第五十二話:『動乱』の予感~検証⑬~
※※ 52 ※※
すっかり日が落ち、
「ちょっと、夕飯の買い物があるからスーパーに寄るわ」
「おう……って、今日もウチで作るのか?」
「ごめん、今日はママが残してった冷凍海鮮を処理したいんだ」
「そう言えば、お前のお
気の抜けた俺の問いに
買い物カゴを
「あ、レタスが安いッ。あんたン
次々とカゴに入れていく灼。
「
実際、
「縄文時代は
カボチャを手に取り、灼は目線だけを横に流して、俺を見る。
「そう、あんたの言う通りだわ。そうやって
俺は確認するように頷く灼を見て、その言葉を受けた。
「
灼は、今度は玉ねぎを数個
「あんた、セロリー好き?」
と、次の棚へ向かう。急に意欲的になった灼を俺は
「ま、まあ嫌いじゃないけど……どうしたんだよ? 急に」
灼が胸を張り、
「今日の晩御飯で『カッチュッコ』を作るわ。あんたも食べるでしょ?」
「そりゃー食べたいけど……いいのか? お前ン
灼は、棚からセロリーを買い物カゴに入れ、俺の言葉に意外な顔を見せた。
「あたしが、しょっちゅう、あんたンとこに行ってるのに、あんたが来ちゃダメって理由ないでしょ? それに、ママってばパパの駐在にドイツまで付いて行ったし、今あたし以外誰もいないし」
(いや、だからこそ余計にマズいだろ)
俺は母親に灼の家で晩御飯を食べる
いつしか買い物カゴが一杯になって、俺と灼は会計の為にレジへ並ぶ。
「ところで、灼」
「なによ」
灼が、じとっとした視線を俺に向ける。
「その『カッチュッコ』って、どんな料理なんだ?」
灼は無表情で固まってしまうのだった。
二人でスーパーを出た後も、ゆるゆると歩きつつ、イタリア・トスカーナ地方の伝統料理である海鮮スープであること、その発祥、そして歴史学者によると、かつてフィレンツェ共和国のリヴォルノでは魚のフライ料理が禁止されてたため公案された料理という説もあることなど、灼の講釈を
灼は
「どーぞぉー。入って」
「お、お邪魔します……」
にんまり笑う灼に
俺はリビングのソファーに、心の
「今から、ご飯作るから待てってね」
落ち着いた
「そうだッ、平良。エビの
「はいはい、と」
言われて、ゆるゆる
「
しかし約十二年ほど在京するが、余り実が出なかったみたいだな」
俺はレンジからエビを取り出し、
「
「ああ。『日本
あるいは『
しかし私見では『
俺は、エビの背の殻を
「
「あいよ」
俺は再び電子レンジを操作する。しばらく待ちながら、
「とにかく平氏一族の
灼は、しんなりと
「父親の
「そうだな。
言って俺はセロリの
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