第20話 期末試験

 期末試験に向けて、ファミリーレストランにて、零夜は4人からそれぞれの得意分野を教わって居る。黒恵は数学、北斗は現代文、我玖は化学、咲耶は英語だ。

まずは、咲耶から英語を教わって居る。


「なんで、ウチがこのバカの為に、時間を無駄にしなくちゃいけないんだ」


「咲耶、そんな事言うなよ。俺傷つくだろ?」


「分かったから、早く教科書開けてくれ」


「はい」


 零夜が教科書をバックの中から取り出そうとしてる時、面倒くさそうにポテトを食べながら咲耶も教科書を広げふ。


「ウチが読んだ所を声を出して読み上げて。MY NAME IS TAROU,HOW ARE YOU?」


 咲耶の英語の発音が、ネイティブでビックリしてしまった。


「えっと...マイ、ネーム、イズ?たろう、はう、アウゆー?」


「...まじか、ここまで酷いのか」


 咲耶は、ここまで零夜が英語の発音が酷いとは思って居なく、一筋縄では行かないと思った。


「...じゃ、こんにちはを英語では?」


「グラッツェ??」


「ぶっ飛ばすわよ。それイタリア語だし、それに、意味はありがとうだから」


零夜は、適当に知ってる単語を出しただけだった。


「じゃ、ボンジュール?」


「うん、意味は合ってるけど、それはフランス語。馬鹿なの?死にたいの?」


酷い言われ様だ...


 すると、零夜は仕方ないなって顔で分かりやすく教える為に隣に密着する形で教えて始めた。


「それでね、ここの...」


やばい、横顔綺麗だし。それに、良い匂いすぎて集中出来ない...


「......があって...おい、聞いてるのか?」


「咲耶、なんのシャンプー使ってるの?すげぇ、良い匂いだ」


「ばっ!バカ!何言ってんだ!だから、お前のそう言う無自覚の所が嫌いなんだよ!」


「え?」


 良い匂いと言われ咲耶は顔を真っ赤にするのだった。そして入れ替わるように北斗が隣に座る。勉強中は北斗はメガネを付けている。


「これ、どう言う意味?」


「んーっとね、これはね作者の心境を述べよって所ね」


「俺、この物語の作者じゃないから、分からないんだけど...」


「んー、こう言う作者の心境を述べよって問題は、実際は出題者が作成したものだからね。だから、作者ではなく出題者の心境を考えた方が分かりやすいよ」


「これはテメェの物語だから、俺の物語は終わらねぇ!」


「うん、意味も分からないし。それに、それ君の心境でしょ?」


 零夜がふざけた事を言っても嫌な顔をせずに、ちゃんと笑顔で接してくれた事に罪悪感を覚えた零夜は真面目に取り掛かった。


「じゃー、夏だからめちゃくちゃ暑いって事か?」


「...そんな問題あった?」


「え?ほら、おう なつだぜって」


零夜は今読んでる教科者を見せた。


「どうりで、ちょくちょく話が噛み合わないと思ったら...作品と作者が違うどころか、教科書が中学のものだったのか」


「...え?」


それから1時間後に、入れ替わる様に黒恵が来る。隣に座り出した黒恵は何かとソワソワしていた。


「じゃ、教えますね。まずはこの問5の問題からですね。点Pが、Aから移動してからx秒後の△APDの面積をy cm²とするとき、yはxの変化に伴ってどう変化するのかの所ですが、問題のポイントは、三角形の高さだけが変化している事なのですよ」


「ん?今何語喋ってた?それならさっき咲耶から英語教えてもらったよ?」


「日本語何ですが...」


 あれ程説明したのに、全然理解してない零夜をジト目で見つめる黒恵。


「...なので、ここはAPDの底辺ADは固定ですよね?AとDは動かないのです。点Pの移動によって高さだけ変わっていくので..」


 自分勝手な、点Pに対してイラついて、教科書を机に叩きつけた。


「点P動くんじゃねぇ!!!」


「私に言われましても...大丈夫です。まだ、期限は1週間もあります。これからも私が頑張って教えますので!」


 何故か慰められてしまった。それから入れ替わる様に我玖が隣に座る。


「まずは物理化学、無機・分析化学、有機化学、生命化学のどれから教わりたい?」


「...」


今の魔法の呪文か?


「...物理で」


「物理か...そうだな、物理だったらここからだな」


 我玖はテストの範囲の紙を見ながら、零夜の教科書をパラパラと開いた。


「はい、まずはこれを解いてもらおうかな」


我玖が指をさした問題を見つめて、読み上げた。


「えっと、問題1、反応において、成分 i の量論係数をni、化学ポテンシャルを μi とする時、 次のうち反応ギブズエネ....い記述はどれか?知らねーよ」


「真面目にやれ」


「...はい」


「ごめん、じゃー次はもっと簡単な問題を出すよ。氷から水への変化はどれか?はい、何でしょう」


「水から氷?熱じゃね?」


「それはどうやって溶かすかだろ?これは変化を聞いてるんだ。まぁ答えは融解ね。次は混合物ではないものは、次のうちどれか?」


次は選択問題だった。

 零夜は1から5の答えを見て、どれか正解なのか探した。だが、そもそも問題を解く前に、零夜の方に問題があった。


「てか、混合物って何?」


「...あれ?可笑しいな。混合物って中学から習うよね?」


それから零夜の為に、みんなは頑張って教えるのだった。

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