掌編小説・『不完全変態』

第3話 metamorphosis－変態

幼少期には、私は昆虫が好きでした。

山深い、長閑な片田舎の村で、遊び友達はせいぜい昆虫くらいしかいなかった。

インセクト･タブー、というのは今思い付いた造語ですが、昆虫には独特の不可思議さがあり、その異質さに魅かれたのかもしれない。

機械とも違うし、爬虫類、両生類とも違う、独特のメカニカルで機能的な、昆虫ならではの美とtasteがあります。

揚羽蝶の鮮烈な華麗さ、紋黄蝶の暖かげな優雅さ、斑猫の俊敏な動き、幻惑されそうな、蠱惑的な美しさ…

昆虫が好きな人は多いし、昆虫愛好の世界も奥深いと思います。昆虫図鑑や関連した書籍とかもいろいろ読んだりしました。

… …

ボクは、セミをきたえてあげようとおもったんや。カラをぬいで、はねがのびかけたセミを