第19話 選択



何だか暗い話になってしまった。

人を殺すか。後回しにしてはいけないことだろうけど、今考えることはできない。

精神的に限界だろう。


そのことよりも今大事なことはこの街から出ることだ。

ギルドマスターから怪しまれているので正体がバレてしまうのを防ぐためにも早くこの街から出たい。

正体といっても中学3年生の異世界召喚された人だけど。

とにかく逃げるという言葉が適切なのかは分からないけど逃げるしかない。

あとこの街に来て分かったことが魔王が復活したということ。


クラスメイトが魔王を討伐するのは、あの時から3ヶ月後。

あの時からもうすぐで1ヶ月だ。

魔王を倒すことができればいいと思っているけど。

Lv1000にならなくてはいけないことを考えると難しいんじゃないかと思う。

王国は魔王討伐の危険性を理解していない気がする。

確か、ダンジョンには行ったけどそれだけじゃ絶対ダメだ。


まだまだ日本に帰る方法も分かっていないし。

究極の2択が存在するとしたらどうするべきなのだろうか。


日本に戻ることができるがそのかわり、一生この世界に戻ることができなくなる。

それなら異世界のあるここに残るほうがいいんじゃないかと思ってしまう。


受験生から開放されて、魔法も使えて楽しいと思う。


でも家族が私にはいる。

両親は亡くなったけど、おばあちゃん、おじいちゃんがいる。


確か、私には妹がいるらしい。

分からないけど両親の遺言として妹がいると知らされた。

まだ1度も会うことすらできていない。

会ってみたいと思う。家族だし。


しかしその場合、この生活を手放すことができるのか。

選択を迫られた時、私はどうするかは分からない。


悩みが多すぎて、嫌になる。


「そんなグダグダ悩んでたら、後悔するぞ。」


言いたいことは分かる。

今すべきことはこんなことじゃない。

そんな暇があればレベル上げをするべきだと頭のどこかでは分かっている。

でもその選択を迫られた、いつかを想像しないわけにはいかない。


「街から出るのではなかったか?」


そうだ、クロの冷静な意見を思い出した。

この街から出るんだ。

見た目そのままで街から出ていいのかが心配だがとにかく出るしかない。


門が見えてきた。

門番はあの鬱陶しい冒険者達に絡まれていたときにすんなりと通してくれた人だ。


「もう出発ですか?」


「はい。この街に飛竜も出ましたし。」


「そうですね。ではギルドカードを。」


ギルドカードを渡すと


「気をつけてくださいね。」


と言ってくれた。すごい優しい人だ。


「ありがとうございます。気をつけます。」


目的地は決まっている。

気をつけないとほんとに死ぬだろうね。


「クロ、行くよ。」


「任せておけ。」


クロに乗る。そしてクロが飛び始めると、空が近くなった。

風が吹いていて気持ちいい。

自分で飛ぶのでもよかったけど、あまり運動神経がよくない私はずっと飛んでいられるほどの集中力はない。バランスを崩してそのまま落下とかは絶対嫌だ。


フラワーガーデンから魔王の領地に行き先を変更する。


その前にレベル上げをもちろんするが、魔王を倒さない限り厄介な魔物が増えていく。平和だとか言っている場合ではない。

本を読んでいてもレベルは上がるが、魔物を倒さないと練習にはならない。

あと私は実戦経験が少なすぎる。こんな状態で魔王を倒せるわけがない。


今はクロに教えてもらった、私が倒すのに最適な魔物がいる場所に飛んでもらっている。何とは言われていないのでそれが怖い。

約30分ぐらい飛んでいると


「見えてきたぞ、あそこだ。」


見えたのは何かが飛んでいるということ。

もしかしてあれは。


「そうだ氷竜だ。」


氷竜は小説でも厄介な竜と言われている。

炎を放っても、分厚い皮膚に守られて倒せないことがある。

もう1つ厄介なのが口や体から出る冷気だ。

あれで私の魔法「絶対零度」のようにカチンコチンにしてしまうのだ。

どこが私に最適なのか。


「皮膚は頑張ればなんとかなる。とにかく実践あるのみだ。」


予想外なことにクロはかなり雑だった。

氷ということはもちろん炎が有利である。それが効くかどうかは分からない。

小説でもあった。炎で倒すことができずに苦戦する主人公が。

まあ私は主人公キャラにふさわしくないので何でもいいですけど。


主人公が苦戦するほどの強さだ。

しかも氷竜は数体いる。


「大丈夫だ、レベルは今の由香と同じぐらいだ。」


どこが安心できるのか。全く安心できる要素がない。

敷いていれば私より強くないというところだろう。


「我に乗ったままでは攻撃できないだろうが、ほれ。」


するとクロに落とされた。さすがにあり得ないと思う。

景色に浮かれていたが私は高所恐怖症だ。


急いで「飛行魔法」を発動させる。クロはあまりにも雑だ。


「急に落とさないでよ!」


「反応が遅い。もっと素早く飛行魔法を発動させなければいけないだろ。」


反省ゼロ。逆に私が叱られている

こんなところで言い争っている場合ではない。


「魔法制作」


どんな氷も溶かすものといえばなんだろうか。

炎だけど、もっともっと熱くて溶けてしまうもの。

噴火、溶岩。

少し前にアイスランドで噴火が発生していたので思いついたけど。

それぐらいじゃないと倒せなさそうだ。


この地上に多大な影響を与えるかもしれないが全力でいかせてもらう。


溶炎ラバーフレイム


氷竜に近づき、魔力をかなり使ったがまだ倒しきれていない。

魔力の量はあと3割程度。

ダメージは与えられたが、致傷には至っていない。


「これしきのことで倒せないとは、まだまだだな。」


「少し離れておけ。」


クロの言う通り離れる。するとクロは炎を吹き出した。

かなり離れているのにこんなにも熱が伝わってくる。

さすがSSSランク級。黒竜。

王国で危険度が高いと言われている竜だ。

一瞬で数体倒してしまった。


「どうだ。」


すごい自慢げですけど。まあほんとにすごいからいいけど。


「我がレベルが上がると連動して由香のレベルも上がるのだ。」


なんと便利な機能なのだろう。

私は1体すらまともに倒せなかったのですけど。


「レベルを見てみろ。」


そう言われたのでレベルを見る。

ステータスOPEN!


名前 「垢月由香」 「15歳」 種族「異世界人」 職業「司書」


Lv206 HP 300000/490000 MP 300000/490000 経験値48100/700000


潜在能力「ブックポイント」

効果「本を1ページ読むごとに経験値を獲得する」


固有スキル

「ブックストア」

効果「元の世界の本を取り寄せることができる」


「魔法製作」

効果「新たに魔法をつくることができる」


獲得スキル

「鑑定、鑑定妨害」「異常状態&自然回復」「魔力操作」「空間収納」「身体強化」

「経験値増加」「並列思考」「錬金術」「気配感知、気配妨害」

「精神支配耐性」「物理攻撃耐性」「魔法攻撃耐性」「高速再生」


「攻撃魔法」(炎「炎撃」「紅蓮」、「溶炎」水、土、氷「氷矢」、「絶対零度」、雷「雷撃」、風、闇、光)「精神攻撃」

「結界魔法」「隠密魔法」「一般魔法(火、水、土、風)」「痛覚軽減」「探査魔法」

「強化魔法」「転移魔法」「飛行魔法」「魔眼」New!


「剣術」「料理」「解体技術」「地図」「清潔魔法」「瞬速」「正確」


称号

「本が大好きな異世界人」「ウルフキラー」「黒竜との契約者」「飛竜殺し」


装備

「服」「ブレスレット」


効果 

敵と認識し、対象者の半径5m以内に入ると、自動的に結界魔法が張られ「雷撃」、「氷矢」「炎撃」を放つ。致命傷になった人を1度治すことができる。

雷撃100%の確率。硬さ、ダイヤモンドほど。合計防御力90%。


契約 名前 「クロ」(黒竜) 「850歳」 種族「竜属」


Lv413 HP 4130000/4130000 MP 4130000/4130000 経験値48206/15000000


固有スキル「黒竜王剣ドラゴンキングソード

効果 「5分間の攻撃力が1000倍になる(副反応として防御力が50%下がる)」


獲得スキル

「鑑定、鑑定妨害」「異常状態無効&自然回復」「身体強化」「経験値増加」

「並列思考」「気配感知、気配妨害」

「精神支配耐性」「精神攻撃」「魔法攻撃耐性」「物理攻撃耐性」


「攻撃魔法」(炎、水、土、氷、雷、風、闇、光)「結界魔法」「痛覚軽減」

「探査魔法」「飛行魔法」「転生魔法」「竜眼」


称号

「黒竜王」


これで私もついに200レベルになった。

「魔法攻撃耐性」と「物理攻撃耐性」が増えて、防御の面ではかなりの収穫だったと思う。

まあむりやりクロに空中へと落とされたんですけど。

「瞬速」というのはなんか色々なことが速くできるみたいだ。

「正確」は名前の通り何でも正確にできるらしい。

運動神経0だった私がもしかしたら、このスキルによって運動神経抜群系女子になれるかもしれない。なるつもりは一切ないが。


氷竜の鱗や死体をアイテムボックスに入れる。

近くにテントが張れそうなところがあったのでテントを張った。

黒竜は睡眠が必要ないらしい。


すごいことだと思う。

本を読む時間が増えるので睡眠欲をなくしたいと思っていた。

レベルが上がればそんなスキルも手に入るかもしれない。


でも今は睡眠は大切だ。

身長が現在165cmなのだが、このまま175cmぐらいになりたい。

ここまで伸びると男子たちを見下してやれるぜ。

内心ゲスなことを考えながら寝る。

そうでもしないと心の中の不安は取れそうにないから。



(あとがき)


主人公がかなり悩んでいると思います。なんせ中学3年生の思春期ですから。

ハイスピードで投稿したいところなのですが

冬休みが終わり学校が始まってしまったので、投稿頻度が遅くなります。

テストもありますので少し勉強をしたいと思います。

来年ついに受験生です。何か受験対策でいいものがあれば教えてください。

これからもよろしくお願いします。

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