11.交際開始
「じゃ、じゃあそういうことなんで!」
目元ははうるうるになっている!
「
「この子、
全力でその記者におじぎをした。
頼む! もう見逃してくれ! 俺の記事なんて金にならないぞ!
「そ、それでは失礼します!」
あぁ、もう!
まさか学校の文化祭でこんなことになるとは思わなかった!
「ごめん
しかも全然関係のない
本当に悪いことを――。
「嬉しくて涙でてきた」
「え?」
※※※
さっきの記者に見つからないように、比較的人の少ない体育館裏までやってきた。
普段は人気がない場所だが、今日は文化祭なので結構人が休憩したりしている。
「ごめん、巻き込んだ」
いつの間にか
俺の言葉に、
「ううん! 少しでもそういう対象として見てくれたんだなって嬉しかった」
「いや、でも――」
「でも? でも、本当に付き合っちゃう?」
自分で言っておいて、とても恥ずかしそうだ。
(やっちまった……)
どれくらいの大きさになるかは分からないが、あの様子だと記事になるのは確実だと思う。
(
昔、同級生にそんなことを言われて頭にきたことがあったな……。
見た目のせいで、同性愛者だと思われていたこともあった。
……。
……。
ひよりのことを考えるなら、俺も一歩前に進まないと。
元天才子役(♀)ではなく、普通の男子高校生になれるようにしないと。
「
「どうしたの?」
「俺、恋愛ってよく分からないけどさ……」
こういう洞察力は、役者をやっていたから身についてしまった。
きっとあの言葉を言われるのを待っている。
「俺たち本当に付き合ってみる? どうせ記事に書かれそうだし」
「うんっ!」
※※※
◆
「うぅ、私も文化祭に行けば良かったかな……」
昨日はお兄ちゃんがミスコンに出たことを怒り過ぎてしまった!
お兄ちゃんのことだからなにか考えがあったかもしれないのに。
「私ももっと大人にならないとなぁ」
お兄ちゃんはいつも私のことを守ろうとしてくれている。
でも、守られてばかりだといつまでもお兄ちゃんに私のことを一人の女性だと見てもらえない。
「よし! 今日お兄ちゃんが帰って来たら私も来週から学校に行くって言おう! そしてちゃんと謝らないと!」
自分のことを好きになってもらいたいなら、自分がまず変わらないとだよね!
よーし、今日は景気づけに夜はご馳走にしちゃうぞ!
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