第四十六話:『菅原家』の人々~検証⑨~
※※ 46 ※※
「今でこそ菅原
カウンター横に
「それは本来、
でも、待って。
灼は言って考えて、ふと
「
しかし、五年後に
「へえ、盛り返してきたってことね」
灼の、その同情する喜びを俺は
「いや、実はそれほど順調ではなかったみたいだ。
灼は、関心の色を隠さず身を乗り出すが、すぐに興味を失ったかのように冷静になる。
「誰……って言っても、あまり聞いたことない人なんでしょ」
「いや、多分一回は聞いたことのある名前だ。菅原
俺の満足げな顔に、灼は不快な思いを声に乗せて言う。
「知ってるわよッ! 『
言って、不思議に思った。
「
俺は嘆息し、苦笑で答えた。
「
まあ『売名行為』とか諸説ある中で、何故そのようなことをしたのか明らかではない。とは言え、自らの能力で菅原家を再興したという史実も見当たらないがな。
俺の私見だが、
俺の神妙な口調に、確答を得た灼。
「『
「ああ。でも、ただラッキーだったわけではない。藤原
――『四日戊寅、雨降る……右中弁
と、ある。右中弁
「ありがとう。ついでに『シャリ切』もお願いしようかな」
「……別に構わないけど、何をすればいいんだ?」
俺は両手首まで丁寧に洗い
「じゃ、平良にお願いね。しゃもじは横向きに使うの。例えば、刃物みたいなもので
灼が
「
僅かの調理……といっても、ただ
「藤原
灼は、パタパタと
「苦楽を共にしてきたマブダチね。しかし、『菅原家』の人たちって、ホント友達に恵まれてるわ」
「確かに、な。しかもこの時期、
まあ、この時期『文章博士』になっても地方官僚だったり、
「そうか。だから
俺はしゃもじを置いて、にこやかに言う。
「
つまり子供たちは、その膨大で貴重な書物や資料を分担し、配流先へ持って行った」
「なんで、そこまでするの? 弟子とか
不意の質問に、俺は確たる表情で答える。
「藤原
「だから、子供たちは
突然、
「各地の子供たちは、自分たちが
声にならない、息を
灼は
「……分散したものは回収しなければならないわ。
俺はキッチンを出て、再びカウンターに座る。
「当時、関東は
灼が用意してくれた緑茶を
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