迷談〜きたみちもどりて〜

阿炎快空

迷談

 禁足地きんそくち、と呼ばれる場所がある。

 様々な理由から、土地の者も決して近寄らない区域。

 ——その森も、全国各地に存在する禁足地の内の一つであった。


 風に揺れ、木々の葉がザワザワと鳴り。

 遠くから、カアカアとカラスの不気味な啼声が響く。

 そんな鬱蒼とした森の中を、着物姿の男が歩いていた。


 男は眼鏡を掛けており、右腕にはびっしりと包帯を巻いていた。

 如何にも青瓢箪あおびょうたんと云った風体の優男だが、左の首筋に彫られた鶴の入れ墨が、彼が単なる堅気ではないことを知らしめている。

 男は〝怪談師〟だった。

 名前は鶴泉つるみ南雲なぐも——鶴屋つるや南北なんぼく小泉こいずみ八雲やくもから一文字ずつ貰った芸名である。


 興味深そうに周囲の自然に目をやっていた男だったが、

兄様あにさま!南雲の兄様!」

 声に呼ばれて前方に目をやると、少し離れたところで、一人の少女が息を弾ませていた。


 彼女の名前ははなぶさ瑞恵みずえ。東京の高校に通う女学生である。

 普段はモダンガールを意識して流行りの可愛らしいスカートなど履いているが、今日は流石に動きやすいパンツスタイルだ。

 

「どうしました?」

 南雲の問いかけに、瑞恵は一本の太い木の幹を指差し答えた。

「見てください、此の木の十字傷。兄様が道標に付けた傷ですよ」

「ふむ。どうやら来た道に戻って来てしまった様ですね」

「戻って来てしまった様ですね、じゃあありませんよ!私達、道に迷ってしまったんですよ!?」

「さて、どうしたものかな」


 何を落ち着いているんですと、瑞恵が溜息をつく。

ままじゃ日が暮れてしまいますよ。私、嫌ですよ?こんな森の中で野宿だなんて——」

「英君」

「——何ですか」

「そもそも、何故君は付いて来ているのですか?」

「何故って——決まっているじゃありませんか」

 誇らしげに胸を反らして、瑞恵が言う。

「私は怪談師・鶴泉南雲の一番弟子ですよ!師匠が根多ネタを探しに旅に出ると云うのであれば、お供するのが弟子の勤めというものです!」

「何度も言っていますが——僕は貴方を弟子にした覚えはありませんよ?」






 少し前のこと。

 とある事件で女学院を訪れた南雲は、その際、事態の収拾に一役買ったこの少女に、弟子入りを志願されたのだ。


——お願ぇします、師匠!どうが、あだしを弟子にしてください!

——ご実家は東北ですか?

——す、すいません!興奮すると、つい訛りが!

——いや、それは構いませんが——しかし困りましたね。僕は弟子を取るつもりはあません。大体、僕がやっているのも、まだまだ亡き師匠の真似事のようなものです。

——なるほど。となると、いわば私もその方の弟子……つまり、弟子ではなく妹弟子ということですね!?

——全然違います。どうしてそうなるんですか。

——まあ、まずはそこから始めましょう。しかし、いずれは正式な弟子になってみせます!

——話を聞いてください。





 とまあ、そんなこんなで。

 彼女は南雲を「兄様」と慕い、今日も元気にまとわりついているのである。

「兄様が覚えがあるかどうかは関係有りません!私が弟子だと云ったら弟子なのです!」

 無茶苦茶な理屈でである。

 軽い頭痛に耐えつつ、南雲が反論をしようとした、ちょうどその時であった。


 バサバサッ。

 突如、羽撃きの音が森に響いた。

 瑞恵が思わず、小さく悲鳴を上げる。

 一瞬遅れて——カア、と啼声がした。


「鴉ですよ」

 上を見上げ、南雲が言う。

「び、吃驚びっくりした……」

「怪談師の弟子が、鴉を怖がっていては世話が無いですね」

 むう、と膨れっ面をする瑞恵を尻目に、南雲は「さて」と周囲を見渡した。

「取り敢えず、少し休むとしましょう。僕も歩き通しで草臥くたびれました。——英君、一寸その辺りから、木の葉や枝を集めて来てはくれませんか」

「はあい」


  間延びした返事をしながら、瑞恵が枝葉を集め始める。

 その間に南雲は、右腕に巻かれた包帯をするすると解いた。

 その下からは、経文さながらにびっしりと書かれた文字が現れる。

 それは一見漢字に見えるが、この世界のどの国、どの地域でも使われていない、奇妙な文字群であった。

 そして、手の甲にはあかで「怪」の一文字。

 掌には、同じく紅で、眼を模したような文様が描かれていた。

 

 瑞恵は、集めた枝葉を南雲の前に山積みにした。

 南雲がそれに手をかざす。

 すると——徐々にパチパチと爆ぜる音が聞こえ始め、やがて火が起こった。

「日が傾いて少々寒くなってきました。焚火に当たるとしましょう」


 近くの倒木に腰掛け、南雲が言う。

 同じように近くの岩に腰掛けながら、瑞恵が問うた。

千代ちよさんの力ですか?」

 その視線は、今しがた南雲が起こした火に注がれている。

 ええ、と頷き、南雲は千代との出会いを思い出す。


 燃え盛る洋館の幽霊——南雲の得意とする怪談話の一つである。

 この話は、南雲が実際に噂となっている廃墟の洋館に出向き、そこに巣食うあやかし本人から聞いた話が元となっている。

 当時、彼女には名前がなかった。

 しかし、南雲の話す怪談の一つとなり絆を結んだ後、南雲が〝千代〟という名を与えたのだ。

「と言っても、彼女は元来、火を司るあやかしなどではありませんでしたがね。僕が話を付け足したことで、こうしたことが出来るようになったのです」


 あやかしというのは、人々の噂によって生まれた情報の集合体である。

 よって、基本的に変化や成長はしない。

 物語は、好き勝手に他の物語に成ることはできない。

 もしそうしたことが起こるとすれば。

 それは口伝によって噂が変容、又は派生したか、若しくは——南雲のような怪談師によって、物語が語り変えられた結果である。


「凄いなあ。私もそんなことが出来るような怪談師になりたいです」

「英君、君は何か思い違いをしている様ですが、怪談師は人々に怪談を語り聞かせることが本分なのです。この様な呪いめいた業事わざごとは、本来なら怪談師の領分からは外れています。手から火を出したいのなら、奇術師にでも弟子入りなさい」

「私は別に手品を覚えたいのではありません。私は兄様の様に、世の為人の為、悪しきあやかしを退治したいのです」

「僕はそんな大層なものの為に働いた覚えはありませんがね」

 でも、と瑞恵が口を尖らせる。

「いつも、山田さんが持ってくる事件の捜査のお手伝いをされているじゃありませんか」


 山田辰之輔たつのすけ——巷で起こる怪事件について、よく南雲に相談しにくる刑事だ。

 そういえば、瑞恵と知り合った女学院での「化猫騒動」も、元はと言えば山田が持ちこんだ案件であった。

 最終的に、瑞恵に憑依した化猫を何とか捕まえることに成功したのだが——その時の後遺症で、瑞恵は急に吃驚したりすると、猫の耳と尻尾が生える体質になってしまった。

 難儀な話である。


「怪談師なんてものはやくざな商売ですからね。興行を打つのに、警察の人間に恩を売っておいた方が、何かと都合が良いのですよ」

「ふうん、そういうものですか」

「大体、嫁入り前の若い娘さんが、余り危険なことに首を突っ込むものではありませんよ」

 南雲の言葉に、瑞恵が「あら」と笑う。


「兄様も随分と前時代的なことを仰るんですね。女が銃後じゅうごを守る時代は終わりました。これからは女性も社会に出て活躍する時代です。女が皆家庭に入るものだと決めつけないで頂きたいですわ」

「こいつは藪蛇やぶへびでした。その手の話になると、終戦から向こう、男はどうにも旗色はたいろが悪い。いえ、僕は山田さんと違って、家父長制などというものが時代錯誤だという考え方に異論はありませんがね」

 しかし、これを御覧なさい——そう言って、南雲は瑞恵に、己の腕を見せた。


「以前にも話しましたが、此の腕に刻まれた文字は、僕が使役する〝怪談〟です。『洋館の幽霊』の千代さんも、『雪女』の渡里わたりさんも、全て此処に刻まれています。我が身を怪談と一つにすることで、あやかしに実体、すなわち〝レアリテ〟を持たせることが出来るのです。英君、貴方は、己が身にあやかしを刻む覚悟がおありですか?」

「……」

 少し脅かし過ぎたか——押し黙ってしまった瑞恵に対し、南雲は口調を幾分和らげて続けた。


「——根多を教える位でしたら構いませんがね。しかし、それ以上となると話は別だ。何事にも対価は付き物だということです」

「——兄様のお師匠様もそうだったのですか」

「はい?」

「ゑいさん、と仰いましたっけ。女性の方だったんですよね?」

 

 南雲の師であるゑいは、不思議な女性だった。

 齢六十を超えているらしいにも関わらず、見た目はまるで二十代半ば。

 その艶っぽい語り口と外見で、巷でも話題の怪談師だった。

 そう——過去形だ。

 彼女は既に、亡くなっている。


「……一度、その躰を見せてもらったことがあります」

「え?」

「着物を脱ぐと彼女の背中には、幾千の文字がびっしりと、曼荼羅まんだらの如き文様を描いていました。それはまるで、文字が彼女を覆い尽くそうとしているかの様でした。そして、師匠は僕にこう言いました」


——いいかい南雲。己の身に刻める怪談にも限りというものがある。その限りを超えて、怪談に飲み込まれることがあっちゃあいけないよ。そうなれば最後、虚と実が反転しちまうからね。


「虚と実が、反転?」

 ええ、と南雲が頷く。

「己の〝レアリテ〟が失われ、〝フィクション〟そのものになってしまうのですよ」

「それは、この現実から消えてしまうということですか?」

「近いですが、ちと違います。情報としての存在は残ります。しかし、そこに居るはずの実体は失われてしまうのです」

「〝居る〟のに〝居ない〟だなんて、それってまるで——」

 そう——あやかしと同じです、と南雲が頷く。

「その身の全てが怪談になれば、あやかしそのものになってしまう——確かに理屈ではありますがね」


「というか、兄様」

「はい?」

 先ほどまで神妙な顔をしていた瑞恵が、ゴクリと唾を飲み込んで尋ねる。

「先刻さらっと流してましたけど、兄様は、お師匠様の、その——裸を見たのですか?」

「ええ、見ましたよ」

 あっさりとした南雲の言葉に対し、瑞恵はキャア、と、批難とも歓声ともとれる声をあげた。

「何て破廉恥な!師弟の関係でありながら、は、は、裸を見たことがあるだなんて——」

「見たと言っても、背中だけですよ。それに、彼女は僕の師であり、育ての親だ。そのような相手に、色恋の感情など——」


 と——そこまで言って。

 南雲は不意に、口を噤んだ。

 噤んでしまった。

 何故かはわからない。

 決して嘘は言っていないはずだ。

 しかし、上手くは言えないが。

 自分は何か大切なことを——忘れてはならないことを忘れているような、そんな奇妙な感覚——……

 

「兄様?」

 瑞恵の呼びかけで、南雲はハッと正気に戻った。

「——いえ、何でもありません。しかし、このままだと、本当にここで一晩過ごすことになってしまう。何とかしてこの森を抜けなくては」

「そもそも兄様は今回、どんなあやかしに会う為にこの森にやってきたんですか」

「——もう出会っているやも知れませんね」

「え?」

 ザワザワと、再び木々が風で揺れた。


「この森はその名を『八ヶ森やつがもり』と言いましてね」

 南雲はそう言いながら、ゆっくりと周囲を見渡した。

「大きさとしては左程広い森では無いのですが、どういう訳か昔からよく人が迷うことが多く、八遍同じ場所に戻ってしまう、ということからその名が付けられたそうです。中には、迷い込んで其の儘帰ってこないこともあるとか」

「じゃあ、私たちが今迷っているのって、もしかして——」

「あやかしの仕業である可能性が高いですね」


 落ち着き払った態度の南雲とは対照的に、瑞恵は「ええ!?」と叫んで、腰かけていた岩から勢いよく立ち上がった。

「不味いじゃないですか!そのあやかし、退治出来るんですか!?」

「あやかしというのは大抵、場の力に噂が集まることで怪談が紡ぎ出され、それが人口じんこう膾炙かいしゃされることであやかしとして実体化することが多いのですが、この森の場合は、何かしらの〝かたち〟を持たず、森という場所そのものが、人を迷い込ませるあやかしと化していると思われます——退治する対象が居ないのであれば、退治の仕様がありません」

 そんなあと、瑞恵が情けない声をあげる。


「じゃあ、どうするんですか?」

「攻略法はあります。この森には言い伝えがありましてね——異変を見つけたら、必ず引き返さなくてはならない——と」

「異変、ですか?」

「もし異変があれば来た道を戻る、逆に異変が無ければそのまま進む、そうすればこの森を抜け出せるという寸法です」

「本当にそれで出られるんですか?」

「約束事が提示される類の怪談は、約束そのものが怪談を成り立たせている髄なのです。ですから、約束が破られることはありません」


「でも、異変と云ったって、特段変わったことは何も……」

 心細そうに呟きながら、瑞恵がキョロキョロと周囲を見回す。

 確かにその通りだ。

 例えば、〝木に付けた傷の形が変わっている〟だとか、〝怪しげな笑い声が聴こえてくる〟だとか、そういったわかりやすい異変なら事は簡単だ。

 だが傷の形は確かに自分のつけた十文字であり、辺りはしんと静まり返っている。

 もしも見つけるべき異変の難易度が〝先ほどまでと比べ、生えている木が一本多い〟などという水準であれば、脱出は絶望的だ。


 しかし——南雲はどこまでも冷静だった。

 慌てる理由がなかったからだ。

 ゆっくりと立ち上がり、静かに告げる。

「いや、異変は既に見つかっています」

「えっ、本当ですか!?」

「ええ」

 驚く瑞恵を見据え、言い放つ。

「異変は——英君、貴女です」

「——え?」


「貴方、本物の英君ではありませんね?」


 一瞬の沈黙の後、

「——何を仰っているんですか?」

 呆れたように、瑞恵は笑った。

「私は正真正銘、英瑞恵ですよ?」

「確かに、先程より問答をしていて、貴女の受け答えに疑わしい箇所は見当たりませんでした。初対面であれば、山田さんや千代さん、私の師匠であるゑいの名前も知っている筈ありませんからね」

「そうですよ。だから私は偽物なんかじゃ——」


「しかし、こうも考えられます」

 言葉を遮り、南雲が続ける。

「もし貴女が、僕の記憶を元に、此の森が見せている幻だとしたら——僕との受け答えは完璧に再現出来ます」

「で、でも——それじゃあ兄様には、私が本物かどうか、判別は不可能ってことじゃないですか」

「本来ならね。しかし、幻で現れたのが英君——君で助かりましたよ。どうやら、この森にも再現出来ないものがあるらしい」

「再現出来ないもの?」


「英君、君は件の学園での騒動の時、化猫に取り憑かれていましたね。その後、具合は如何です?」

「如何も何も、困ってますよ」

 大仰に溜息をついて、瑞恵が言う。

「何かに驚く度に、耳や尻尾が生えてしまうんですから。日常生活も儘なりませんよ」

「成程、やはり其の事も知っているのですね——」

「当たり前じゃないですか、自分の事なんですから——え?」

「気付きましたか」

 そう言いながら、南雲が眼鏡の位置をなおす。


 見れば見るほど、見事な擬態である。

 なかなか尻尾を出さなかったが——、正体に気づけた。

「そう——英君は化猫に取り憑かれて以来、驚くと猫の耳と尻尾が生えてきてしまうのです。貴方は先程、飛び立つ鴉に驚いていましたね。それなのに何故、耳も尻尾も生えていないのでしょう」

「……」


「あやかしとは、各々が固有の情報集合体です。人はそれを〝物語〟とも呼びます。物語は、他の物語に成ることは出来ない」

〝八ヶ森の怪談〟は、あくまで〝八ヶ森の怪談〟でしかない。同行者に化けるのは能力の範囲内だが、〝化猫〟の特性を模倣するのは——他の物語をかたる行為だ。

「英君のことは再現出来ても、彼女に憑いた化猫までは再現出来なかったようですね」

 南雲がそう言い終えると、


「——フ、フフ——フフフフ——」


 瑞恵は——いや。

 瑞恵の姿をした〝それ〟は、不敵に嗤い出した。

 ザワザワと——三度、木々の葉が揺れた。


「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ——」


〝それ〟は顔全体をぐにゃあと歪め、口を大きく開け、高らかに嗤い続けた。

 南雲は、その様子をただじっと眺めていた。

 すると突然、強い風が吹き、鴉たちが啼声を上げて一斉に飛び立った。

 その風で、焚火の炎が消え、周囲が闇に包まれる。

 漆黒の帳の中、〝それ〟の笑い声と鴉たちの啼声とが、渾然一体となって響き渡った。






 ——やがて、声も止み。

 目も慣れてきて、辺りの様子が伺えるようになる。

 しかし、そこには先刻までいた筈の瑞恵の姿は無く、南雲のみが一人、ぽつねんと立ち尽くしていた。


「——さてと、本物の英君を探すとしますか」


 来た道を戻ればいいのか——そう思い、動き出そうとしたその時である。


 「兄様!兄様ーっ!」


 現れたのは——猫の耳と、尻尾を生やした瑞恵だった。

「居だっ!南雲の兄様だっ!」

「耳と尻尾が出てますよ。あと、訛りも」

 ああ本当だと、耳に手をやりながら瑞恵が言う。


 因みに。

 南雲自身は別に訛りが悪いとは思っていないが、「逐一指摘してほしい」というのは瑞恵からの頼みである。

 曰く、「話芸で身を立てようとしている人間として、意図に反する形で訛りが出るのは厭」だとのこと。

 怪談師という生業に対し、彼女なりに真剣に向き合っているのだろう。

 そういえば自分も、よく師匠に抑揚を注意された——そんな事を思い出し、南雲は微かに笑みを浮かべた。


「そ、そんなことより兄様、この森、普通の森じゃないですよ!先刻から同じ場所をグルグルと——ここはきっと、あやかしの森です!」

「そうですね、夜になる前に引き返すとしましょう」


 すたすたと一人歩いていく南雲の背を、瑞恵の声が必死に追いかけてくる。

「ひ、引き返すと言っても、どう行くのが正しい道なのやら——」

「大丈夫ですよ。『異変があれば、来た道を戻る』。これで出られますよ」

「異変?異変って何ですか」

「出たら話してあげますよ——この『八ヶ森の怪談』をね」

「ちょっと、兄様——」


 かくして二人の姿は木々の間へと消えていき——森には再び、静寂が訪れた。

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