第7話 パーティーメンバー探し
頭の中で考えた事を整理しながら、ギルドの中を見渡して見た。
もう一度クエストのボード見て、内容と報酬金額を確認しておこう。
Fランクだけのクエストも結構依頼があるけど、報酬金額が少ない!
パーティーを組めば討伐依頼や迷宮調査も受けられるし、一つ上のEランクの依頼も受けられる恩恵はあるけど?
パーティーの事を考えながら、しばらくボードとにらめっこをしているとふと大事な事を思い出した。
クエストを受ける前に、まずは武器と防具を揃えておこう。
先ほどみたいにまた魔物に襲われたら対処のしようがないからな。
カウンターの一番端にガラクタ置き場みたいな場所の前に向かった。
ギルドの職員らしい男が声をかけてきた。
「初心者かな!ここにある剣や防具は、すべて中古だよ!ただ中古でも程度の良い物ばかりだよ!」
「中古ですか?でもちゃんと手入れがされていて新品に見えますよ!」
剣や防具を手にして確認する。
「新品は置いてないんですか?」
「新品や価値の高い品物は町の武器屋か防具屋でしか手に入らないし、金額が高くなると初心者には購入しずらいからね。」
「ここではギルドが冒険者から買い取りした物ばかりだ。」
「道具も迷宮産の傷薬と毒消し薬しか無いけど、町の道具屋では色々なポーションや魔道具も手に入るよ。」
ギルド職員の男の人は、ガラス瓶のポーション類をカウンタに並べながら親切に教えてくれる。
「そうそう、中には魔石の売買や派遣業もやる道具屋もあると聞いてるよ。」
「Fランクの冒険者はとりあえず、一番安い銅の剣と革の胸当て付きの鎧が無難かな。」
サイズ違いの同じような物が結構ある。
自分に合う物を探して装備してみる。
「ちょうど良い感じですね。合計で8銀貨になりますが購入されますか?」
「購入します。」
お金を払い、手持ちのお金を確認する。
ポーションも進められたが、手持ちのお金が心細いので今回は諦めることにした。
もしもの場合は、エミリーから貰ったポーションがある。
レイナから貰った3銅貨は使わずにするとして、さっきの報酬が10銀貨で支払いが8銀貨、残りが2銀貨か!持ち金がとぼしい。今日の宿代を稼げるクエストを選ばなければ最悪野宿になってしまう。
受付カウンターのエリスに相談しようと目を向けたが、冒険者の相手をしていて忙しそうだ。
その後ろにもまだ2組待っている。
あたりを見回したらタイミングよくロイドが冒険者から開放された所だった。
「ロイドさん、先ほどはありがとうございます。相談があるのですが、この村に宿屋はありますか?」
「あるとも!この村唯一の宿屋が道を挟んですぐそこにあるぞ。一泊朝食付きで4銀貨だ。」
4銀貨!お金がたりないな。
「ロイドさん、宿賃を稼ぐクエストのアドバイスをお願いします。」
「ウム!アドバイスをこうとは新人にしてはなかなか謙虚じゃな~」
「今どきの新人冒険者は、人のアドバイスを聞かず何の準備もせずに冒険をしたがる。その結果命を落とす者が多い。戻ってきても大きな怪我や心を閉ざして冒険者を辞める物が後をたたぬ!」
「コウ殿といわれたかな!そなたはなかなか見込みがある冒険者とお見受けいたしますな~」
「イエイエ~臆病なだけです。」
実際問題痛いのはイヤだし、こちらの世界でしか経験が出来ないこともしないうちに死ぬのは悔いが残るでしょ!!
元の世界では絶対にありえない、あんなことや~こんなことを経験をしたいけど、目立ちたくもないですとは言えない。
「コウ殿にアドバイスじゃな!まずは同じFランクの新人冒険者とパーティを組み、色んな職業の冒険者と経験を積みなさい。」
「【薬師】の仕事はパーティ内では、荷物や食事・パーティの健康管理、魔力温存のための薬による回復・状態異常から戦闘での指示役まで求められる。レベレが上がり錬金術が使えるころに、ある程度の魔法を覚えていれば上級パーティーには必要な存在になるはずじゃ!」
「そうなれば、パーティーのお誘いがいくらでもくるし報酬もたんまりじゃ!」
いやいや必要な存在にはなりたくないです。
元の世界に戻る方法を探すだけですから!
とは言え、今生き延びるためにはパーティーは必要とのことか。
「ロイドさんアドバイスありがとうございます。」
ロイドのアドバイスを聞いてパーディーのメンバ探しを始めるため、周りの冒険者達を改めて観察した。
よく見るといろんな職業や人種の冒険者がいるもんだ。
ギルド内ではパーティーの仲間を探すには良い施設だし、他の冒険者から情報も教えてもらえる。
ただパーティーを組みたい冒険者達からは、俺は避けられている雰囲気が感じ取られる。
何組かのパーティーに声を掛けたが、職業を伝えると断れてしまった。
やはり職業のせいか!当然といえば当然だな!
パーティーの構成を考えると新人冒険者では生産系職業は必要ないか!ましてや命を預ける仲間であればなおさらだ。
女性冒険者は、職業選択に加えて容姿や露出度で声を掛けられている。
男の悲しいサガだな!どうしても女性の顔や胸に目線が自然にいってしまう。
女性の方もそんな視線には気付くみたいで、そうゆう輩は適当にあしらっている。
ただ、イケメンの冒険者には反対に女性が声をかけている。
自分には女性から来ることは絶対にないし、周りにはムサぐるしい男達しかいない。
別にモテないことをひがんでいるわけでは絶対にない。
男を見る目がある女性は、俺の良さに気付くはずだ!
いやいや、ここは冒険のパーティーメンバーを探す場所であって、パートナーを探すのが目的ではない。断じてない!
椅子にチョコンと座っていたレイナには、次々とお誘いの言葉がかかっていた。
さすがに上級職の【クルセイダー】だ! ただ、全てのお誘いを丁寧に断っているみたいだ。
辺りを見回していると、俺と同じ雰囲気がある小さな少女と目が合ってしまった。
「あの~パーティーの仲間を探していますか?」
小さな声で少女が先に声を掛けて来た。
「パーティーを組んでくださる方を探しているんですが、皆さんから断られてばかりで!」
「奇遇ですね!私もパーティーメンバーを探しているんですが断られてばかりでいるんですよ。」
同じ境遇同士が引き寄せられたのか、彼女は嬉しそうに話してくる。
「そうなんですか?私はココといいます、猫人族で職業は【テイマー】です。」
よく見ると猫の耳と同じて毛がモフモフしているし、シッポがある。
身長は低いが、可愛らしい少女だ。
子供の頃に家で飼っていた猫のタマと犬のポチを思い出してしまう。
無意識に頭をなでてしまいそうになる!シッポにも触りたい!ヤバイ!セクハラになってしまう。
ここはグッと我慢して、彼女の話しを聞くこととしよう。
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