起きうる話として、平良の『生徒会』と高橋・藤川の『生徒会』が分裂して、それぞれが『部』や『愛好会』を
「『
俺は一旦、言葉を切って灼の質問を心中で
「これは単なる分裂した『生徒会』の政争ではないと思ってる。もはや『部室整理令』で
その前に全ての『部』や『愛好会』から部室を取り上げ、新しい部室を提供する条件として、新しい部長をそれぞれの部から選出してもらい、それを生徒会が
この場にいる全員が俺を
「色々と
灼が俺の隣に立ち、どこまでも強気に大きな瞳に
「ホント色々あったけど、ここまで来たんだもの。今さら他人行儀だわ。あたしはあんたにどこまでも付いてく――そう、心に決めてるんだから」
生真面目な少女の小さな頭を
「歴史は繰り返される……そんな話を前にしたな。これが平良、
冗談を
「まあ、月並みだが……、それが歴史だ」
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