第1話-終章1

 工藤が怪獣を倒してから数分後。

「夢乃社長!」

 相崎が声をかける。どうしても言いたいことがあった。

「うん? なんだね、相崎君」

「どうして私を前線に出してくれないんですかッ」

「うーん、それはねぇ」

 社長が足を止め、こちらのほうを向いて答える。

「単純に彼のほうが優秀だからだよ。いや、もちろん君も優秀だ。社内で二番目に七一の扱いがうまいことは知っている」

 社長は特戦機のことを型式番号から七一と呼んでいる。特戦機というのは特殊戦闘機の略語であるから軍のイメージが強いため社長はその呼び名を嫌っている。

「でも彼が優秀なのは確かだ。彼は社内で一番、七一を乗りこなせる。一番うまい人が最初に出張って怪獣を瞬殺すれば万々歳だろ?」

「そうですが……」

「なんだ? 君はそんなに怪獣を退治したいのか?」

「はい!」

 私は社長の目をまっすぐ見据えて訴えた。

「わかったよ。人事部に掛け合ってみる」

「ありがとうございます!」

 私は心を躍らせて詰所に向かった。ようやく怪獣を殺せる。そしてようやくアイツから離れられる。

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