第7話

 数か月後、山本秀明社長が亡くなった。私は約束通り大西直治の手記を捨てることにした。どこの海に捨てるかはもう決めている、白浜海岸、そこにする。家が大阪にあるので到着までずいぶんかかるようだが、そちらの方が都合がいい。待っている間、託された手記を読むのだから。別に悪いことではないだろう、もう海に飲み込まれてしまう代物だし、前社長も私が読むことを予想したうえで渡したのであろうかからん何も問題はないはずだ。私は破けないように表紙をめくった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る