第8話

ーー


少年「なーなー、紫央…」


紫央「どうしたの?」


少年「結衣から聞いたんだけど、紫央が

俺のこと好きってほんとか…?」


紫央「はぁっ!?はあぁっ!?」


少年「…嘘か?」


紫央「そっ、そっ、そんなん、うっ、

嘘に決まってんじゃない!なっ、なんで

そんな事私に言わせんのよ…!」


少年「…そっか。」


結衣「おい、紫央、ちょっとこっち来い!」


紫央「あぁっ!ちょっと!!?」


ドタッ…


少年「え、えぇ…?」


紫央お前バカか!何でそこで否定すんだよ!!?


だ、だって恥ずかしくて…


あそこで恥ずかしがってあいつに告白なんて

出来るわけねぇだろうが!!


ご、ごめんなさい…


いつまでもそんなんだったら私があいつの事を

貰ってやるからな!


え、ちょ、そ、それは嫌…


そうか、だったらな…


少年「…」


少年「あの、すいません、お二方…」


少年「話の内容全部こっちに筒抜けです。」


紫央・結衣「え?」


紫央「…。」


結衣「…。」


うわぁぁぁぁぁ!?


少年「お前らアホか!?」


ーー


主人公「はっ!?」


夢か…


…あれ?俺は倒れたはず…


葉桜「…よう、気分はどうだ…?」


葉桜「俺は最悪だよ…。」


主人公「…え?」


葉桜「俺が想像してた最悪の事態になった。」


主人公「…何があった?」


葉桜「…俺は今朝2時に

電話の通知で目が覚めた…。」


葉桜「…その電話の内容は、鵜伏が隠してた

秘密の部屋にお前の病気の特効薬が一つだけ

見つかったとのことだった…。」


主人公「は…!?じゃあ…!」


葉桜「最悪なのはこっからだ。」


葉桜「その特効薬には使用条件みたいな

物があってな…。」


葉桜「病状が進行して、激しい吐血の後

脳の組織が一時的に機能を停止する状態にまで

なると、特効薬を使っても一時的に病状を

抑えるまでにしか効かなくなるんだよ…」


主人公「…え?まさか…!」


葉桜「おまえはさっき、その状態になった…」


葉桜「そして俺の到着はその後…もう分るな?」


主人公「…そん、な…」


葉桜「鵜伏さんはきっとこうなることを

計算して、誰にも教えてない部屋の中に

特効薬を隠してたんだ…」


葉桜「きっとこの部屋を見つけるのが病状が

悪化した後になるって分かってこうしたんだ…」


葉桜「クソッ!!!」


主人公「…」


頭が混乱して、もうどうにかなりそうだ…


俺が…治る可能性が失われた?


…本当にもう絶対に助からないんだ…


主人公「あはは、あは、っはははは!」


主人公「ふざけんじゃねぇよクソがぁ!」


ドガァッ


主人公「はぁ、はぁ…!!」


主人公「うわぁぁぁぁっ!!」


もう、絶望でどうにかなりそうだった。


主人公「何で、何でこんな残酷なこと…!」


葉桜「…鵜伏さんはそう言う人だ。」


主人公「何で…何で…!」


涙が溢れてもう止まりそうにもなかった。


いくら苦しい思いをしても報われないことって

実際にあるんだな…。


主人公「何で…量産されなかったんだ…」


葉桜「…あの薬はデータも全部破棄されてて

作り方ももう分からないし性質を分析しても

地球じゃ発見されてない成分ばっかで

データを取れたとしても作るのは不可能だ…」


主人公「…」


もうぶっ壊れそうだった。


もうこうなるって、そう理解してたのに…


主人公「死ぬのが…怖い…」


また…死への恐怖が込み上げて来た…


葉桜「俺のせいだ、すまない…!」


葉桜「すまない…!」


主人公「やめろ…父さんは悪くない。」


そうだ…これは誰も悪くない。


もう、運命を呪うしか…手はない。


主人公「きっと元からこう言う

運命だったんだよ、俺は…。」


葉桜「…。」


主人公「もう、そう言うことにしておいた

方がいい、じゃないとどうしても何かを

責めたくなってしまうから…。」


葉桜「…そうだな。」


主人公「俺は残りの人生、改めて

悔いないように生きるよ…。」


主人公「たとえ、それがどんな風に

転んだとしてもね…。」


…元からこうなる予定だったんだ、

何も変わらないさ…。


それに、こんなこと、もう慣れてる…。


どうってことないさ、これくらい…。


主人公「…。」


ただ、自分の中では少し納得がつかないが…


ーー


主人公「あぁ…学校終わった…。」


授業がすべて終わり、俺は帰路に

付くことにした…。


鈴「あ、 君!」


主人公「鈴さん…。」


鈴「今日は生徒会ないから早く帰れるよ!」


主人公「おお、良かったですね…」


鈴「これで一緒に帰れるね…!」


主人公「…はい。」


鈴さんがやけに積極的な気がするが

気のせいだろうか…?


結衣「私も行くよ…。」


主人公「結衣もか。」


結衣「あぁ…」


結衣「…舞はめっちゃダッシュして

どっか行ったよ…。」


主人公「え、えぇ…?」


何やってんだあいつは…


結衣「とりあえず、私達は帰ろっか…。」


鈴「うん、そうしよ…。」


そしてまたなんてことの無い帰り道が

始まった…。


…こんなことができるのも、

いつまで何だろうか…。


ーー


そして、また日が流れていって、

また学校から帰った…


そんな中、突然始まった…。


舞「よし、次の休み遊園地行きましょー!」


結衣「いえーい。」


鈴「いやー、楽しみ…!」


主人公「…。」


主人公「あの、1ついいか…?」


舞「何?」


主人公「何でそんな話を…」


主人公「俺の部屋でしてるんだ…!?」


舞「ふと、このメンバーで集まる場所が

必要かなと思ってさ…。」


舞「それで、ここに集まることにしたんだ…!」


主人公「だからってそんな突然に…」


主人公「この人数をこんな狭い部屋に

入れることあるかぁ!?」


今、この部屋には俺や舞、結衣に紫央に鈴さん、

さらには楓花さんに謎に父さんまで居る…。


主人公「明らかに収容人数オーバーだろうが…」


紫央「まぁ、いいじゃない…。」


楓花「たまにはこう言うのもいいよね…!」


主人公「そんな…楓花さんまで…。」


葉桜「きっと元からこうなる

運命だったんだよ、お前は…。」


主人公「…。」


舞「とにかく、今週の土曜、遊園地に

集合すること!分かった!?」


鈴「はーい!」


結衣「いえっさー。」


主人公「は、はぁ…。」


そう言うことで、少し前に鈴さんと一緒に

行った遊園地にまた行くことになった…。


ーー


時間はあっと言う間に過ぎて、もう

土曜になった。


そして、当然のごとく部屋の前で待っていた

舞と父さんと一緒に遊園地まで

向かうことになった。


舞「いやー、楽しみだなー…。」


葉桜「俺が行っていいのか…?」


主人公「人間兵器だってこと、まだ

気にしてんのか…?」


葉桜「…あぁ、こんな化物みてえな奴、

遊園地に入れるのか…?」


主人公「入れるだろ、だってもう父さんは

この島じゃ有名人だし。」


葉桜「…そうなのか?少し不安だ…。」


主人公「大丈夫だって…。」


舞「そんなこと言ってる間に、

もう着きましたよ!」


主人公「ほんとだ…!」


紫央「あ、おーい!」


結衣「やぁ!」


主人公「紫央!それに、結衣…」


鈴「これで全員揃ったね…!」


楓花「どれから乗りましょうか…。」


鈴「まずはもちろん、メリーゴーランドだよ!」


主人公「げ、またあれに乗るんですか…?」


結衣「そうだ、 は鈴さんと

1回来てたんだったね。」


主人公「大変だったよ…。」


紫央「フフフ…楽しみね。」


主人公「油断すんなよ、ここの遊園地、

ガチでやばいから…」


舞「え、そんなにやばい所なの…?」


鈴「ま、それは行ってみてからの

お楽しみ、だよ!」


紫央「は、はぁ…」


ーー


紫央「これが、この遊園地の

メリーゴーランド…!」


主人公「あ、初見なら馬車がいいぞ。」


紫央「えー、馬車か…」


紫央「あの馬に乗ってるときのあの!

あの感覚が好きなのよ…!」


結衣「あんまよく分かんないや…」


紫央「えぇ!?なんでよ…」


楓花「この子、遊園地来たこと

無いらしいのよ…。」


紫央「え、そうなんですか!?」


結衣「私は

縁がないな…こう言うのは。」


主人公「そういや結衣って中々

複雑な家庭環境だったもんな…」


葉桜「大変なんだな…」


結衣「本当に…そうなんだよ。」


結衣「…私にとってはこれが

初めてのメリーゴーランドだ…」


主人公「よし、乗るぞ…」


楓花「お、もう出発かな…?」


舞「どんなんだろ…!」


主人公「あー、そうそう…」


主人公「シートベルト、付けといた方がいいぞ?」


楓花「…は?」


舞「え…?」


葉桜「…何だよそれ…」


紫央「遊園地のメリーゴーランドで…

シートベルト…?」


結衣「あ、ほんとにある、付けよ。」


ウィィィィン…


紫央「な、なに、これ…」


鈴「来るよ…!」


楓花「ねぇ、ねぇ何が来るの…?」


ガッシィィィン!


ビュゴォォォン


メリーゴーランドが巨大な風の音を

鳴らしながら派手に回る…


紫央「うわぁぁぁ!?」


舞「ぎぇぇぇぇぇ!?」


楓花「きゃぁぁぁぁぁ!!」


結衣「何じゃこりゃぁぁぁ!!?」


葉桜「っぐ、何だよこれ…!」


主人公「うぉぉっ、ぐぁぁぁっ!」


主人公「やっぱ、これ、2回目でもきつい…っ!」


主人公「ぐわぁぁぁぁ!?」


鈴「あはははは!みんな、メリーゴーランドで

普通出さない声してるよ!」


紫央「そりゃそうでしょうがぁぁぁ!?」


結衣「何なのこれ、話違うよぉぉぉ!?」


楓花「これ死なないよね、ねぇ!!」


鈴「大丈夫、死なないよ!」


鈴「多分!!」


主人公「おいちょっと待て、多分って何だ!?」


鈴「あっはははは!私しーらない!」


紫央「何じゃそりゃぁぁ!?」


結衣「ねぇ、怖いよ…助けて…」


楓花「だ、大丈夫…だから…ね…」


楓花「って、無理ぃぃぃ!?」


主人公「てかずっと前から思ってたんだけど、

これこんな回ってのんのによく酔わないよね…!」


鈴「回りすぎてて逆に酔わないんじゃない!」


主人公「そんな理屈あってたまるかぁぁ!?」


葉桜「やばい、イカれる…!」


舞「マジでこれ、メリーゴーランド

じゃないって…!」


主人公「いや…これ、本当に

メリーゴーランドなのか…!?」


鈴「うん、これは正真正銘、

メリーゴーランドだよ!」


紫央「ふ、ふざけんな…」


楓花「こんなのが…」


結衣「メリーゴーランドで…」


舞「あって、たまるかぁぁぁ!?」


ーー


鈴「あー、楽しかったな…」


主人公「…あの…」


紫央「あ、あぁ…」


結衣「…」


舞「解せぬ…」


楓花「…もうやだ…」


主人公「ほぼ全員、瀕死ですけど…」


葉桜「機械で良かった…機械じゃなかったら

即死だった…。」


舞「…ねぇ、メリーゴーランドって全部

あんな感じなの…?」


主人公「いや、違う、絶対違う!」


鈴「じゃあ、次はお化け屋敷だね!」


主人公「次はお化け屋敷だね、じゃなくて…」


主人公「…ちょっと待てお化け屋敷って何だ!」


鈴「あぁ、前回行ってなかったけど、

あるんですよ、お化け屋敷が…」


主人公「…こん中にお化け屋敷耐性ある人…」


紫央「べっ、別に…こっ、怖くなんか…」


結衣「おばけ…やだ…」


楓花「お化け屋敷は苦手…」


舞「前行った時めっちゃ泣いた…」


主人公「ボロボロじゃねぇか!?」


鈴「まーまー、私もお化け耐性そんなに

ない方だから…」


主人公「でも、こん中だったら確実に

一番上ですよね…」


鈴「そういや、 君はお化け耐性あるの?」


主人公「びっくり系は得意ですけどこの

遊園地のことだから無意味かと…」


鈴「…そっか。」


鈴「じゃ、ヒアウィーゴー!」


舞「行かなきゃ…ダメ?」


鈴「ダメ!」


紫央「そ、そんな…」


楓花「この子、鬼よ…」


鈴「島の名家、双葉家の跡取り

双葉鈴の名を舐めないで頂きたい!」


主人公「…舞より怖いかも…」


舞「…待てよ、怖がるふりをして に

擦り寄って無理やり…ぐふふ…」


主人公「…ないな。」


ーー


紫央「中は思ったよりきれいね…」


鈴「何だか寒いな…」


結衣「ね、ねぇ、もう帰ろうよ…」


葉桜「何だよ結衣、ビビってんのか?」


主人公「…ねぇ、俺この会話どっかの

ホラゲで聞いたことあるんだけど…」


舞「馬鹿馬鹿しい…お化けなど

いるわけ無いでしょう、科学的に考えて…」


主人公「すいませーん、

ここに確信犯がいますー!」


楓花「ふぁん、ふぁん、ふぁん、ふぁん…」


主人公「その音楽やめて、ブルーなベリーの色を

した化け物に襲われちゃうから…」


お化け「呼んだ?」


主人公「呼んでねぇよ!?」


お化け「そっかぁ…ショボーン」


主人公「…。」


舞「…え?」


結衣「…き…」


結衣「きゃぁぁぁぁ!?」


タッタッタッ…


楓花「あぁ、待って、結衣…!」


紫央「…」


きゃぁぁぁ!?


うわぁぁぁぁ!?


ゆ、結衣、待って…


だれかぁぁぁぁ!?


鈴「…結衣はやられたか。」


舞「…まぁ、良い奴だったよ。」


紫央「…進みましょう、私達が前へ行かなきゃ

結衣の死が無駄になるでしょう…」


主人公「…あぁ、紫央の言う通りだ…」


主人公「あいつは…結衣は確かに

良いやつだった…でも…あいつは…」


主人公「昔俺が紫央のお姉さんのことをガン見

してたことを紫央にバラしやがった…!」


主人公「…だから、仕方なかったんだよ。」


主人公「結衣はこうなる運命だったんだ…」


葉桜「…え?ツッコミ役は?居ないの?

全員ボケ?」


鈴「…確かに、それは許せないね、でも…」


鈴「それは、 君が、悪いよ…!」


主人公「…そう、だったのか…?」


紫央「 …後で覚えてなさいよ…。」


主人公「…結衣の次は、俺ってか…」


主人公「アハハ、上等だよ…」


鈴「…ねぇ、みんなここお化け屋敷だってこと

忘れてない…?」


紫央「…あぁ、ありましたねそんなの…」


葉桜「何だよそんなのって!?」


葉桜「お前ら怖いよ!よくそのノリそんなに

長く続ける事が出来るな!?」


主人公「…父さん、これが…」


主人公「俺達、なんだよ…」


鈴「…キラッ。」


葉桜「…それっぽく言うな、あと

鈴のそれはいらないだろ!」


主人公「んじゃ、そろそろ行こうか…」


主人公「結衣がすげぇ怯えてるのが

なんとなく予想できるし…」


紫央「楓花さんはそこまで

頼りにならないものね…」


鈴「よし、突入だよ!」


主人公「あぁ、行こう!」


葉桜「…あれ、何か違和感が…」


葉桜「…気のせいか。」


ーー


その後、お化け屋敷は特に見せ場もなく終わり、

結衣や楓花さんとも合流した…


と、思ってたんだが…


鈴「いやー、そんな怖くなかったね…」


紫央「なんだ、これで終わり…?」


結衣「…怖かった。」


主人公「…何か妙だ。」


鈴「どうしたの…?」


主人公「いや、こんなイカれた遊園地でこんな

地味な演出な訳ないんだよ…」


主人公「なぁ、ここの遊園地のお化け屋敷って

ここだけか…?」


鈴「うん…!」


主人公「だったら、おかしいんだよ…」


主人公「前にジェットコースターで普通の

高さのやつがあったんだが…」


主人公「その場合はジェットコースターが

2個あった、だから地味なのがあったんだ…」


鈴「あ、この遊園地のジェットコースターは

3個だよ…。」


主人公「え…?」


鈴「…後で、行こっか…」


主人公「…。」


主人公「だとすると、こんな地味な演出では

終わらない…」


主人公「だとすれば最後だ。」


主人公「ここに何がある…!」


ガチャ


紫央「…普通の大きな部屋…?」


楓花「あ、あれ出口じゃない?」


舞「…ゲームのボス戦でもこう言う意味ありげに

陣取ってる大きいのに何も無い部屋って、

だいたいボスいるよね…」


葉桜「あぁ、その通り…」


葉桜「何の準備もなしに行くと、痛い目を見る…」


鈴「よぉーっし、脱出するよ…」


主人公「あぁっ、そんなに急ぐと…」


ガッシャァァン


鈴「…え?」


ゾンビ「あ゛ぁ゛…」


すると、気づけば部屋には無数のゾンビがいた…


鈴「い、いやぁぁぁぁっ!?」


主人公「逃げるぞ!ここはもうダメだ!」


紫央「え、ちょ、鈴さんは!?」


主人公「ほっときゃ出るだろ!」


鈴「ひどい!」


楓花「待って、こっちからもゾンビ来てる!」


主人公「はぁ!?じゃ、どうすんだよ!」


結衣「やだぁ…こわいよぉ…」ギュゥッ


主人公「ほ、ほら、結衣もこんな怯えてる…」


紫央「ね、ねぇ…本当にどうするのよ…」


楓花「ね、ねぇ、これ出れるのよね!」


鈴「いや、これ実は私も初見だから

何も分かんないの!」


葉桜「何っ!?」


主人公「はぁぁぁっ!?どうしよう!

これじゃ本当に死ぬかも…」


舞「普通に出れるよ。」


主人公「…ゑ?」


舞「いや、ゾンビを押しのけて

いけばいいだけの話じゃん。」


紫央「…」


舞「だって、映画みたく噛まれたらゾンビ化

するわけでもないし、大丈夫だよ…」


楓花「…」


舞「いやー、お化け屋敷って

こんなもんなんだね…。」


鈴「…。」


舞「ほら、皆も着なよ…!」


結衣「…。」


葉桜「え、えぇ…」


主人公「…なぁ、あいつやっぱ怖いよ…」


舞「ほら、早く早く!」


結衣「む、無理だよぉ…舞ぃ…」


心なしか結衣が可愛く感じる…


紫央「とりあえず、この空間から開放される

ためにはここから出ないと行けないの、

だから仕方ないけど行くしかないわよ…」


結衣「こ、怖い…」


主人公「大丈夫だ、俺達が付いてるから…」


鈴「そうだよ、私達がいるから…!」


楓花「と、とりあえず行きましょ…?」


結衣「う、うん…。」


そう言って結衣は手を震わしながらそっと

俺を隠れるようにして抱きしめる…


これがよっぽど怖いんだろう、だが…


主人公(とてつもなく可愛い…)


紫央(何これ、天使…?)


鈴(抱っこしたい…)


楓花(介護欲がそそられるわ…)


葉桜(こいつら考えてること同じかよ…)


主人公「大丈夫だ、大丈夫だぞ、結衣…」ナデナデ


結衣「あう…」


紫央「っー!」


鈴「っやば…」


楓花「…可愛い。」


主人公「ほら、一気に、行くぞ…!」


結衣「え、ちょっ、えぇっ!?」


主人公「急げ…っ!」


鈴「ま、待って!」


楓花「ちょ、早い…」


紫央「置いてかないでよ…!」


結衣「あ…はぁ…!」


結衣「たっ、助けて…」


主人公「ほら、もうすぐだからな…!」


主人公「っ!よし、抜けた!」


結衣「…!」


紫央「ふぃー。」


楓花「あぁ、疲れるわ…」


舞「お、お帰り!」


鈴「あぁ…大変だった…」


主人公「死ぬかと思った…」


主に結衣が可愛いすぎて。


舞「私からしちゃ、こんなもん怖くも

なんともなかったよ、もっと怖くして

いいと思うのは私だけ…?」


紫央「…それは多分アンタがおかしいだけよ。」


舞「ありゃ…まじか。」


鈴「さぁて、次!何処行こう…」


主人公「ちょっと待て。」


鈴「ん、どしたの?」


主人公「…何か、忘れてない…?」


舞「…え?」


楓花「…あ!」


紫央「え、ま、まさか…」


主人公「…何やってんだ、父さん…!」


ーー


葉桜「…俺、取り残されちゃった…。」


葉桜「…どうしよ。」


葉桜「行くしかないか…。」


葉桜「っ…」


葉桜「はぁ…っ。」


葉桜「ぐっ…」


葉桜「よっし、抜けたぞ…」


主人公「お帰り、父さん…。」


葉桜「…すまない…。」


紫央「…いいのよ、これくらい…」


鈴「よし、葉桜さんも帰ってきたことだし、

次はジェットコースターだよ!」


鈴「今回は最初から2番目に強い方で行こう!」


主人公「…ちょっと待ってください、いきなり

あそこに行くんですか…?」


鈴「だって、初心者向けのやつだと

そんなに対したことないし…。」


主人公「…行くしかないのか…?」


鈴「うん!そうだよ!」


楓花「…諦めて行くしかないわよ…。」


主人公「…そう、か…。」


舞「大丈夫だよ、私がついてるから…!」


主人公「…怖がるふりして俺の秘部に

触ってきたりとかしない?」


舞「するわけないよ!自分から触るより

事故に見せかけて触らせる方がいいじゃん!」


主人公「…お前に少しでも期待した

俺が馬鹿だったよ…。」


舞「そんな!」


鈴「ささ、それじゃ皆、出陣だよ!」


結衣「ジェットコースターか…どんなのだろ。」


主人公「俺は初心者なのにあんなのに

乗せられる結衣と舞が可愛そうだよ…。」


舞「 は私で興奮してくれるかな…?」


主人公「…舞は可哀想じゃないな。」


結衣「…そんなにやばい物なの、あれ…。」


主人公「あぁ、初心者が乗って

いいやつではない…」


結衣「…そんな、私大丈夫かな…」


主人公「…すまんが、大丈夫

じゃないかもしれない…。」


結衣「え…」


結衣「どうしよう、怖くなってきた…。」


主人公「時間がなんとかしてくれるよ、多分。」


結衣「うん、それ絶対大丈夫じゃないよね…!」


紫央「…結衣。」


紫央「骨は拾ってあげるわ…。」


結衣「…紫央、私が死ぬ前提で

話さないでくれるかな…。」


紫央「…冗談よ、死ぬことは無いわ…。」


結衣「そりゃ、ジェットコースターで死ぬ訳…」


紫央「多分。」


結衣「おい、何だよ多分って、なぁ…!」


紫央「ま、流石に死なないわよ。」


結衣「んー…何か不安だな…」


主人公「大丈夫だよ、いざとなったら

俺が守るから…な?」


結衣「っ…!」


主人公「ん?赤いぞ?どうした?」


結衣「きっ、気のせいだよ…」カァァァ


結衣(ちっ、近い…!?)


主人公「…そうなのか?」


結衣「う、うん…」


主人公「…念の為確かめるか。」ペタッ


結衣「ひゃっ!?」


主人公「…大丈夫そうだな…」


舞「… 、自分のおでこを結衣のおでこに

当ててる…、羨ましい…。」


紫央「あいつ、昔よくあれやってたわね…」


楓花「…覚えてたのね。」


紫央「…何か、泣けてくるわね…」


楓花「…確かに、そうよね…。」


結衣「っ…」


鈴「ささっ、行きましょー!」


紫央「は、はあ…」


主人公「…怖いな…。」


舞「どんなんだろ、楽しみねー。」


楓花「ジェットコースターなんて久しぶりね…

耐性ないかも…。」


鈴「大丈夫だよ、まだマシだから…」


主人公「…あれはマシなのか…?」


紫央「どんな感じだったの?」


主人公「簡単に言うなら、生き地獄かな…」


結衣「わぁお、そりゃきついや…」


主人公「…今からでも引き返した方がいい。」


結衣「え、そんなにやばいの…!?」


主人公「あぁ…」


鈴「私がそんな事許すと思う…?」


鈴「それに、どうせこの後さらなる地獄に

行くんだから今逃げたって無駄だよ!」


結衣「そ、そんな…」


主人公「どうしよう、鈴が悪魔に見えてきた…」


葉桜「ん…?」


鈴「えぇ!?私悪魔なの!?」


葉桜「おい 、今のもう一回言ってくれ…」


主人公「…え?う、うん…」


主人公「どうしよう、鈴が悪魔に見えてきた…」


主人公「って言ったんだが…」


舞「…あ!!」


結衣「な、何…?」


舞「気付いちゃった…!」


結衣「な、何に…?」


舞「…。」


結衣「あー…そう言うことか…」


楓花「…何となく分かったかも。」


紫央「…何なのよ…。」


葉桜「さっきから の鈴に対する話し方に

違和感を感じてたんだよ…。」


葉桜「…なぁ、 …。」


葉桜「自分で鈴を呼び捨てに

してるって気付いてるか…?」


主人公「…え?」


主人公「…あ゛っ゛!?」


まずい…


…とんでもないことをしてしまった。


鈴「うんうん、嬉しいよ、私は…」


主人公「すいません、この無礼は

死んで詫させてもらいます…」


鈴「あーっ、ちょ、待って…」


鈴「私は大丈夫だから、ね…?」


主人公「そ、そうですか…」


結衣「にしても2人いつのまにそんなに

仲良くなってたんだね…」


鈴「確かに…気づいてなかったんだよね。」


主人公「はい…。」


楓花「じゃ、無意識下で言ってたってことに

なるのね…。」


鈴「いやー…嬉し過ぎて泣きそう…」


結衣「嘘つけ。」


鈴「えぇ、嘘じゃないよ…」


鈴「…私こんな気持ちになるの初めてだもん…」


鈴「こんなにも人を好きになったことがないの…」


鈴「ここ最近はずっと一緒にいて、苦しい事も

たくさんあったし心が折れそうになった事も

何度も、何度もあった…」


鈴「でも…」


鈴「ふたりでなら、どんな強大な敵や

残酷な運命でも負ける気がしなかった…」


鈴「絶対に乗り越えられるって確信があった…」


鈴「それくらい、頼りになったんだよ…」


主人公「…鈴、さん…」


鈴「…。」


鈴「やばい、ちょっと恥ずかしくなってきた…」


結衣「いいねぇ…」


紫央「…鈴さんもあんな顔するのね。」


舞「むぅ…羨ましい。」


主人公「お前はもういいだろ…」


舞「やだ!満足しない!」


鈴「あ、あはは…」


ーー


主人公「…って、話をさっきまでしてたのに…」


ガッシャァァァァ


紫央「いやぁぁぁぁぁ!?」


主人公「この落差は何じゃぁぁぁ!?」


葉桜「ぐぉぉぉぉっ!!」


結衣「うわぁぁぁぁ!?」


楓花「いゃぁぁぁぁ!!」


鈴「いやっほー!」


主人公「ハァ、ハァ、死ぬ…」


鈴「後2回だから、頑張って耐えてね!」


結衣「無理ぃっ!」


主人公「そんな横暴な…」


紫央「はぁ、はぁ…これ、なんなのよ…」


楓花「待って、来るよ…!」


主人公「え、早…」


主人公「ぐわぁぁぁぁぁ!!」


鈴「わぁぁぁい!!」


葉桜「ぐぎゃあぁ!?」


紫央「いぎゃあぁぁぁ!!?」


結衣「きゃぁぁぁぁ!!」


楓花「いやぁぁぁ!?」


紫央「これ、死ぬ…」


鈴「次で最後だから頑張って…!」


楓花「もう、駄目かも…」


主人公「てか、さっきから舞の反応が

一切無いんだけど…!?」


舞「あ、あはははは…」


主人公「ま、舞の挙動がおかしいぞ…」


舞「【検閲済み】」


舞「あはは、帰ったら楽しみだな…」


主人公「…聞かなかった方が良かったぁ!?」


結衣「この子、あんな笑顔でこんなやばい事

言う様な子だったっけ…」


主人公「俺の覚えがあっていればそうだ。」


結衣「え、えぇ…?」


紫央「彼女…そんな子だったのね…」


舞「ねぇ…」


舞「皆も【検閲済み】しようよ…」


主人公「ダメだぁぁぁ!?」


鈴「いいね、帰ったらやろっか!」


主人公「おいいぃぃぃ!?」


紫央「じゃ、私も…」


結衣「ついでに私も。」


楓花「わっ、私も…したいな…」


主人公「もうやだ、この世界…」


葉桜「…なぁ、 …」


葉桜「この世界はそう言う物なんだよ…」


主人公「ふざ…けんな…」


主人公「そんな、世界…」


ガッシャァァン!


主人公「あってたまるかぁぁぁ!!?」


鈴「わぁぁぁぁっ!!」


楓花「のわぁぁぁぁぁ!?」


結衣「いやあぁぁぁぁ!?」


葉桜「ぬわぁぁぁぁ!!?」


紫央「畜生ォォォォォォ!!」


主人公「何でこうなるんだぁぁ!!」


ーー


結衣「もう、やだ…」


紫央「死ぬ…」


鈴「えぇ、これで終わり…?」


主人公「鈴、お前の体力どうなってんだ…」


鈴「え?普通だよ…?」


結衣「いや、どこがだよ…」


葉桜「人間兵器の俺より遥かに体力上だって…」


楓花「バタンキュー。」


鈴「じゃ、お昼食べたら一番高い

ジェットコースターに行こう!」


主人公「…分かりました。」


紫央「また、行くの…?」


結衣「体力と言うか命が持たない…」


鈴「そんなんじゃ、【検閲済み】できないよ?」


主人公「鈴さんまで…酷いや。」


紫央「体力が…もう…残ってない。」


結衣「同じく…」


舞「先生!私は大丈夫です!」


楓花「あなた、本当に人間…?」


舞「はい!私は健康な美少女です!」


主人公「健康な美少女は【検閲済み】

なんて恐ろしい言葉使いません。」 


舞「えー、そんな…」


舞「私と【検閲済み】しようよ…」


主人公「なぁ…お前怖いよ…」


舞「大丈夫だよ、【検閲済み】が【検閲済み】

して【検閲済み】するだけだから!」


主人公「お前さっきから規制掛かりそうな

ことしか言ってねえなぁ!?」


結衣「ま、いいじゃん、【検閲済み】

するだけだからさ。」


主人公「ツッコミ不在かよ…」


鈴「もう【検閲済み】の話は一旦終わりにして

ご飯食べに行こ!」


主人公「そうしよう…」


楓花「何食べよっか…」


舞「これとかいいんじゃない?」


結衣「お、いいな…」


鈴「これにしよっか!」


主人公「あぁ、そうしよう…」


葉桜「チッ、何だ…」


葉桜「またか…何でこんな時にばっか

業務連絡が来るんだ…」


葉桜「すまん、俺はちょっとの間抜ける、

飯は食っててくれ。」


主人公「うん、分かった!」


紫央「葉桜さんも大変なのね…」


主人公「…本当に、そうだよ…」


ーー


葉桜「…はい。」


葉桜「…それは…本当ですか?」


葉桜「そうですか、分かりました…」


葉桜「検討しておきます…」


ピッ


葉桜「ハァ…どうしたもんかな…」


葉桜「…戻るか。」


葉桜「…ん?」


葉桜「誰かいるのか…?」


葉桜「…まさか、鵜伏さん?」


葉桜「…まさかな。」


葉桜「…。」


葉桜「ハァ…」


葉桜「分からないな…。」


葉桜「まぁ、いいか…」


ーー


紫央「…美味しかった…。」


主人公「なぁ、食べ終わったのはいいが…」


結衣「…本当にあれに乗るのか…?」


そのジェットコースターはもはや

天にも届きそうなくらい高く、人が乗る為に

設計されてないとすら思える程の高さだった…


鈴「いやー、あれに乗るのは私でも怖いよ…」


主人公「そりゃそうだ…だってあれ

何mあるんだよ…」


舞「あれスリルあるだろうな…」


楓花「…多分スリルどころの話に

ならないと思うよ?」


舞「ありゃ、そう…?」


鈴「とにかく、勇気を持って今踏み出そう!」


葉桜「勇気を…持って…」


結衣「いやいや、無理、きついよ!」


紫央「乗んなきゃだめなの…?」


鈴「うん!」


主人公「そんな…結局かよ…」


楓花「もう、後戻りは出来ないから

行くしかないよ…。」


主人公「…そう、ですよね…」


舞「ま、一回行ってみよ?」


舞「そしたらやばすぎて案外大丈夫かも

しれないし!」


主人公「何だよその理論…。」


葉桜「俺壊れないかな…あれに乗って。」


鈴「大丈夫ですよ!さっきも問題なかった

みたいだし。」


葉桜「そうかな…ならいいんだけど。」


主人公「クソ、覚悟を決めるか…」


結衣「あぁ…逃げたい…」


楓花「怖いな…」


鈴「じゃ、行こー!」


ーー


主人公「…始まったな…」


結衣「あぁ…やだなぁ…」


鈴「大丈夫大丈夫、なんとかなるよ!」


紫央「は、はぁ…」


主人公「っ、来るぞ…」


楓花「っ…!!」


ガッシャァァン!


主人公「っぐぁぁぁぁぁっ!?」


鈴「うわぁぁぁっ!」


紫央「きゃぁぁぁぁ!?」


結衣「うわぁぁぁぁぁぁ!!」


葉桜「これは…相当だぞ…!!」


鈴「これの特徴はね…一気に上がって

一気に落ちていくの…」


鈴「だから、1回しか落ちないけど

落ちたときの威力が…っ!」


主人公「これ、どんだけ落ちんだよ…!!」


鈴「多分、100mくらい!」


紫央「はぁぁぁっ!?」


主人公「何じゃそりゃ、訳分かんねぇよ…!!」


舞「こんなもんか…」


主人公「お前は肝が据わりすぎだろ…!?」


葉桜「なぁ…実は俺寿命が後もう少しで

無くなるんだ…。」


主人公「何だよそ…」


主人公「…は?」


紫央「何?何て?」


主人公「や、何でもない!」


紫央「そう…」


楓花「もう、終わり…」


主人公「ああ…降りるぞ…」


紫央「あぁ…死ぬ…。」


主人公「つかれがぐっと来たな…

時間自体は短かったのに…。」


結衣「あぁ…もうだめかも…」


鈴「まだまだだよ、観覧車にコーヒーカップに、

たくさんあるんだから…」


楓花「いや、またにしない…?私達もう

疲れちゃって…」


主人公「…今じゃなきゃダメなんです…」


鈴「え…?」


主人公「こうして集まることが出来る時間も

これから限られてくると思うんです、だから

できる事はできる内にやった方がいいと

思うんです…。」


紫央「ッ…!!」


紫央「 …。」


楓花「…確かに、 君の言うことにも

一理あるわね。」


結衣「長めの休憩を取って、そしたら

また行こう…。」


結衣「…うん、そうだね…。」


舞「じゃ、私はもう一回これに乗ってくるね。」


主人公「えぇ、もう一回行くのか…?」


舞「うん!」


舞「じゃ、行くよ!」


そう言うと舞は俺の手を固く掴む。


主人公「待て、何する気だ?」


舞「え、 も一緒に行くんだよ?」


主人公「…え?」


主人公「た、助け…」


紫央「行ってらっしゃい。」


主人公「…理不尽だ。」


ーー


紫央「あ、お帰り!」


舞「あー、楽しかった。」


舞「 の怖がる反応を見るのが…。」


主人公「…もう二度と行きたくない。」


結衣「…大変だね。」


主人公「全くその通りだ。」


舞にはいつも困らされる…


にしても地獄だった…


結衣「よし、私はもう回復したよ!」


主人公「まじか、早いな!」


楓花「私ももう大丈夫。」


紫央「私もそろそろ行けるかな…!」


鈴「おっ、じゃあもういいね!」


紫央「何から行きましょうか…」


鈴「コーヒーカップとかいいんじゃない?」


楓花「そうね、行きましょう!」


主人公「あぁ…!」


その後は、普通に楽しんだ。


コーヒーカップに…


主人公「ちょ、結衣、回しすぎっだって…!!」


結衣「大丈夫大丈夫、まだまだ行けるよ!」


主人公「いやぁぁぁ!?」


葉桜「…」


紫央「ねぇ、葉桜さんのあれは何なの…?」


楓花「さぁ…?」


いやぁぁぁぁぁ!?


紫央「…さすがの鈴さんも舞には

勝てなかったようね。」


楓花「やっぱあの娘普通じゃないわよ…」


紫央「そうですね。」


ゴーカートに…


鈴「ふっ!」


舞「甘いよっ!!」


鈴「まだまだぁ!行けるよっ!」


葉桜「早いな…」


主人公「俺達にはついてけないよ…」


結衣「どーん。」ガシャッ


主人公「ぎゃぁぁぁぁ!?」


結衣「あははははは。」


主人公「ねぇ!?あいつ怖いよねぇ!?」


紫央「楽しそうね…」


楓花「ほんと、そうね…」


…ジェットコースターに…。


主人公「うわぁぁぁぁぁぁ!?」


結衣「なんでぇぇぇぇ!?なんでまた

ジェットコースターに乗ってるのぉぉ!?」


鈴「分かんない!」


主人公「あんたが行こうって

言ったんだろぉぉ!?」


紫央「わぁぁぁぁっ!?」


楓花「やばい…死にそう…」


舞「まーまー、落ち着いて…」


舞「【検閲済み】」


主人公「お前このジェットコースター乗ると

【検閲済み】の話しかしねぇなぁ!?」


舞「そう言うもんだと思って。」


主人公「分かった…分かりたくないけど。」


ーー


主人公「…なんでこんなジェットコースターに

乗らなきゃ行けないんだ…。」


鈴「私達はそう宿命付けられてるんだよ。」


結衣「やだよ、そんな宿命…」


楓花「…ねぇ、次観覧車行かない?」


紫央「お、いいですね…」


舞「はーい!提案!」


鈴「何?」


舞「観覧車の中で【検閲済み】しない?」


鈴「うん!いいよ」

主人公「ってするかぁ!?」


鈴「わぁっ!?」


舞「いいじゃん、別に…」


主人公「観覧車の中でそんなことやってみろ、

俺達ただじゃ済まないぞ…!」


結衣「葉桜さんがなんとかしれくれるよ。」


葉桜「え、俺?」


鈴「ま、とりあえず行きましょ!」


主人公「は、はぁ…」


ーー


主人公「ここからの景色、2回目だけど

やっぱりいいな…」


鈴「いいよね、ここ…」


楓花「綺麗ね…。」


紫央「…ほんとそうですね…。」


楓花「みんな、今日はここに連れてきてくれて

ほんとにありがとうね…」


結衣「私からもありがとう。」


結衣「今日は本当に楽しかったよ…」


楓花「結衣にこの景色を見せれたことが

本当に嬉しいの…。」


主人公「結衣に…」


楓花「結衣は今までずっと辛い目に合ってきた、

だからもう結衣に辛い目に合ってほしくない。」


楓花「結衣や皆にはどうか幸せでずっと

居てほしいの…。」


主人公「…。」


結衣「…少し昔の話をしようか。」


結衣「私は、知っての通りずっと父親に

虐げられていた…」


結衣「母は父の言いなりで役に立たない。

でもそんなとき…」


結衣「楓花さんや鈴さんが助けてくれたんだ…」


ーー


結衣「っ、いたい…」


結衣父「ふざけるな!この雪乃家の

恥さらしがッ!」


結衣「がぁっ!」


楓花「やめてください!」


結衣父「誰だ貴様はっ!」


楓花「あなたと同じ雪乃家の人間です!」


結衣父「あぁ、思い出したぞ…」


結衣父「あの母親が不倫した

ボンクラ分家の娘かぁ…!」


結衣父「しかもその女不倫相手のガキを

孕んだんだってなぁ!本当に笑わせる…!」


楓花「…これ以上は、やめて…」


結衣父「嫌だね…」


楓花「っ!」


ガシッ


結衣父「何をする、離せ…!」


楓花「今すぐに止めて…」


結衣父「邪魔だッ!」


ドガァッ


楓花「がぁぁっ!」


結衣父「フン、クズが…!」


結衣「や…こないで…」


楓花「やめろっ!」


ボガァッ


結衣父「ぐはぁっ!」


楓花「逃げて…!」


結衣「…!」


ダッ…


鈴「こっちに!」


結衣「…!」


鈴「…大丈夫かな…?」


ーー


主人公「…そうだったのか…。」


鈴「…結衣ちゃんが虐げられていたのは

ずっと知ってたから雪乃家の側近の一族の

人間として何かできないかずっと考えてたの…」


鈴「そして私は結衣ちゃんが家を出やすい

ようにサポートすることにしたの…」


紫央「だから結衣はあんな外に出れてたのね…」


結衣「…私、皆に感謝してるんだ…」


結衣「こんな私に居場所をくれて…」


結衣「本当にみんなと一緒にいれてよかった…」


結衣「私本当は弱くてさ…」


結衣「 の口調を真似して話さないと

弱気になっちゃうんだよね…」


結衣「でも、こう言う話になるとついつい

素が出ちゃうよ…。」


主人公「…俺も。」


主人公「結衣や皆に出会えて本当に良かった…」


主人公「みんなと出会えたのは人生で

一番の宝物だ…。」


舞「 …。」


紫央「…」


結衣「ありがとう…。」


楓花「湿っぽくなっちゃったわね…」


結衣「ごめん…」


主人公「いいだろ、たまにはこう言うのも…」


紫央「そう…ね…」


ーー


鈴「今日はそろそろ解散しよっか。」


紫央「ですね、もう暗いですし…」


楓花「みんな、気をつけて…。」


楓花「…って、まだ別れないけどね…。」


鈴「あはは…」


結衣「…ねぇ 、また、行くよ…!」


結衣「絶対また行こう、誰一人欠けること無く、

ここにいる全員で…!」


主人公「…。」


…無理なんだよ、もう…。


あとどれくらい生きられるかも分からないのに

どうしろってんだ…。


紫央「結衣…。」


結衣「…分かってるよ。」


紫央「なら、いいんだけど…」


舞「楓花さん、ちょっと待って…」


楓花「どうしたの…?」


舞「…。」


楓花「え…?」


舞「詳しいことは後で。」


楓花「どう言うことなの…」


主人公「ん?どうした?」


舞「いや、なんでもないの…!」


主人公「…そうか?」


舞「ね、帰ったら【検閲済み】しない…?」


主人公「もう【検閲済み】はいいよ…。」


舞「ちぇー、本気で言ってたんだけど…」


主人公「それを本気で言うのはおそらく

世界でお前だけだよ。」


舞「それは違うよ?少なくとも鈴さんは

絶対やるよ。」


舞「ね、鈴さん…」


鈴「うん!」


主人公「アンタ今の話聞いとらんやろ…」


鈴「全部聞いてたよ!」


主人公「oh.shit…」


こうして、しばらく平和な日々は続くだろう…


…俺の命が持ってる間はな。


ーー


主人公「…なぁ、話って何だ…?」


葉桜「…1つ、お前に話したいことがある。」


主人公「…何だ?」


葉桜「さっき電話で聞いたんだが実は

鵜伏さんの隠し部屋の中にあったのって

実は特効薬だけじゃなかったんだよ…。」


主人公「…何だ、それは…?」


葉桜「1個、コールドスリープがあったんだ、

しかも70年は耐えられる性能だ…!」


主人公「…え?」


葉桜「まぁ、機能的に目覚めるのは早くても

70年後になるがな…。」


葉桜「これを使えば、特効薬の研究も進んだ

次の時代に行って病気を直せるかもしれない…!」 


主人公「…確かに、それはいいな…」


葉桜「だろ?だからコールドスリープを使って

生きながらえて、病気を治すんだ…」


主人公「…」


葉桜「どうした…?」


主人公「いや、自分の中で何か

引っ掛かるんだよ…」


葉桜「…確かに、鵜伏さんがこんな物

用意するなんてらしくない…」


主人公「…いや、そうじゃなくて…」


主人公「本当にこれでいいのか、

分からないんだ…。」


葉桜「…何でだ?」


主人公「確かにコールドスリープは使えば

生きれる、だけど…。」


主人公「生き残った所で、どうするんだ?」


葉桜「…え?」


主人公「だって、さっき言ってたろ?

コールドスリープに入ったら

目覚めるのは早くて70年後だって…。」


葉桜「あぁ…。」


主人公「70年後ったら、舞や結衣、みんなは

もう死んでる可能性が高い…。」


主人公「そんな中で、生きてたって

どうするんだよ…。」


葉桜「…」


主人公「なぁ、分からないよ…」


主人公「俺はどうすりゃいいんだ…。」


葉桜「気が動転してんだよ、お前は…」


葉桜「生きてりゃなんとでもなる、人生は

いつ始まるか分からないんだよ…」


主人公「…でも、分からないんだよ、俺は…」


主人公「あいつらが居ない世界での生き方が…」


葉桜「…お前、そんなんじゃ死ぬぞ…

本当にそれでいいのか?」


主人公「…それが分からないんだよ…」


主人公「俺が何を望んでるか、分からない…」


主人公「どうすりゃいいんだ、俺は…」


葉桜「…」


葉桜「俺は、最終的な判断をお前に任せる…」


葉桜「だから、最後は自分で選べ…」


葉桜「あいつらを選んで直ぐに死ぬか、

生きることを選ぶか…。」


葉桜「これは、お前の人生、そう…

お前だけの物語なんだ。」


葉桜「ストーリーは、お前自身が描け…」


主人公「…分かった。」


主人公「考えてみるよ、俺なりに…」


葉桜「…そうだ、それでいい…」


主人公「俺も父さんに

聞きたいことがあったんだ。」


葉桜「…何だ?」


主人公「遊園地で父さんの寿命がもうすぐ

無くなるって言ってたよな…」


主人公「ありゃ何だ…?」


葉桜「…あぁ、あれか…。」


葉桜「もう少しで俺の内蔵バッテリーが

機能停止するんだ…。」


葉桜「そしてそのバッテリーは

取り替えられない…。」


葉桜「俺は持って半年だ。」


主人公「…その割にはやけに

冷静だな、何でだ…。」


葉桜「俺は一度死んだ命だ、元々こうなる

覚悟くらいしてたさ…。」


葉桜「むしろこうして自我を持ってる事自体が

奇跡に近い、だからこれでも満足なんだ…。」


主人公「…。」


葉桜「お前はどうしたい?どんな

選択肢を取りたい…?」


主人公「…」


分からない、俺はどうしたらいい…。


ーー


主人公「…」


結局あの後よくわからないまま寝てしまった…


俺の望み…って何だろう。


死にたくない…でもあいつらと一緒に居たい…


主人公「…どうしよう。」


主人公「…。」


俺は意味もなく外へ繰り出した…。


何をしたらいいか全く分からない。


どうせ先もないのにやる事もないし…


主人公「…」


主人公「はは…俺ってこう考えると

お先真っ暗なんだな。」


主人公「どうしようもないな…」


主人公「ははは…」


主人公「もう、どうにでもなっちまえよ…」


そうして、俺は足を踏み出す…。


葉桜「…あいつ、何をする気だ…?」


葉桜「…気配を感じる…」


葉桜「…っ!?」


葉桜「…気のせいか。」


葉桜「何なんだよ、こないだと言い…。」


葉桜「あいつがいる時ばっかり…」


葉桜「…あいつらなのか?」


葉桜「…まさかな。」


ーー


主人公「ふぅ、買った…。」


主人公「…着信?何だ…」


紫央の家まで来てくれ。


主人公「結衣から…?」


主人公「荷物を置いてから行くか…。」


俺はある計画を実行するため、ホームセンター

まで足を運んでいた…。


…ほんと、この島何でもあるよな…。


遊園地にホームセンター、最近

ゲーセン出来たって聞いたし。


主人公「…今度ゲーセン行くか…。」


ーー


主人公「着いたぞ…。」


舞「おお、来たね!」


主人公「舞?それに楓花さんに鈴さんまで…」


主人公「…あれ?結衣はいないのか?」


紫央「居ないわよ、買い物してから来るから

20分くらい遅れるって言ってた。」


主人公「え?そんなに…」


葉桜「じゃ、結衣が来る前に話を進めるぞ…」


主人公「父さん、どこにでも居るな…」


紫央「話なんだけどさ…」


紫央「今年って祭が行われる年なのは

知ってるよね…」


主人公「あぁ、そういやそうだったな…」


紫央「だからさ、私…」


紫央「巫女、やりたくてさ…」


主人公「…え?」


楓花「そんな急に、どうして…?」


紫央「…私、お姉ちゃんのために何か

できることをしたくてさ…。」


主人公「…それで、巫女をすると…?」


紫央「うん。」


紫央「それに、前回は私のわがままで

お姉ちゃんに巫女をやらせちゃったし…」


紫央「だから、今度は自分でやって、

祭を成功させたいの…。」


主人公「…いいんじゃないか?」


主人公「俺も手伝えることは手伝うよ。」


楓花「…本当にしたいの…?」


紫央「うん、もう雪乃財閥の人間は

関わってないから失敗しても死なないし。」


紫央「それに、もう弱いままの

自分は嫌なの。」


紫央「 のためにも、もう逃げたくない…。」


主人公「…俺?」


紫央「…今のは忘れて。」


舞「そういや、祭っていつやるの…?」


紫央「あと3週間後よ。」


結衣「3週間で練習できるかな…。」


紫央「なんとかするわ。」


主人公「…じゃあ、早速練習に取り掛かるか?」


紫央「ええ、私も早めに練習したいし…」


舞「じゃ、始めよう!」


楓花「演舞のやり方は私が教えるわ。」


紫央「ありがとうございます。」


葉桜「…面白そうなことになってきたな。」


葉桜「鵜伏さんもこうなることを

望んでたのかな…?」


主人公「まさか、あの鵜伏に限ってそんな事…」


葉桜「…だよな。」


紫央「お姉ちゃん…私絶対成功させるから。」


紫央「…どうか、見守ってて。」

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