第6話

 何も残らない神様。

 祈りだけで生まれた神様は、最初からいなかったかのように何もありません。


 けれで、神様は一つ。

 大きな傷痕を鬼に与えました。


「嗚呼。何故だ。人間が望み望まれ生まれさせたにも関わらず、いらなくなれば……都合の良いものを見つければ捨てるというのか?」


 朱天はその場に崩れ落ちました。

 目から涙がいく筋も流れていきます。


「祈りの具現とて、確かに意志があり、笑っていた存在。確かに村を守っていただろう。幼げに、ただ見守り続けた望まぬ神を何故捨てた!」


 朱天の悲しみは憎しみに変わり、瞳が赤々と燃えていきます。


「許さないぞ。神を殺した傲慢なる人間よ」


 呪いの言葉が一つ、落ちました。

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