第6話 猫カフェ

「神楽沙君、この猫可愛いくありませんか?すごく可愛いです!」


 黒恵はジッと可愛い瞳をした猫を見つめた後に、優しく撫でる。いきなりの2人と遊ぶ事に、まず何しようかと話していたら、近くに猫カフェがあるとそこに向かった。


「あの子もあの子も、みんな可愛いです!」


「そうだな」


そして、黒恵の近くに白い猫が近づいてくる。


「この子はキャロちゃんですね!真っ白で可愛い!!もふもふ〜」


黒恵は自分の頬をスリスリと猫を撫でる。

 そんな可愛いらしい黒恵を見て、学校にいる時とのギャップの差が凄いと少し驚いていた。


...めちゃくちゃ、可愛いな


 猫より、黒恵のギャップの可愛いさに見惚れてしまっていた。少し落ち着こうとカフェラテを飲むと、足に何か柔らかいモノが擦っているような感覚がする。


「おお、なんだよ」


「にゃーお〜」


「わぁ!神楽沙君!その猫、物凄く懐いてるじゃないですか!」


 猫から零夜に寄って来て、零夜の脚にスリスリと撫でる。そして、膝の上に飛び乗り、気持ちよさそうに寝転がるのだ。そんな可愛い仕草を見せる猫を見た黒恵は羨ましそうに零夜の隣に近づく。


「ニャー!」


 触ろうとする黒恵の手を、黒猫はひっ叩くのであった。自分を触って良いのは、零夜だけだと言わんばかりの目で睨みつける。


「むぅ〜私も神楽沙君の膝の上で寝てみたいです」


「へ?猫に懐かれている俺にじゃなくて、この猫に嫉妬してたの?...な、なら、九條さんもする?」


「え?い、良いのですか?」


「別に良いけど」


 黒恵は猫の本体に周り、零夜の膝を枕にして寝転がるのだった。一体、これは何事だと、少し戸惑うのだった。黒恵も少しばかり冷静になると、自分の大胆な行動を取ってしまったと、顔を真っ赤にする。それから、猫カフェを後にしてゲームセンターに向かう。


「私、こう言った場所初めてなのですよ」


「そうなの?」


「はい。私の家は少し厳しいところがありまして、娯楽をあまりさせてくれなかったのですよ。まぁ、今は前より自由になりましたけど...」


「そうなのか...なら、今日はいっぱい遊ぶか。まずはゲーセンに来たら、UFOキャッチャーをしないとな」


 そして辿り着いた場所が、めちゃくちゃ可愛いらしい青い鬼のぬいぐるみ。キラキラと欲しそうに目を輝かせる黒恵は100円を入れて、ゲットしようとする。だが、持ち上げる事は成功したが、穴の中に入る前に落ちてしまった。


「なかなか、取れませんね」


「まぁ、ギリギリ取れないように設定されてるからね。ちょっと貸してみん」


「へぇ?!」


零夜は黒恵の手の甲の上から、自分の手をソッと乗せる。密着する形で、レバーを動かす。


「はわわわ!」


「こういうのを取る時は、鬼の服の中にアームを挟み込めば良い...ほら?取れたでしょ?...九條さん?」


「(か、か、神楽沙君って意外と女性に対して距離が近いですよね?まさか、慣れてる?...)」


 黒恵はゲットした鬼のぬいぐるみを抱き抱えながら、プリクラに向かった。やはりゲームセンターと言えばプリクラ。


「2人の写真...」


「撮るでしょ?」


「...はいぃ」


 零夜はお金を入れて、プリクラの中に入り写真を撮る。撮られた写真を見つめる黒恵。


「(は、は、初めて男性の方と2人で撮った写真の相手が...す、好きな人...う、嬉しすぎます!こ、これは私の家宝にしないと...)」


「楽しかったか?」


「はい!こんなにお友達と楽しく遊べたのは、神楽沙君が初めてです」


「それ良かった...まぁ、次は...あっ?」


「どうしたのですか?...えっ」


 零夜が次に向かおうとした時、ピタリと足を止める。黒恵も零夜の視線の先を見ると、目が点となっている北斗と我玖がいた。


「が、が、が、我玖...こ、これって夢か?」


「し、知らねぇ。1発お前を殴ってやるから、痛かったら夢じゃねぇだろ」


「なんで、確かめる為に僕が犠牲にならなくちゃいけないんですか...それにしても、あの発展しないのに有名な、あの2人が休日デート...」


「で、デートではありません!こ、これは友達として遊んでただけです」


「え?体だけの遊び?うーわっ!委員長、悪い人だ」


「ふざけないで下さい!」


「お、おい待てって。なんだ、その握られた拳は?それで殴るんじゃないですよね?これは暴力ですよ??」


「人を馬鹿にする人がいけません」


「おおい!2人とも助けてくれ!」


 北斗は殴られるんじゃないかと逃げる、黒恵は少し怒った表情になり追いかけるのだった。


「どうだ?あの子と一緒にいるって事は、なるんだな?」


「え?九條さんの正体知ってたの?」


「お前は色々と鈍感だからな。そもそも、その瞳を使えば霊力を鍛えてるってすぐに分かるはずだ」


「アハハ、この目はあまり使いたくないからね。物凄く疲れる」


「そうか。その道の先には、お前の野望は叶えそうか?」


「どうだろうね。それは俺次第」


「ふーん」


我玖は零夜の答えを聞いて、少し考える。


「俺から言える事は野望だけを見ようとすんな。少しは周りを見てみろ。このままじゃ、お前は溺れるぞ」


「?...どういう事?」


 我玖が言った溺れるという言葉が分からなく、首を傾げるのだった。

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