第28話ダイアンside2
王宮でアンネリアの話をからかい半分に聞かれるが、全て病気療養で通した。
執事の報告ではどうやら彼女は祖父の家が小さくて気に入らなかったらしく、侍女に日常的に暴力を振るっていたようだ。
侍女は逃げ出し、アンネリアの世話する者が居なくなってアンネリアは静かになったようだ。
俺にとってアンネリアはもうどうでもいい存在になってきた。
あぁ、やはりシャロアが俺の妻になるのが正しい選択だったんだ。いつしかそう考えるようになり、騎士団の前をうろつき、彼女に会えることをひたすら待っていた。
だが、シャロアに会う事が出来ない。どうやら騎士団のやつらに邪魔されているようだ。
腹立たしい!
何度も何度も邪魔されてイライラする。するとラダンという男がある日俺の前に現れた。
「お前がシャロアの元、婚約者だった男か。無様だな。アンネリアは死んだのか?」
「アンネリア?知らん。病気療養で領地に行ったっきり音沙汰がない」
「お前は夫だろう?何故心配してやらないんだ」
「あの女のせいでシャロアと結婚できなかったんだ。俺にはシャロアが必要なんだ。会えばきっとシャロアは俺を選んでくれる。だからシャロアに会わせて欲しい」
「……残念だがそれは無理だ」
「何故だ!?」
「教えてやろう。シャロアの婚約者はこの間決まった。お前の出番はもうない。もう二度と来るな。シャロアに接触しようとすればお前の家ごと潰す」
……家ごと潰す……??
「関係のないお前がでしゃばるな!」
「関係ない? 俺がシャロアの婚約者だからだ。お前のような男を許したくはない。
シャロアの優しさで放っておいているだけだ。
その気になればお前はこの世からすぐにでも消える。
シャロアを傷つけたお前の罪は重い。騎士団全てがお前の敵だ。覚えておけ」
俺はその言葉に恐怖した。
ただの威嚇ではない。底知れない恐怖を覚えるほどこの男からの怒りを感じ取った俺は逃げるように家に帰った。
シャロアは幸せなのだろうか。
俺との幸せはもう望まれていないのか。
そこからの俺は心が折れて毎日がどうでも良くなった。
毎日酒に溺れ、仕事に行かずに寝て過ごす。父も母もとうとう俺を見放したようだ。
「頭を冷やせ」
父にそう言われ、馬車に押し込まれた俺。
着いた先はアンネリアの住む小さな家。
……アンネリアはどうしているのだろうか?
ここに来るまで考えてもみなかった。
確か彼女は侍女を追い出した後、一人で生活していると言っていた気がする。
俺は領地に着いて恐る恐る家をノックする。
「はぁい! 誰かしら?」
久しぶりに聞いた声に安堵するのと不安な気持ちになる俺。
「俺だ、開けてくれ」
扉を開けるとそこには痩せてはいたが、小汚い格好をしたアンネリアが居た。
「ダイアン!! 何でここに来たの!! 出ていけ! 出ていけ!」
叫びながら扉を閉めようとするアンネリア。
「アンネリア様、お開け下さい」
護衛がそう声をかけて無理やり扉をこじ開けた。抵抗を諦めたアンネリアは扉を開けて部屋の中へと入ってしまった。俺は侍女と護衛を連れて部屋の中に入る。
部屋の中は荒れ放題だった。
「なんで、今更ここに来たのよ!?」
「あぁ、俺も子爵家から追い出された。ここしか行く当てがない」
「……今更だわ」
ブツブツと文句を言っているアンネリアを無視して馬車に押し込まれた荷物を部屋へ入れていく。侍女と護衛は見かねて部屋の掃除をしてくれるようだ。
「ダイアン様、部屋の掃除が終わりました。あと、我々が王都へ戻るまでの数日間、料理の仕方や掃除の仕方は侍女が教えますのでアンネリア様と覚えるようお願いします」
「……あぁ」
俺はやる気の無い返事をする。
もうここから出ることは叶わないのだろう。
酔いが醒め、頭痛を覚えながらも侍女の話を聞いていく。どうやら最低限のお金は毎月送られてくるようだ。父達なりの温情なのだろう。
「……シャロアに会いたい」
俺はそう溢すと、アンネリアが物を投げながら起こり始める。
「シャロア、シャロアって五月蠅いのよ! もうあの女は居ないの! 黙ってないで手を動かしてちょうだい! サボっていないで掃除をしろ!」
「五月蠅いなぁ。昔のアンは優しくて可愛かったのに」
「うるさい!!!」
喧嘩の絶えない毎日。
……はぁ、俺は何処で間違えてしまったんだろう。
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ここで少しご報告。
アルファポリス様『お飾り妃になってしまいました。』の書籍がついに2月頭に店頭に並ぶ事になりました⭐︎
現在webで掲載中の物は今月末で掲載終了となります!
書籍化にあたって量と内容はギュウギュウに、これでもかって言うほど詰め込みました。
エリアナの苦労が偲ばれます。もちろん例の彼も彼女のために奮闘しております!(´∀`*)
あと、現在パルシィ様で公開中のコミカライズ『親から見捨てられました。自力で生き抜いてみせます』も3月に第1巻発売となります。
こちらの方も師匠とファルマの関係にドキドキです♪( ´ ▽ ` )
書籍もコミックも是非是非お読み下さい⭐︎
*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*
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