第3話 ゾンビの秘密と美味しい羊肉

暗い穴の中で憔悴していると外で牛の鳴き声が聞こえて来た。

出口を塞いでいる石ブロックをツルハシで壊すと朝日が眩しい。

どうやら朝になったらしいが安心は出来ない。

少しづつ石ブロックを壊しながら周りを警戒する。

幸いゾンビやガイコツの姿はなく、昨日と同じく牛、豚、羊が平和に歩いているのが見えた。


まだ不安な気持ちはあるが、ずっと穴の中に居るわけにもいかない。

外に出てもう一度周りを見渡すと遠くにゾンビの姿があった。

急いで逃げようとしたがゾンビの様子がおかしい。

何故かゾンビが燃えていて苦しんでいるのが遠目に見えた。

ゾンビは暫く燃えながら苦しんでいる声を上げた後、消えてしまった。


その様子を見ながら俺は一つの仮説を立てた。

昨日も日中はゾンビ達の姿は無く平和な世界だったのに夜になると急に地獄のような光景が広がっていた。

もしかすると日の光が苦手なのでは?

空を見上げると太陽が眩しい。

よく映画とかでもゾンビは日の光に弱い設定が多い。

少なくとも日中はゾンビ達を恐れる必要はないかもしれないと気付くと安心感からかお腹が凄く減っていることに気付いた。


作業台で石ブロックをクラフトし、竈(かまど)を作り、木材で昨日採った羊肉を焼いてみることにした。

さほど時間も掛からず羊肉が焼き上がり香ばしい匂いに思わずヨダレが出て来た。

熱々の羊肉にかぶり付くと肉の中から肉汁が出てきて更に食欲が出て来た。

思えば昨日この世界で目覚めてから何も口にしていなかった。

どんどん羊肉を竈の中に入れ、お腹いっぱいになるまで何枚も羊肉を食した。


お腹はいっぱいになったが、せっかくなので豚肉も今のうちに焼いておき、焼きあがるまでに作業台のレシピで使えそうな道具を調べてみることにした。

まず目に付いたのが石の剣や石の斧だ。

日中は安全とはいえ夜にはまたゾンビ達が現れる可能性が高い。

ならば今のうちに装備を整えて必要なら戦う覚悟をしなくてはならないだろう。

作業台で石の武器を作ると念じると一瞬で武器が出来上がった。

相変わらず出来上がるまでのスピードに圧倒されながらも、他に必要なものがないか作業台のレシピを確認してみる。


俺が現在持っている物は木材、土、石、石の武器、羊毛だが、どうやら木材と羊毛でベットを作ることが出来るらしい。

思えば昨日はゾンビ達の恐怖で一睡も出来なかった。

今夜は一先ず安全な穴の中にベットを設置してぐっすり寝て体力を回復しよう。

作業台でベットを作ると、焼きあがった豚肉を持って昨日の夜に過ごした穴へ戻ってきた。

せっかくなので石をツルハシで壊して穴を広げて簡単な居住区を作ることにした。

どうやら木のツルハシよりも石のツルハシの方が早く掘ることが出来るらしい。

石を掘っていくと石炭が出て来たので石炭も採っておくことにした。


恐ろしい世界だが食料もあるし安全な場所も確保出来ている。

まだまだ希望はあるんだと自分に言い聞かせながら作業を続け二日目の夜に備えていく。

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ブロックだけの世界へ転生した コッチ003 @sendran

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