第2話 VOCALOIDとカラオケ
今日は土曜日、俺はミコと2人でカラオケに来ている。一応、デートだ。まぁミコとは常日頃から一緒にいるのであまり特別感は無いのだが…
ミコは実体を持ってまだ日が浅く、世の中のことをほとんど知らない。なので社会勉強も兼ねたお出かけデートということだ。
ミコは部屋へ入ると、見たことの無い機材に驚いていた。
「マスター!上にあるおっきな機材は何?」
「それはスピーカーだよ、そこから音が出るんだ」
「へぇ」
ミコはスピーカーに触れてみたいのか、ぴょんぴょんと飛び跳ねていた。可愛い。
「じゃ、まずは俺が見本で歌うから見ててね」
俺は最近ハマっているロストアンブレラを入れた。稲葉曇さんの楽曲いいよね。
歌い終えた。点数は94点、実は俺は歌がそこそこ上手い。しかし、ミコは先ほどとは打って変わって、少し不機嫌そうな顔をしていた。
「どうした?下手だったか?」
するとミコは首を横に振り、続けて言った。
「今の、歌愛ユキちゃんが歌ってる曲だよね?」
「そうだけど…それがどうかしたか?」
ミコがムッとして言った。
「浮気!!」
浮気なのか?これ。
「いや、誤解だって」
「知らない!小学生の女の子が好きなんてマスターのロリコン!!」
「だから誤解なんだって。ユキちゃんが好きなんじゃなくて曲が好きなんだよ」
「ふーん、、、」
「ほんとだって!!」
「まぁ、そこまで言うなら、そういうことにしといてあげる」
そう言いながらも、ミコは信じていなさそうな顔をしていた。後で玉ねぎでも買ってご機嫌を取らねば。
「じゃあ次はミコ歌っていいよ」
「うん」
ミコはぺぺろんPのGuilty Verseを歌った。ちなみに使われているボーカロイドは氷山キヨテルだ。
懐かしの名曲だなぁ…なんて思っていると、歌い終えたミコがニヤッと笑いこちらを見てきた。
「どう?マスター?嫉妬した?」
どうやら俺にやり返すために男性ボーカロイドの曲を歌ったらしい。
「いや、全然、、、」
ミコはムッとして納得しかねるといった表情を浮かべている。
「それにしてもミコは歌が上手いな」
「そりゃ私ボーカロイドなんだから当たり前だよ」
そう言いながらもミコは少し照れくさそうにしていた。
その後も2人でカラオケを楽しんだ。ちなみにミコは全ての曲で100点を取った。本人曰く、音程はもちろんビブラートもロングトーンも自由自在だかららしい。さすがボーカロイド。
「じゃあ最後に一曲ずつ歌って帰ろうか」
「えっ、もう帰るの?」
「もう3時間もいるし十分だろ」
「…んー、しょうがないな…」
ミコはそう言うと渋々といった感じで曲を入れ出した。
聞き馴染みのあるイントロと共に、ミコが歌い始める。えれくとりっく・えんじぇぅだ。
ミコは歌い終えると微笑みながら言った。
「この曲、ミコのマスターに対する想いと全く同じなんだ…」
「ミコ…」
「じゃあ、マスター。最後好きな曲入れていいよ」
ーーーーーー
〜帰り道〜
「マスターは何もわかってない!!」
「なぁ、ミコ。いい加減機嫌直してくれよ…」
「直せないよ!!ミコがえれくとりっく・えんじぇぅ歌っていい感じの雰囲気になったのに、なんでその直後に結ンデ開イテ羅刹ト骸を歌ったの?」
「ごめんて、何となく歌いたい気分だったんだよ…」
ミコはムッとしていたが、少し考えるような顔をして言った。
「じゃあ、罰として来週もミコとカラオケに行くこと!」
「へ?」
「来週もミコと一緒にカラオケ行くなら許してあげる」
いや、むしろ俺の方から誘おうかと思っていたくらいだ。
「全然いいよ、むしろ行きたいよ」
「え?そ、そう、、、」
俺の返答が意外だったのか、ミコが少し顔を赤くして呟いた。
「ミコ?どうしたんだ?」
「何でもない!マスターは来週のカラオケでは、僕は空気が嫁ないを最初に歌うこと!!」
「はいはい」
俺は苦笑いしていたが、内心、来週がとても楽しみだった。
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