第7話 陰陽証
「おお!これが陰陽師ライセンスか!」
「アハハ、ライセンスか。陰陽証だよ。無くさないように大切に扱ってね。無くすと、上がうるさいからね」
「今は晴れて、初級陰陽師君だよ」
月曜日の放課後、豪木から連絡が来たと、黒恵と一緒に学校の近くのカフェに集合した。黒恵と零夜の対面に豪木が座る。そして、豪木から陰陽師の証である陰陽証を渡される。
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特殊組織呪法捜査局陰陽協会
写 氏名:神楽沙零夜
真 生年月日: 2007年5月8日
階級:初級
陰陽師である事を証明する。
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「点数からして中級からなのが妥当じゃないのですか?」
「いや〜上の連中が僕の独断でやった事だから、認めてくれなく、話し合った結果から初級となったんだ。ごめんね〜」
「なるほど...」
「んでっ、2人ともこの後暇?」
「暇だな」
「暇ですね」
「あっはは、良かったよかった。連絡するの忘れてたから断られたら困ったよ」
「なんですか?」
あっはははと笑う豪木に、黒恵は少し嫌な予感がする。
「君達には、下級呪怪を祓って貰う」
「...はぁ??いきなりすぎません?私達、何も準備してありませんよ!」
「まぁまぁ、ここで渡すのも色々マズいから、少し移動しようか」
豪木の案内により、ビルの地下にあるパーキングエリアに向かい、車の中から大きなカバンを取る。
「あはは、ごめんね。だから、僕が色々と準備したから許して。武芸師型だから籠手と脛当て持って来たから許してね」
陰陽師には4つの種類の戦闘スタイルが存在する。
格闘師は、武器を持たずに霊力を纏って、打撃技や突き技、蹴り技、手刀などを使って呪いを祓う者。
武道師は、剣や刀、槍などと武器に霊力を込めて、近接戦闘で呪いを祓う者。
射撃師は、槍や拳銃、機関銃を高い、銃弾や矢に霊力を纏い、遠くから呪いを祓う者。
法術師は、式神や結界術、お札や経文を謳い仏からの力を借りて呪いを祓う者。
「神楽沙君は武道師だから、刀で良いよね?」
「え?あー、まぁ別に良いけど。他ない?」
「一応、あるわあるけど...刀じゃなくても良いの?」
「もしもの為だ。俺の流派は普通の刀じゃ耐えきれないから、もし壊れた時用だ」
「あー!確かに」
試験をしていた時、零夜が一度だけ放った技で、模擬用の刀が粉々になった事を思い出す。
豪木はキャリーバックを取り出し、中身を見ると、一丁の拳銃と五つのマガジンが入っていた。
「後は、これだけだけど、大丈夫?」
「ああ、充分さ」
「大丈夫?銃なんて扱えるの?」
「ああ、俺の剣の師匠の妻が射撃師なんだ。ちょっとは教えてくれた」
「へぇ〜、ちなみにお名前は?」
零夜に教えた師匠の正体が気になる豪木。
「...言えない。修行を付ける代わりに、俺の師匠の情報を教えられない様に縛りを付けられてるんだ」
縛りには2種類存在しており、自身での縛りと他者との縛りの契約を結べられる。
零夜と零夜の師匠が行ったのは後者で、縛りを破った場合、破った方に思い罪が発動する。縛りで発動した呪いは、どんな強力な霊力を持っていても、防ぐ事は出来ない。
「残念だ」
残念そうに笑う豪木。
車の中に入り、下級呪怪が生息している廃墟の病院に辿り着いた。
「これは上の連中から、君の実力を測る試験みたいなものだ。失敗したら、陰陽証を剥奪され、もう一度正当なルートから試験を行わなくちゃ行けない。だから、失敗は許されないよ?」
誰もからもが陰陽師になれる事ではない。
独断で行った試験で、陰陽師となった正体が分からない零夜をあまり良くは思っていない連中が多く、この任務で零夜の実力を測ろうとしていた。
「今回はどの様な呪怪ですか?」
「うーん、確か...怪獣型だった様な」
怪獣型とは、動物型の呪怪。
零夜は廃墟に見ながら、タバコを取り出し火を付ける。
「ちょ、ちょっと!!一応、私委員長ですよ!!吸うとは言いませんが、流石に私の横で吸うのは遠慮して下さい!」
「え?あ、ごめん...あぁっ」
ほんの少し驚いた黒恵にタバコを没収され、少ししょんぼりしてしまった。
「(この子から、本当に大丈夫なのか?)」
今から零夜の陰陽師としての運命を決めるための、任務を行う前とは思えない緊張感のない2人を見て、少し不安を覚える豪木だった。
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