第25話 鬼武将
森の奥に進むとお寺があった。
零夜はお寺の中に入ると、そこに一体の呪怪がいる。
「よくぞ、参った。ほれ、そこは座れよ」
「...」
日本刀を横に並べて正座している呪怪がいた。一切の肌を見せない全身を覆う黒と金の機械装甲の奴や武士の大鎧、覆い尽くした面頬の中は鬼の顔の形だった。
「ワシの名前は
「それで、アンタは何の用で俺を呼んだ?」
零夜は警戒しながら、刀の柄を握る。
「知っているのかは知らないが、ワシはこの街の土地神だ。ワシが意識があるのも、ほんの数日しか残されていない。その前にワシは、意識がある内に、戦って死にたい」
「死にたいだと?」
「うむ。ワシは剣一本で天下を目指す身であり、真剣勝負して死にたいのだ。それがワシの願いであり、心置きなく成仏が出来る」
「何故俺なんだ?アンタの仲間に頼めば良いだろう?それに俺と一緒に来てた男の方が強い」
ユリウスやアレスの方が、目の前にいる強者と渡り合える。それに豪木の方が明らかに適性であるのに、何故自分を選んだのか分からなかった。
「ワシの友には、友を殺させたくはない。それに、あの男はダメだ。確かに力はあるが、最後に戦うのに相応しくない。零夜、殺されるのならばお主しか居らぬ」
「なぜ、俺の名前を?」
「名なんぞ、どうでも良かろう。さて、始めようか」
「っ?!」
空狗が戦闘態勢に入る。
零夜はすぐに気付いた、生物とは本能に忠実であり、遺伝子に刻まれている本能が感じ取る。目の前にいるのは正真正銘の怪物。
「いざ、尋常に勝負ぜよ!
「?!!」
空狗の高速の居合が解き放たれる。零夜は本能の的に飛ばされる斬撃を避けるのであった。零夜は後ろを振り向くと、一太刀でお寺の天井を両断した。
「マジかよ...」
空狗は刀を鞘の中にしまい、再び構えるのだった。
「断斬」
「っ?!」
先ほどのと同じ威力の斬撃を零夜に飛ばした。
零夜はその斬撃を打ち返そうと刃を飛ばした。
「くっ!何でバカ力だ」
本来の零夜の力では打ち負かされていたのだが、鬼の力を解放している零夜にとって、ギリギリ打ち勝ったのだ。
「弥生・餓狼天!」
五つの斬撃を空狗に飛ばす。
空狗は斬撃をぶった斬り、零夜の目の前まで瞬間移動するか様に、素早く飛び込んだ。
「断斬」
「くっ!!」
ほぼ目の前で居合を放つ。
零夜は咄嗟に右腕で刃を受け止めるのだった。
すとと、零夜の右肩に舵輪の様なものが浮いて現れる。舵輪は右回りに少し動いたのだ。
「なんて、威力だ!まぁ、その代わり1発チャージしたけどな。アンタの力、そのまま返すぜ」
零夜は空狗の胸を蹴り飛ばし、自分から距離を取った。そして空狗にまるで鉄砲の様に、親指を立てて人差し指と中指を空狗に向けた。
「吹っ飛べ!」
舵輪は左回りに動き、零夜の2本の指先から呪力の塊を解き放った。近距離にいた事や、素早い砲弾から空狗はモロに喰らうのだった。
「良い一撃だ!」
だが、あまり効いていなかったのだ。
「さて、もう一つギアを上げてみよう!お主なら、そう簡単に死なないだろう!断斬!」
その斬撃は零夜の胴体に直撃するのであった。
その頃、凛は血だらけになりながら、膝をついていた。ほぼ、限界な凛をユリウスは見下ろしていた。
「はぁはぁ」
「退屈凌ぎとしては悪くはなかったぞ」
「ま...まだだ」
凛はフラフラな状態で立ち上がる。
「まだ、立てるのか。根性はある様だな。さて、あとは何が出来るんだい?」
「もっと強くなる...お前を倒せる程強くなれば良い。もう、戦い方は分かった」
「...ほーう」
「(霊力量が膨れ上がった?...なるほど、こいつは戦えば戦うほど急成長するタイプの様だな。実に面白い!)」
どんどん、身体を纏っている霊力が膨れ上がっていく。凛は両手剣の柄を握り剣を纏わせるのだ。
「
纏わせた炎の懺悔をユリウスに飛ばした。
ユリウスは剣で受け止めるが、その威力で後ろに動かされるのだった。
「なるほど。確かにそれなら私を殺せる!凛よ、お前の才能をこの私が認めよう!もっと強くなれ!この私を超えてみせろ!」
凛の瞳は輝くのであった。
それと同様に、壁に寄りかかっている零夜に、一歩一歩と近づく空狗。
「もう、終わりか?」
「...」
また、負けるのか...結局負けるのか...
「お主の才能からしてワシを殺せると思っていたが、どうやら過大評価していたようだった。弱いな、お主...やはり、他人からの評価はあまり信用できんな...」
いくら修行しても、強くはなれない...これじゃ、あいつらを誰1人も殺せねぇや...
「その弱さなら、家族を守れなかった事に頷ける」
「...」
何故、そんな事を知っているのかと思ったが、そんな事より空狗の言葉は当てはまっていて反抗は出来なかった。
そうだな...また、負けるのか
「...おい、何勝手に勝った気でいるんだの。ふざけんなよ、俺はまだ負けてねぇ」
「ほーう、霊力をまだ上げられるのか」
零夜は長年の修行で、成長の歯車が止まっていたモノが、実戦において再び動き出す。
「もう、俺は負ける事は許されねぇんだよ。絶対にアンタを殺して見せる」
零夜は刀を強く握るのであった。
この戦いで、零夜と凛の潜在能力が発揮し、戦士の才能が開花するのであった。
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