第5話

…私は昔から心配性な所がある。


何故なら、私はずっと親に虐げられてきたからだ…


雪乃財閥の跡取りとして期待され、でも

期待に答えられなくて、それで怒られて、

何度も何度も暴行を受けた…。


私はずっと一人でいいと思っていた。

他人を信じることが出来なかったからだ。


…でも、私は変わった…。


私にとってとても価値のある出会いをしたからだ…。


ーー


結衣「…。」


今日も駄目だった。


簡単な問題も解けなかった、父さんは

私の事を出来損ないのクズだって言った。


ずっと変わらない、、いつものことなのに…


何でこんなに涙が出てくるんだろう…。


…怖い、全てが怖い…


結衣「っぐ…うぅ…」


結衣「うぅ…」


結衣「うわぁぁぁん!」


主人公「っ、何だ…!?」


紫央「女の子…泣いてる…!」


主人公「おい、お前大丈夫か!」


結衣「っ…!」


主人公「怯えてるのか…?」


主人公「っ、酷い…!」


紫央「どうしたの…?」


主人公「これ、見ろよ…」


紫央「っ、何、これ…!?」


主人公「根性焼きなんて始めてみたよ…」


紫央「大丈夫?ハンカチ持ってるから使って!」


結衣「…!」


主人公「と、とりあえず家まで連れてこう…!」


紫央「うん、分かった…!」


紫央「大丈夫…?歩ける?」


結衣「っ…!?」


結衣「む…むり…」


紫央「だって、どうする?」


主人公「俺が担いで行く、いいか?」


結衣「…!」


主人公「大丈夫だ、怖くないぞ…」


主人公「ほら、俺の背中に乗って。」


結衣「っ…」


主人公「ほら、痛いことはしないから…」


結衣「…!」


結衣「っ…」


ギュゥッ


主人公「乗ったな、行くぞ…!」


紫央「うん!」


主人公「俺の家はここから近いんだ、

あまり急ぎすぎずに行くぞ…!」


紫央「分かった…!」


主人公「大丈夫だ、すぐに着くからな!」


結衣「…」


主人公「…まだか…」


紫央「もう、着くわよ…」


主人公「っ、着いた…。」


ガチャ


主人公「ただいまー!」


紫央「お父さん、少しいい…?」


島父「ん?紫央ちゃんか…どうしたんだ?」


紫央「女の子が公園で泣いてて…

それで、安全なここまで連れてきたの…」


島父「何?それは大丈夫なのか…?」


紫央「うん、酷く怯えてるみたいで、腕には

根性焼きの跡があったの…。」


島父「それはまずいんじゃ…根性焼きなんて、

ヤクザのすることだろ…?」


紫央「おそらくこの子は虐待を受けてる、

放っておいたらもっとまずいことになる…!」


島父「…それもそうか、だがどうするんだ…?」


紫央「そこは が何とかしてくれるわ…」


島父「…そうか。」


ーー


主人公「…単刀直入に言うぞ。」


主人公「お前の体のいたる所にある傷は

誰につけられた物なんだ…?」


結衣「…!!」


主人公「いや、言いたくないなら

言わなくていいんだ、ただ個人的に

気になっただけなんだ…。」


結衣「…。」


結衣「…さん。」


主人公「え?」


結衣「お父さんにつけられた…」


主人公「…そうか…。」


主人公「…毛布あるけど、被るか?」


結衣「…うん。」


主人公「…。」


主人公「…なぁ、何があったんだ…?」


結衣「…怒られた…」


主人公「…それはどんな風に?」


結衣「…。」


結衣「役にたたないって…お前は一族の

恥さらしのクズだって…言われた…。」


主人公「なっ…!?」


紫央「 、そっちはどう?」


主人公「…最悪だ。」


主人公「この子は虐待を受けてる。」


紫央「…やっぱり?」


主人公「あぁ、しかも父親に。」


紫央「…この子、どうするの…?」


主人公「…警察に何とかしてもらうか…?」


紫央「それでどうにかなる物なの…?」


主人公「うーん…どうしようか…」


結衣「あ、あの…。」


紫央「ん、どうしたの?」


結衣「わ、私は、戻って大丈夫だから…」


結衣「気にしないで…」


主人公「いやいや気にするよ、だって

そんな傷だらけなんだもん…」


紫央「児童虐待は立派な犯罪よ、だから…」


結衣「…どうせ揉み消される…」


主人公「…は?」


結衣「知ってる?私のお父さんの会社の

力があればそんなことすぐに揉み消せる…」


主人公「そんな…!どうにかなんねぇのかよ!」


結衣「…何で、私なんかにそんなに

優しくしてくれるの…?」


主人公「心配だからだよ…」


主人公「そんな傷だらけなのに、

心配しない訳あるかよ…!」


結衣「っ…だって…だって…!」


結衣「お父さんは私のことどうしようもない

クズだって…!」


主人公「そんな言葉真に受けるな!」


結衣「でっ、でも…」


主人公「いいか、お前のお父さんはお前の事

なんか何1つ考えてくれはしない…!」


結衣「でも、親は子供のことを

愛してくれるんでしょ…?」


主人公「いいか…?本当の親って言うのは、

こう言うことだ…!」


ギュゥゥゥ


紫央「ちょ、 、なにやってんの…!!」


結衣「…ぁ…?」


主人公「いいか…?本当に子供のことを

想ってる親って言うのは子供のことを

どうしようもないクズなんて言わないし、

殴ったりもしないんだ…。」


結衣「え…?」


主人公「こうやって優しく抱きしめてくれる…」


主人公「一応聞くが、お前のお父さんは

こう言うことをしてくれたか…?」


結衣「…!」フリフリ


主人公「だろ?」


結衣「…ねぇ、私って悪い子なのかな…」


主人公「いや、違う…」


結衣「…!」


主人公「お前は良い子だ…それだけは絶対だ。」 


結衣「…うん!」


紫央「そう言えば、名前は何て言うの…?」


結衣「私…」


結衣「私は…結衣!」


紫央「分かったわ、よろしくね、結衣…!」


結衣「うん!」


主人公「俺は 、こいつは紫央だ…。」


結衣「よろしくね、二人とも…。」


ピンポーン


結衣「…!」


主人公「誰だ、こんな時間に…!」


紫央「ちょっと見てくるね!」


結衣「…うん。」


主人公「気をつけて…」


紫央「うん、分かった。」


ガチャ


結衣「ねぇ、私怖い…」


結衣「ねぇ、 …。」


結衣「さっきのあれ、またやって…」


主人公「あぁ、分かった…」


ギュゥゥゥ


結衣「…えへへ。」


結衣「これ、いいな…」


主人公「そうか、よかった…。」


ガチャ


紫央「っ…」


紫央「ねぇ、大変よ…」


結衣「っ…!」


紫央「結衣に迎えが来たって…!」


主人公「な…どうやってここを…!」


紫央「私達が帰る所を見られてたみたい…!」


主人公「駄目だ、あいつらには絶対結衣を

引き渡すな…!」


紫央「分かってる、けど…」


結衣「…いい。」


主人公「…え?」


結衣「いいよ、私戻る…。」


主人公「そんな、無茶だ…!!」


結衣「そうしないと、二人を困らせちゃう…」


主人公「はぁ?俺達は困ってなんか…」


ガチャ


黒服「見つけましたよ、お嬢様…」


紫央「っ…!!」


黒服「さぁ、早く戻りますよ…!」


主人公「辞めろ…!」


黒服「…何でしょう?」


主人公「結衣に、触るなぁ!」


主人公「うわぁぁぁぁぁ!!」


結衣「やっ、やめて…!」


ドサッ


黒服「ぐ…何を…!」


黒服「このっ!」ヒュッ


主人公「うわぁ!」ドォン


紫央「 !大丈夫!?」


主人公「俺はいい…それより…」


黒服「お嬢様、行きましょう。」


紫央「止めて…この子を連れ戻さないで…!」


黒服「…申し訳ありませんが…これが

私の仕事ですので…」


紫央「この子が…結衣が虐待を受けてるのは

知ってるでしょ、だから…!」


黒服「…私も止めたい気持ちは山々です。」


黒服「ですが、あの人を止めることは

誰にもできはしない…。」


黒服「…退いてください、私はここから

お嬢様を連れ出さなければならないのです…」


紫央「っ…!」


紫央「ごめん、結衣…!」


黒服「ご協力、誠に感謝致します…。」


黒服「この御恩は、一生忘れはしません…」


主人公「待て…」


黒服「…何ですか?」


主人公「…すまなかった、そっちの事情も

知らずに突っ込んで…」


黒服「…私は構いません、このような事には

慣れていますので…。」


黒服「…私から、1つ貴方にお願いしても

よろしいですか?」


主人公「…何だ?」


黒服「どうか…お嬢様を守ってください。」


主人公「…お安い御用だ。」


黒服「それは心強い、ありがとうございます…」


黒服「それでは、私はこれで…。」


黒服「行きましょう…。」


結衣「…はい。」


主人公「…。」


主人公「…結衣…。」


紫央「…私、どうすればいいのか分かんない…」


主人公「…俺達に出来ることは、結衣の心を

少しでも温めてやることだ…。」


紫央「そうね、私達はそうするしかないわ…」


主人公「長い戦いになりそうだな…」


紫央「…そうね…。」


主人公「とにかく、頑張らなきゃな…」


紫央「…えぇ。」


ーー


あの日、二人に出会えて本当に良かった…。


あの時出会えてなければ、わたしは今頃

どうなっていたか…。


特に には恋心に近い想いを抱いてた…。


優しい二人にずっと甘えて居たかった…。


でも、私は弱かった、ずっと弱いままで…


あんなことになった…


ーー


紫央「結衣ッ!大変!!」


結衣「どうした紫央、そんな急に…」


紫央「ハァ…ハァ…!」


紫央「 のご両親が死んで、 が本土に

引き取られることになった…!!」


結衣「…は?」


紫央「このままじゃ…もう に会えないかも…」


結衣「嫌だ…」


結衣「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ…!」


結衣「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


ガシャァン!


結衣「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


ドォン!


結衣「はぁ、はぁ…!!」


結衣「あぁ…あぁ…!!」


紫央「結衣…!」


結衣「嫌だ…嫌だよそんなの…!!」


結衣「何で…どうして の親は

死んじゃったの…!?」


紫央「分からない、けど事故死って

ことになってる…!」


結衣「絶対おかしいよ、

そんな事故が起こるなんて…」


結衣「…まさか…」


結衣「私の親が…?」


紫央「…有り得ない話ではないわ…」


結衣「そんな…どうして…!!」


紫央「…こんな事は言いたくないけど、

多分雪乃財閥を確実に終わらせることの

出来る物証を集めようとして、そして

気づかれて殺されたんだと思う…。」


結衣「っ…そんな、酷い…!」


紫央「…正直、私も許せないわ…。」


紫央「だからこそ、私達も…!」


結衣「無理だよ、あんなのを

倒すなんて無理だ…」


紫央「…無理なことでもやるしかないの…」


結衣「…そう、だね…」


紫央「…でも、あいつが居なくなるのは…」


紫央「…嫌だ…!」


結衣「…!」


紫央「あいつが居ないなんて…絶対嫌!」


結衣「…うん…。」


紫央「ねぇ、どうにかならないかな…!?」


結衣「どうしよう…どうしよう…!!」


紫央「…多分、今の私達じゃどうにもならない…」


結衣「そ、そんな…!」


紫央「でも、雪乃財閥に不満を持ってる人間は

多数居る、だからきっと私達にもいつか機会が

訪れるはず…!」


結衣「…それまで待つしかないの…?」


紫央「恐らく…。」


結衣「そんなの…嫌だよ…」


紫央「…私達は無力なの、いくら頑張っても

どうも出来ない…!」


結衣「どうして…!」


紫央「私達は私達が思ってる以上に無力なの…

どうしようもないわ…。」


結衣「…そんな…。」


結衣「うぅ…あぁ…」


紫央「な、泣かないで結衣…」


結衣「だってぇ…だってぇ…」


紫央「今は無理、無理だけどいつかきっと…」


結衣「そんなの、来るの…?」


紫央「来るわ、チャンスは近いうちに…!」


紫央「いい?信じるの、また と会えて、

また笑い合える日々が来るって…!」


結衣「…!」


紫央「信じてれば、きっと奇跡は起きるわ…!」


結衣「紫央…!」


紫央「だから、今は信じて待ち続けましょう…」


結衣「…うん!」


ーー


この時は紫央も希望を持ち合わせてた。


 が島に必ず帰ってくる、

そう信じてたからだ…。


…けど、この後お姉さんが死んで、

紫央はおかしくなってしまった…。


ーー


結衣「お、おーい、紫央…?」


紫央「…。」


結衣「探したんだぞ?何処行ってたんだ…」


紫央「…もう、終わりよ…」


結衣「…え?」


紫央「みんな、私から離れていく…」


結衣「…!」


紫央「あいつに…お姉ちゃんに…みんな…」


紫央「ねぇ…結衣、貴女まで

居なくならないわよね…?」


結衣「…うん…。」


紫央「もう…私何もかも嫌になっちゃった…」


紫央「疲れた…」


紫央「結衣…」


結衣「…何…?」


紫央「あいつは何で本土なんかに行ったの…?」


結衣「え、そっ、それは…」


紫央「私の事嫌いになったのかな…」


結衣「そ、そっ、そんな…」


紫央「みんな、みんな死んだの!

私のせいで…!」


紫央「もう、嫌なの…!!」


結衣「…!!」


紫央「結衣…」


紫央「結衣まで居なくならないよね…?」


結衣「…あぁ…」


紫央「…私、もう立ち直れないかも…」


結衣「信じてれば奇跡は起きるんでしょ?

だから、きっと…」


紫央「無理よ。」


結衣「…は!?」


紫央「私、何も分かってなかった。」


紫央「この世界に希望なんかない。」


結衣「そ、そんな、どうして…!」


紫央「みんな!みんな死んだ!」


紫央「私のせいで…私のせいで…!!」


結衣「し、紫央…落ち着いて!」


紫央「無理よ!もう無理…。」


紫央「…しばらく放っておいて…!」


結衣「ま、待って…!!」


結衣「…あ。」


ーー


もう駄目かと思った、紫央まで希望を

失って、目の前が真っ暗になりかけた。


だが、全てが終わった訳では無かった。


…私達が希望を取り戻したのは、

つい最近の事だ…。


ーー


結衣「…。」


…もう、私達も少しで高校生になるのか…。


…結局まだ とは会えてない。


それに、紫央とももう何年も話してない…。


何度か見かけて、挨拶もしたが返事が無かった…


…本当に紫央は立ち直れていない…。


結衣「どうすりゃいい…いっそのこと

家出でもするか…?」


ドサッ


結衣「っ…!?」


???「ちょっと、こっち!」


結衣「ん、んんっ!!」


???「喋らないで、お願い…!」


結衣「がぁっ、あんた、何なんだ…」


結衣「…待て、あんたまさか…」


???「私は、雪乃楓花、貴女と同じ

雪乃の人間よ。」


結衣「噂には聞いてる、私の父さんに

逆らって紫央を生かして、そのまま

殺されたって…。」


楓花「…知ってるの?」


結衣「割と雪乃では有名な話だからな。」


結衣「貴女にはいくつか聞きたいことがある、

少しいいか…?」


楓花「えぇ、いいわ…。」


結衣「じゃあ、早速だが…。」


結衣「…なぜ紫央が雪乃の人間に

何もされていない…?」


楓花「…そっちなの?」


結衣「いや、妙だと思ったんだよ…」


結衣「執念深い雪乃の人間が祭りを

失敗させた紫央を殺さないのはどう考えても

おかしいんだ、何かしたのか…?」


楓花「…鋭いわね、流石雪乃家本家の

跡取り娘は違うわね。」


結衣「…そんなんじゃないよ、私は…。」


結衣「ただの臆病な少女さ…。」


楓花「…そう?私には貴女がただ者とは

とても思えないけど…。」


結衣「…そうなのか…?」


結衣「それより、結局どうなんだ…?」


楓花「それに関して、私は何もしていないわ…」


結衣「え、そうなのか…?」


楓花「確かに奴らは執念深い、ただ同時に

飽きっぽい…。」


楓花「奴らの紫央ちゃんへの興味はもう

とっくの昔に失せてるわよ…。」


結衣「…何だそりゃ、意味わかんね。」


楓花「…私にもわからないわ。」


結衣「それじゃ、次…」


結衣「死を偽った後、何をしてた?」


楓花「…なるほど、そう来るか…」


楓花「…私はあの後島を出て、あの子を…

 を見ていたわ。」


結衣「なっ…!!?」


結衣「あ、あいつは!?今何してる!?」


楓花「…あの子はこの島に戻ってくるわ。」


結衣「はぁぁ!!!?」


結衣「え、そ、それは、本当か!!?」


楓花「ええ、間違いないみたい…」


結衣「やった…やったよ…!!」


楓花「そして、貴女に協力して

欲しいことがあるの…。」


結衣「…それは?」


楓花「私達は、雪乃財閥を潰す…!」


結衣「っ…!!」


楓花「そのために、不正の証拠を集めてるの…」


結衣「や、やる!私も、紫央もきっとやる!」


楓花「…いい返答が聞けて良かったわ。」


結衣「待ち望んでたんだ…7年前から

ずっと、ずっとこの時を…!!」


結衣「やっと…やっと機会が来た…!」


結衣「それに もこの島に戻ってくるなんて、

最高すぎるよ…!!」


楓花「…私はしばらく島に居るわ、

そして計画を進める体制を整える…。」


楓花「じゃあ、次は紫央ちゃんの

所へ行きましょう…。」


結衣「…はい!」


ーー


結衣「…。」


主人公「す、すまない、すぐに戻る…」


結衣「い、いや、待ってくれ…」


主人公「…どうした?」


結衣「…少し、私の話を聞いてくれないか…?」


主人公「…構わない。」


結衣「…私、限界かもしれない…。」


主人公「…え?」


結衣「今までずっと耐えてきたけど、もう無理…」


結衣「 が死ぬなんて考えただけで、

頭が割れそうになるんだ…。」


主人公「…そうなのか…。」


結衣「うん…ずっと不安なの、もう、いつもの

口調を維持するのも無理…。」


結衣「怖くて、震えが止まらない…」


結衣「だから、しばらく側にいてくれないかな…」


結衣「吐いた跡はすぐ片付けるから…」


主人公「あぁ、分かった。」


結衣「ありがと…。」


ーー

結衣「…すまないな、見苦しい所を

見せてしまって…」


主人公「…別に、俺は構わない…。」


結衣「…私の事、どう思ってる…?」


主人公「結衣のこと…か?」


結衣「あぁ…気になったんだ。」


主人公「結衣のをどう思ってるか…か。」


主人公「良い奴だよ、お前は…」


結衣「っ、他には…?」


主人公「ずっと余裕がある感じで…」


結衣「余裕がある、か…。」


結衣「私、本当はそんなんじゃないんだよ…。」


主人公「え…?」


結衣「本当は、いつも何かが

怖くて堪らないんだ…」


結衣「自分を強く見せてるだけ、本当は

全部嘘…。」


結衣「みんなに失望されたくないんだよ…」


結衣「…ねぇ、怖いよ…」


結衣「ねぇ、 …私の事、抱きしめて

欲しいんだ…。」


結衣「…いいかな…?」


主人公「あぁ、いいぞ…」


結衣「うん…ありがと…」


主人公「じゃあ行くぞ、結衣…」


結衣「うん…!」


ギュゥゥゥ


結衣「あぁっ…んんっ、はぁっ…」


主人公「ちょ、変な声出すな…」


結衣「ごめん、つい…」


結衣「あっ、そこもっと撫でてっ、はっ、

あぁっ、気持ちいい…」


主人公「…そうか…」


主人公「…結衣、大丈夫なのか…?」


結衣「…大丈夫じゃないかも…」


結衣「私の親が皆にこんな酷いことを

させてるって考えたら凄く苦しくなるの…」


主人公「…結衣は悪くないよ…」


結衣「…うん…。」


主人公「確かにお前の親は許されちゃいけない

ことを沢山してきた、でも、だからって

結衣が罪を背負うことはないんだ…。」


結衣「そう、なの…?」


主人公「あぁ、そうだ…!」


結衣「…ねぇ、 …。」


結衣「…。」


主人公「何だ…?」


結衣「えっと、その…」


結衣「す…」


バァン!


紫央「結衣、大変!」


結衣「あ…。」


紫央「…え?」


紫央「…」


紫央「た、大変なの、実は、鵜伏が

この近くに来てるらしくて…」


主人公「は…!?」


結衣「え、嘘…」


結衣「ど、どうしてそんなことになったの…?」


紫央「…分からない、けど全員を

集めろって言ってるらしい…」


主人公「鵜伏と会ったのか…!?」


紫央「楓花さんが見に行ったら

話しかけられたらしくて…」


紫央「とにかく、行こう…!」


結衣「…うん。」


主人公「…いいのか?結衣…」


結衣「この続きは後でね…?」


主人公「あぁ、分かった…」


ーー


舞「あ、来たよ…」


主人公「なぁ、どうなってんだ…?」


楓花「あいつの考えてる事はわからないわ…」


主人公「…クソ、気に食わないな…」


鵜伏「皆さん、よく集まってくれました…」


主人公「っ、鵜伏…!」


鵜伏「皆さん私の研究所は見つけてくれた

らしいですね…?」


楓花「…。」


鵜伏「折角ですし、私が研究所まで

送っていきますよ。」


主人公「…何だよ?」


鵜伏「何、どうせ長い付き合いになるんですし、

ここは1つ私からのサービスですよ。」


鵜伏「安心してください、私は皆さんとの長い

付き合いを想定してますので、危険なことは

しませんよ…それくらい私も弁えてます…。」


主人公「…」


鵜伏「では、こちらです…。」


主人公「…。」


舞(恐らくまたあのバリアがある、だから

銃弾は効かない…)


舞(どうにかして鵜伏、あいつの隙を見て

殺せないか…?)


鵜伏「…皆さん歩いてる間暇でしょうし、

少し昔の話をしましょうか。」


主人公「…は?」


鵜伏「聞き流してくれても構いませんよ、

私が勝手に話してるだけなので…」


鵜伏「…。」


鵜伏「私には古くからの友人が居た…」


鵜伏「その友人とは上司と部下と言う間柄では

あったが、それすら関係なく心を許せる

大切な友人だった…。」


鵜伏「今まで誰にも興味を持たれなかった

私にはそれがとても心地よかった…。」


鵜伏「でも、それも長くは続かない…」


鵜伏「彼は雪乃家の分家の嫁と不倫をした。」


鵜伏「その事実が判明して、雪乃財閥が

黙っている訳がなかった…」


鵜伏「彼は処刑された、悲しかったな…」


鵜伏「でも…彼は私の人生に

多くの実りをくれた。」


鵜伏「時に気の許せる友人として、

よき理解者になってくれた…」


鵜伏「…そして何より…」


鵜伏「私に親と子の愛の素晴らしさを

教えてくれたんだ…」


鵜伏「私は雪乃財閥から任された

一大プロジェクトを彼の苗字からとって、

葉桜プロジェクトと名をつけることにした…。」


鵜伏「…。」


鵜伏「ここですね、着きました…」


鵜伏「それでは、私がいるのはここまでです。」


鵜伏「皆さんの健闘を祈ります…。」


ガチャ


舞「…。」


鈴「…どうしようか。」


舞「行くしかないんだよね…?」


楓花「そうね…場所も一致してるし、

行くしか選択肢はない…。」


主人公「…いいか、何かあったら逃げろ、

後は俺が何とかする…」


鈴「そ、そんな…無茶だよ!」


主人公「…大丈夫です、俺は…」


鈴「そんな…」


舞「…とりあえず、もう行っちゃう…?」


結衣「うん、行こうか…」


主人公「…行くぞ!」


楓花「っ…!」


ガチャ


そこには、目を疑う光景が広がっていた…


鈴「な…っ!!」


舞「ひ、人が磔にされて…いや、生きてる…!」


主人公「いや…あれは…!!」


楓花「…そんな、何て事…」


紫央「あれは…間違いない!」


結衣「 のお父さんとお母さん…!」


鈴「え…!?」


舞「あ、あれが の本土での両親…。」


楓花「まさか鵜伏の手にかかっていたなんて…」


鵜伏「これから、皆さんにはゲームを

してもらいます…。」


主人公「っ、鵜伏!これはどう言うことだ!」


鵜伏「落ち着いて、ゲームをクリアすれば

二人は生き残れます…。」


主人公「ゲームってなんだよ…」


鵜伏「単純ですよ、クイズに

答えてもらうだけです。」


鵜伏「全部で10問あって、その内7問

正解できればゲームクリアです…」


鵜伏「あぁ、みなさんでも正解できる

問題を持ってきているので、ご安心ください…」


楓花「…どうすれば…」


舞「最悪、あの拘束をどうにかして

取るしかないよ…!」


結衣「…でも、出来るかな…」


舞「やるしかないの…そうしないと、

 のお父さんのお母さんが…」


結衣「そ、そうだよね…」


舞「…?」


舞(何か、結衣雰囲気いつもと違う…?)


鵜伏「それでは、早速ですが第一問。」


鵜伏「雪乃財閥の社長の名前を答えてください。」


結衣「…雪乃厳十朗…」


鵜伏「正解です…!」


鵜伏「そして、こちらが正解の賞品となります!」


ガチャ


ボトン


鈴「え…?」


結衣「い、いやぁっ!」


主人公「な、生首…!?」


楓花「これは…間違いなく雪乃厳十朗よ!」


主人公「じゃ、じゃあ結衣の父さんが

殺されたってのは本当なのかよ…!!」


結衣「こっ、怖い…!」


舞「結衣、どうしたの…!?」


結衣「嫌っ、嫌ぁ…!」


ーー


結衣父「こんな問題も出来なかったのかぁ!」


パリィン!


結衣「がっ!」


結衣父「雪乃家の恥さらしが、死に晒せ…!」


ボガ


結衣「あぁっ、ごめんなさい、ごめんなさい…」


結衣父「謝るくらいなら、出てけ、この

虫ケラが、消え失せろ!!」


結衣「が、あぁ…」


ーー


結衣「あぁ…っ…」


舞「ゆ、結衣…?」


結衣「 …!怖い…」


主人公「ゆ、結衣…」


結衣「どうしよう…昔の事を思い出しちゃうよ…」


主人公「大丈夫だ、大丈夫だからな…」


俺はそう言って結衣を抱き寄せる…


結衣「 …!」


鵜伏「…次の問題に移行しても

よろしいでしょうか?」


主人公「…あぁ。」


鵜伏「それでは、次の問題です。」


鵜伏「雪乃財閥が行った主な

不正とは何でしょう?」


鵜伏「我々研究班が行った兵器の

製造は除きます。」


主人公「…談合。」


鵜伏「正解です、よく分かってますね…」


鵜伏「それでは、こちらが賞品になります。」


舞「…これって…?」


主人公「…何だこの紙は…」


鵜伏「それには私が製造した人間兵器の

型番が書かれています。」


主人公「型番…?」


楓花「…本当に書いてあるわ、どうやら

人間兵器は様々な種類が居るようね…」


主人公「…何だと…?」


鵜伏「そこにはそれぞれの型番ごとの

特徴も書いてあるので、これが終わり次第

ぜひご拝見ください。」


鵜伏「それでは、第3問…」


鵜伏「雪乃結衣は父親である厳十朗から

虐待を受けていたが、同じ雪乃の雪乃楓花は

親から虐待を受けていた?」


楓花「…受けていないわ。」


鵜伏「正解です…」


鵜伏「どうやらそちらの楓花さんは

親から愛情を受けて育っていたようですね…」


鵜伏「…彼には本当に驚かされる…。」


結衣「…。」


鵜伏「では、次の問題。」


鵜伏「伊上舞が大野家本家の人間である、

これが意味することを答えよ…」


舞「…え?」


主人公「舞が大野家の人間で、

何が起こるって言うんだ…?」


紫央「…分からない、けど…」


紫央「何か手がかりはあるはずよ…」


楓花「ないの…?何か、手がかりに

なる物は…」


主人公「佑伸さんが何か関わって来るか…?」


舞「それだ!何かないの…?」


楓花「…検討もつかないわね…」


主人公「そんな、どうすれば…」


鵜伏「…時間切れです。」


主人公「…は!?」


鵜伏「正解は…」


鵜伏「大野家本殿にアクセス出来る、でした。」


主人公「は…?」


鵜伏「流石にここまでは突き止めていません

でしたか、解説しましょう。」


鵜伏「大野家本殿は古来から現在までの

この島の記録が全て書き記されている…」


鵜伏「…それには私達の研究記録も

記されています。」


舞「え…!?」


主人公「…何!?」


鵜伏「そして伊上舞さんは今現在大野家本殿に

アクセス出来る唯一の人間…」


鵜伏「ですが残念、大野家本殿のセキュリティを

解除するには14桁のパスワードが必要です。」


鵜伏「今皆さんが探している物は

大野家の本殿にある筈です…。」


鵜伏「大野家本殿へ繋がるパスワードは私が

持っています、知りたければ私を満足

させてください…。」


主人公「…。」


鵜伏「あと失敗出来るのは2問だけです、

どうか慎重に…。」


鵜伏「それでは第5問。」


鵜伏「村上紫央が生かされることになった

理由を答えよ。」


紫央「っ…!!」


結衣「紫央…!」


主人公「あいつ…どこまで外道なんだ…」


紫央「私が…生かされることになった理由…?」


紫央「何それ、分かんない…」


舞「っ、何かないの…?」


紫央「本当に、何も…」


鵜伏「それでは、時間切れで…」


主人公「お前が雪乃厳十朗に進言したんだろ!」


鵜伏「…。」


鵜伏「お見事、正解です…!」


紫央「…!!」


鵜伏「本来であれば祭を失敗させた後、

紫央さんも処刑される手筈でした…」


鵜伏「ですが、これで紫央さんの両親は

殺害される、その後に紫央さんが生き残れば

紫央さんは強い罪悪感に苛まれる、そして

その中に私は強い親と子の繋がりを

垣間見ることが出来る…。」


鵜伏「なので、紫央さんは殺さないように

言いました…。」


紫央「っ…」


鵜伏「我々の研究チームで核の研究を

始める事を条件として…」


主人公「なっ…!!」


結衣「…ふざ、けるな…」


結衣「狂ってる…こんなの!!」


鵜伏「でも、感謝してくれてもいいんですよ?」


主人公「…は?」


鵜伏「だって紫央さんは私が働きかけなければ

今ここには居ないんですからね、」


紫央「え…」


鵜伏「ツフフフ…アハハハハハハハハ!!」


主人公「貴様ァァァァァァ!」


鵜伏「はぁ、気を取り直して第6問です。」


鵜伏「双葉家がここまで処刑されずに

ずっと生き残り続けることが出来たのは何故?」


鈴「…え?」


鈴「…何、それ…」


主人公「…何か、知ってることは…?」


楓花「…双葉家は祭とか、そう言うことには

あんまり関わってこなかったから、それが

大きいと思う…。」


主人公「じゃあ、それだ…」


鵜伏「…。」


鵜伏「正解…にしておきましょうか。」


主人公「…は?」


鵜伏「祭に関わってこなかったから、

と言うよりかはそもそもの話雪乃家に

双葉家は興味を持たれてなかったようですね…」


鈴「え…?」


鵜伏「雪乃家にとって、双葉家は表向きは

側近として扱っていた…。」


鵜伏「だが実情は都合のいい捨て駒として

扱っていたようですよ…。」


鈴「…え、そんな…」


鵜伏「世知辛い世の中ですね…能のある人だけが

徴用されて、能の無い人は使えなくなったら

ぽいって捨てられるんですからね…」


鈴「…え…。」


主人公「鵜伏…貴様…!」


鵜伏「まぁまぁ落ち着いて、それより

次の問題です…」


鵜伏「伊上舞は何故眼帯をしているか、

その理由を答えよ…」


結衣「…え?」


主人公「な…!?」


舞「あいつ、私達の過去の情報まで

知っているの…?」


主人公「…。」


主人公「舞はいじめを受けてた。」


主人公「ある時いじめがエスカレートして、

いじめっ子が舞の目にフォークを突き刺した。」


主人公「そのせいで舞は失明したんだ…!」


舞「っ…」


結衣「そっ、そんなことがあったのか…!?」


舞「…うん、あんまり

思い出したくはないけどね…。」


結衣「そ、そうか、すまない…」


舞「いいの…。」


鵜伏「…正解です。」


鵜伏「いやー、いじめと言うのは

よくないですね、純粋な少女の視力すら

奪い去ってしまうんですから…」


主人公「…。」


鵜伏「さっきから反応薄いですね…

流石にそろそろ困りますよ…。」


鵜伏「やれやれ、どうしたんでしょう…」


鵜伏「さて、そろそろ終盤、

第8問にしましょうか…」


主人公「…待て。」


鵜伏「…どうしました?」


主人公「何でお前はそんなことを知ってる?」


鵜伏「と、言いますと?」


主人公「お前が雪乃財閥の人間だから

結衣や楓花さん、紫央の祭りのことに

ついて知ってるのは納得が行くが舞の事まで

知っているのはおかしい…」


鵜伏「ほう…?鋭いですね。」


鵜伏「気が変わりました、次の問題は

それにしましょう。」


主人公「…は?」


鵜伏「なぜ私が舞さんのことについて

知っているのか答えてください。」


主人公「…何でだと思う…?」


鈴「本土に鵜伏のスパイが居たのかな…?」


楓花「いや、その可能性は低いわ…」


舞「え、そうなんですか…?」


楓花「しばらく を見てたけど、その周辺に

それらしき人物は見たことが無いわ…。」


主人公「…じゃあ、何なんだ…?」


舞「…何だろう、分からない…」


結衣「このままだと時間切れになる、

どうにかしないと…」


主人公「っ、くそ、何かないか…?」


舞「…どうしよう、何も浮かばない…」


主人公「くそ…こうなったら…」


鵜伏「そろそろ時間切れですが、

回答はありますか…?」


主人公「…誰かから聞いたんだろ…?」


鵜伏「誰から聞いたんでしょう?」


主人公「っ…!!」


鵜伏「…。」


鵜伏「時間切れ、ですね…」


鵜伏「正解は…」


鵜伏「こちらの方に聞きました。」


鵜伏「制御可能cタイプ、No.17、

起動して起動してください。」


ウィーン…。


主人公「っ、まずい、人間兵器だ…!」


結衣「あれは…?」


舞「…先輩?」


先輩「アハハ、舞…久しぶり。」


舞「…何故ここに…?」


先輩「…あんたのせいよ…」


舞「…え?」


先輩「あんたのせいで私の人生

めちゃくちゃになったのよ…」


先輩「あの後私、理事長に捕まって、

雪乃財閥に人身売買された…」


主人公「なっ…!?」


先輩「それで、こんなクソみたいな体に

改造させられて、あの所長にも逆らえないし

本当に最悪よ…」


先輩「ねぇ…これも全部あんたのせいなのよ…?」


舞「…ねぇ、先輩…」


舞「今話したこと、全部嘘だよね?」


先輩「…は?」


舞「私、分かってたんだよ?先輩が元から

私を助けた目的があの時私に付きまとってた

エースだか何だか知らないよく分からない奴に

近づくためだって…。」


先輩「待って、何でそれを…!!?」


舞「あれ、始末するのに苦労したんだよね…」


主人公「…え!?」


舞「あぁ、大丈夫、殺してはないから。」


舞「ただ、もう二度と女に近づくことの

出来ない体にしてやっただけだから。」


主人公「なっ…!?」


舞「あと、これは風のうわさで聞いた話

なんだけど…。」


舞「私をいじめてた奴らと先輩が

組んでたって本当なの…?」


先輩「…。」


先輩「全部あんたの言う通りよ…!」


先輩「でも、理事長に捕まってこの体に

されたのは本当だから…!」


先輩「しかも捕まった時理事長に

酷いことを沢山されたんだから…!」


先輩「これも全部舞…」


先輩「あんたのせいなのよ…!!」


舞「…それで?」


先輩「…は?」


舞「それだけなの?」


先輩「あと、さっきから何で敬語じゃないのよ…

先輩には敬語使えって言ってるでしょ…!」


舞「え?だってもうお前は先はじゃないでしょ?」


先輩「お前って…あんた、私に向かって…!」


舞「だって、お前にはその程度の価値しか

ないんだよ?」


先輩「でも、私はあんたを助けてやったのよ…」


舞は、隠し持っていた銃の銃口を目の前に

居る人間兵器に向けた…!


そして…


舞「知るかよ。」


バァン


銃を…撃った…


先輩「が…」


舞「やっぱり、人間兵器とは言えどほとんどの

パーツを人間から流用してるみたいだね。」


舞「脳天を撃てば、機能を停止する…」


舞「それに、脳を一部改造してたとはいえ

結局構造は人間と変わらない…。」


舞「チップでも脳に入ってて脳がなくても

動けるようになってたら怖かったけどね…。」


鵜伏「それは一度試してみたのですが、

成功例が一度も無かったので廃案しました。」


舞「…そうなんだ…。」


結衣「舞…どうしたんだ…?」


舞「?どうもしないけど…。」


結衣「いや、だって明らかに雰囲気が…」


舞「…あぁ、そう言うこと?」


舞「…私、皆が思ってるみたいな

いい人じゃないんだよ。」


結衣「舞…。」


鵜伏「…少々建て込みましたが、次の

問題に移行しますよ…。」


鵜伏「第9問です。」


鵜伏「私が雪乃厳十朗を殺すことになった

理由を答えてください…。」


主人公「…何?」


舞「多分、あいつが警察を使おうとしたのが

気に食わなかったんだろうね…。」


主人公「…確かに、それしか考えられないな…」


鵜伏「回答はもう決まりましたか?」


主人公「…雪乃厳十朗が警察を使おうと

したのが気に食わなかったんだろ…?」


鵜伏「…正解です。」


鵜伏「あの年増が余計なことをしなきゃ、

生き長らえられたのに…。」


鵜伏「馬鹿なことするよな…ろくに

警備も敷かずに自分の所の危険な人物と

会話をするなんて…。」


鵜伏「本当、間抜けにも程があるよ、

あのジジイは…。」


鵜伏「…時間も押してるので、最終問題に

行ってしまいましょう…。」


鵜伏「では、最後の問題は…。」


鵜伏「前回貴方達が私達の研究所を襲撃した時

鈴さんのお母さんが処刑されることになった。」


鵜伏「だが、その処刑によって鈴さんの

お母さんは死んだか、答えよ…。」


舞「…え?」


鈴「どう言う、こと…?」


楓花「…多分、あいつが言いたいのは…」


主人公「鈴さんのお母さんが磔にされてた時、

鈴さんのお母さんが生きてたのか、

ってことか…?」


鈴「…え?」


楓花「…そうよ。」


鈴「…嘘、じゃあもしそうだとしたら…」


結衣「鈴さんのお母さんは助けられた

可能性があった…ってことだろ?」


鈴「え…そんな…。」


主人公「…。」


…どうしよう、分からない…。


ここで俺は鈴さんに、皆にどう言えばいい…。


考えろ…考えろ…!


俺の両親の命がかかってるんだ…

そう簡単に外せない…。


どうするか、今決めるしかない…


どうするか…。


…決めた。


主人公「…いや、よく考えたらそれはない!」


結衣「…何?」


主人公「あいつが殺そうとした奴はみんな

確実に死んでいる…。」


主人公「佑伸さんや結衣の父親だったり、

奴が狙いを定めた奴は確実に奴の手で

始末される…。」


主人公「それは、きっと鈴さんの

お母さんにも言えることなんだよ…」


鈴「…本当に…?」


主人公「えぇ、きっとそうですよ…。」


鵜伏「…回答、決まりましたか…?」


主人公「あぁ…。」


主人公「あの時、鈴さんのお母さんは磔に

されていた時、既に死んでいた…!」


鵜伏「…。」


鵜伏「っ…フフフフ…」


鵜伏「アハハハハハハハ!ッハハハハハハハ!!」


主人公「何っ…」


鵜伏「本気で思ってたんですか?鈴さんの

お母さんがあの時死んでたって…。」


鈴「…え…?」


鵜伏「おかしいとは思わなかったんですか?

首に巨大な釘が打ち付けられてるのに、

あれには一滴の血も流れてなかったんですよ…」


結衣「なっ…!!?」


鈴「そんな…じゃあ…」


鵜伏「鈴さんのお母さんは、爆発による

強い痛みを感じながら死んでいったんですよ…」


鈴「嫌だ…嫌だよ、そんな…」


鵜伏「ただ、貴方達の頭がもう少し賢ければ

鈴さんのお母さんは助かっていた、

かもしれませんね…。」


鈴「っ…」


鵜伏「…天国からお母さんが見てくれてますよ。」


鵜伏「貴方の不甲斐ない姿をねェ!!」


鈴「あ…」


バタッ


結衣「っ、鈴さん!」


舞「鈴さん!?」


主人公「鵜伏…貴様…。」


主人公「貴様ァァァァァァァァァァァァ!」


バァン!


鵜伏「あっ、ぶないな…」


主人公「鵜伏を守ってるバリアが、

割れてる…!?」


鵜伏「これの耐久値ももう限界ですか…。」


鵜伏「まあいい…。」


鵜伏「3問とも不正解でしたね…。」


主人公「っ…!!」


鵜伏「それでは、 さんのご両親は

人間兵器に殺してもらいましょう…。」


鵜伏「…この研究所にいる全ての人間兵器を

ここに集めます…。」


鵜伏「あぁそうそう、あなた方も直ぐに

逃げた方がいいですよ、死にたくないならね。」


鵜伏「それでは、私はこれで…。」


鵜伏「また会いましょう。」


鵜伏「あと、この研究所はダミーですので、

もう1つ、正真正銘本当の研究所で、

皆さんをお待ちしてます…。」


鵜伏、「では人間兵器の皆さん、私に変わって

処刑のほど、よろしくお願いします。」


主人公「っ、くそ、待て!」


舞「 、危ない!」


主人公「っ!?」


バァン


主人公「っ、クソ…!」


主人公「あの人間兵器、銃を持ってる…!」


楓花「まずい、このままじゃあの二人が…」


人間兵器「…。」


舞「させるかぁっ!」


バァン


人間兵器「!」ガシャーン


人間兵器「…!」


舞「手伝って!」


主人公「あ、あぁ…!」


結衣「っ!」バァン


人間兵器「…!」ガシャーン


舞「うりゃっ!」バァン


ガシャーン


舞「っ、あと20体くらいはいるよ…」


楓花「っ、この!」バァン


主人公「っ、駄目だ、キリがない…!」


舞「どうしよう、このままじゃ、二人が…」


結衣「っ、今だ!」


結衣は二人の元へ走っていった…。


主人公「お、おい、結衣!」


結衣「っ、待ってろ、今解く…」


主人公「おい、無茶だって…!」


結衣「だって、今助けないと殺される…!」


楓花「っ、危ない!」


人間兵器「…!」


舞「させるかっ!」バァン!


人間兵器「!」ガシャーン


結衣「っ…!」


主人公「っ、うぉぉぉっ!」


結衣「 、何を!?」


主人公「俺も手伝う、だから急げ…!」


舞「人間兵器はこっちで始末しとく、

だから集中して!」


舞「あと、倒れてる二人は楓花さんが

守ってるから安心して…!」


主人公「っ、すまない…!」


結衣「ど、どうして、こっちは危険なのに…!」


主人公「逆に何でお前はこっちに行こうと

思ったんだ…?」


結衣「だ、だって助けなきゃ…この二人は

 のご両親だし、見ず知らずの私にも

良くしてくれたから…!」


主人公「…だからって普通助けられるか?」


結衣「え…?」


主人公「結衣、お前はお前自身が思ってるより

弱くはない、お前は勇気を持っているんだ…」


結衣「…え?」


主人公「それに、俺にとっても結衣は

大切な人間なんだよ…。」


結衣「…!」


主人公「だから…自身を持ってくれ…」


結衣「…ありがとう…」


結衣「っ、解けた!」


主人公「っ、こっちも解けたぞ!」


主人公「急いで安全な場所まで運ぶぞ!」


結衣「あぁ…!」


舞「急いで!人間兵器はなるべく

始末しておくから…!」


主人公「あぁ…!」


舞「楓花さん!」


楓花「っ!」


舞「急いで、なるべく!」


主人公「分かってる、だが…」


結衣「まずい、すぐ近くに来てる…!」


主人公「っぐ、うぉぉぉっ!」


舞「こっちだよ!」


主人公「っ、あぁ…!」


舞「結衣!」


結衣「今行く…!」


舞「早く、そろそろ閉めるよ…!」


結衣「っ、閉めろ!」


舞「うん!」


バタン!


主人公「危なかったな…。」


結衣「あぁ、本当にな…」


舞「…二人はどうですか?」


楓花「まだ、動けなさそうね…。」


舞「にしても、危なかったな…」


主人公「ありがとな、舞…。」


舞「どういたしまして。」


舞「てか、ここってダミーだったんだ…

本当の研究所って何処にあるんだろ…。」


結衣「可能性があるのは…」


結衣「まさか、雪乃財閥の地下か…?」


主人公「…それだ!」


楓花「可能性としてはそれが高そうね…」


主人公「そこなら基本外部からの介入は起きないし

場所がバレる可能性も低い…雪乃財閥の地下なら

それに雪乃厳十朗の監視が届きやすい…。」


結衣「じゃあ、そこの可能性が高いんだな…。」


主人公「あぁ、恐らくは…」


結衣「だが、あそこは雪乃財閥の関係者しか

入れない、どうやって入るんだ…?」


主人公「確か、俺が家紋を持っていたはず…」


結衣「…あ!」


結衣「そう言えば、私 に家紋渡してたね…。」


主人公「それを使えば行けるはずだ。」


結衣「だが、今家紋は何処にあるんだ…?」


主人公「ずっと持ってたから、今は寮にあるはずだ。」


結衣「え、そうなのか…?」


…私は昔から心配性な所がある。


何故なら、私はずっと親に虐げられていて、

臆病な性格に育ったからだ…


雪乃財閥の跡取りとして期待され、でも

期待に答えられなくて、それで怒られて、

何度も何度も暴行を受けた…。


私はずっと一人でいいと思っていた。

他人を信じることが出来なかったからだ。


…でも、私は変わった…。


私にとってとても価値のある出会いをしたからだ…。


ーー


結衣「…。」


今日も駄目だった。


簡単な問題も解けなかった、父さんは

私の事を出来損ないのクズだって言った。


ずっと変わらない、、いつものことなのに…


何でこんなに涙が出てくるんだろう…。


…怖い、全てが怖い…


結衣「っぐ…うぅ…」


結衣「うぅ…」


結衣「うわぁぁぁん!」


主人公「っ、何だ…!?」


紫央「女の子…泣いてる…!」


主人公「おい、お前大丈夫か!」


結衣「っ…!」


主人公「怯えてるのか…?」


主人公「っ、酷い…!」


紫央「どうしたの…?」


主人公「これ、見ろよ…」


紫央「っ、何、これ…!?」


主人公「根性焼きなんて始めてみたよ…」


紫央「大丈夫?ハンカチ持ってるから使って!」


結衣「…!」


主人公「と、とりあえず家まで連れてこう…!」


紫央「うん、分かった…!」


紫央「大丈夫…?歩ける?」


結衣「っ…!?」


結衣「む…むり…」


紫央「だって、どうする?」


主人公「俺が担いで行く、いいか?」


結衣「…!」


主人公「大丈夫だ、怖くないぞ…」


主人公「ほら、俺の背中に乗って。」


結衣「っ…」


主人公「ほら、痛いことはしないから…」


結衣「…!」


結衣「っ…」


ギュゥッ


主人公「乗ったな、行くぞ…!」


紫央「うん!」


主人公「俺の家はここから近いんだ、

あまり急ぎすぎずに行くぞ…!」


紫央「分かった…!」


主人公「大丈夫だ、すぐに着くからな!」


結衣「…」


主人公「…まだか…」


紫央「もう、着くわよ…」


主人公「っ、着いた…。」


ガチャ


主人公「ただいまー!」


紫央「お父さん、少しいい…?」


島父「ん?紫央ちゃんか…どうしたんだ?」


紫央「女の子が公園で泣いてて…

それで、安全なここまで連れてきたの…」


島父「何?それは大丈夫なのか…?」


紫央「うん、酷く怯えてるみたいで、腕には

根性焼きの跡があったの…。」


島父「それはまずいんじゃ…根性焼きなんて、

ヤクザのすることだろ…?」


紫央「おそらくこの子は虐待を受けてる、

放っておいたらもっとまずいことになる…!」


島父「…それもそうか、だがどうするんだ…?」


紫央「そこは が何とかしてくれるわ…」


島父「…そうか。」


ーー


主人公「…単刀直入に言うぞ。」


主人公「お前の体のいたる所にある傷は

誰につけられた物なんだ…?」


結衣「…!!」


主人公「いや、言いたくないなら

言わなくていいんだ、ただ個人的に

気になっただけなんだ…。」


結衣「…。」


結衣「…さん。」


主人公「え?」


結衣「お父さんにつけられた…」


主人公「…そうか…。」


主人公「…毛布あるけど、被るか?」


結衣「…うん。」


主人公「…。」


主人公「…なぁ、何があったんだ…?」


結衣「…怒られた…」


主人公「…それはどんな風に?」


結衣「…。」


結衣「役にたたないって…お前は一族の

恥さらしのクズだって…言われた…。」


主人公「なっ…!?」


紫央「 、そっちはどう?」


主人公「…最悪だ。」


主人公「この子は虐待を受けてる。」


紫央「…やっぱり?」


主人公「あぁ、しかも父親に。」


紫央「…この子、どうするの…?」


主人公「…警察に何とかしてもらうか…?」


紫央「それでどうにかなる物なの…?」


主人公「うーん…どうしようか…」


結衣「あ、あの…。」


紫央「ん、どうしたの?」


結衣「わ、私は、戻って大丈夫だから…」


結衣「気にしないで…」


主人公「いやいや気にするよ、だって

そんな傷だらけなんだもん…」


紫央「児童虐待は立派な犯罪よ、だから…」


結衣「…どうせ揉み消される…」


主人公「…は?」


結衣「知ってる?私のお父さんの会社の

力があればそんなことすぐに揉み消せる…」


主人公「そんな…!どうにかなんねぇのかよ!」


結衣「…何で、私なんかにそんなに

優しくしてくれるの…?」


主人公「心配だからだよ…」


主人公「そんな傷だらけなのに、

心配しない訳あるかよ…!」


結衣「っ…だって…だって…!」


結衣「お父さんは私のことどうしようもない

クズだって…!」


主人公「そんな言葉真に受けるな!」


結衣「でっ、でも…」


主人公「いいか、お前のお父さんはお前の事

なんか何1つ考えてくれはしない…!」


結衣「でも、親は子供のことを

愛してくれるんでしょ…?」


主人公「いいか…?本当の親って言うのは、

こう言うことだ…!」


ギュゥゥゥ


紫央「ちょ、 、なにやってんの…!!」


結衣「…ぁ…?」


主人公「いいか…?本当に子供のことを

想ってる親って言うのは子供のことを

どうしようもないクズなんて言わないし、

殴ったりもしないんだ…。」


結衣「え…?」


主人公「こうやって優しく抱きしめてくれる…」


主人公「一応聞くが、お前のお父さんは

こう言うことをしてくれたか…?」


結衣「…!」フリフリ


主人公「だろ?」


結衣「…ねぇ、私って悪い子なのかな…」


主人公「いや、違う…」


結衣「…!」


主人公「お前は良い子だ…それだけは絶対だ。」 


結衣「…うん!」


紫央「そう言えば、名前は何て言うの…?」


結衣「私…」


結衣「私は…結衣!」


紫央「分かったわ、よろしくね、結衣…!」


結衣「うん!」


主人公「俺は 、こいつは紫央だ…。」


結衣「よろしくね、二人とも…。」


ピンポーン


結衣「…!」


主人公「誰だ、こんな時間に…!」


紫央「ちょっと見てくるね!」


結衣「…うん。」


主人公「気をつけて…」


紫央「うん、分かった。」


ガチャ


結衣「ねぇ、私怖い…」


結衣「ねぇ、 …。」


結衣「さっきのあれ、またやって…」


主人公「あぁ、分かった…」


ギュゥゥゥ


結衣「…えへへ。」


結衣「これ、いいな…」


主人公「そうか、よかった…。」


ガチャ


紫央「っ…」


紫央「ねぇ、大変よ…」


結衣「っ…!」


紫央「結衣に迎えが来たって…!」


主人公「な…どうやってここを…!」


紫央「私達が帰る所を見られてたみたい…!」


主人公「駄目だ、あいつらには絶対結衣を

引き渡すな…!」


紫央「分かってる、けど…」


結衣「…いい。」


主人公「…え?」


結衣「いいよ、私戻る…。」


主人公「そんな、無茶だ…!!」


結衣「そうしないと、二人を困らせちゃう…」


主人公「はぁ?俺達は困ってなんか…」


ガチャ


黒服「見つけましたよ、お嬢様…」


紫央「っ…!!」


黒服「さぁ、早く戻りますよ…!」


主人公「辞めろ…!」


黒服「…何でしょう?」


主人公「結衣に、触るなぁ!」


主人公「うわぁぁぁぁぁ!!」


結衣「やっ、やめて…!」


ドサッ


黒服「ぐ…何を…!」


黒服「このっ!」ヒュッ


主人公「うわぁ!」ドォン


紫央「 !大丈夫!?」


主人公「俺はいい…それより…」


黒服「お嬢様、行きましょう。」


紫央「止めて…この子を連れ戻さないで…!」


黒服「…申し訳ありませんが…これが

私の仕事ですので…」


紫央「この子が…結衣が虐待を受けてるのは

知ってるでしょ、だから…!」


黒服「…私も止めたい気持ちは山々です。」


黒服「ですが、あの人を止めることは

誰にもできはしない…。」


黒服「…退いてください、私はここから

お嬢様を連れ出さなければならないのです…」


紫央「っ…!」


紫央「ごめん、結衣…!」


黒服「ご協力、誠に感謝致します…。」


黒服「この御恩は、一生忘れはしません…」


主人公「待て…」


黒服「…何ですか?」


主人公「…すまなかった、そっちの事情も

知らずに突っ込んで…」


黒服「…私は構いません、このような事には

慣れていますので…。」


黒服「…私から、1つ貴方にお願いしても

よろしいですか?」


主人公「…何だ?」


黒服「どうか…お嬢様を守ってください。」


主人公「…お安い御用だ。」


黒服「それは心強い、ありがとうございます…」


黒服「それでは、私はこれで…。」


黒服「行きましょう…。」


結衣「…はい。」


主人公「…。」


主人公「…結衣…。」


紫央「…私、どうすればいいのか分かんない…」


主人公「…俺達に出来ることは、結衣の心を

少しでも温めてやることだ…。」


紫央「そうね、私達はそうするしかないわ…」


主人公「長い戦いになりそうだな…」


紫央「…そうね…。」


主人公「とにかく、頑張らなきゃな…」


紫央「…えぇ。」


ーー


あの日、二人に出会えて本当に良かった…。


あの時出会えてなければ、わたしは今頃

どうなっていたか…。


特に には恋心に近い想いを抱いてた…。


優しい二人にずっと甘えて居たかった…。


でも、私は弱かった、ずっと弱いままで…


あんなことになった…


ーー


紫央「結衣ッ!大変!!」


結衣「どうした紫央、そんな急に…」


紫央「ハァ…ハァ…!」


紫央「 のご両親が死んで、 が本土に

引き取られることになった…!!」


結衣「…は?」


紫央「このままじゃ…もう に会えないかも…」


結衣「嫌だ…」


結衣「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ…!」


結衣「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


ガシャァン!


結衣「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


ドォン!


結衣「はぁ、はぁ…!!」


結衣「あぁ…あぁ…!!」


紫央「結衣…!」


結衣「嫌だ…嫌だよそんなの…!!」


結衣「何で…どうして の親は

死んじゃったの…!?」


紫央「分からない、けど事故死って

ことになってる…!」


結衣「絶対おかしいよ、

そんな事故が起こるなんて…」


結衣「…まさか…」


結衣「私の親が…?」


紫央「…有り得ない話ではないわ…」


結衣「そんな…どうして…!!」


紫央「…こんな事は言いたくないけど、

多分雪乃財閥を確実に終わらせることの

出来る物証を集めようとして、そして

気づかれて殺されたんだと思う…。」


結衣「っ…そんな、酷い…!」


紫央「…正直、私も許せないわ…。」


紫央「だからこそ、私達も…!」


結衣「無理だよ、あんなのを

倒すなんて無理だ…」


紫央「…無理なことでもやるしかないの…」


結衣「…そう、だね…」


紫央「…でも、あいつが居なくなるのは…」


紫央「…嫌だ…!」


結衣「…!」


紫央「あいつが居ないなんて…絶対嫌!」


結衣「…うん…。」


紫央「ねぇ、どうにかならないかな…!?」


結衣「どうしよう…どうしよう…!!」


紫央「…多分、今の私達じゃどうにもならない…」


結衣「そ、そんな…!」


紫央「でも、雪乃財閥に不満を持ってる人間は

多数居る、だからきっと私達にもいつか機会が

訪れるはず…!」


結衣「…それまで待つしかないの…?」


紫央「恐らく…。」


結衣「そんなの…嫌だよ…」


紫央「…私達は無力なの、いくら頑張っても

どうも出来ない…!」


結衣「どうして…!」


紫央「私達は私達が思ってる以上に無力なの…

どうしようもないわ…。」


結衣「…そんな…。」


結衣「うぅ…あぁ…」


紫央「な、泣かないで結衣…」


結衣「だってぇ…だってぇ…」


紫央「今は無理、無理だけどいつかきっと…」


結衣「そんなの、来るの…?」


紫央「来るわ、チャンスは近いうちに…!」


紫央「いい?信じるの、また と会えて、

また笑い合える日々が来るって…!」


結衣「…!」


紫央「信じてれば、きっと奇跡は起きるわ…!」


結衣「紫央…!」


紫央「だから、今は信じて待ち続けましょう…」


結衣「…うん!」


ーー


この時は紫央も希望を持ち合わせてた。


 が島に必ず帰ってくる、

そう信じてたからだ…。


…けど、この後お姉さんが死んで、

紫央はおかしくなってしまった…。


ーー


結衣「お、おーい、紫央…?」


紫央「…。」


結衣「探したんだぞ?何処行ってたんだ…」


紫央「…もう、終わりよ…」


結衣「…え?」


紫央「みんな、私から離れていく…」


結衣「…!」


紫央「あいつに…お姉ちゃんに…みんな…」


紫央「ねぇ…結衣、貴女まで

居なくならないわよね…?」


結衣「…うん…。」


紫央「もう…私何もかも嫌になっちゃった…」


紫央「疲れた…」


紫央「結衣…」


結衣「…何…?」


紫央「あいつは何で本土なんかに行ったの…?」


結衣「え、そっ、それは…」


紫央「私の事嫌いになったのかな…」


結衣「そ、そっ、そんな…」


紫央「みんな、みんな死んだの!

私のせいで…!」


紫央「もう、嫌なの…!!」


結衣「…!!」


紫央「結衣…」


紫央「結衣まで居なくならないよね…?」


結衣「…あぁ…」


紫央「…私、もう立ち直れないかも…」


結衣「信じてれば奇跡は起きるんでしょ?

だから、きっと…」


紫央「無理よ。」


結衣「…は!?」


紫央「私、何も分かってなかった。」


紫央「この世界に希望なんかない。」


結衣「そ、そんな、どうして…!」


紫央「みんな!みんな死んだ!」


紫央「私のせいで…私のせいで…!!」


結衣「し、紫央…落ち着いて!」


紫央「無理よ!もう無理…。」


紫央「…しばらく放っておいて…!」


結衣「ま、待って…!!」


結衣「…あ。」


ーー


もう駄目かと思った、紫央まで希望を

失って、目の前が真っ暗になりかけた。


だが、全てが終わった訳では無かった。


…私達が希望を取り戻したのは、

つい最近の事だ…。


ーー


結衣「…。」


…もう、私達も少しで高校生になるのか…。


…結局まだ とは会えてない。


それに、紫央とももう何年も話してない…。


何度か見かけて、挨拶もしたが返事が無かった…


…本当に紫央は立ち直れていない…。


結衣「どうすりゃいい…いっそのこと

家出でもするか…?」


ドサッ


結衣「っ…!?」


???「ちょっと、こっち!」


結衣「ん、んんっ!!」


???「喋らないで、お願い…!」


結衣「がぁっ、あんた、何なんだ…」


結衣「…待て、あんたまさか…」


???「私は、雪乃楓花、貴女と同じ

雪乃の人間よ。」


結衣「噂には聞いてる、私の父さんに

逆らって紫央を生かして、そのまま

殺されたって…。」


楓花「…知ってるの?」


結衣「割と雪乃では有名な話だからな。」


結衣「貴女にはいくつか聞きたいことがある、

少しいいか…?」


楓花「えぇ、いいわ…。」


結衣「じゃあ、早速だが…。」


結衣「…なぜ紫央が雪乃の人間に

何もされていない…?」


楓花「…そっちなの?」


結衣「いや、妙だと思ったんだよ…」


結衣「執念深い雪乃の人間が祭りを

失敗させた紫央を殺さないのはどう考えても

おかしいんだ、何かしたのか…?」


楓花「…鋭いわね、流石雪乃家本家の

跡取り娘は違うわね。」


結衣「…そんなんじゃないよ、私は…。」


結衣「ただの臆病な少女さ…。」


楓花「…そう?私には貴女がただ者とは

とても思えないけど…。」


結衣「…そうなのか…?」


結衣「それより、結局どうなんだ…?」


楓花「それに関して、私は何もしていないわ…」


結衣「え、そうなのか…?」


楓花「確かに奴らは執念深い、ただ同時に

飽きっぽい…。」


楓花「奴らの紫央ちゃんへの興味はもう

とっくの昔に失せてるわよ…。」


結衣「…何だそりゃ、意味わかんね。」


楓花「…私にもわからないわ。」


結衣「それじゃ、次…」


結衣「死を偽った後、何をしてた?」


楓花「…なるほど、そう来るか…」


楓花「…私はあの後島を出て、あの子を…

 を見ていたわ。」


結衣「なっ…!!?」


結衣「あ、あいつは!?今何してる!?」


楓花「…あの子はこの島に戻ってくるわ。」


結衣「はぁぁ!!!?」


結衣「え、そ、それは、本当か!!?」


楓花「ええ、間違いないみたい…」


結衣「やった…やったよ…!!」


楓花「そして、貴女に協力して

欲しいことがあるの…。」


結衣「…それは?」


楓花「私達は、雪乃財閥を潰す…!」


結衣「っ…!!」


楓花「そのために、不正の証拠を集めてるの…」


結衣「や、やる!私も、紫央もきっとやる!」


楓花「…いい返答が聞けて良かったわ。」


結衣「待ち望んでたんだ…7年前から

ずっと、ずっとこの時を…!!」


結衣「やっと…やっと機会が来た…!」


結衣「それに もこの島に戻ってくるなんて、

最高すぎるよ…!!」


楓花「…私はしばらく島に居るわ、

そして計画を進める体制を整える…。」


楓花「じゃあ、次は紫央ちゃんの

所へ行きましょう…。」


結衣「…はい!」


ーー


結衣「…。」


主人公「す、すまない、すぐに戻る…」


結衣「い、いや、待ってくれ…」


主人公「…どうした?」


結衣「…少し、私の話を聞いてくれないか…?」


主人公「…構わない。」


結衣「…私、限界かもしれない…。」


主人公「…え?」


結衣「今までずっと耐えてきたけど、もう無理…」


結衣「 が死ぬなんて考えただけで、

頭が割れそうになるんだ…。」


主人公「…そうなのか…。」


結衣「うん…ずっと不安なの、もう、いつもの

口調を維持するのも無理…。」


結衣「怖くて、震えが止まらない…」


結衣「だから、しばらく側にいてくれないかな…」


結衣「吐いた跡はすぐ片付けるから…」


主人公「あぁ、分かった。」


結衣「ありがと…。」


ーー

結衣「…すまないな、見苦しい所を

見せてしまって…」


主人公「…別に、俺は構わない…。」


結衣「…私の事、どう思ってる…?」


主人公「結衣のこと…か?」


結衣「あぁ…気になったんだ。」


主人公「結衣のをどう思ってるか…か。」


主人公「良い奴だよ、お前は…」


結衣「っ、他には…?」


主人公「ずっと余裕がある感じで…」


結衣「余裕がある、か…。」


結衣「私、本当はそんなんじゃないんだよ…。」


主人公「え…?」


結衣「本当は、いつも何かが

怖くて堪らないんだ…」


結衣「自分を強く見せてるだけ、本当は

全部嘘…。」


結衣「みんなに失望されたくないんだよ…」


結衣「…ねぇ、怖いよ…」


結衣「ねぇ、 …私の事、抱きしめて

欲しいんだ…。」


結衣「…いいかな…?」


主人公「あぁ、いいぞ…」


結衣「うん…ありがと…」


主人公「じゃあ行くぞ、結衣…」


結衣「うん…!」


ギュゥゥゥ


結衣「あぁっ…んんっ、はぁっ…」


主人公「ちょ、変な声出すな…」


結衣「ごめん、つい…」


結衣「あっ、そこもっと撫でてっ、はっ、

あぁっ、気持ちいい…」


主人公「…そうか…」


主人公「…結衣、大丈夫なのか…?」


結衣「…大丈夫じゃないかも…」


結衣「私の親が皆にこんな酷いことを

させてるって考えたら凄く苦しくなるの…」


主人公「…結衣は悪くないよ…」


結衣「…うん…。」


主人公「確かにお前の親は許されちゃいけない

ことを沢山してきた、でも、だからって

結衣が罪を背負うことはないんだ…。」


結衣「そう、なの…?」


主人公「あぁ、そうだ…!」


結衣「…ねぇ、 …。」


結衣「…。」


主人公「何だ…?」


結衣「えっと、その…」


結衣「す…」


バァン!


紫央「結衣、大変!」


結衣「あ…。」


紫央「…え?」


紫央「…」


紫央「た、大変なの、実は、鵜伏が

この近くに来てるらしくて…」


主人公「は…!?」


結衣「え、嘘…」


結衣「ど、どうしてそんなことになったの…?」


紫央「…分からない、けど全員を

集めろって言ってるらしい…」


主人公「鵜伏と会ったのか…!?」


紫央「楓花さんが見に行ったら

話しかけられたらしくて…」


紫央「とにかく、行こう…!」


結衣「…うん。」


主人公「…いいのか?結衣…」


結衣「この続きは後でね…?」


主人公「あぁ、分かった…」


ーー


舞「あ、来たよ…」


主人公「なぁ、どうなってんだ…?」


楓花「あいつの考えてる事はわからないわ…」


主人公「…クソ、気に食わないな…」


鵜伏「皆さん、よく集まってくれました…」


主人公「っ、鵜伏…!」


鵜伏「皆さん私の研究所は見つけてくれた

らしいですね…?」


楓花「…。」


鵜伏「折角ですし、私が研究所まで

送っていきますよ。」


主人公「…何だよ?」


鵜伏「何、どうせ長い付き合いになるんですし、

ここは1つ私からのサービスですよ。」


鵜伏「安心してください、私は皆さんとの長い

付き合いを想定してますので、危険なことは

しませんよ…それくらい私も弁えてます…。」


主人公「…」


鵜伏「では、こちらです…。」


主人公「…。」


舞(恐らくまたあのバリアがある、だから

銃弾は効かない…)


舞(どうにかして鵜伏、あいつの隙を見て

殺せないか…?)


鵜伏「…皆さん歩いてる間暇でしょうし、

少し昔の話をしましょうか。」


主人公「…は?」


鵜伏「聞き流してくれても構いませんよ、

私が勝手に話してるだけなので…」


鵜伏「…。」


鵜伏「私には古くからの友人が居た…」


鵜伏「その友人とは上司と部下と言う間柄では

あったが、それすら関係なく心を許せる

大切な友人だった…。」


鵜伏「今まで誰にも興味を持たれなかった

私にはそれがとても心地よかった…。」


鵜伏「でも、それも長くは続かない…」


鵜伏「彼は雪乃家の分家の嫁と不倫をした。」


鵜伏「その事実が判明して、雪乃財閥が

黙っている訳がなかった…」


鵜伏「彼は処刑された、悲しかったな…」


鵜伏「でも…彼は私の人生に

多くの実りをくれた。」


鵜伏「時に気の許せる友人として、

よき理解者になってくれた…」


鵜伏「…そして何より…」


鵜伏「私に親と子の愛の素晴らしさを

教えてくれたんだ…」


鵜伏「私は雪乃財閥から任された

一大プロジェクトを彼の苗字からとって、

葉桜プロジェクトと名をつけることにした…。」


鵜伏「…。」


鵜伏「ここですね、着きました…」


鵜伏「それでは、私がいるのはここまでです。」


鵜伏「皆さんの健闘を祈ります…。」


ガチャ


舞「…。」


鈴「…どうしようか。」


舞「行くしかないんだよね…?」


楓花「そうね…場所も一致してるし、

行くしか選択肢はない…。」


主人公「…いいか、何かあったら逃げろ、

後は俺が何とかする…」


鈴「そ、そんな…無茶だよ!」


主人公「…大丈夫です、俺は…」


鈴「そんな…」


舞「…とりあえず、もう行っちゃう…?」


結衣「うん、行こうか…」


主人公「…行くぞ!」


楓花「っ…!」


ガチャ


そこには、目を疑う光景が広がっていた…


鈴「な…っ!!」


舞「ひ、人が磔にされて…いや、生きてる…!」


主人公「いや…あれは…!!」


楓花「…そんな、何て事…」


紫央「あれは…間違いない!」


結衣「 のお父さんとお母さん…!」


鈴「え…!?」


舞「あ、あれが の本土での両親…。」


楓花「まさか鵜伏の手にかかっていたなんて…」


鵜伏「これから、皆さんにはゲームを

してもらいます…。」


主人公「っ、鵜伏!これはどう言うことだ!」


鵜伏「落ち着いて、ゲームをクリアすれば

二人は生き残れます…。」


主人公「ゲームってなんだよ…」


鵜伏「単純ですよ、クイズに

答えてもらうだけです。」


鵜伏「全部で10問あって、その内7問

正解できればゲームクリアです…」


鵜伏「あぁ、みなさんでも正解できる

問題を持ってきているので、ご安心ください…」


楓花「…どうすれば…」


舞「最悪、あの拘束をどうにかして

取るしかないよ…!」


結衣「…でも、出来るかな…」


舞「やるしかないの…そうしないと、

 のお父さんのお母さんが…」


結衣「そ、そうだよね…」


舞「…?」


舞(何か、結衣雰囲気いつもと違う…?)


鵜伏「それでは、早速ですが第一問。」


鵜伏「雪乃財閥の社長の名前を答えてください。」


結衣「…雪乃厳十朗…」


鵜伏「正解です…!」


鵜伏「そして、こちらが正解の賞品となります!」


ガチャ


ボトン


鈴「え…?」


結衣「い、いやぁっ!」


主人公「な、生首…!?」


楓花「これは…間違いなく雪乃厳十朗よ!」


主人公「じゃ、じゃあ結衣の父さんが

殺されたってのは本当なのかよ…!!」


結衣「こっ、怖い…!」


舞「結衣、どうしたの…!?」


結衣「嫌っ、嫌ぁ…!」


ーー


結衣父「こんな問題も出来なかったのかぁ!」


パリィン!


結衣「がっ!」


結衣父「雪乃家の恥さらしが、死に晒せ…!」


ボガ


結衣「あぁっ、ごめんなさい、ごめんなさい…」


結衣父「謝るくらいなら、出てけ、この

虫ケラが、消え失せろ!!」


結衣「が、あぁ…」


ーー


結衣「あぁ…っ…」


舞「ゆ、結衣…?」


結衣「 …!怖い…」


主人公「ゆ、結衣…」


結衣「どうしよう…昔の事を思い出しちゃうよ…」


主人公「大丈夫だ、大丈夫だからな…」


俺はそう言って結衣を抱き寄せる…


結衣「 …!」


鵜伏「…次の問題に移行しても

よろしいでしょうか?」


主人公「…あぁ。」


鵜伏「それでは、次の問題です。」


鵜伏「雪乃財閥が行った主な

不正とは何でしょう?」


鵜伏「我々研究班が行った兵器の

製造は除きます。」


主人公「…談合。」


鵜伏「正解です、よく分かってますね…」


鵜伏「それでは、こちらが賞品になります。」


舞「…これって…?」


主人公「…何だこの紙は…」


鵜伏「それには私が製造した人間兵器の

型番が書かれています。」


主人公「型番…?」


楓花「…本当に書いてあるわ、どうやら

人間兵器は様々な種類が居るようね…」


主人公「…何だと…?」


鵜伏「そこにはそれぞれの型番ごとの

特徴も書いてあるので、これが終わり次第

ぜひご拝見ください。」


鵜伏「それでは、第3問…」


鵜伏「雪乃結衣は父親である厳十朗から

虐待を受けていたが、同じ雪乃の雪乃楓花は

親から虐待を受けていた?」


楓花「…受けていないわ。」


鵜伏「正解です…」


鵜伏「どうやらそちらの楓花さんは

親から愛情を受けて育っていたようですね…」


鵜伏「…彼には本当に驚かされる…。」


結衣「…。」


鵜伏「では、次の問題。」


鵜伏「伊上舞が大野家本家の人間である、

これが意味することを答えよ…」


舞「…え?」


主人公「舞が大野家の人間で、

何が起こるって言うんだ…?」


紫央「…分からない、けど…」


紫央「何か手がかりはあるはずよ…」


楓花「ないの…?何か、手がかりに

なる物は…」


主人公「佑伸さんが何か関わって来るか…?」


舞「それだ!何かないの…?」


楓花「…検討もつかないわね…」


主人公「そんな、どうすれば…」


鵜伏「…時間切れです。」


主人公「…は!?」


鵜伏「正解は…」


鵜伏「大野家本殿にアクセス出来る、でした。」


主人公「は…?」


鵜伏「流石にここまでは突き止めていません

でしたか、解説しましょう。」


鵜伏「大野家本殿は古来から現在までの

この島の記録が全て書き記されている…」


鵜伏「…それには私達の研究記録も

記されています。」


舞「え…!?」


主人公「…何!?」


鵜伏「そして伊上舞さんは今現在大野家本殿に

アクセス出来る唯一の人間…」


鵜伏「ですが残念、大野家本殿のセキュリティを

解除するには14桁のパスワードが必要です。」


鵜伏「今皆さんが探している物は

大野家の本殿にある筈です…。」


鵜伏「大野家本殿へ繋がるパスワードは私が

持っています、知りたければ私を満足

させてください…。」


主人公「…。」


鵜伏「あと失敗出来るのは2問だけです、

どうか慎重に…。」


鵜伏「それでは第5問。」


鵜伏「村上紫央が生かされることになった

理由を答えよ。」


紫央「っ…!!」


結衣「紫央…!」


主人公「あいつ…どこまで外道なんだ…」


紫央「私が…生かされることになった理由…?」


紫央「何それ、分かんない…」


舞「っ、何かないの…?」


紫央「本当に、何も…」


鵜伏「それでは、時間切れで…」


主人公「お前が雪乃厳十朗に進言したんだろ!」


鵜伏「…。」


鵜伏「お見事、正解です…!」


紫央「…!!」


鵜伏「本来であれば祭を失敗させた後、

紫央さんも処刑される手筈でした…」


鵜伏「ですが、これで紫央さんの両親は

殺害される、その後に紫央さんが生き残れば

紫央さんは強い罪悪感に苛まれる、そして

その中に私は強い親と子の繋がりを

垣間見ることが出来る…。」


鵜伏「なので、紫央さんは殺さないように

言いました…。」


紫央「っ…」


鵜伏「我々の研究チームで核の研究を

始める事を条件として…」


主人公「なっ…!!」


結衣「…ふざ、けるな…」


結衣「狂ってる…こんなの!!」


鵜伏「でも、感謝してくれてもいいんですよ?」


主人公「…は?」


鵜伏「だって紫央さんは私が働きかけなければ

今ここには居ないんですからね、」


紫央「え…」


鵜伏「ツフフフ…アハハハハハハハハ!!」


主人公「貴様ァァァァァァ!」


鵜伏「はぁ、気を取り直して第6問です。」


鵜伏「双葉家がここまで処刑されずに

ずっと生き残り続けることが出来たのは何故?」


鈴「…え?」


鈴「…何、それ…」


主人公「…何か、知ってることは…?」


楓花「…双葉家は祭とか、そう言うことには

あんまり関わってこなかったから、それが

大きいと思う…。」


主人公「じゃあ、それだ…」


鵜伏「…。」


鵜伏「正解…にしておきましょうか。」


主人公「…は?」


鵜伏「祭に関わってこなかったから、

と言うよりかはそもそもの話雪乃家に

双葉家は興味を持たれてなかったようですね…」


鈴「え…?」


鵜伏「雪乃家にとって、双葉家は表向きは

側近として扱っていた…。」


鵜伏「だが実情は都合のいい捨て駒として

扱っていたようですよ…。」


鈴「…え、そんな…」


鵜伏「世知辛い世の中ですね…能のある人だけが

徴用されて、能の無い人は使えなくなったら

ぽいって捨てられるんですからね…」


鈴「…え…。」


主人公「鵜伏…貴様…!」


鵜伏「まぁまぁ落ち着いて、それより

次の問題です…」


鵜伏「伊上舞は何故眼帯をしているか、

その理由を答えよ…」


結衣「…え?」


主人公「な…!?」


舞「あいつ、私達の過去の情報まで

知っているの…?」


主人公「…。」


主人公「舞はいじめを受けてた。」


主人公「ある時いじめがエスカレートして、

いじめっ子が舞の目にフォークを突き刺した。」


主人公「そのせいで舞は失明したんだ…!」


舞「っ…」


結衣「そっ、そんなことがあったのか…!?」


舞「…うん、あんまり

思い出したくはないけどね…。」


結衣「そ、そうか、すまない…」


舞「いいの…。」


鵜伏「…正解です。」


鵜伏「いやー、いじめと言うのは

よくないですね、純粋な少女の視力すら

奪い去ってしまうんですから…」


主人公「…。」


鵜伏「さっきから反応薄いですね…

流石にそろそろ困りますよ…。」


鵜伏「やれやれ、どうしたんでしょう…」


鵜伏「さて、そろそろ終盤、

第8問にしましょうか…」


主人公「…待て。」


鵜伏「…どうしました?」


主人公「何でお前はそんなことを知ってる?」


鵜伏「と、言いますと?」


主人公「お前が雪乃財閥の人間だから

結衣や楓花さん、紫央の祭りのことに

ついて知ってるのは納得が行くが舞の事まで

知っているのはおかしい…」


鵜伏「ほう…?鋭いですね。」


鵜伏「気が変わりました、次の問題は

それにしましょう。」


主人公「…は?」


鵜伏「なぜ私が舞さんのことについて

知っているのか答えてください。」


主人公「…何でだと思う…?」


鈴「本土に鵜伏のスパイが居たのかな…?」


楓花「いや、その可能性は低いわ…」


舞「え、そうなんですか…?」


楓花「しばらく を見てたけど、その周辺に

それらしき人物は見たことが無いわ…。」


主人公「…じゃあ、何なんだ…?」


舞「…何だろう、分からない…」


結衣「このままだと時間切れになる、

どうにかしないと…」


主人公「っ、くそ、何かないか…?」


舞「…どうしよう、何も浮かばない…」


主人公「くそ…こうなったら…」


鵜伏「そろそろ時間切れですが、

回答はありますか…?」


主人公「…誰かから聞いたんだろ…?」


鵜伏「誰から聞いたんでしょう?」


主人公「っ…!!」


鵜伏「…。」


鵜伏「時間切れ、ですね…」


鵜伏「正解は…」


鵜伏「こちらの方に聞きました。」


鵜伏「制御可能cタイプ、No.17、

起動して起動してください。」


ウィーン…。


主人公「っ、まずい、人間兵器だ…!」


結衣「あれは…?」


舞「…先輩?」


先輩「アハハ、舞…久しぶり。」


舞「…何故ここに…?」


先輩「…あんたのせいよ…」


舞「…え?」


先輩「あんたのせいで私の人生

めちゃくちゃになったのよ…」


先輩「あの後私、理事長に捕まって、

雪乃財閥に人身売買された…」


主人公「なっ…!?」


先輩「それで、こんなクソみたいな体に

改造させられて、あの所長にも逆らえないし

本当に最悪よ…」


先輩「ねぇ…これも全部あんたのせいなのよ…?」


舞「…ねぇ、先輩…」


舞「今話したこと、全部嘘だよね?」


先輩「…は?」


舞「私、分かってたんだよ?先輩が元から

私を助けた目的があの時私に付きまとってた

エースだか何だか知らないよく分からない奴に

近づくためだって…。」


先輩「待って、何でそれを…!!?」


舞「あれ、始末するのに苦労したんだよね…」


主人公「…え!?」


舞「あぁ、大丈夫、殺してはないから。」


舞「ただ、もう二度と女に近づくことの

出来ない体にしてやっただけだから。」


主人公「なっ…!?」


舞「あと、これは風のうわさで聞いた話

なんだけど…。」


舞「私をいじめてた奴らと先輩が

組んでたって本当なの…?」


先輩「…。」


先輩「全部あんたの言う通りよ…!」


先輩「でも、理事長に捕まってこの体に

されたのは本当だから…!」


先輩「しかも捕まった時理事長に

酷いことを沢山されたんだから…!」


先輩「これも全部舞…」


先輩「あんたのせいなのよ…!!」


舞「…それで?」


先輩「…は?」


舞「それだけなの?」


先輩「あと、さっきから何で敬語じゃないのよ…

先輩には敬語使えって言ってるでしょ…!」


舞「え?だってもうお前は先はじゃないでしょ?」


先輩「お前って…あんた、私に向かって…!」


舞「だって、お前にはその程度の価値しか

ないんだよ?」


先輩「でも、私はあんたを助けてやったのよ…」


舞は、隠し持っていた銃の銃口を目の前に

居る人間兵器に向けた…!


そして…


舞「知るかよ。」


バァン


銃を…撃った…


先輩「が…」


舞「やっぱり、人間兵器とは言えどほとんどの

パーツを人間から流用してるみたいだね。」


舞「脳天を撃てば、機能を停止する…」


舞「それに、脳を一部改造してたとはいえ

結局構造は人間と変わらない…。」


舞「チップでも脳に入ってて脳がなくても

動けるようになってたら怖かったけどね…。」


鵜伏「それは一度試してみたのですが、

成功例が一度も無かったので廃案しました。」


舞「…そうなんだ…。」


結衣「舞…どうしたんだ…?」


舞「?どうもしないけど…。」


結衣「いや、だって明らかに雰囲気が…」


舞「…あぁ、そう言うこと?」


舞「…私、皆が思ってるみたいな

いい人じゃないんだよ。」


結衣「舞…。」


鵜伏「…少々建て込みましたが、次の

問題に移行しますよ…。」


鵜伏「第9問です。」


鵜伏「私が雪乃厳十朗を殺すことになった

理由を答えてください…。」


主人公「…何?」


舞「多分、あいつが警察を使おうとしたのが

気に食わなかったんだろうね…。」


主人公「…確かに、それしか考えられないな…」


鵜伏「回答はもう決まりましたか?」


主人公「…雪乃厳十朗が警察を使おうと

したのが気に食わなかったんだろ…?」


鵜伏「…正解です。」


鵜伏「あの年増が余計なことをしなきゃ、

生き長らえられたのに…。」


鵜伏「馬鹿なことするよな…ろくに

警備も敷かずに自分の所の危険な人物と

会話をするなんて…。」


鵜伏「本当、間抜けにも程があるよ、

あのジジイは…。」


鵜伏「…時間も押してるので、最終問題に

行ってしまいましょう…。」


鵜伏「では、最後の問題は…。」


鵜伏「前回貴方達が私達の研究所を襲撃した時

鈴さんのお母さんが処刑されることになった。」


鵜伏「だが、その処刑によって鈴さんの

お母さんは死んだか、答えよ…。」


舞「…え?」


鈴「どう言う、こと…?」


楓花「…多分、あいつが言いたいのは…」


主人公「鈴さんのお母さんが磔にされてた時、

鈴さんのお母さんが生きてたのか、

ってことか…?」


鈴「…え?」


楓花「…そうよ。」


鈴「…嘘、じゃあもしそうだとしたら…」


結衣「鈴さんのお母さんは助けられた

可能性があった…ってことだろ?」


鈴「え…そんな…。」


主人公「…。」


…どうしよう、分からない…。


ここで俺は鈴さんに、皆にどう言えばいい…。


考えろ…考えろ…!


俺の両親の命がかかってるんだ…

そう簡単に外せない…。


どうするか、今決めるしかない…


どうするか…。


…決めた。


主人公「…いや、よく考えたらそれはない!」


結衣「…何?」


主人公「あいつが殺そうとした奴はみんな

確実に死んでいる…。」


主人公「佑伸さんや結衣の父親だったり、

奴が狙いを定めた奴は確実に奴の手で

始末される…。」


主人公「それは、きっと鈴さんの

お母さんにも言えることなんだよ…」


鈴「…本当に…?」


主人公「えぇ、きっとそうですよ…。」


鵜伏「…回答、決まりましたか…?」


主人公「あぁ…。」


主人公「あの時、鈴さんのお母さんは磔に

されていた時、既に死んでいた…!」


鵜伏「…。」


鵜伏「っ…フフフフ…」


鵜伏「アハハハハハハハ!ッハハハハハハハ!!」


主人公「何っ…」


鵜伏「本気で思ってたんですか?鈴さんの

お母さんがあの時死んでたって…。」


鈴「…え…?」


鵜伏「おかしいとは思わなかったんですか?

首に巨大な釘が打ち付けられてるのに、

あれには一滴の血も流れてなかったんですよ…」


結衣「なっ…!!?」


鈴「そんな…じゃあ…」


鵜伏「鈴さんのお母さんは、爆発による

強い痛みを感じながら死んでいったんですよ…」


鈴「嫌だ…嫌だよ、そんな…」


鵜伏「ただ、貴方達の頭がもう少し賢ければ

鈴さんのお母さんは助かっていた、

かもしれませんね…。」


鈴「っ…」


鵜伏「…天国からお母さんが見てくれてますよ。」


鵜伏「貴方の不甲斐ない姿をねェ!!」


鈴「あ…」


バタッ


結衣「っ、鈴さん!」


舞「鈴さん!?」


主人公「鵜伏…貴様…。」


主人公「貴様ァァァァァァァァァァァァ!」


バァン!


鵜伏「あっ、ぶないな…」


主人公「鵜伏を守ってるバリアが、

割れてる…!?」


鵜伏「これの耐久値ももう限界ですか…。」


鵜伏「まあいい…。」


鵜伏「3問とも不正解でしたね…。」


主人公「っ…!!」


鵜伏「それでは、 さんのご両親は

人間兵器に殺してもらいましょう…。」


鵜伏「…この研究所にいる全ての人間兵器を

ここに集めます…。」


鵜伏「あぁそうそう、あなた方も直ぐに

逃げた方がいいですよ、死にたくないならね。」


鵜伏「それでは、私はこれで…。」


鵜伏「また会いましょう。」


鵜伏「あと、この研究所はダミーですので、

もう1つ、正真正銘本当の研究所で、

皆さんをお待ちしてます…。」


鵜伏、「では人間兵器の皆さん、私に変わって

処刑のほど、よろしくお願いします。」


主人公「っ、くそ、待て!」


舞「 、危ない!」


主人公「っ!?」


バァン


主人公「っ、クソ…!」


主人公「あの人間兵器、銃を持ってる…!」


楓花「まずい、このままじゃあの二人が…」


人間兵器「…。」


舞「させるかぁっ!」


バァン


人間兵器「!」ガシャーン


人間兵器「…!」


舞「手伝って!」


主人公「あ、あぁ…!」


結衣「っ!」バァン


人間兵器「…!」ガシャーン


舞「うりゃっ!」バァン


ガシャーン


舞「っ、あと20体くらいはいるよ…」


楓花「っ、この!」バァン


主人公「っ、駄目だ、キリがない…!」


舞「どうしよう、このままじゃ、二人が…」


結衣「っ、今だ!」


結衣は二人の元へ走っていった…。


主人公「お、おい、結衣!」


結衣「っ、待ってろ、今解く…」


主人公「おい、無茶だって…!」


結衣「だって、今助けないと殺される…!」


楓花「っ、危ない!」


人間兵器「…!」


舞「させるかっ!」バァン!


人間兵器「!」ガシャーン


結衣「っ…!」


主人公「っ、うぉぉぉっ!」


結衣「 、何を!?」


主人公「俺も手伝う、だから急げ…!」


舞「人間兵器はこっちで始末しとく、

だから集中して!」


舞「あと、倒れてる二人は楓花さんが

守ってるから安心して…!」


主人公「っ、すまない…!」


結衣「ど、どうして、こっちは危険なのに…!」


主人公「逆に何でお前はこっちに行こうと

思ったんだ…?」


結衣「だ、だって助けなきゃ…この二人は

 のご両親だし、見ず知らずの私にも

良くしてくれたから…!」


主人公「…だからって普通助けられるか?」


結衣「え…?」


主人公「結衣、お前はお前自身が思ってるより

弱くはない、お前は勇気を持っているんだ…」


結衣「…え?」


主人公「それに、俺にとっても結衣は

大切な人間なんだよ…。」


結衣「…!」


主人公「だから…自身を持ってくれ…」


結衣「…ありがとう…」


結衣「っ、解けた!」


主人公「っ、こっちも解けたぞ!」


主人公「急いで安全な場所まで運ぶぞ!」


結衣「あぁ…!」


舞「急いで!人間兵器はなるべく

始末しておくから…!」


主人公「あぁ…!」


舞「楓花さん!」


楓花「っ!」


舞「急いで、なるべく!」


主人公「分かってる、だが…」


結衣「まずい、すぐ近くに来てる…!」


主人公「っぐ、うぉぉぉっ!」


舞「こっちだよ!」


主人公「っ、あぁ…!」


舞「結衣!」


結衣「今行く…!」


舞「早く、そろそろ閉めるよ…!」


結衣「っ、閉めろ!」


舞「うん!」


バタン!


主人公「危なかったな…。」


結衣「あぁ、本当にな…」


舞「…二人はどうですか?」


楓花「まだ、動けなさそうね…。」


舞「にしても、危なかったな…」


主人公「ありがとな、舞…。」


舞「どういたしまして。」


舞「てか、ここってダミーだったんだ…

本当の研究所って何処にあるんだろ…。」


結衣「可能性があるのは…」


結衣「まさか、雪乃財閥の地下か…?」


主人公「…それだ!」


楓花「可能性としてはそれが高そうね…」


主人公「そこなら基本外部からの介入は起きないし

場所がバレる可能性も低い…雪乃財閥の地下なら

それに雪乃厳十朗の監視が届きやすい…。」


結衣「じゃあ、そこの可能性が高いんだな…。」


主人公「あぁ、恐らくは…」


結衣「だが、あそこは雪乃財閥の関係者しか

入れない、どうやって入るんだ…?」


主人公「確か、俺が家紋を持っていたはず…」


結衣「…あ!」


結衣「そう言えば、私 に家紋渡してたね…。」


主人公「それを使えば行けるはずだ。」


結衣「だが、今家紋は何処にあるんだ…?」


主人公「ずっと持ってたから、今は寮にあるはずだ。」


結衣「え、そうなのか…?」


主人公「島に居た頃の思い出だったから、

ずっと持ってたんだ…。」


主人公「ただ、忘れててバッグから一度も

出してなかったみたいだけど…。」


結衣「それでも嬉しいよ、ずっと

大切に持ってくれてて…。」


主人公「ここから出たら、すぐにでも取りに行くよ。」


結衣「あぁ、分かった…。」


鈴「…。」


鈴「…なんで、なんでこんなことになったんだろう…」


主人公「…すいません、俺のせいです…」


主人公「俺が気付けていればこんなことには…」


鈴「いや、 君は悪くないよ…」


結衣「そうだ、あんなの気付ける訳ない。」


結衣「あの神経がすり減った状態の中では

まともな思考が削がれる、奴はそれを利用したんだ…。」


主人公「…確かに、奴ならやりそうなことだ…。」


鈴「…私は、大丈夫だから、心配しないで…」


主人公「いや、いやいや

どう見ても大丈夫じゃないでしょ…!」


主人公「鈴さん、今すごい辛そうな顔してますよ…。」


鈴「…そう、なのかな…?」


主人公「鏡で見てみた方がいいですよ…本当に

辛そうな顔ですから…。」


鈴「そうなの…?」


主人公「辛いときは俺達を頼ってください、

俺達は何時でも鈴さんの味方ですから…。」


鈴「…うん。」


楓花「それに貴女が気に病む事はないわ、

悪いのは全て鵜伏なんだから…。」


鈴「そう、ですね…。」


楓花「それに鈴はずっと昔からちょっとのことを

気にし過ぎなのよ…。」


鈴「…そうですか…?」


楓花「えぇ、ずっとそうだった、あの時から…」


ーー


数年前…


結衣「…」


鈴「…ん?あの子は…?」


鈴母「…あの子は結衣ちゃん…?」


鈴「結衣ちゃんって確か雪乃家の…?」


鈴母「でも、どうしてこんな所に…?」


鈴「…待って、他にも誰かいる…?」


鈴「ちょっと、行ってくる!」


鈴母「え、ちょっと!?」


鈴「すいませーん、どうしたんですか…?」


楓花「…貴女は?」


鈴「…鈴、双葉、鈴です…。」


楓花「…あぁ、噂には聞いてるわ…。」


鈴「雪乃の人が何でこんな所にいるんですか…?」


楓花「…それは…。」


結衣「私はお父さんに虐げられてる。」


鈴「…え!?」


鈴「ご、ごめん…!」


結衣「いや、いいの、気にしないで…」


鈴「いや、そんな事になってるなんて

知らなかったの…」


結衣「…私は気にしてない、から…。」


楓花「結衣もそう言ってるわ、」


鈴「そ、そう…?」


楓花「ねぇ、鈴ちゃん、少しいい?」


鈴「どうしました?」


楓花「たまにでもいいから、結衣と遊んでくれない?」


鈴「え…?私がですか?」


楓花「結衣はずっと友達がいなくて

寂しい思いをしていたの、だからそれを少しでも

ゅ鈴ちゃんに和らげて欲しい…。」


鈴「…私で良ければ、構いません…。」


楓花「ありがとう…。」


鈴母「はぁはぁ…やっと追いついた…。」


結衣「鈴さんのお母さん…?」


鈴「うん…。」


鈴母「あれ?すっかり結衣ちゃんと

仲良くなったみたい…?」


鈴「うん、これから結衣ちゃんと

友達になるんだ。」


鈴母「えぇ、それは良かったわね…。」


結衣「…よろしくお願いします…。」


鈴母「えぇ、こちらこそ鈴をよろしくね…。」


ーー


主人公「そんな事が、あったんですね…。」


楓花「えぇ、これ以来鈴とは

家族ぐるみで仲良くさせて

もらったわ…。」


楓花「…だからこそ、鈴のお母さんにあんな

殺し方をした鵜伏は絶対許さない。」


主人公「…。」


主人公「鵜伏、あいつは人としての一線を越えた…」


結衣「あぁ、だからこそ奴はただじゃおかない…。」


鈴「…お母さん…お母さんは…」


鈴「私にどんな時でも前向きに生きろって言ってくれた…。」


鈴「だからたとえお母さんが死んでも

前向きに生きていこうって思った。」


鈴「それが、私がお母さんに出来る一番の弔いだって、

ずっと思ってた…。」


鈴「でも…これは…耐えられないよ…。」


鈴「っ…っぐ…」


主人公「り、鈴さん…」


鈴「もう、嫌だよ…助けてよ…。」


ギュゥッ


主人公「鈴、さん…。」


鈴「 …、抱きしめてくれるの…?」


主人公「…当然ですよ…」


主人公「言ったじゃないですか…

辛いときは頼って欲しいって…」


鈴「…うん…。」


鈴「私…もう、駄目かも…。」


鈴「…だから、一緒にいて欲しい…。」


主人公「…分かりました。」


結衣「…私達にも何か出来る事があったら言ってくれ。」


鈴「…うん!」


主人公「鈴さんは、一人じゃないんですよ…。」


鈴「…うん…!!」


主人公「だから…」


主人公「もう、泣かないでください…。」


鈴「っ…うん…!」


鈴「もう、泣かないから…!」


鈴「お母さん…見ててね…。」


主人公「…。」


主人公「…あれ?そう言えば

ここって…。」


鈴「…どうしたの?」


主人公「いや、何でもない、だが…。」


鈴「…?」


主人公「この部屋って…」


結衣「…待って、あれは何…?」


主人公「え…?」


部屋の奥に、巨大なカプセルの様な物があった…


その中には人間兵器が居た…。


主人公「…何だあれは…?」


主人公「…っ。」


主人公「…。」


結衣「… 、どうした…?」


主人公「俺、あれに見覚えがある…。」


結衣「…え?」


楓花「何で見覚えがあるの…?」


主人公「分からない…だが…」


ガチャ


結衣「…え?」


ウィィィィン


シュゥゥゥゥ


主人公「っ…まずい!」


結衣「!来るぞ…!」


人間兵器「…。」


主人公「…あれは…」


結衣「…おい、まて、何で近づいてるんだ、おい…」


結衣「 、何をする気だ…!」


主人公「既視感の正体がわかったよ…。」


主人公「…父さん…。」


舞「…え?」


楓花「なっ…!?」


主人公「なぁ…答えてくれよ、父さん…。」


主人公「いや…」


主人公「葉桜幽希、だったか…?」


楓花「…え!?」


結衣「葉桜…幽希って…!」


人間兵器「…。」


人間兵器「やっと、会えたな…。」


葉桜「15年ぶりくらいか…?

大きくなったな、 …。」

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