第二十二話:過去に向かって
※※ 22 ※※
『おじさん』こと教授の案内で、三号住居
そして道端に見える文明の遺物のような自販機。錆びついて
まるで、過去に向かっているつもりが、実はここは『ロストテクノロジー』で未来に進んでいるのでは? そんな錯覚を覚えるのだった。
だが、俺は一度だけ、コイツのこんな表情を見たことがある。
灼と初めて会ったのは今から六年ほど前。
もともと両親
俺も灼も
しかし灼は長年に渡り、様々な国々で
そんなある日のこと。
あれは俺が小学六年で灼が五年の夏休み。
市立博物館で
しかし俺と灼はまぎれもなく過去・現在――やがて未来へと
その未経験な電撃が俺と灼を瞬時に突き抜け、いつの間にか
気が付けば、古文書を
出来上がるべくして誕生していたのだった。
結果、文献学と考古学で過去の考証に対して、論争を
やがて月日を経て、年が明けたばかりの登校時だった。
「平良。あんた、
「いや。確かに古墳時代は『日本史における空白の四世紀』と言われるだけあって、日本は当然、中国にも文献がない。どういう形で発展していったのかは分からない……らしいけど、関東でもいっぱい出てるからなァ。日本全国にあるし、違うと思うぜ」
「そうだよねッ。あたしたちが住んでる
「……あ、ああ」
俺はその時、灼の
突然、灼が行方不明になった。その日、俺は友人宅でゲームをして帰宅したので灼には会っていない。常に女子と一緒にいると思われたくなかったので、定期的に灼と
我が家に来た灼の母親は泣き
大人たちが
俺は自宅を
人気のない小道を通り、小高い丘に入る。墨色の空間に寒さと恐怖で身を
「灼ァ!」
俺は思わず
「た、平良なの?」
数秒置いて、
「灼、どこだッ! どこにいる!」
「こ、ここよ」
俺はその声を
「おまえ、
窪地に
そこは古墳の石室だった。おびただしい
何とか
そんな町内を
灼は嘘つき
俺はコイツの顔を見ながら、思わず忌まわしき過去を思い出した。俺の視線に気づいたのか、露骨に不満顔を見せた。
「何よォ?」
「……別に」
俺の言葉に、袖を掴んでいた指を離し、思いっきり踵で俺の足を踏む。
言葉が出ないまま、カカシのように飛び跳ねていると、
「あんさん達、ほんま仲がええなァ。あんま見せつけんでなァ」
おっとり笑う、結衣先輩。
(いや、ちょっ!? なんで今のでそうなります?)
「いやはや、君たちはホントに面白い」
ついには『おじさん』教授まで笑い出した。
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