1年目

 この日、お父さんが帰ってくると、びっくりする出来事が起こりました。


 ユウ君が、立ったのです。

 壁につかまりながら、脚をぷるぷるさせてますが、しっかりとつかまり立ちしています。


「お、おい、ゆうが立ったぞ!」


 お父さん、あんまりおっきな声出すと、ユウ君びっくりしちゃうよ。


「そうなの、ちょっと心配だったんだけど、つかまり立ちして、ちょっとだけ歩けるようになったの」


 お母さんも嬉しそうです。


 これまでハイハイだけだったのに、立ち上がろうとして、できなくて、でも周りの子はもう歩いている子もいるのでちょっと心配していました。


「ただいま~、ゆ~う~」


 お父さん、さっそくユウ君の許に歩いていき、抱え上げます。

 

 お父さんはユウ君がかわいくてしょうがない様子。

 帰るとまず頬ずりするのですが、ユウ君はおひげがチクチクするのでちょっと嫌そうです。

 お父さん、ユウ君がかわいいのはわかるけど、ほどほどにね。


「ぱーぁ」


 お父さんのおひげジョリジョリから解放されると、ユウ君がお父さんに挨拶します。


「だんだん喋れるようになったなー」


 お父さん、パパって呼ばれてご機嫌です。

 実はお母さんのことはまだうまく呼べなくて、お父さんはちょっと優越感なんです。


「ゆう~、ままは?」


 負けじと、お母さんもユウ君に呼んでもらおうとします。


「まぁ?」


「あ、ママって言った」


 ちょっと無理がないかな?

 さっきのパパも、ちょっと無理があったけど。


 そんなことを気にしているなんてさっぱりわからないユウ君は、ニコッと笑います。


 お父さんもお母さんも、ユウ君にデレデレです。

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