第9話 初任務②
「九條さぁ〜ん!九條さーん!」
零夜は廊下を開くか回りながら、黒恵の名前を呼んで探している。
「うーん、参ったな...使うしかないな」
零夜は六道眼の力を使う。
すると、壁や床、天井から呪力が溢れ出ていて、全ての呪力の流れが、ある方向に向かっていた。零夜は急いで呪力の先に走ると、そこは大きな空間があった。
「はぁはぁ、ちょっと使うだけでこれだと、燃費が悪すぎる...ん?なにあれ?」
部屋の中に小さな物影があった。目を納めて、よくジッと見つめるとその正体は
「日本人形?...なっ?!」
すると何もない所から、いきなりゴリラの呪怪が飛び出してきて、零夜を殴り飛ばした。咄嗟に霊力で全身強化したおかげで、対したダメージは喰らわなかった。零夜はゴリラの呪怪に向かって銃弾を放ち、頭に直撃して灰となり消える。
「...うーっわ、何体出てくるんだよ」
次々と何もない所から10匹のゴリラの呪怪が現れる。零夜は拳銃のマガジンを変えてホルスターに仕舞う、そしてタバコに火を付けて吸った。
「ちょっと、本気で行かせてもらうよ。早く九條さんと合流しないといけないから」
零夜は刀を抜き、ゴリラの呪怪に駆け走る。
一方その頃、黒恵は30超える数の和傘に囲まれていた。
「はぁはぁ、ほんの少し傷付けても増える、一体だけ傷付けても全ての傘が2倍に増える。見たところ、上級呪怪、妖幻型って訳ですね」
妖幻型とは、物に呪いが蓄積され取り憑いた呪怪。
大体の妖幻型は、本体が何かのモノであり、その本体が怨念から生み出した呪いを使って攻撃してくる。本体を倒さない限り、操る物体は消えることもない。
「結界も式神も使えない私達に相性最悪な相手...」
黒恵は素早く、入口の方へ駆け走り本体を探しに、和傘との戦闘を避ける。だが、目の前で入り口が勢いよく閉まったのだ。
「逃してもくれませんか...どうやら、私をここで確実に殺す気なの様ですね」
30以上超える和傘から、無数の火の玉が現れる。
「天武
羅針とは、陣の中に入る物の動きや攻撃相手の霊力や呪力を探知することで相手の攻撃を見切ったり、隙を感知する事が出来る。
「本体は神楽沙君に賭けるしかありません。頼みますよ」
そして、少し時間が経った頃、零夜の方は、100を超えるゴリラの呪怪を祓い続けていた。倒しても倒しても、次々と現れる。
「しんどー...それに、さっきから強くなって気がするし」
下級の黒い色のゴリラの呪怪だった筈なのに、いつの間にか中級並みの白色のゴリラの呪怪が現れていた。
「...あれ、怪しいよな...」
零夜は部屋のど真ん中にいる、日本人形が気になり始める。何故か真ん中に行かせてくれない呪怪達の行動を気になり、あれが本体だと考える。零夜は試しに、銃を取り出し日本人形に向かって銃弾を放った。
「ビンゴ!」
見えない結界で銃弾が弾き返されたって事は、壊されて困る物だという事。零夜は日本刀を鞘の中に仕舞う。
「
ビリリッ!
零夜は残像すら置き去りにする程の、素早く飛び込み一瞬の間で放たれる一太刀で、日本人形を両断した。日本人形が壊れたと同時に、空間にヒビが入り、次第に大きく伸び砕け散る。
迷路の様な建物の構造が、元通りに戻ったのだ。
「はぁはぁ...神楽沙君!」
近くで戦っていた黒恵と合流した。大きな怪我はしていないが、結構体力を消耗していると伺える。
「悪い。本体を早く倒してけば良かった」
「いいえ、こちらこそ本体を見つけてくれ、祓ってくれてありがとうございます。これで、今回の任務は達成しました」
「うんうん!本当素晴らしいよ! 戦闘面や体力面には問題はないけど、幻想領域を攻略する動きの方はダメダメ。今回は上級の中でめちゃくちゃ弱い方の分類だけど、ちゃんとした上級の実力なら死んでたよ?」
「...土御門さん!幻想領域の攻略するも何も、本来上級呪怪の討伐任務を行うのに、最低でも4人は必要なんですよ!」
「数が少ないからって言い訳なのか?」
「確かに言い訳に聞こえますが。そもそも、事前にちゃんとした情報を教えて欲しかったです。こちらも準備って物がありますので」
いきなりの出来事から、本来黒恵が使っている武器や、アイテムを用意が出来なかった。
「そうだねそうだね。まぁ、これも予想していなかった出来事が起こった場合の練習と思いたまえ!」
「はぁ、聞こえは良いですが...そうしときます。今度から、事前に任務の事を教えて欲しいです」
「俺も同じ意見だな。普通の刀じゃ、一回技を使うだけで、これは厄介になる」
零夜は粉々になり、刃がない刀を見せる。
これにて、2人の初任務は終了するのであった。
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