第33話 ダンセット遺跡探索⑤
ダンセット遺跡の地下1階への階段があるかもしれない小部屋の入口前、いつでも突入できる体制を全員が取り、後は俺の指示待ちの状態だった。
部屋の様子を観察しながら、全員に指示を出す。
「周りの雑魚から片付けてゴブリンジェネラルを最後にします。それとゴブリンシャーマンを見つけたら、優先して始末して下さい。」
「ココと従魔はゴブリンアーチァーから、テレサさんとシノは周りのゴブリンを、レイナさんは俺と一緒に中央のゴブリンソードマンを倒します。」
指示が終わるのと当時に、部屋のゴブリンが異変に気付いたのか、弓矢が飛んで来てレイナの盾に当たった。
「皆さん!行きます!」
俺の掛け声と同時に全員が指示通りに動き出す。
今回の戦闘は、シノにも稔話で指示は出してある。
最初はゴブリンアーチァーが一斉に放つ弓矢の攻撃をまずかわす。
続いて緑色のゴブリンが一斉に襲い掛かってきた。
数は多いが、落ち着いて対応が出来ている。
要所要所でシノの防御が入っているが、俺以外には気が付かれない様に振舞っている。
シノの手助けもありその他大勢のゴブリンを気にせず、ゴブリンソードマンと対峙する。
時々弓矢が飛んで来るが、レイナが盾で塞ぎながらゴブリンソードマンに攻撃を仕掛ける。
時間が経つに連れて、弓矢が飛んでこなくなった。
ココと従魔達が、ゴブリンアーチァーを倒してくれたのだと分かった。
レイナも一匹・二匹とゴブリンソードマンを倒している。
「ご主人様、後ろにゴブリンシャーマンがいます。」
シノが稔話で教えてくれた瞬間に、シャーマンが呪文を唱え始めた。
「レイナ様、後ろから魔法攻撃がきます!」
シャーマンのファイヤーボールがレイナに放たれるのと当時に、シャーマンに目掛けてファイヤーボールをとっさに放った。
レイナは俺の言葉に反応して、すぐにソードマンと距離を取りファイヤーボールを盾で防いだ。
俺が放ったファイヤーボールで体制を崩したシャーマンにテレサが小刀で切りつけた。
「奥にもう一匹シャーマンがいるよ!」
ココが見つけて知らせてくれたが、従魔達が襲い掛かるのと同時に雷撃の魔法が放たれた。
従魔達の攻撃で体制を崩したまま魔法を放った為、狙いが定まらず直撃は避けられた。
二匹のゴブリンシャーマンの断末魔の声が響いたの確認して、最後のゴブリンソードマンをレイナと一緒に倒した。
残りはゴブリンジェネラルただ一匹だけになった。
「後はお前だけだ!」
全員でゴブリンジェネラルを囲み、隙を伺う。
2mもある巨体から大きく振り回すこん棒の威力は凄まじい!
一撃でもくらえば吹っ飛び大怪我をするだろう。
ココと従魔達が隙をついて飛びかかるが、振り回すこん棒の攻撃をかわさないといけない為すぐに距離を取らざるしかない。
しつこいぐらいこん棒を叩きつけてくる攻撃をかわしながら反撃できるタイミングを待つが、一向として攻撃が衰えないゴブリンジェネラル。
業を煮やしたのかココが無理やりに攻撃を仕掛けたが、振り回すこん棒に当たってしまい壁に飛ばされてしまった。
「ココ!大丈夫か?・・・レイナ様、ココの回復を!」
飛ばされたココに向かって突進するゴブリンジェネラルに従魔達が飛びかかる。
腕に噛みついて離れない従魔達を、もがきながら振り払おうと意識がこちらから外れた。
今がチャンスと思い、風魔法のエアーカッターを足に目掛けて放った。
威力は小さいがゴブリンジェネラルは体制を崩し、膝を地面についてココへの突進は防げた。
それでも従魔を振り払う。
壁に飛ばされた従魔達だが、うまく着地したようだ。
「もう一度魔法で攻撃します。」
声を出してファイヤーボールを顔に目掛けて放った。
ゴブリンジェネラルは腕で顔を塞ぎファイヤーボールの直撃を防いだが、腕は焦げて暫くは動けないだろう。
両膝を地面に付いたまま、上半身だけでこん棒を振り回す。
従魔の二匹が隙を見て飛びかかり腕に噛みついた。
今がチャンスだと思い、剣を体に突き刺す。
テレサも俺の行動に合わせて小刀で切りつけた。
ココの回復が終わったのか、レイナも剣で突き刺した。
ゴブリンジェネラルの悲鳴が響き渡る中、クロが喉元に噛みついた。
ゴブリンジェネラルがそのまま地面に倒れたのを確認して、3人で心臓目掛けて止めを刺した。
「ゴブリンジェネラルを倒した!」
「コウ様!倒しましたよ!」
レイナの言葉で我に返りココの姿を探した。
「ココ!大丈夫か?」
「コウ!私は大丈夫だよ!レイナさんが回復魔法をかけてくれたし、シロも私の傷を舐めてくれているから!」
シロとクロはココに寄り添いあちこちを舐めている。
ココも2匹の従魔の頭を優しく撫でて、幸せそうな表情を見せている。
ゴブリンは食料にならないので、討伐の証拠として耳をはぎ取り武具などを回収する。
「ご主人様、ゴブリンジェネラルの心臓には魔石が埋まっております。」
シノが稔話で教えてくれる。
「レイナ様、ゴブリンの上位種は体内に魔石があると本に書いてありましたが、ゴブリンジェネラルにあるかどうか調べませんか?」
「そうですね・・・私も聞いた事がありますが、討伐は初めてなので確かめてみましょう!」
「私の小刀の方が探しやすいので、任せて下さい。」
テレサがゴブリンジェネラルの心臓付近を切り裂く。
「ありました!魔石です。」
テレサがとり出した魔石は3㎝位の大きさで、透明に近い色をしている。
「魔石の使い道は後で考えるとして、取り敢えず回収しておこう。」
魔石をテレサから受け取り、アイテムバックにしまう。
「コウ!奥に部屋の扉があるよ!・・・鍵が掛かっていて開かないよ~」
ココが鍵の掛かっている部屋を発見した。
「テレサさん、鍵の解除をお願いします。」
テレサは素早く移動して、鍵の解除に挑戦してくれる。
今回の解除は難しいそうだ。テレサの表情がそれを物語っている。
「テレサさん、無理をしないで下さい。扉は逃げませんので、今回は出直しましょう。」
「すみません!・・・もう少しやらせて下さい。お願いします。」
「テレサさんが謝ることはありません。・・・ではもう少しだけお願いします。」
テレサにも意地があるんだろう!ここは好きなだけやらせてみよう。
「ココにレイナ様!他の場所の探索もお願いします。」
ここはテレサに任せて俺も部屋の隅々まで探索をした。
「コウ様!魔光石の光が小さくなってきました。」
辺りが暗くなってきたとレイナが言うが、俺の視界は今まで通り普通に見えている。
ココと従魔達は僅かな光があれば人の何十倍も見えるので問題は無いが、俺とレイナはある程度の明かりがないと行動に制限が出るし戦いにくい。
今回は明かり対策として、薄っすら光る魔光石を加工せずにそのまま使用してみた。
レイナが言うように魔光石の光は時間と共に暗くなってきている。
では、なぜ俺は普段通りに見えるのか?
答えは一つ!シノが俺に内緒で暗闇でも見えるダークアイの魔法を掛けていたと推測した。
俺は寛大な男だ!シノを怒ることはしない、いやむしろ感謝をしている。
「レイナ様!魔光石の効果が薄れてきています。あまり動かないで下さい。」
レイナが壁で止まったの見届けたのち、部屋全体の雰囲気に違和感を感じていた。
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