第4話
ある日、クラスの友人を五人か六人かを集めてテスト前勉強会を行うことになった。僕が主催したものだったのでみんなを僕の家に集めた。メンバーの中には直治もいた。最初は彼らとうまくやっていけるのかと誘った身ながらも心配していたがなんだかんだでうまくなじめているように思えた。彼を含めて勉強会に集まった友人の半分は勉強が苦手だというので、もう半分がそれぞれに勉強を教える形になり、僕は直治に勉強を教えることとなった。彼は呑み込みが早いらしく教えれば教えるほどすぐに理解していった。
「正直、直治が勉強苦手ってなんか意外だったな。いつも物静かで何考えてるかわかんないからさ。」
「勉強に興味が向かないんだよね。昔から興味のないことには何のやる気も起きないって性格でさ、興味さえあればどこまでも行動できるんだけどね。」
「でも、俺が教えたことすぐに理解できてんじゃん。やっぱ、やればできるんだって。」
「それは君の教え方が上手だからだよ。君は人の上に立つのにふさわしい人間だよ。教えるのは上手だし、人望も厚いし。」
「じゃあ、俺が大人になったら社長になってお前を雇ってやろう。」
「期待を裏切らないでくれよ。でも、社長ならもっと言葉遣いとか一人称とかを丁寧にしないとね。」
たしかに、と納得した僕の顔を見て、彼は目を細めて控えめに笑った。
彼とはうまくやって行けると確信した。
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