第12話 呪霊少女②
「フヒヒヒヒッ」
不気味な笑みを溢す呪霊は、零夜に向かって駆け走る。零夜は急いで結界領域を取り出して、向かってくる呪霊に当てると、中に吸い込まれる。
「ふぅ、これが上級か。やべぇな」
そして零夜さ結界領域に霊力を流し、自分も中に吸い込まれるのだ。
「森?」
中は学校こ様な場所だった。聞いていた雰囲気と全然違っていた。
「...これ、全部呪力か?」
六道眼で調べると、床や壁から赤いオーラが滲み出る。
「あ、零夜〜!!」
「...緋村さん?」
入り口は一つしかない、上級呪怪が入ってきた瞬間に一斉に攻撃をする作戦なはずなのに、呪霊少女も黒恵達が見当たらなかった。少し学校の中を探索していると、凛を見かける。
「他のみんなは?」
「あはは、いきなり呪怪が現れたと思ったら、みんな吹き飛ばされて、幻想領域を展開されたんだ」
「マジかよ。他のみんなは大丈夫か?」
「うん。咄嗟に里佳子が私達に防御結界を張ってくれたから無事」
防御結界とは結界術の一つの技。霊力や呪力が籠った攻撃を、バリアの様な結界で身を守ってくれる技。
凛はギターケースの中から、両手剣を取り出した。
「それは?」
綺麗な赤い刃な剣。
「
古代中国十大神剣の一振り『赤霄剣』。またの名は巣食う蛇を斬るための剣『斬蛇剣』と言う。
零夜も竹刀袋の中から、自分の刀を取り出し、自分の腰にさした。
「どうする?先に仲間を探す?それとも呪いを倒す?」
「うーん、見た感じ呪霊の方が先に出会っちまいそうだ」
「フヒヒヒヒッ!」
「ちっ、
鞘から刀を下から上に向けて円を描くように抜刀をする。だが、刃は呪霊の口で止められる。呪霊は瞬時に自分の爪で零夜の顔を引っ掻いたのだ。
「っぶね、今の反応出来てなかったら、死んでたかもな」
咄嗟に後ろに下がり、傷を与えられる深さを和らげた。零夜は腰から拳銃を抜き、当たるまで15発全ての弾丸を放つ。だが、全て壁や地面を蹴りながら避けられる。
「
零夜に飛び込もうとした瞬間、横から竜の頭をした炎に飲み込まれる。
「ナイスタイミングだ!霊開・獄骨【
炎で燃え上がり、ほんの少し凛が足止めをしてくれた事に、零夜は瞬時に片手印を結び、腕を下に振り下げる。呪霊の頭上から3本の牙が下に落ちる。
「そのまま、死んでくれ...霊開・
片手印から、手を上に上げ、手を広げ五本指を曲げ、下に下ろすと同時にギュッと握りしめると、蛇の様な8つの頭が、蝕む様に食らい尽くす。手足を引きちぎられ、最後には頭を喰らうと消滅した。
「終わった?」
「...いや、まだかもな。幻想領域が消えないってことは、本体はまだ生きている」
初任務の時は、本体を倒した事に幻想領域がすぐに消滅した。だが、今回は呪霊を倒したのにも関わらず、幻想領域が消えないって事は、本体はどこかで生きている。
...厄介だな。この目で本体の居場所で調べようとしても、オーラが集まる場所がバラバラだ...この目は使えないな
「...ん?」
呪霊少女と違った呪霊が現れる。服装は赤いネクタイにスーツ、だが顔には紙袋を被っていた。
「...オ、オ前ラ...二人...校舎破壊...校則違反...霊開ヲ...没収」
「は?霊開・極骨【爪】...なっ?!発動しない??チッ、弥生・餓狼天!!」
5つの斬撃を呪霊教師に放つ。
見事に切断されたが、すぐに回復して形相な表情で零夜に指を指した。
「教師ヘノ...暴力...校則違反...刀ヲ...没収」
すると、零夜の刀が消える。
「...緋村さん、アレには攻撃しない方が良さそうだ」
「...アレ死なないのかな?」
「ちょっと、試してみるか」
零夜は落ちていた瓦礫を拾い、呪霊教師に向かって飛び込む。最初は軽く腹に脚を当てて、その次に瓦礫で頭部を思いっきり叩きつける。
「教師ヘノ...暴力...校則違反...廊下ノ壁ノ破片ヲ...没収」
「アハハ、なるほどね。流石に全部は没収できない様だな。呪いの必中の代わりに縛りとして、違反行為の中で1番関連性のあるモノを没収って訳か」
呪霊教師の呪いの力は、校則違反した者の、その違反で1番関連しているモノを没収する。1番最初に校舎を破壊したのは、零夜と凛の霊開。その次に教師に刀で攻撃してしまった時は、校則違反として刀を没収された。
なら、もし腕で攻撃したなら腕も没収って訳か?これなら九條さんが危ない...いや、先に籠手を没収されるのか?それだけですぐに気づけるかもな
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