熟読後、じわじわと考えてしまう短編です。
ヒトとヒトでないものを隔てるものというものは、実際はとても難しい。
ヒトだけがもっているとされるものも、じつはグラデーションで、ヒトのもつものを使えないもの、とされている生物とも、重なってしまう領域が、必ずある。
形なのか。
脳なのか。
心なのか。
知性なのか。
はたまた治世の都合にふりまわされ、利用され、搾取され、
安穏としていられるか、今にも追い落とされそうな場所にぶらさがっているか。
今日の私は、あたしのあなた。
明日の私は、あなたのいる席を、奪い取っているかも知れない。
その時に、はじめて感想を言えるかもしれない。
どうして、あなたには理解できないの?
わからないの?
きっと、人間の言葉の通じなさって、そのあたりにあるんだと思うのです。
そして、それを補うのが、物語を読むという経験なんでしょうね。
すばらしかったです。