5年目
ユウ君、今日は保育園の日です。
実は今年から保育園に通い始めたユウ君ですが、通い始めた当初は大変でした。
お母さん、同年代の友達と触れ合う機会を作ろうと思ったんです。
ユウ君はずっと、同年代の誰かと遊ぶ機会がありませんでした。
遊ぶときはいつもお家の中で、お母さんと公園に行ってもお母さんにべったり。
妹のナオちゃんも2歳になって、とことこ一人で歩き回るようになり、お母さんは毎日毎日大忙しです。
なので、お母さんは子供たちを保育園に預けて自分の時間を作り、ユウ君とナオちゃんは保育園で友達を作って遊んでもらうことにしたのです。
WinWinだね。
でも、ここでユウ君に問題発生です。
初めて保育園に行った日のこと。
ユウ君はお母さんに手を引かれて保育園に入りました。ナオちゃんも一緒です。
ユウ君はウキウキしています。
お母さんとお出かけ、楽しいな。
そんなことを考えていると、お母さんは知らないおばちゃんに「お願いします」と言って、どこかに行っちゃいました。
え?どういうこと?
お母さん、どこ行くの?
ユウ君、さっきまでの楽しい雰囲気はどこへやら、急に寂しくなっちゃいました。
だって、せっかくお母さんと遊べると思ったのに、どこかに行っちゃうんだもん。
ねぇ、どこにも行かないで!
「おがあざ~~~ん、やあ~だ~~~」
ユウ君とうとう泣き出しちゃいました。
そこから先生があやして、何日か経ってようやく泣かずに通ってくれるようになりました。
周りの子たちが積極的にユ君を遊びに誘ってくれたので、そのお陰かもしれません。
それから数か月後の今日、元気に保育園に到着しました。
「おはよう、ユウ君」
「おはようございます!」
先生がにこやかに挨拶すると、ユウ君が元気に挨拶を返します。
「ユウ、ブロックしようぜー」
「やる~」
お友達の太一君、通称タイ君と一緒に、バタバタと中に入っていきます。
最初はお母さんお母さん、って泣いてたのに、今はお友達と遊ぶのに夢中です。
お母さんも、ユウ君の成長に嬉しさ半分、あっさりと自分の元から友達の方に走ってしまい寂しさ半分、といった様子です。
大丈夫だよ、お母さん。
ユウ君、お母さんのこと大好きだから。
だって、この前描いたお母さんの似顔絵、すっごく上手に描けてたよ。
描いてる時のユウ君も、すっごく嬉しそうだったよ。
あの似顔絵、お母さんの宝物になりました。
画鋲で穴が開いちゃうのも嫌だったので、額縁に飾るくらい。
お母さん、本当にユウ君のことが大好きなんだね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます