第四十八話:『不良』は最初から『不良』ではない~検証⑪~
※※ 48 ※※
寿司を全部平らげ、その至福を目と舌で
「
でも平氏だって元は皇族でしょ? そんなに
何気なく言った灼に、俺は肩をすくめて、
「うーん、手厳しいな。平氏の
と、
「律令制下の時代まで
俺は明るく大きく
「うん。おまえの言う通り、畿内への調庸の運搬を
兵士は『軍団』に編成され、京の
お茶を
「しかし、兵役と過酷な税の取り立てで
灼が苦悩に満ちた面持ちで、深く嘆息を
「完全に無法地帯だわ。そんな中に
「
この頃になると完全に律令制度は崩れ、
そして国司の代わりに
灼が、自分の湯飲みと俺の湯飲みを
「お茶、飲むでしょ。お湯を
僅かに張り詰めていた場の空気が、灼の一言で
「灼、おまえの両親はもう帰ってきたのか?」
ポットを火にかけた灼は、俺の言葉でポケットからスマホを取り出す。画面に視線を落とした灼は「げッ」と短く放つ。そして気が抜けたような声で、
「うちのパパとママ、あんたの両親と二次会だって。ホテルの部屋までとって、ラウンジで飲み明かすみたいよ」
と、画面を突き出した。
「……不良中年どもめ。しかも警察官のオヤジが風紀を乱してどうするんだよ? まあ、空き部屋はおまえの部屋みたいなもんだからな。明日も学校で早いし、泊まっていけよ」
俺は洗面台へ行こうと立ち上がる。ピー、とお湯が沸いたことを
「熱ッ!」
「大丈夫か?
灼はポットに触れた指先を
「俺、風呂入れてくるから休んでろよ」
と、
灼は気恥ずかしさと共に
(今晩はあたしと平良、二人だけなのよッ! どうして無神経でいられるのかしらッ)
やや乱暴に浴室の
今まで何度も平良のウチに泊まったことはある。でも、しかし……その時はお
(それをよくもまあ、
さらに灼は熱くなる。洗面器から
ふと鏡に映った自分を見た。起伏がなだらかな未熟で細い体型をどうしても意識する。特に結衣先輩という
(やっぱり、あたしの身体には興味がないのかな?)
そう思うと、息が
無神経に言い
灼は顔を上げ、足を
(あたしだってッ!)
突如、
灼は勢い良く立ち上がり、浴室から出た。柔らかなバスタオルで丁寧に
灼は
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