踊れよ武士よ、謳えよ大志よ、戦えよ戦士よ

第19話 学校生活

「...昨日あんな事して、今日学校行くのか...面倒くせぇ...」


零夜は制服に着替えながら、眠そうに呟くのだった。


「おい、凛...まだ、寝てるのか」


 昨夜はいきなりの出来事に、色々あったが、泊まる所がない凛をほったらかすのも、後味が悪いと仕方なく泊まることにする。零夜は男であるが、凛はそれを気にしなく同性の様に接するのが少し困っていた。


「朝飯食おう」


 零夜はキッチンの上にある棚のを漁る。棚の中は色んな種類のカップ麺が入っている。一人暮らしな為、一応料理は出来るが、朝っぱらから料理する事は面倒なので、カップ麺で済ませている。


「美味い〜、こればっかりだと、体に悪いけど...」


こんな生活してるの見てたら、奏怒るんだろうな...


「さて、凛の分も...」


 すぐに気づける場所に、何種類かのカップ麺を置いて玄関まで歩く。


「...」


靴を取ろうとしたが、手がピタリと止まる。

 そして、キッチンの方は戻り、冷蔵庫の中を漁って、鮭やウィンナー、卵焼きなどを使って。作り置きのお新香などを皿に乗せて、ご飯を炊く。作った料理をラップして机の上に置いた。


"温めて食べてくれ。昼飯とかは、勝手に冷蔵庫とか漁って"


っと、インスタント味噌汁の上にメモを置いて、心配なく学校に向かって行く。


「神楽沙君、おはようございます」


「九條さん、おはよう〜」


「お体は休めましたか?」


「ああ、ぐっすり寝たら、全回復だ」


「ふふ、それは良かったです。来週のテスト期間は支障はなさそうで安心ですね」


「...へ?」


 どうやら、来週からは期末試験の様だ。ここ最近、色々あった事に零夜は期末試験の事をすっかり忘れていた様だ。何も勉強をしていない零夜は、顔を青くするのだ。


「零夜、おはよー」


「零夜おはよう...どうしたの?」


そして教室に入ってくる我玖と北斗。

 プルプルと震える零夜の違和感に気付く。


「ヤバい、俺テスト勉強なんて、してない」


「...なんだ、いつもの事じゃないか」


 慌てていた事に何事だと思ったが、特に大したことではない事に北斗達は自席に座る。零夜は、北斗達の所に向かい助けを求めるのだ。


「...そんな目で見られてもね。そもそも勉強をしてない君が悪いんじゃないの?」


「ここ最近忙しかったんだよ!勉強を教えてくれ!」


ムカつく事だが、北斗は学年で一位を取ってるほど頭がいい。これで勉強はあまりしてない所が、尚更腹が立ってくる。同じく勉強してないのに、何でここまで差がつく。


「えぇー、めんどい...我玖に教えてもらえ」


「俺もめんどくさい。それに人に教えられる程、俺には余裕がない。委員長に頼め」


余裕がないとは言ってるが、学年で30位以内はキープしている。見た目不良どもの癖に、何でこんなに頭は良いんだよ!


「え?!わ、私ですか?か、構いませんよ?教えてあげましょうか?」


「本当か?!助かるよ〜」


「困った時はお互い様です」


 勉強を教えてくれる救世主が現れたが、北斗の余計な一言を放つ。


「良かったな、零夜。前回2位の子から教えて貰ったよ」


「...」


「その前回2位さんも余裕がありそうですね。前回、僕と勝負をして負けてるのに、今回は人にまで教えるのか、それほど今回は余裕が...あ?!まさか、勝てないと分かって、最初から諦めたのか!委員長にしては良い判断だね」


「...神楽沙君。約束したのに申し訳ありません。私、勉強に集中したくなったので、他の人に頼んで貰っても構いませんか?」


「...ふざけるな!余計な事言うんじゃね!」


「え?僕なんかやっちゃった?」


零夜は北斗の首を軽く締めて、揺らすのだった。


「てか、別に赤点さえ取らなければ良いだろう?そういえば、前回何位なんだっけ?」


「...196」


「?...なんで、いきなり身長の話してんの?それにお前180ぐらいだろ?」


「身長の話じゃねぇ!!順位の話してんだよ!悪いか!」


「「「は?」」」


 零夜の順位を聞いた3人は驚くのだった。2年生の数は220人ぐらいとなっている。220の中で零夜は196位なのだ。


「今日はお前家で勉強だな」


「...ごめん、助かる...?!!ダメだ!!俺ん家はダメだ!」


今家には凛がいる!九條さんなら大丈夫だけど、こいつらにいちいち説明するのも面倒い。


「そう?無理なら、ファミレスとかにするか。僕達の得意科目を教えれば良いか、僕は現代文」


「俺は科学か」


「私は数学ですかね」


「後は英語か...」


「...」


 北斗の言葉を聞いて、北斗と我玖と黒恵はある方向へ視線を移す。先ほどから、仲間だと思われたくはないと会話に入らない様にしていた人物がいた。


「...嫌だよ。お前らと一緒にいたら、バカだと思われるだろう。それに、お前らのせいで、ウチ変なチームの一員にされてるんだけど」


 不機嫌そうな顔になる後ろ髪が跳ねた、プリンの様か頭のてっぺんの髪が黒色に染まっている、金髪ウルフカットの見た目ギャルの子は、雪花ゆきはな咲耶さくや

 2年生の中で、零夜、黒恵、北斗、我玖、咲耶、そして今風邪で欠席中の子と、6人は仲良し漫才チームと呼ばれていたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る