第6話
主人公「…父さん、鵜伏に
処刑されたんじゃないのか…?」
葉桜「…それは鵜伏さんのついた嘘だ。」
葉桜「あの時、確かに俺は処刑されそうになった。」
葉桜「だけど、鵜伏さんが俺を研究所まで連れ去った。」
葉桜「そして俺は手始めに鵜伏さんの試作の
細菌兵器を投与された…。」
結衣「え…まさか、それって…!?」
葉桜「あぁ、 の投与された細菌兵器と同じ物だ。」
葉桜「俺はそれを投与されて生き残った…」
楓花「え…!?」
主人公「じゃあ、俺の病気の抗
体を持ってるってことか…!?」
葉桜「…あぁ、だが…」
葉桜「もう抗体が死んでいる可能性が高い。」
主人公「…そんな、じゃあ…!」
葉桜「可能性はある。」
舞「え…!?」
葉桜「鵜伏さんが俺から見つかった抗体を
保管してある可能性だ…。」
主人公「じゃあ、それを探せばいいんだな…!」
葉桜「…けど、それも確率は低い…。」
鈴「…でも、きっとあるよ…。」
主人公「…そうだな。」
葉桜「…。」
葉桜「…そう、上手くは行かない…。」
主人公「それで、これからどうしようか…。」
葉桜「とりあえず、この研究所を出る所からだ。」
主人公「だが、外には大量の人間兵器がいる、
無策で出れば全員が死ぬ…。」
葉桜「俺に任せろ、俺は人間兵器に対抗する術を
理解している…。」
葉桜「何故なら俺自身が人間兵器だからだ。」
舞「…え?」
葉桜「…あぁ、全身コートだったから
分からなかったか…」
そして葉桜幽希はコートを脱ぎ、
自らの機械じかけの体を見せた…。
楓花「…本当に人間兵器だったのね…。」
葉桜「あぁ、だから奴らには俺だけでも
ある程度対応できる…。」
葉桜「 の記憶を閲覧して見たんだがどうやら
人間兵器を殺すことには慣れてるみたいだな…。」
葉桜「だから、ここは突破できるはずだ…。」
鈴「…そう、上手くいくかな…。」
葉桜「俺が何とかする、だから大丈夫だ…。」
主人公「…俺の記憶を閲覧した、と聞いたがどこまで
俺の記憶を見たんだ…?」
葉桜「全てだ…。」
主人公「す、全て…!?」
舞「え…!?」
鈴「そ、そうなの…?」
結衣「全部、有るんだな…。」
葉桜「ああ、間違いなく…。」
葉桜「俺は全てを見た。」
結衣「…。」
主人公「全て…ってことは俺の欠如した記憶も全て
あるってことか…。」
葉桜「…そうだ。」
主人公「だったら、色々手がかり
もありそうだな…。」
葉桜「…役に立つ物があればいいが…。」
主人公「…それで、ここからはいつ出るか…?」
葉桜「いや、もう出てしまおう…。」
葉桜「…準備は出来たか?」
楓花「…全員、問題ないわ…。」
葉桜「じゃあ、行くぞ…!」
ガチャ
葉桜「はぁっ!」ドォン
舞「でりゃぁ!」ドォン
人間兵器「!」
ガシャァン!
結衣「りゃぁっ!」ドォン
人間兵器「!」
主人公「ふっ!」ドォン
人間兵器「!!」
ガシャーン!
楓花「やぁ!」ドォン
葉桜「うらぁっ!」ドォン
人間兵器「!」
ガシャッ!
楓花「くそ、このままじゃキリがないわ…!」
葉桜「何処かで隙を見て逃げるしかないな…」
主人公「でも、隙なんてあるのか…?」
葉桜「隙ならあるぞ…!」
人間兵器「…!」
葉桜「意思を持たされた人間兵器は動く時、特に
攻撃する時に0.8フレーム、つまり0.8秒間の間
何も出来ないと言う欠陥がある…!」
葉桜「だが、俺は…!」
バァン
葉桜「その隙が生じない…」
葉桜「何故だか分かるか…?」
主人公「意思を持つ人間兵器が反逆することを防止
するために鵜伏がフィルターを付けた、だが
父さんはそのフィルターを外した…って所か?」
葉桜「ご名答、流石俺の息子だ。」
葉桜「つまり、奴らは俊敏な様に見せかけて
実は動きが鈍い…。」
葉桜「こうやって…!」
バァン、バァン!
葉桜「ほら、簡単に抜け出せた…。」
主人公「こんな事ができたのか…」
舞「ちょっと、やってみるね…!」
人間兵器「っ…!」
舞「確かに、奴ら動き出すのが遅い!」
バァン
舞「っは!行けた…!」
結衣「マジか、じゃあ私も…!」
結衣「ふっ!」
結衣「やぁっ!」バァン
人間兵器「が…」
結衣「確かに、これなら…!」
主人公「行けるぞ!」
主人公「3人は先に行ってくれ!俺は
楓花さんと紫央を守りながら進む!」
舞「えぇ、大丈夫なの…?」
主人公「なんとかするさ。」
舞「分かった、何かあったら叫んで呼んで!」
主人公「あぁ!」
葉桜「じゃあ!行くぞ!」
結衣「 、武運長久を…!」
主人公「あぁ、分かった…!」
主人公「…武運長久、か。」
楓花「…どうしたの?」
主人公「いや、何でもないよ…」
楓花「…そう?」
主人公「っ、待て、来るぞ…!」
楓花「っ!」
主人公「待て、囲まれるぞ…!」
楓花「っ、やぁっ!」バァン
人間兵器「…!」
主人公「このっ!」バァン
人間兵器「ぐっ…」
主人公「はぁ…はぁ…これ、まずいぞ!」
楓花「どうしよう…!」
バァン
主人公「っ!紫央!」
紫央「…さっきから私を病人みたいに扱って…」
紫央「私だって、これくらい…!」
主人公「紫央…行けるか?」
紫央「えぇ、お陰さまで絶好調よ…!」
楓花「それは頼もしいわね…」
紫央「そうですか…」
バァン!
楓花「りゃぁっ!」バァン
主人公「野郎っ!」バァン
人間兵器「っ!」
人間兵器「があっ!」
人間兵器「ぎゃぁっ!」
紫央「これで分かった?私が問題ないってこと…」
主人公「…みたいだな…!」
紫央「じゃあ、と言う訳だから飛ばしてくよ…!」
主人公「…そうしよう!」
紫央「うらぁ!」バァン
楓花「はっ!」バァン
主人公「ふっ!」バァン
人間兵器「がっ!」
人間兵器「ぎゃぁ!」
人間兵器「がぁっ!」
紫央「はっ、もう終わり?口程にもないわね…」
楓花「…意思を持った人間を殺すのは流石に
気が引けるわね…。」
主人公「確かにな、喋ってくるなら尚更だ。」
紫央「仕方ないわよ、こうするしかないんだから。」
主人公「そう、なのか…。」
紫央「それより、早く行くわよ。」
主人公「なぁ、紫央…」
紫央「…何?」
主人公「もう、強がるのは止めてくれ…。」
楓花「…」
紫央「え?強がってなんか…」
主人公「見えてるんだよ、さっきから
ずっと手が震えてるのが…。」
紫央「っ…!」
紫央「そんな…いや、違う、私は…!」
主人公「いいんだよ、紫央は紫央のまま、
ありのままで…」
紫央「何…言ってるのよ…」
紫央「だって、私は、これが…」
主人公「いや、紫央、お前…」
主人公「今、泣いてんだぞ…?」
紫央「…え?」
紫央「…嫌、何で、何で何でッ!!」
紫央「そんな…私は…!」
主人公「…なぁ、紫央…。」
主人公「焦ってるんだろ…?」
紫央「そんな、そんな訳…!」
主人公「…お姉さんの仇、か…?」
紫央「っ…!!」
主人公「やっぱり、な…。」
紫央「…だって、私が生き残ったのは
そう言う理由なんでしょ…?」
主人公「…え?」
紫央「私は、お姉ちゃんの仇を取らせるために
鵜伏に生かされた!!そうなんでしょ…?」
主人公「っ…」
主人公「…」
楓花「紫央、貴女は絶対に
生き残れたのよ…。」
紫央「…え?」
楓花「私はあそこで紫央を守るために自らの命すら使う
決意をした…」
楓花「あそこでもし紫央に危険が
及んだとして、絶対に紫央は助けたわ…」
紫央「何で…」
紫央「何で私なの…?」
楓花「え、それは…」
紫央「私じゃなくて、お姉ちゃんを
助けてよ…!!」
主人公「し、紫央、よせ…」
紫央「私なんかよりお姉ちゃんを
助けてよ…何で私なの…!」
楓花「そ、それは…」
紫央「あの時お姉ちゃんを助けてくれたら、
こんなに苦しまなくて済んだのに…!」
主人公「…確かにそうだとしたら紫央が
苦しむことも無かったろうな…」
楓花「…え?」
主人公「だって、楓花さんが助けてなきゃ
紫央は死んでたんだからな…」
紫央「…どう言う、こと…?」
主人公「楓花さんだったよな?紫央を助けたのって…」
楓花「う、うん…。」
主人公「じゃあ、楓花さんが居なきゃ
紫央は助からなかったんだな…」
主人公「…それにさ、多分あそこで紫央の
お姉さんを助けようとしたって、
銃で撃たれて死んでる可能性が高いんだよ…」
主人公「だから、楓花さんがあそこで紫央を
助けたのは正解なんだよ…」
紫央「な、何で、そんなこと…」
主人公「…お前に自分の事を悪く
言って欲しくないんだよ…。」
紫央「っ…」
主人公「お前はそんな生きてる価値がない
人間じゃない…」
主人公「俺の大切な人なんだよ、紫央は…。」
紫央「…!」
主人公「お姉さんはもうここには
帰ってこない、だけどお前はここに居る…」
主人公「お姉さんが出来なかったことを
すればいいんだよ…」
紫央「…!」
紫央「そう言うことか…!」
紫央「ありがとう、 …私、分かったよ…」
紫央「お姉ちゃんはもう居ない、だから私は
お姉ちゃんのためになる事をする…」
紫央「…勿論、皆にも手伝ってもらうよ。」
主人公「あぁ、そのつもりだ…」
紫央「見てて、お姉ちゃん…」
紫央「私、頑張るから…」
紫央「…行こう、早くしないと結衣達に
心配されちゃうから…」
主人公「…あぁ、そうだな…。」
ーー
舞「… 達遅いね…。」
結衣「ねぇ、これヤバイかな…?」
舞「 の記憶って今は閲覧できるの…?」
葉桜「…今は の記憶とリンクしてないから
閲覧できないんだ…。」
結衣「そんな、じゃあ…」
葉桜「いや、あいつらなら大丈夫だ…」
鈴「…だよね、きっと…」
葉桜「あぁ、あいつらを信じろ…」
ガチャ
結衣「っ、 !」
主人公「すまない、遅くなった…。」
舞「もう、心配したんだよ…!」
楓花「ごめんなさい、少し立て込んでて…」
葉桜「とりあえず、ここが出口みたいだから
とっとと出てしまおう…。」
主人公「あぁ、そうだな…」
ピンポンパンポーン
紫央「っ…!」
鵜伏「皆さん、お見事でした…」
鵜伏「全員が五体満足で、しかも処刑されるはず
だった二人を生存させるなんて…」
鵜伏「…ただ、貴方が出てきたのは少々
予想外でしたがね…。」
葉桜「…お久しぶりです、鵜伏さん…」
葉桜「いえ、今は所長でしたか…?」
鵜伏「…その体で外に出て大丈夫なんですか?」
葉桜「…なんとかします。」
鵜伏「そうですか…」
鵜伏「それでは、今回はここまで…」
鵜伏「皆さん、あと少しで真実へ
辿り着けます、なのでどうか
頑張ってください…」
鵜伏「では、ご武運を。」
主人公「チッ、上からだな…」
葉桜「…確かに、何でだろうか…」
結衣「…あいつは、そう言うやつ何だよ…。」
葉桜「…昔はそうじゃなかったんだがな…」
主人公「…え?」
舞「それはどう言うこと…?」
葉桜「あの人は元々研究熱心で、
それこそちょっと熱くなりすぎるくらいでな…」
葉桜「けど、ある時からまるで取り憑かれた
かのようになってしまったんだ…」
結衣「…それで、あんなことを?」
葉桜「…あぁ。」
葉桜「鵜伏さんはもう後戻り出来ない所まで
来てしまった、きっとそれを
本人も分かってるだろう…。」
主人公「あぁ、間違いない…。」
葉桜「鵜伏さんを助けたいとか、
そう言うことは考えてない、ちゃんと
罪を償わせる…。」
葉桜「そうすることが鵜伏さんに
殺された人への手向けになるだろうから…」
主人公「…そうだ。」
葉桜「鵜伏さんを許すつもりはないけど、
ちゃんと責任を果たしてもらう…」
主人公「そうだ、あいつに罰を受けさせるんだ…」
葉桜「あぁ、その通りだ…」
楓花「…もう、外に出ていい?」
葉桜「…あぁ、悪い…。」
主人公「すっかり話し込んじまったな…」
葉桜「昔からの悪い癖だ…。」
結衣「…葉桜幽希って、本当に の父親なんだな…」
主人公「…分かるのか?」
結衣「二人って凄く雰囲気が似てるんだよ…」
葉桜「 は俺に似たのかな…。」
主人公「多分、そうなんだろうな…。」
葉桜「だな…。」
舞「…あ、やっぱり似てる…!」
主人公「…誰から見てもそうなのか?やっぱり…」
葉桜「…そうなのか、多分…」
ーー
鵜伏「…。」
鵜伏「想定外だったが、これは都合がいい…」
鵜伏「だが、これまで制御が効かなかったのに何で
急に幽希が動き出したんだ…?」
鵜伏「ここ5年はずっと動いてなかったのに…」
鵜伏「…待て?」
鵜伏「そういや、幽希が送ってた
脳波の送り先の特定がまだだったな…」
鵜伏「…ん?待て…」
鵜伏「ここ最近送られてきた場所はこの島、
しかもここは…」
鵜伏「…ッハハハハハハハァ!」
鵜伏「そう言うことかァ!そう言う事だったんだな…!」
鵜伏「やっとだ…やっと見つけたぞ…」
鵜伏「これで俺の計画が完遂する…!」
鵜伏「お前が…お前が葉桜幽希の息子だったのかァ…!」
鵜伏「やはりこの島に来たのも運命って事だなァ…!」
鵜伏「楽しくなってきたな…本当にィ…」
鵜伏「アドレナリンが昂ぶるなあ…」
鵜伏「フハハハハハハハハハ!アハハハハハハハハハハァ!」
ーー
葉桜「…それで、これからどうする…?」
主人公「どうしたもこうしたも、あいつらの研究所に
行くしかないよ…。」
葉桜「…確か雪乃財閥の地下に
あったはずだ…」
結衣「それは分かってる、ただどうやって入るか…」
葉桜「家紋は持ってるんだよな…?」
主人公「あぁ、今は寮にある…。」
葉桜「じゃあ入れるな。」
結衣「どうして?あそこは警備が硬くて普通は
入れないはず…」
葉桜「雪乃厳十朗が死んだ今、鵜伏さんにあそこを
警備させておく必要性はない…。」
葉桜「それに、鵜伏さんは外部の
介入を拒む修正がある…」
主人公「…そうなのか?」
葉桜「考えても見ろ、研究所なら普通は
俺みたいな研究員が居るはずだろ?だが…」
舞「…あ!今まで研究所で
研究員を見たことがない…!」
葉桜「これが鵜伏さんが外部からの予想外な介入を
拒む理由の裏付けだ。」
主人公「じゃあ、その線は問題なしか…。」
葉桜「正直俺は今この状態で研究所まで
行っても問題ないと思う…。」
主人公「…そうなのか?」
葉桜「恐らく、鵜伏さんが俺達を
殺しに来る事はない…。」
結衣「え!?」
紫央「そんなことあり得るの…?」
葉桜「奴の目的はお前達を観察することだ、
その対象が死ぬことを鵜伏さんは
許さないだろう…。」
主人公「確かに、奴の性格を考えれば
その線の可能性は高いと言える…」
結衣「ただ、何も準備しないで行くのは
流石にまずいんじゃ…」
葉桜「…確かに、それもそうだな。」
葉桜「無論、何かしらは準備してから行くつもりだが
そう言えばまだ何も考えてなかったな…」
主人公「そんなざっくりで大丈夫なのか…?」
葉桜「確かに、大丈夫じゃないかもしれない…」
葉桜「だが、どうすべきか…」
結衣「それなら、私にいい考えがある。」
葉桜「何?それは何だ…?」
結衣「…」
主人公「確かに、それはいいな…」
紫央「この考えは無かったわ…。」
葉桜「じゃあ、それで決定でいいな?」
主人公「あぁ、そうしようか…」
結衣「…上手く行くかな?」
葉桜「多分な…。」
ーー
紫央「…。」
正直、私は強がってる…
かなり動揺してると思う、お姉ちゃんが死んだ事をまだずっと引きずってるみたい…
今は不安だらけ、この状態で研究所まで乗り込んでも
足手まといになるだけ…。
紫央「…どうしよう、かしら…」
主人公「…紫央、浮かない顔だな、どうした…?」
紫央「…ちょっと、考え込んでて…」
主人公「鵜伏に言われたことか…?」
紫央「…うん。」
紫央「…私、あの事ずっと引きずってるみたいなの…」
紫央「今でも手足が震えて仕方なくて…」
主人公「…分かった。」
紫央「…何が…?」
主人公「こう言う時はこうするのが一番だ。」
ギュゥゥ
紫央「え、ちょっと!?」
主人公「こう言う時は人肌に触れるのが一番なんだ…」
紫央「… 、ずるい…。」
主人公「え、何でだよ…?」
紫央「…暖かい…。」
主人公「そうか?ならよかったよ…。」
紫央「…何かこれ、懐かしいな…。」
主人公「…確かに、昔を思い出すな…。」
紫央「ずっと、ずっとこうしてたいね…。」
主人公「そうだな…俺もずっとこのままがいいよ…」
紫央「だから、絶対に鵜伏は倒す…」
主人公「あぁ、そうだ…」
紫央「…そう思ったら手足の震えが止まったみたい…」
主人公「お、やったな…!」
紫央「ありがとう、これで
足手まといにならなくて済む…。」
主人公「とにかく、紫央が元気になった
みたいで良かったよ…。」
紫央「私はもう大丈夫だよ…。」
主人公「そうか、それは良かった…」
紫央「…絶対に守るからね。」
主人公「…え?」
紫央「…いや、何でもないわ…。」
主人公「…そうか?」
紫央「えぇ、何も言ってないわ…」
主人公「何か言ってた気がしたんだかな…
気のせいだったか。」
紫央「気のせいよ。」
主人公「お、おう…。」
ーー
主人公「…」
しばらく住み込みで拠点に居たから
久しぶりに寮に帰ってきたな…
主人公「確かここに…。」
主人公「あった、これだ…!」
主人公「よし、帰ろう…。」
主人公「…ん?あれは…」
鈴母「…。」
主人公「鈴さんのお母さん…?
死んだはずじゃ…」
鈴母「待っ…てる…から…」
主人公「…え?」
主人公「ちょ、ちょっと…!」
主人公「っ、消えた…?」
主人公「…何だったんだ、今の…。」
ーー
主人公「…。」
本当に、次で終わるのか…?
分からない、鵜伏の考えてる事が…
奴は何が目的だ…?
…とにかく、もう行くしかないな…
結衣「おーい、準備できたか…?」
主人公「あぁ、だが…」
結衣「不安か?大丈夫だ、きっと上手く行く。」
結衣「お前のお父さんが準備してくれたんだ、それに
私達ならきっと大丈夫さ。」
主人公「…あぁ、そうか…」
楓花「みんな、準備は大丈夫…?」
主人公「はい!なんとか…。」
葉桜「いいか?今日は全ての集大成になる大事な日だ、
くれぐれも慎重に、一人も犠牲を出さないように
頼むぞ…。」
舞「はい!」
鈴「…上手くできるかな?」
紫央「…きっと上手く行きますよ。」
鈴「…うん、だよね…。」
葉桜「…じゃあ、早速行こうか…!」
主人公「あぁ…!」
そうして俺達は長いようで短かった
この戦いに終止符を打つため、そして、俺自身を
救うために最後の戦いへ赴くことにした…
ーー
雪乃財閥本家…。
今思えばここで俺達の運命が始まったのかも
しれない…。
葉桜「家紋を頼む。」
主人公「あぁ…。」
ピッ
鵜伏「皆さん、お待ちしてました!」
紫央「っ、鵜伏…!」
鵜伏「皆さんはよくぞここまで辿り着きました、
そんなみなさんに最後の試練を
ご用意致しました…!」
鵜伏「地下研究所まで来てください…!」
葉桜「…行くか。」
舞「あの鵜伏、きっと今日が命日になるよ…!」
主人公「随分と物騒だな。」
舞「そうでもしてやらないと腹の虫が収まらないの…」
主人公「…確かに、俺も抑えきれるか…」
結衣「っ、着いたぞ…。」
葉桜「…懐かしいな、ここは…。」
紫央「奥に居るのは…」
楓花「…鵜伏。」
鵜伏「皆様ようこそお越しくださいました…」
主人公「試練って何だよ…」
鵜伏「…私の奥の方に部屋があります、
そこに貴方達一人一人に試練をご用意させて
いただきました、そちらをプレイしていただきます。」
主人公「…何だと?」
鵜伏「皆様が自身の心の弱さに打ち勝つ
ことが出来ればクリアとなります、
どうか、皆様のご検討をお祈りしています…。」
鵜伏「…ただ、幽希、貴方だけは
こちらの方に来てください。」
鵜伏「…私は奥部屋で待機していますので試練が
終わり次第私の居る部屋に行けるようになります。」
鵜伏「あと、一つの部屋に入れるのは
一人までですので…。」
鵜伏「あと、ちゃんと本人がクリア
してくださいね…」
主人公「…だとよ、どうする…?」
結衣「…行こう、私達に怖いものはないよ…。」
主人公「…行くしかないか。」
紫央「早いうちに行ってしまいましょう…」
主人公「…あぁ、行こう。」
舞「…心の弱さに打ち勝つ、か…。」
楓花「どんなのが来るのか、分からないわね…」
主人公「それは、見てからのお楽しみと言うことだろう。」
鈴「…行ってみるまで分からないってことだね…。」
主人公「えぇ、でも行くしかないですよ…」
舞「私はとりあえず行ってみるよ。」
主人公「仕方ない、行こう…。」
楓花「皆、気を付けて…。」
ーー
結衣「…ここは?」
研究所…じゃない?
ここは…
厳十朗「結衣…何処へ行っていた。」
結衣「…父さん…?」
そこには死んだはずの雪乃厳十朗が居た。
ここは、おそらくホログラムか何かで
作られた施設なのだろう。
厳十朗「この出来損ないが、そこに座れ!」
結衣「ハッ、嫌だね!」
厳十朗「貴様…この私に楯突くのか!」
結衣「黙れよジジイが、お前なんか
もう怖くもなんともねぇんだよ!」
厳十朗「この私に向かってなんて事を!」
結衣「うるせぇ!もう私の前に
現れるなこの出来損ないが!」
厳十朗「貴様…!」
結衣「お前にはもう要はない…。」
結衣「地獄に堕ちろ、悪魔が…!」
厳十朗「ぐ、が、あぁぁぁ!!」
ボガァン
結衣「っ、爆発…!?」
結衣「…なんか、奥の扉空いてるし。」
結衣「…これで試練はクリアなのかな?」
結衣「行くか…。」
主人公「結衣!」
結衣「 !もう終わらせたのか、早いな!」
主人公「そっちも、早かったな…。」
結衣「今居るのは私達だけなのか?」
主人公「そうみたいだな。」
結衣「みんな、無事だといいけど。」
主人公「そう、だがな…」
ーー
舞「…ここは?」
主人公「…よう、舞。」
舞「っ、 !?」
舞「いや違う、これはホログラムか…!」
主人公「…お前にいくつか聞きたいことがある、
いいか…?」
舞「…何?」
主人公「何故、お前は俺に心を開いたんだ…?」
舞「…え?」
主人公「なんであんなことがあって、
人に心を開こうと思ったんだ…?」
舞「…それは…。」
舞「信じてみてもいいかなって、
思ったんだ…。」
舞「この人なら私のことを助けてくれるって、そう思ったの…。」
主人公「なぜそう感じたんだ…?」
舞「それはね…」
舞「今までの人達とはそもそも明らかに
違ったんだよ、私への接し方が…」
舞「だから、私には大丈夫だと言う
確信が持てたんだ…。」
主人公「…そうか。」
主人公「舞、お前は合格だ…。」
主人公「…行け。」
舞「分かった。」
主人公「ただ、一つだけ…」
主人公「…一度進めばもう元には戻れない、
一つ一つの選択に責任と覚悟を
持って行動するんだ…」
舞「…分かったよ。」
ガチャ
結衣「っ、舞…!」
舞「あれ、二人とも、早いね…」
主人公「だな、思ったより早く終われたよ…」
舞「…なんか妙だな…。」
主人公「どうした?」
舞「いや、何で試練の部屋とここの
部屋が直で繋がってるのかなーって…」
結衣「確かに、おかしいな…」
主人公「…もしかして…」
主人公「鵜伏はここに全ての扉がある、
この状況を作りたかったんじゃないか…?」
舞「え…?」
主人公「だとすると、そこから推測できる
答えは1つ…!」
結衣「え、そっちは紫央所の扉…」
ガチャ
主人公「っはは…」
主人公「開く、これ、こっちからなら開くよ…!」
結衣「はぁ!?」
主人公「今ここに居ないのは楓花さん、
紫央、鈴さんの3人…。」
主人公「ここに居るのは俺と結衣、舞…」
舞「…ちょうど半分ずつになってる…?」
主人公「鵜伏は恐らくこれを想定してた…」
主人公「なら…」
主人公「結衣は鈴さんの所に、
舞は楓花さんの所に行ってくれ、
俺は紫央の所に行く!」
結衣「…何をする気?」
主人公「この3人は恐らく心に強い
傷が残ってる、だからその分心の弱さも
出てきやすい…」
主人公「だから試練に苦戦する、最悪
試練を突破できないかもしれない、
そうならないように止めるんだ!」
結衣「大丈夫なの、そんなことして…」
主人公「言っただろ、鵜伏はこうなることを
想定してたんだよ…」
結衣「分かった、行こう。」
舞「二人とも、気を付けて!」
主人公「あぁ…!」
ーー
ガチャ
主人公「紫央!」
主人公「っ、これは…!」
紫央「っうぅ…ぐ…」
紫央姉「…」
主人公「紫央と、紫央のお姉さん…?」
紫央「っ… !」
主人公「紫央!」
主人公「紫央、何があった…!」
紫央「お姉ちゃんが…私のせいで
自分が死んだって…」
紫央「お前は生きてる価値がないから死ねって…」
主人公「え…!?」
やっぱり…
紫央姉「… 君、その子を離して…」
主人公「…何故です。」
紫央姉「そいつにお仕置き出来ないから…」
主人公「は…?何だよ、お仕置きって…」
紫央姉「そいつを食って私が生き返るの、
いいでしょ…?」ガチャガチャ
主人公「こいつ、まさか人間兵器…!?」
紫央「え、じゃあ…」
主人公「待て、こいつは紫央の姉を
模倣して作られたものだろう…。」
紫央「…そう。」
主人公「だから、こいつはお前の姉さんの
記憶を曲解して悪い方に
持っていったんだ、だから…」
主人公「こいつはお前の姉さんの
記憶を持った、偽物だ…!」
紫央「…!」
主人公「…ちょっと、行ってくる…」
紫央「え…?ちょ、ちょっと…!?」
主人公「…1つ、いいですか?」
紫央姉「…何?」
主人公「アンタ、紫央のお姉さん
じゃねぇだろ?」
紫央姉「はぁ?私は紫央の姉…」
主人公「本当の紫央のお姉さんは
紫央に常に優しくて頼りになる
紫央の自慢の姉だった。」
主人公「だが、お前はどうだ、
自分の悪い事を全部妹に押し付けて、
挙げ句の果てお仕置きだと…?」
主人公「ふざけんな!お前なんか
偽物だよ!」
紫央姉「グ…ガガ…フザ…ケルナ…」
紫央姉「…モウイイ、オマエラ
マトメテコロシテヤル…」
紫央姉「ガガガ…」
主人公「っ、来るぞ!」
紫央「…私、もう弱い自分なんかに
負けないから…!」
紫央「お姉ちゃん、見てて…!」カチャ
ズドォン!
人間兵器「ガガ…ガガ…」キイィィィィン
人間兵器「メインプログラム破損…
データ修復作業にいこ…」
ドォン
人間兵器「シ…テム…エ…ラー…」
バタッ
紫央「フン、所詮は機械ね…。」
主人公「し、紫央…!」
紫央「 、私もう大丈夫だから…」
紫央「もう、泣かないから…」
主人公「紫央…!」
紫央「弱い自分にも、鵜伏にも、
もう負けない…。」
紫央「絶対、 とこれからも
一緒に生きていくんだ…!」
紫央「だから…」
紫央「これからも、よろしくね。」
主人公「…あぁ!」
ーー
ガチャ
ドォン!
舞「はぁ、はぁ、どうしてこんな事に…」
舞「ねぇ楓花さん、楓花さんの心の弱さって
何でしたっけ…」
楓花「紫央ちゃんの家族や、皆を
守れなかったこと…」
楓花「それに親へのコンプレックスだったり、
自己嫌悪とかも…」
舞「じゃあ、今の人間兵器との銃撃戦は一体
何なんですか…!?」
楓花「7年前祭の時の回想でしょう…」
舞「7年前の祭ってこんな銃撃戦だったの!?」
楓花「えぇ、なんならもっと激しかったわよ!」
舞「えぇ、そんな!」
舞「てかこれ、何すればクリアなの!?」
楓花「分からない、まずいかも…」
楓花「と言うか、そっちから開けられるなら
扉を開けたまま私がそっちに
行けば良かったのに…!」
舞「…あ゛!!確かに!!」
舞「っばい…私やっちゃったよ…!」
楓花「過ぎたことはもうしょうがないわ、
それより今はここを凌ぐことに
専念しましょう…」
舞「っ、ですね…」
ガチャ!
紫央「楓花さん、舞ちゃん!」
舞「紫央、そこで待ってて!!」
紫央「え、うん!」
舞「楓花さん、走って!」
楓花「はい!」
ダッ!
舞「っ!この!」ドォン
舞「入るよ!」
楓花「っ!」
舞「閉めて!」
紫央「っ!」バタン
楓花「危なかった…」
紫央「…そっか、こっちから開け続けてれば
出られるのね…」
舞「…もしかして、そっちも
気づいてなかったの?」
紫央「…うん、恥ずかしいけど…」
舞「…あれ、 は?そっちにいなかったっけ?」
紫央「あぁ、今は…」
紫央「鈴さんの所に…」
ーー
主人公「鈴さん、結衣!」
結衣「 !」
結衣「まずいことになった…!」
主人公「…あれは!」
鈴母「よくもぉ!よくもぉ!」ドガァ
鈴「ごめんなさい、ごめんなさい、嫌ぁ!」
主人公「っ、鈴さん!!!」
結衣「あの人間兵器、力が強すぎて私じゃ
太刀打ち出来ないの…」
主人公「今助ける!」
主人公「鈴さん!」
鈴母「邪魔っ!」ドガァ
主人公「ぐわぁっ!」
結衣「 !大丈夫!?」
主人公「これくらい…どうってこと…」
主人公「無えんだよっ!」バサァ
鈴母「辞めろ…!」
主人公「鈴さぁんっ!逃げて!」
鈴「っ…!!」
鈴「駄目…足がすくんで動けない!」
鈴母「はぁっ!」ドガァン
主人公「ぐはぁっ!」
結衣「っ、止めろぉぉっ!」
鈴母「ぎゃぁぁっ!」
主人公「鈴さん…こっちに!」
鈴「…うん!」
結衣「はぁ、はぁ…」
主人公「結衣、銃は…!」
結衣「さっき玉を全部使ったけど、
効かなかった…!」
主人公「はぁ…!?」
主人公「何だよそりゃ…そんなのありかよ!」
結衣「…あれと正面から殺りあっても
返り討ちに会うだけだ、正直、
かなりきついよ…」
ガチャ
紫央「3人とも、こっちへ…」
舞「なっ…」
楓花「人間兵器に扉の前を塞がれてる…!」
舞「待ってて、今始末するから…」
主人公「駄目だ、そいつに銃は効かない!」
舞「ええっ!?」
舞「じゃぁ、どうすれば…」
主人公「…俺がこいつを引き受ける、
その間に二人は奥に逃げてくれ…」
結衣「で、でも…」
主人公「大丈夫だ、俺は必ず戻る…。」
結衣「…分かった。」
鈴「…絶対、戻ってきて!」
主人公「…はい。」
主人公「…はぁっ!」ダッ
鈴母「何を…ぐっ…!」
主人公「今だ!」
鈴「行くよ!」
結衣「っ… !」
主人公「…皆、ごめん。」
鈴母「うわぁぁぁっ!」
主人公「ぐわぁぁぁっ!」ドサッ
紫央「なっ、 ッ!」
結衣「おい、何やってんだよ…なぁ…」
結衣「さっき…絶対戻るって…」
鈴母「…」
楓花「っ、来るよ!」
舞「この化物が…!」
鈴母「よくも…!」
鈴母「うわぁぁぁっ!」
主人公「うらぁぁぁぁっ!」ドザァッ
鈴「 君!何を…」
主人公「閉めろ、扉を、閉めろ…!!」
楓花「でも、そうしたら…!」
主人公「いいから、閉めろ…!!」
鈴母「うわぁぁぁっ!」
主人公「はぁっ!」ガチャ
舞「まっ…」
紫央「…え?」
舞「閉まっ…た…?」
結衣「え…?」
鈴「…そんな。」
楓花「嘘…でしょ…?」
ーー
鵜伏「…幽希、貴方とこうやって話すのも
何年ぶりでしょうか…」
葉桜「…貴方には聞きたいことが山ほどある、
聞いてもいいでしょうか…?」
鵜伏「何でしょう?」
葉桜「…貴方の目的は何だ?」
鵜伏「…目的、ですか…」
鵜伏「…貴方が想像した通りですよ。」
葉桜「…本当に?」
鵜伏「えぇ、間違いなく…。」
鵜伏「私は親と子の友情…それが見たいだけですよ。」
葉桜「…本当に、ですか…?」
鵜伏「えぇ、何もありませんよ?」
葉桜「…アンタ何考えてるんですか…?」
鵜伏「…さぁね、知りたいですか…?」
葉桜「あぁ…」
鵜伏「分かりました、では…」
鵜伏「…私は私の中で立てたある説を
立証したいんですよ…」
葉桜「…何だ、その説って…」
鵜伏「…」
鵜伏「それは教えられません。」
葉桜「え…?」
鵜伏「ところで、これから幽希の
試練を執り行おうと思います…」
葉桜「俺の試練…?」
鵜伏「貴方の試練は私です。」
葉桜「え?」
鵜伏「武器も何もない、ただの殴り合いですよ…」
鵜伏「それでどちらが強いか決めるんです。」
葉桜「…貴方らしくないですね、殴り合いなんて…」
鵜伏「私、こう見えても肉弾戦には
自身があるんですよ…?」
葉桜「そうですか…」
葉桜「俺は…」
葉桜「フッ!」
シュウッ
鵜伏「ッ!」
鵜伏「いいですね、そう言うの私
嫌いじゃないですよ!」
鵜伏「らぁっ!」ボガッ
葉桜「ぐっ…!」
鵜伏「どうした?こんなもんかァ!?」
葉桜「このっ!」ボガッ
鵜伏「チッ…!」
鵜伏「痛えだろうがよッ!」ボガッ
葉桜「がはっ!」
葉桜「クソ…」
葉桜「鵜伏ィィィィィ!」
ボガッ!
鵜伏「がぁっ!」ドサッ
鵜伏「いい殴りですね…けど…」
ボガッ
葉桜「なっ…!?」
鵜伏「そんなんで私に勝てると思ったか…!」
葉桜「貴様ァァァ!」
ボガッ
鵜伏「うらっ!」ボガッ
葉桜「がぁっ!」
鵜伏「あれ…?もう終わりですか?」
葉桜「まだだ…クソっ!」
鵜伏「来ないならこっちから行きますよ!」
ボガッ!
葉桜「うわぁぁぁっ!」
鵜伏「どうした?これで終わりか…?」
ボガッボガッ
葉桜「が…っ!」
鵜伏「…もう終わりか…」
葉桜「はぁ…はぁ…!」
鵜伏「辛いだろう?どれだけ痛くても
苦しくても自分の意志で人生を
終わらせられないのは…」
鵜伏「終わりにしてあげますよ…」
鵜伏「幽希、貴方はこれまで
よく頑張ってくれました…」
鵜伏「…もう、休んでください…」
鵜伏「…次はどうか、貴方が
幸せな人生を遅れることを願います…」
葉桜「待て…」
鵜伏「…何ですか?」
葉桜「本当にこれでいいのか?これは本当に
鵜伏さん、貴方が望んだ結末なんですか…?」
鵜伏「…。」
鵜伏「物事を進めるためには犠牲が
付き物です。」
鵜伏「その犠牲になったのが昔の私や
貴方、紫央さんに鈴さんの母親
だったりする…」
鵜伏「けど、その犠牲は未来のために
全て必要なものなんだ…」
鵜伏「そう言う人達に出来ることは
大きく分けて2つある。」
鵜伏「何もせずに地獄で自らの運命や自らを
陥れた人間を呪い続けるか、もしくは…」
鵜伏「私の様に地獄から這い上がって来て、
牙を向けて立ち向かうか…」
鵜伏「私はそれを選んだ、それだけの事だ。」
鵜伏「だから、こうなることも全て
決められてた事なんだよ…」
鵜伏「全部…」
葉桜「…それが貴方の答えですか…」
鵜伏「…えぇ。」
鵜伏「どうやら貴方の息子も今
相当不味い状況みたいですよ…」
葉桜「な…!?」
鵜伏「…残念ですよ、幽希…。」
鵜伏「ここでお別れです、今まで
ありがとうございました…」
葉桜「く…そ…」
ガチャ
鵜伏「…んだよ、タイミング悪い…」
結衣「鵜伏…貴様…」
鵜伏「あぁ、どうやら一つだけ入れておいた
一番強い人間兵器にやられたようですね…」
舞「お前をここで終わらせる…!」
鵜伏「出来るんですか?そんなこと…」
葉桜「…鵜伏さんのバリアは、
ゼロ距離なら効かない…!」
紫央「え…!?」
舞「情報提供どうも。」
舞「これで、あの鵜伏のムカつく
面を潰せるよ…!」
鵜伏「近づかせませんよ…」ガチャ
結衣「あれはマシンガン…!?」
鵜伏「近づいたら直ちに殺します。」
舞「クソ…どうすればいい…!」
鵜伏「残念でしたね、私の勝ちです…」
鵜伏「…ただ、作戦は失敗と言った所か…」
鵜伏「私の見たかった物は見れずに
終わりなのか…残念だ。」
結衣「何の話だ…!」
鵜伏「あぁいえ、何でもありません…」
鵜伏「さて…」
鵜伏「皆さん、ここが長い旅路の
終点ですよ…」
鵜伏「ここまで、ご苦労様でした…」
鵜伏「私は楽しかったですよ…」
紫央「いたずらに命を弄んでおいて、
何が楽しいだ、ふざけんな…!」
鈴「天罰が下るわよ…!」
鵜伏「…天罰、ですか…」
鵜伏「ハハ、それも風情があっていいなぁ…」
鵜伏「さて…そろそろお別れです。」
鵜伏「1人ずつ…始末してあげますよ。」
鈴「来るよ…!」
楓花「鵜伏…!」
鵜伏「お疲れさまでした…!」
主人公「いや、お前はここで終わりだ…」
鵜伏「は…?」
ドサドサドサ…
警察「動くな、警察だ!」
警察2「鵜伏、お前に国家反逆罪や
殺人罪等の罪状が出ている、大人しくお縄につけ!」
紫央「結衣、まさか…」
結衣「…あぁ、成功だ!」
鈴「やっぱり、昨日話した通りだったね…!」
結衣「あぁ…この島の警察の実験は
雪乃財閥が握っていた…
それを利用させてもらった。」
結衣「思ったんだよ、雪乃厳十朗が死んだ今、
雪乃財閥の社長権限は誰にあるのか…」
結衣「それが雪乃厳十朗の娘である
私にあるんじゃないかってね…!」
鵜伏「なっ…!!」
鵜伏「…ははは。」
鵜伏「本当、貴方達には驚かされるよ。」
鵜伏「こんなことまで考えつくなんてな…」
鵜伏「…最後に1つ…。」
鵜伏「私は、私をこんなことにした
この社会を許さない。」
そう言って鵜伏はコートを脱ぐと…
隠れていた爆弾があらわになった…
主人公「なっ…!?」
鵜伏「それでは、シーユーアゲイン、
また直ぐに会いましょう。」
楓花「伏せて!!」
カチャ
ボガァァン!
ーー
こうして、鵜伏大海と雪乃財閥との
戦いが幕を閉じた…。
あの後舞の協力により雪乃財閥の
不正の証拠や鵜伏による
不正な研究が次々に見つかった。
大きな社会問題となり、世界的にも
大きな出来事となった…
そんな中で、父さんが雪乃財閥の研究データを
全て閲覧して、それを今から聞かせてもらうことになった…
ガチャ
葉桜「 …来たか。」
主人公「うん、それで、どうだった…?」
葉桜「…。」
辺りが静寂に支配される。
並々ならぬ雰囲気に包まれ、
重苦しい空気が漂っているみたいだ…
葉桜「…お前に言わなきゃ
いけないことがある。」
主人公「…それって?」
あぁ、来たんだな、俺にもこの現実と
向き合う時が…
いずれ来るとは分かってた、けど…
葉桜「いいか、 …」
葉桜「鵜伏さんの研究所を全て
残らず見たが、特効薬なんて見つからなかった…」
葉桜「…つまりだ。」
あぁ、全てを察したよ…
この先に待ち受ける運命も全て。
葉桜「お前が助かることは無い。」
主人公「…!」
…あはは。
もう笑うしかないよ。
薄々分かってたんだよ、俺が死ぬって事は…
だから、諦めてたんだよ、生きる事を…
それだからか、震えもあまり無かった…
俺が死ぬって事が確信に変わったのは
試練のときだった…
ーー
主人公「ここは…?」
さっきまでの研究所とは打って変わって
家の様な場所に出た…
しかも…
主人公「ここは…俺の家?」
ここは本土にいた頃の家の様だった…。
主人公「…奥に誰か居る…?」
父親「…。」
主人公「…父さん?」
父親「…なぜお前は助かろうとする?」
主人公「…え?それは…」
父親「なぜ特効薬なんて手にしようと
している?なぜだ…。」
主人公「それは…」
主人公「生きたい、から…。」
父親「…本当は助かる気なんてないんだろ?」
主人公「…え?」
父親「お前本当は葉桜幽希の抗体が死んでるって
聞いたとき全部諦めたんだろ?
俺は知ってるんだよ…」
主人公「…な、何でそれを…?」
…実際にそうなんだ。
俺は葉桜幽希の中の抗体が死んだと
聞いた時もう助かることはないだろうと
確信した。
何となく分かるんだ、鵜伏は葉桜幽希の
抗体をみすみす死なせないって…
だって、あいつの立場からしたら
最高の研究材料である抗体を
葉桜幽希の体から取り出さないわけがない…
挙句にその抗体を死なせるなんて
考えられない…。
父親「なんで、お前はそれを知った上で
ここに来た?なぜだ…」
主人公「…それは…。」
主人公「目的があってここに来てるのは
俺だけじゃない。」
主人公「…みんなそれぞれ考えがあって
ここに来てる、それが俺の大切な人と来れば 放っておく訳には行かないよ…。」
父親「…それが、それがお前の答えか…。」
主人公「…あぁ、間違いない。」
父親「…お前の試練は以上だ…。」
父親「行け、扉の奥に…。」
主人公「あぁ、ありがとう…。」
父親「だが、最後に一つだけ…。」
父親「少しは自分の事も大切にしろ、
自分自身はこの世に一人しか居ないんだ…。」
主人公「…。」
ガチャ
ーー
この事は、あまりに現実味がありすぎた…
全て納得してた自分が居たんだよ。
紫央も舞も鈴さんも結衣も楓花さんも
父さんも皆俺が助かるために
頑張ってくれたのに、
俺は最後の最後で諦めてたんだよ、
本当に皮肉だよな…
葉桜「この事を他の人にそのまま話してもいい、
嘘を言ってもいい…」
葉桜「俺はその意思を尊重する。」
主人公「…ありがとう。」
葉桜「いいか、お前に残された時間はあと僅かだ、
その残り時間を有用に使え…。」
主人公「…分かった。」
主人公「俺は…」
主人公「…。」
皆に傷付いて欲しくない、せめて
俺が生きてる間は皆を哀しませたくない…
こんな事にまで巻き込んでしまったんだからな…
主人公「決めたよ、俺、皆に嘘吐く。」
葉桜「…本当に、いいんだな…」
主人公「…」
これでいいんだ、これで…
主人公「うん、いいよ…」
葉桜「…分かった。」
葉桜「俺もそれで話を合わせるよ。」
葉桜「この事は俺と二人だけの秘密だ。」
主人公「あぁ…!」
俺の父さんが…この人でよかったと常々思う。
もし俺の父親がずっとこの人だったら
どれだけよかったことか…
葉桜「…思いっきり楽しんでこい、 …!」
主人公「…あぁ!」
父さんと硬い契りを交わした…
…そして、今俺の最後の季節が、
誰にも知られず始まろうとしていた…
next…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます