23.ひより、閃く
「お兄ちゃん助けて!」
「えっ?」
ネットニュースに呆気に取られていたら、いつの間にかひよりが俺の隣までやってきていた。
「ど、どうした?」
急いで
こんな記事、ひよりに見せられるわけがない!
「なに見てたの?」
「なにも見てない」
「嘘だー、携帯見てたじゃん」
勘が鋭い。
こういうゴシップネタの当事者って、他の人はどういう気持ちになるのかな……。
当人同士は気まずくなったりするのだろうか。
「はい、ひよりちゃんの記事が出てるよ」
「私の?」
「
「こういうのは遅かれ早かれだって。堂々としてたほうがイメージいいと思おうよ」
「ぐっ……」
意外と女傑な
こういうところは
「ふむふむ、元天才子役と元最強美少女、禁断の恋愛。あの一世を風靡した天才子役
「記事を読むな!」
ひよりが興味深そうにその記事を読み上げていく。
「実は
クラスメイトに話しかけられて、死んだ魚の目になっていたさっきとは一変! ひよりの目に
「きゃーー! なになにこの素敵な記事ーー!」
ひよりが壊れた。
そのオーバーリアクションにクラス全員の視線が俺たちに集まる。
「へぇえええ! 週刊誌の記者なんて、アホとトンチンカンしかいないと思ってたけど見どころある人もいるじゃん!」
ひよりが無自覚に毒を吐く。
そのルックスから吐かれる毒は、もはや猛毒だ。
「お兄ちゃん! 私たち恋人同士に見えるってさ!」
ひよりが俺の腕に組みついてきた!
「いいから離れろ! ブラコンだと思われるぞ!」
「ブラコンだもん。お兄ちゃんだってシスコンでしょう」
さっきまで借りてきた猫みたいに大人しくしていたひよりが豹変してしまった。まさに猫が豹になった。
「てぇてぇ」
「眩しく何も見えない」
「俺の恋が秒で終わった件」
その変わりようにクラス中から驚きの声が聞こえてくる。
肝心のひよりは周りが全然見えていないようだ。
「そっかー、この手があったかー! 学校に来て良かったー!」
「あのなぁ、こんな記事を
「でも、火の無い所に煙は立たないって言うし」
「火元が言うな!」
ひよりがこんな記事にこれほど喜ぶとは予想外だ。
どちらかというと嫌がると思ったのに。
「これの紙面、今日買いに行こー! どことは言わないけど、
あ、アホみたいに浮かれてやがる……。
引きこもりの儚げ美少女ひよりは、浮かれポンチのブラコンひよりにジョブチェンジしてしまった。
「ひひひ、これをお父さんたちが見れば――」
「父さん?」
「なんでもなーい!」
なんか意味深なことを言ってるな……。
ここは兄としてビシッと言ってやった方がいいのかも。
あんまり騒いでいるとクラスのみんなにも迷惑がかかるし。
「あのぅ……」
俺たちのやり取りを見ていた
「私が
教室が更にざわつき始めた。
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