編集済
体験実習への応援コメント
エドワードは、むすっとした顔をしている。
「アルベリヒは、学習があるからと、逃げた。」
「まあ。」
オルガはそっと微笑んだ。
「無理はなさらずとも、良いんですよ。」
「無理ではない。男に二言はない。」
エドワードは顔をしかめながら、
「さっさと取り掛かるぞ。まずは、小麦粉か。」
と袖をまくる。
ここは厨房。ダークチェリーデニッシュを、妹君のために作りたい、とエドワードが事前に打診のうえ、やってきたのだ。
「はい、これで捏ねてくださいませ。」
「良し。」
こねこねこね……。クロワッサンの生地は、バターを多く使う。ゆえにベタベタになるのだ。扱いに苦労しながら、エドワードは生地と格闘する。オルガは微笑ましく見守り、自分も時々手をだしながら、
「お上手です。」
と褒める。
「ふん。二回目だからな。」
得意げに鼻息をもらしたエドワードは、ちらりとオルガを見た。
「エミーリエは、チョコレートナッツデニッシュをたいそう喜んでくれた。オルガ、……ありがとう。」
とぼそぼそ言った。
「まあ、大変よろしゅうございました!」
オルガは、年若いエドワードの不器用さが微笑ましい。そして、料理の基本とは、食べた人に喜んでもらう事。その幸せ。
胸があったかくなった。
「さ、バターの出番です。氷水に手をつけてくださいませ。」
エドワードは、げえ、とうめきながら、
「やってやる! これもエミーリエの為だからな!」
と勇ましく氷水に両手をつっこんだ。
───Fin───
〜唐突に送りつけられてくる二次創作〜をお届けいたしました。
『大奥様の思い出に、“要らぬもの”はございません」
「…………違いない」』
もうー! うまいんだからー!!
すごく面白かったです!
作者からの返信
加須 千花様
読んで下さってありがとうございます。
わ〜!わ〜!
続きができてる!(笑)
そうかぁ…エドワード、エミーリエの為に頑張ったのかぁ…。
素敵なエピソードをありがとうございます!嬉しい!
そう、彼は元々純粋な努力家であったはず…。
すみません、先のエピソードでちょっと彼のいやらしい部分が出ていて、読者様から反感を買っていたもので…(汗)。
ルイサと大旦那様も相変わらずです!
面白かったと言って頂き、とても嬉しいです。そして、もう!またニヤけてしまうレビューまでも!
オルガの職人としての矜持を感じて褒めて下さって、嬉しかったです。
ありがとうございました!
体験実習への応援コメント
某河童と少年や、某王子の御作の根底にも流れる、人を慮る事の大切さ。幸まる様が普段何を大切にされているのかが良く分かる物語でしたし、何か思うところあってのお話だったのかなぁとも思えました。
心に暖をいただき、そしてちょっとだけ背筋を伸ばして貰えた気分です。素敵なお話をありがとうございました。
しかしルイサはいつどこに現われても最高ですね。前領主がいると尚更です。
作者からの返信
待居 折様
読んで下さってありがとうございます。
人と人との繋がりや想い、そういうものを念頭に置いて物語を書いているつもりなので、そう言って頂けて、本当に嬉しく、有り難いです。
特に食に関しては、仰る通りちょっと思う部分もありまして、厨房がよく出てくるこのシリーズには反映されているのかもしれません。
『背筋を伸ばして』なんて言って頂けると、私もしゃんとせねばと思います!
ルイサと前領主コンビの高評価、ありがとうございます。常にこんな感じの二人です(笑)。
♡もコメントも嬉しいです。
ありがとうございました!
体験実習への応援コメント
やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、褒めてやらねば人は動かじ。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば人は育たず。
やっている姿を感謝で見守って、信頼せねば人は実らず
◇◇◇
山本五十六の言葉を思い出しました。
今回の出来事は、きっと家訓に成り家を繁栄させると思います。
作者からの返信
るしあん様
読んで下さってありがとうございます。
お恥ずかしながら、山本五十六の言葉は最初の一文しか知りませんでした。
素晴らしい教えですね。メモしておきます。(メモメモ)
この一回で大きく変わりはしないかもしれませんが、兄弟にとっては大事な体験になっただろうと思います。
☆も♡もコメントも嬉しいです。
ありがとうございました!
体験実習への応援コメント
幸まる様、こんばんは😊
大奥様の教えが、老紳士から継承されて若い兄弟にとっては良い体験になったのではないでしょうか。
いつも当たり前のように食卓に並ぶお菓子も、誰かの手間暇がかかっているということを知る機会になりましたね。
そんな教訓も含めたとっても素敵なお話でした。
作者からの返信
この美のこ様
こんばんは!
読んで下さってありがとうございます。
老紳士が大奥様に促されて気付いた過去があって、兄弟に体験をさせてやることが出来たのだと思います。
本当に、これも継承ですよね。
美味しいものを食べられる環境にいるからこそ、その有り難さを忘れてはいけないと思うのです。
思ったより長くなってしまって、どうかな…と思っていたので、素敵と言って頂けて嬉しいです!
♡も☆もコメントも嬉しいです。
ありがとうございました!
体験実習への応援コメント
誰かの為に何かをする。この意味を上辺で捉えていた兄弟が、深い意味で知る機会を祖父が与えました。ただ命令するだけで実現していたら、この二人の成長はなかったでしょうね。傲慢さや思慮の無さ、見えているモノが立場を変えれば如何に大変な事なのか、この気づきが今は無自覚でも将来必ず役に立つ事だと思います。老紳士と奥様の思い出が、鮮やかに孫達の教育となりました。そしてエミーリエの無邪気さに、どんな苦労も無関係に軽く一蹴されてしまう、そんな女性のしたたかな可愛さも感じたでしょうね、勉強、勉強、ガンバレ若者よ(笑)( ;∀;)
作者からの返信
福山典雅様
読んで下さってありがとうございます。
恵まれた環境にいる彼等にこそ、必要な体験であったかと思います。
体験しないと分からないこと、多いですよね。この一つで大きく変わらなくても、仰る通り、先で役立つ事だろうと思います。
エミーリエにも言及して下さって嬉しいです!
そうなのですよね、邪気のない子の言動は、そこまでの苦労を薙ぎ倒してしまうのですよね!(笑)
♡も☆もコメントも嬉しいです。
ありがとうございました!
体験実習への応援コメント
これはすごく良いですね!
オルガたち使用人の勤勉さも伝わってきて、この場所で生きている人たちの姿がよく見えて!
大旦那様、かっこいいと思っていたら。実はそんなエピソードまでと微笑んじゃいました😊
やっぱり大奥様には敵いませんね。
近況ノートで推して下さっていたのがこのお話だったかと記憶してるのですが、なるほどなあとすっかり納得してしまいました。
このシリーズらしいすごく素敵なお話でした✨
作者からの返信
夕雪えい様
読んで下さってありがとうございます。
『これはすごく良いですね!』
嬉しいです!
この一話が一番『領主館シリーズ』の雰囲気を知って頂けるだろうと思い、近況ノートで推させて頂いていました。
使用人達の勤勉さや職人の矜持、領主一家の関係性など、拘って書いている部分を詰め込んだ一話でした(^^)
楽しんで頂けて嬉しいです。
ありがとうございました!