第4話

主人公「戻ってきたぞ。」


結衣「お、戻ってきたか…あれ、鈴さんも?」


鈴「それで、どうすればいいの…?」


結衣「とりあえず、警察からガサ入れが

来る前に機材とかを全部別の場所に移すよ。」


主人公「てか、移す拠点の場所の

目処は立ってるのか…?」


結衣「あぁ、もう立っている…。」


主人公「何処にあるんだ…?」


結衣「この施設の地下3階だよ。」


主人公「え?ここに地下3階

なんてあったのか…?」


結衣「あぁ、こんな時の為に

用意しておいたんだ…。」


主人公「にしても、地下3階なんてよく

雪乃財閥の奴らにバレずに作れたな…。」


結衣「あぁ、この施設は雪乃財閥を

倒す時のために色々と考えて

作られてるんだ…。」


主人公「こんな施設、誰が作ったんだ…?」


結衣「この施設は、実は鈴さんの

お父さんが設計したんだ…。」


主人公「…え?」


鈴「楓花さんから聞いた話なんだけど、

私のお父さんは生きてた頃、

雪乃財閥に反旗を翻す為に色々してた

らしくて、その1つがこれなの…。」


鈴「ただ、目立ち過ぎて雪乃財閥に

殺されたらしいの…。」


主人公「…そんな…。」


鈴「こんなの理不尽だよね…。」


主人公「…はい…。」


結衣「とりあえず、機材を運ぼう…。」


主人公「分かりました…。」


ーー


結衣「とりあえず、こんなもんで終わりかな…」


主人公「大変だったな…。」


紫央「あっ、 !戻ったの?」


主人公「あぁ。」


鈴「まさか、警察が関与してくるなんてね…」


紫央「想像の範囲内だから良かったけど、

ただ1つだけ…。」


紫央「警察が雪乃財閥の研究所を

警護してくる可能性がある…。」


主人公「え、もしそうなったら俺達は

手出しできないじゃないか…!」


紫央「私が一番危惧しているのはそこ。」


結衣「どうにか、奴らが警察を使えない

ようになればいいんだが…。」


主人公「…そうなったら、苦労しないか。」


結衣「…それもそうか。」


楓花「ただいま…。」


主人公「あれ、楓花さん?」


楓花「ちょっと、協力者に来てもらったわ。」


???「…。」


主人公「貴方は?」


???「私は…私の名前は、大野佑伸だ。」


佑伸「…舞…舞は居ないのか?」


楓花「舞ちゃんならついさっきまで居たはず…

近くに居たはず…。」


舞「私がどうかしたの?」


佑伸「舞…突然ですまないが、今から

2つ前…14年前の祭の事について話す。」


主人公「14年前の祭…?」


佑伸「それまで、我々大野の人間は

祭を失敗させることなく、

祭を遂行してきた…。」


佑伸「だが14年前に、我々は祭を

失敗させてしまった…。」


佑伸「そのせいで、大野家の本家は

粛清として全員処刑されてしまった…。」


鈴「しょ、処刑…!?」


佑伸「だが、その際当時まだ1歳だった大野家

本家の娘を本土へ逃がすことに成功した…。」


佑伸「私の友人が経営していた

孤児院に…。」


舞「…え?」


舞「じゃあ、私は…」


佑伸「お前は元々大野家の人間で、

この島の出身なんだ…。」


主人公「なっ…!?」


佑伸「この粛清を受けて、大野家の

分家の人間が何人か抜け出した…。」


主人公「ろその1つが、俺の本土の親か?」


佑伸「…そうだ。」


主人公「これで、1つ謎が解けた…。」


佑伸「それに実際、7年前、祭が始まる

直前にこの事を蒸し返されて、本来

祭の演舞をするはずだった大野家分家の人間が

処刑されたんだ…。」


主人公「は…?そんなこと…」


佑伸「雪乃財閥は、そう言う奴らなんだよ…。」


結衣「…まさか…そのせいで…」


結衣「紫央のお姉さんは…」


紫央「…え?」


主人公「おい、よせよ…!」


佑伸「だが、問題はここからだ。」


佑伸「7年前の祭で大野家分家を殺す事を

進言したのが鵜伏の野郎だった可能性がある。」


主人公「…何だと?」


佑伸「俺は昔、あいつと仕事をした

事があるんだが…。」


佑伸「あいつは全てを見透かしているかの

ようだった…。」


佑伸「奴なら、今日こうなる事を、

予見していた可能性がある…。」


主人公「つまり、それが本当なら紫央の

お姉さんを殺して紫央を絶望させるために

大野の分家を皆殺しにしたってことになるぞ…」


結衣「流石に、考えすぎだ…」


佑伸「奴は、こうも言っていた…。」


佑伸「雪乃財閥の跡取りになる者に

あんな教育をしているようでは雪乃財閥を

恨み、潰しに来る可能性がある、と…。」


佑伸「そして、それが雪乃財閥最大の

障壁になると…。」


結衣「まさか、そこまで考えて行動する

事が可能な訳…。」


佑伸「奴の、鵜伏の行動原理を知ってるか…?」


主人公「…それは?」


佑伸「親子の絆、だよ。」


ーー


コンコン


結衣父「入れ。」


鵜伏「失礼します。」


結衣父「要件は何だ?最近薄汚い鼠どもが

雪乃財閥を嗅ぎ回っていて大変なんだ、

完結に話せ…。」


鵜伏「…困りますよ、この件は私に一任

してもらう約束だったのに…。」


鵜伏「わざわざ警察を使うなんて

そんなこと公平性に欠けるので

辞めていただきたい…。」


結衣父「お前はいつから私に口出しできる

身になったんだ?」


鵜伏「たかが研究者の分際で…ですか?」


結衣父「っ…!!」


鵜伏「残念ですよォ…雪乃財閥の社長が…」


鵜伏「貴方には心底失望させられました。」


鵜伏「貴方はもう必要ありません。」


バァン!!


結衣父「が…は…。」


鵜伏「貴方にはご退場願います。」


結衣父「ふざける…な…」


鵜伏「地獄でもどうかお元気で。」


鵜伏「安心してください、この件は

私が責任を持って最後まで

当たらせていただきます…。」


鵜伏「ですので、どうか安心してご臨終

してくださいませ…。」


鵜伏「って、もう死んでますか…。」


鵜伏「まァいいでしょう…。」


鵜伏「それよりも、楽しみだ…。」


鵜伏「そろそろで、私が心待ちにしていた、

至高の親子の絆が見られる…。」


鵜伏「どうやら私が一番楽しみにしていた

物は見つからなかったようだが、

それでもいい…。」


鵜伏「それを差し引いてでも、素晴らしい

芸術が見れる…。」


鵜伏「あぁ…楽しみだ。」


ーー


主人公「親子の絆…?」


佑伸「そうだ、それが奴の行動原理…。」


佑伸「奴は親子の絆を見ると言うことに

飢えている…。」


結衣「いや、何だよ親子の絆って…。」


佑伸「奴の中での親子の絆と言うのは、

親が身を挺して子供を守ったり、

親が死ぬことで悲しむ子供の図だ…。」


佑伸「それを見る為に奴は平気で

人を殺したりするらしい…。」


舞「何それ、趣味悪い…。」


主人公「確かに、奴はそう言う奴だった…。」


舞「ねぇ、待って、1つ聞きたいことがあるの…」


佑伸「…何だ?」


舞「私が大野家の人間ってことは、

私は とは血縁関係にあるの…?」


佑伸「…血縁関係は、あるにはあるが

ほぼ無いものと同じだろう…。」


舞「…そう、なんだ…。」


佑伸「後は、何か聞きたいことはあるか…?」


結衣「今は、特にはないかな…」


佑伸「じゃ、じゃあ…。」


バァン!


佑伸「が…?」


主人公「っ、佑伸さん!?」


結衣「なっ、何が…!?」


紫央「っ、あれは、鵜伏…!?」


佑伸「鵜伏…約束が…違うぞ…!」


鵜伏「貴方の知っていること、全て話せば

娘は助けると私は言いました。」


鵜伏「ですが私は貴方を殺さないとは

一言も言っていませんよ。」


佑伸「ふざっ、けるな…」


佑伸「っ…優子…!?」


優子「お父さん…!?」


舞「あれは…子供?どうしてここに…!」


鵜伏「っ…ふふふ…」


優子「お父さん!死なないで!」


佑伸「優子…逃げろ…!」


鵜伏「では、死にゆく父親をご覧ください…」


舞「止めろ…!」ガチャ


鵜伏「あぁ、そうそう、私って

不死身なんですよね。」


鵜伏「だから射っても無駄ですよ。」


舞「じゃあ、確かめてみる!?」


バァン


鵜伏「…。」


舞「っ、弾かれた…!?」


鵜伏「そんな物で私を殺せると思ったら

大間違いですよ。」


主人公「お前、狂ってるよ…!」


鵜伏「そうでしょうか…?私にとっては

これが普通なんですがね…。」


鵜伏「まぁ、それより…」


鵜伏「もう貴方、息ないんじゃないですか?」


優子「…え?」


佑伸「…」


優子「嫌…お父さん…!」


優子「お父さぁぁぁぁぁん!!」


鵜伏「ッハハハ…アッハッハッハァ!!」


鵜伏「あぁ…」


鵜伏「飽きた。」


主人公「っ、やめろ!」


舞「うわぁぁぁっ!!」


バァン


優子「…」


舞「あ…あぁ…」


鵜伏「やっぱつまんねぇな…もっと

刺激的な、感動的な別れがいいよな…。」


鵜伏「なんかこう…見てて痺れる物がない

と言うか、目新しさがないよなァ…」


主人公「っ…」


主人公「うわぁぁぁ!!」


バァン!


鵜伏「っ、びっくりした…。」


鵜伏「あぁ、こんなくだらない事のために

来たんじゃなかった。」


鵜伏「私は貴方達との公平な

戦いを望んでいます。」


鵜伏「なので、警察を使おうとした愚かな

老害は始末しておきました。」


鵜伏「なので、心置きなく私達の

本拠地を探しに来てください。」


鵜伏「それでは、私は今日はこれで。」


鵜伏「失礼しました。」


主人公「おい、待て…!!」


結衣「…。」


主人公「っ、…。」


鵜伏「あ、この粗大ゴミは私の方で

回収しておきますので。」


主人公「人をおもちゃにして、殺した挙句

粗大ゴミ扱いだと…」


主人公「お前、それでも人間かよ…!!」


鵜伏「…」


鵜伏「さぁ?」


鵜伏「もしかしたら人間じゃないかも

しれないし、人間かもしれない…

それは私にも分かりません。」


主人公「っ、ふざけるなァ!」


鵜伏「ふざけてなんかいませんよ、

私はいつだって真剣です…」


鵜伏「ただ、貴方方がそう言ったと

言うことは貴方方は私がふざけていると

受け取った訳だ…。」


鵜伏「それは、大変失礼しました。」


主人公「っ、死ね!」


バァン


鵜伏「はぁ…しつこいですよ。」


鵜伏「早く帰りたいので止めてくれませんか?」


主人公「っ、うわぁぁ!!」


そして、 は鵜伏に飛びかかった…。


鵜伏「っ、何を…!?」


主人公「殺してやる…!!」


鵜伏「ぐ…止めろ…」


鵜伏「はぁっ!」


主人公「がっ!」


鵜伏「っ!」


主人公「っ、逃げるな…!」


タッタッタッ…


舞「っ、逃げられた…」


結衣「だが、作戦通りだ。」


主人公「あぁ、鵜伏のポケットにGPSを

つけられた…。」


楓花「これで、奴らの研究所が

特定できるけど…。」


結衣「…本当に、胸糞悪い…。」


主人公「あのクズ野郎、何て事を…。」


舞「…あいつは、人としての一線を越えた、

次会ったら確実に始末しなきゃ…。」


紫央「あいつ、本当に殺してやりたいよ…。」


紫央「私、悔しい…何も出来なくて…。」


主人公「…あぁ、俺もだ…。」


紫央「どうして、こんな残酷なことに

なってしまったのかしら…。」


主人公「だが、1つ分かったことがある、」


主人公「…鵜伏、奴を倒せばこの一件に

方がつく…。」


結衣「え、そうなのか…?」


主人公「…俺の推測だが、奴は何らかの

理由で結衣、お前の父親を殺した

可能性がある。」


結衣「…そんなこと、ありえるのか…?」


舞「でも、佑伸さんの話を聞く限りでは、

有り得ない話ではないはず…。」


結衣「まさか、そんなことは…。」


紫央「…問題は、鵜伏に結衣の父親を殺せる

ほどの力があったかどうか…。」


結衣「いや、あいつは警戒心が強い、

だからそれは考えにくい…。」


楓花「でも、あの人と鵜伏が小競り合いを

していたのは事実…。」


結衣「だとしたら、それに鵜伏が勝った

可能性があるのか…。」


舞「そうじゃなきゃ、鵜伏が警察を

止められないからね…。」


主人公「そうか…。」


主人公「…そう言えば、そろそろ

鵜伏が研究所に戻ったか…?」


楓花「待って、調べてみる…。」


ーー


主人公「どうだった?」


楓花「…大きな動きがない…。」


楓花「おそらく、研究所の位置はここよ。」


結衣「ちょっと待って、調べてみる…。」


結衣「…ん?少し見せて?」


楓花「どうしたの?」


結衣「ここ…」


結衣「雪乃財閥の本部だよ…。」


主人公「…は!?」


楓花「このGPSは高性能でね、GPSを付けている

人の高度も観測できる…。」


楓花「そして、このGPSは

地下4階を示してるの…。」


主人公「雪乃財閥の本部、その地下4階

なんて聞いたことあるか?」


結衣「いや、全く…。」


紫央「じゃあ、決まりね。」


主人公「鵜伏の研究所、その本部は

雪乃財閥の本部に点在してる…!」


結衣「だとしたら面倒だ。」


結衣「もし仮に、私の父親が生きてたとして

ここを通すとは考えにくい…。」


主人公「いや、お前の家は雪乃財閥の

所だから、お前の父親が生きているかは

分かるんじゃないのか…?」


結衣「言ってなかったけど、今私家を

追い出されててね、あそこに帰るのは

難しいんだよ…。」


主人公「そうだったのか…。」


結衣「だから、すまないがそれについて

調べるのは難しいだろう…。」


主人公「なら仕方がない…。」


主人公「だが、これはどう突破するか…」


楓花「私が行くわ…。」


主人公「え、いいんですか…?」


楓花「今、あいつらの中で私は死んだことに

なってるけど、通れないことはないはず…」


主人公「待ってください、何で死んだことに

なっているんですか…?」


楓花「7年前、私が島を出る前に色々あって

殺されかけた、でも佑伸さんの助けで

本土まで逃げることができたの…。」


主人公「え、そうだったのですか…。」


主人公「でも、死んでることになってるなら

尚更通れないはず…」


楓花「そこは私が何とかするわ。」


紫央「ねぇ、楓花さん…」


楓花「どうしたの?」


紫央「…楓花さんが殺されかけたのって

私のせいだよね…?」


楓花「…え?」


紫央「…あの時、本来私は

殺されるはずだったの…?」


主人公「…まさか…」


主人公「失敗したのか、祭の演舞を…」


紫央「…っ!!」


主人公「…あ。」


楓花「違う…。」


紫央「…私は、逃げたの。」


主人公「え?」


紫央「あの時、前の祭であったことを聞いて

私怖くなっちゃったの…。」


紫央「そして…あんなことに…」


ーー


村上1「なぁ、今年の祭は紫央ちゃんが

演舞を踊るんだよな…?」


村上2「あぁ、あんな小さな子に重荷すぎる…」


村上1「演舞、失敗したら、俺達全員

処刑されるんだろ?」


村上2「あぁ…。」


村上1「…そうなったら、俺本気で紫央ちゃんの

ことを恨むかもしれない…。」


村上2「…俺も、死ぬ直前になったら

そうなるかもな…。」


紫央「え…何それ、聞いてないんだけど…。」


紫央「処刑…って何?」


紫央「分からない…」


紫央姉「紫央、どうかしたの?」


紫央「ねぇ、お姉ちゃん、私達処刑されるの…?」


紫央姉「え…?それは?」


紫央「え、だってあの奥で私が演舞に

失敗したら私達は全員処刑されるって…」


紫央姉「っ…!!?」


紫央姉「聞いたの…?あのことを…!」


紫央「う、うん…。」


紫央姉「…紫央には正直なことを話すわ…。」


紫央姉「あの人達が言ってたことは本当。」


紫央「…え…。」


紫央姉「でも、私は紫央なら絶対に演舞を

成功させることが出来るって思ってる…。」


紫央「…私、無理だよ…。」


紫央姉「…え?」


紫央「前の人は失敗したんでしょ?それに、

練習の時も私、1回も成功させられなかったし…」


紫央「嫌だ…嫌だよ、私のせいでみんな

死んじゃうなんて…。」


紫央「私、怖い…」


紫央「お姉ちゃん、怖いよ…!」


紫央姉「…ねぇ、どうしても出来ない…?」


紫央「…うん…。」


紫央姉「分かった、じゃあどうにかして

私が演舞を踊るように話を付けておくよ。」


紫央「え…!?」


紫央姉「だから、もう大丈夫だよ。」


紫央「え、でも…!!」


紫央姉「私を信じて。」


紫央「…うん…!」


ーー


紫央「…あ…!」


紫央姉「はぁ、はぁ、はぁ…!」


紫央姉「失敗、した…っ!!」


村上1「おいおい、やべえよ…!!」


村上2「嫌だ、助けてくれ…!」


結衣父「おい、お前、何をしている…!!」


紫央姉「はぁ、はぁ、ごめんなさい…!!」


結衣父「どうやら、粛清が必要なようだな!」


バァン


紫央姉「がぁぁ!」


紫央「お姉ちゃん!!」


結衣父「このっ、役立たずがぁ!!」


バァン


紫央姉「あ…」


紫央「お姉ちゃん、お姉ちゃん!!」


村上1「にっ、逃げろおぉぉ!!」


うわぁぁぁぁぁぁ!!


結衣父「逃がすな!この場で全員処刑しろ!」


バァンバァンバァンバァンバァンバァン


紫央「え…何これ…」


紫央「嫌…嫌だ…」


楓花「止めて!!」


結衣父「っ、何だお前は!」


楓花「その子はまだ小学生なの!

まだ殺さないで!!」


結衣父「お前に、私に指図する権利はない!」


楓花「やめて!お願い!!」


結衣父「離せっ、汚らしい手で触るな!」


楓花「うわぁっ!」


???「紫央ちゃん!こっちへ!」


紫央「っ…!!」


楓花「っ、逃げて…!」


紫央「でも、お姉ちゃんが…!!」


楓花「っ、逃げて…!!」


紫央「っ…!!」


タッタッタッ…


結衣父「よくも逃がしてくれたなっ!」


バァン


楓花「がぁっ!」


楓花「っ、このっ!」


シュゥゥゥゥ


結衣父「っ、煙幕だと、このっ…!」


バァン


楓花「うわぁぁぁっ!」


バダッ


結衣父「くそっ…!仕留めたか…!!」


結衣父「手間取らせるな、無能どもが…!」


ーー


主人公「まさか…紫央のお姉さんが

演舞を踊ったなんて…」


紫央「私は怖かった、だから責任を

お姉ちゃん1人に押し付けた…。」


紫央「そのせいで、皆殺された…。」


楓花「…紫央ちゃんのせいじゃないよ。」


結衣「悪いのは、全部あのクソジジイと

鵜伏の野郎なんだ…。」


紫央「…そうなのかな…。」


主人公「紫央、お前が責任を負う必要

なんて1つもないんだよ。」


紫央「でも、私が演舞を成功させていたら

みんな今も生きていたのに…」


結衣「無いものは無いんだよ、紫央…。」


紫央「っ、でも…!」


結衣「お姉さんが大事なのは分かるよ、でも、

もうお姉さんは居ないんだよ…!」


紫央「っ…!」


紫央「うぅっ…お姉ちゃん…!」


主人公「紫央…」ナデナデ


紫央「っ… 、!」


ギュゥゥゥ


紫央「っ…!」


主人公「紫央…お姉さんが

居なくなって辛かったんだよな…」


紫央「…うん…。」


主人公「苦しかったろうが、お前は

一人じゃないんだ、それだけは

覚えていてくれ…。」


紫央「…うん、分かった。」


紫央「…ねぇ、 …。」


主人公「どうした…?」


紫央「もし、私がどうしようもなくなったら

助けてね…。」


主人公「あぁ、分かった。」


紫央「…ありがと。」


ーー


舞「…。」


主人公「舞、どうした…?」


舞「私、大野の人間だったんだね…。」


主人公「あぁ、驚いたよ、舞の親が

島の出身で、しかも俺と同じ一族の

人間だったなんてな…。」


舞「それと…少し怖くなった。」


主人公「…それは、どうしてだ?」


舞「…それは…。」


舞「もし と血縁関係だったら…」


舞「その…結婚できないかもだから…。」


主人公「…お前、そう言うことまで

気にするんだな…。」


舞「当たり前だよ…。」


舞「…私ね、実はこの島に最初から既視感を

感じてたんだよね、ちょっとだけだけど…」


主人公「そうだったのか…?」


舞「うん、まさかとは思ってたけど、

本当だったなんて思ってなかったよ…。」


主人公「…舞って確か、生まれてからすぐに

孤児院に預けられてたんだよな…。」


舞「うん。」


主人公「舞も島の出身なんて、想像も

つかなかったよ…。」


舞「私も、この島が生まれ故郷だとは

考えもしてなかったよ…。」


主人公「舞、生まれた直後の記憶ってあるか?」


舞「ないよ、あるのは孤児院の時の

記憶だけ…。」


主人公「…それ、話してくれるか?」


舞「…いいけど、手がかりには

ならないと思うよ…。」


主人公「それでも構わない。」


舞「なら、話すよ…。」


ーー


私は、孤児院では大人しく、内気だった…


舞「…。」


いつも、部屋の隅でぼーっとしてることが

多かったらしい…。


そんなある日のことだった。


舞「…あれは?」


黒服「…。」


スーツ姿の大人達が孤児院の中に

次から入っていった。


今になって分かったことだけど、あれは

孤児院への差し押さえで来ていたんだ。


あの孤児院はどうやら経営破綻して

借金を抱えて、院長が夜逃げして、

借金を踏み倒したらしい…。


ただ、そのせいで私は帰る場所を

失ってしまった…。


ーー


舞「その後は伊上家に預けられた。」


舞「あとは、これで終わりかな…。」


主人公「…舞、まさかそんなことを

経験してたなんてな…」


舞「対したことじゃないよ…」


舞「ただ、住んでた所が

なくなりかけたってだけ。」


主人公「大変だったな…」


舞「まあ、大変だったのはそうだけど…」


舞「私としては、本当に大変だったのは

この後なんだよね…。」


主人公「あぁ、いじめに会ったんだよな…。」


舞「うん、あれは本当に大変だったよ…。」


舞「…もう、あの時には戻りたくないよ…。」


主人公「本当に、そうだな…。」


舞「…そういえば、 …」


主人公「何だ?」


舞「覚えてるかな、まだ が部活に

入ってた時、大会で準優勝して が

すっごいはしゃいでたんだよね…。」


主人公「…え?準優勝…?」


舞「…まさか…」


…まただ…


…記憶にない。


どうして俺はこんなにも忘れてしまったんだ…


主人公「…すまない。」


舞「…ごめん。」


主人公「本当に…」


俺は、気づいたときには涙を流していた。


分からない、この涙が恐怖から来てるのか、

悲しみから来てるのか、それとも怒りなのか、

それすらも俺は分からなくなっていた…。


舞「 、泣いてるの…。」


主人公「ごめん、みっともないよな…。」


舞「…そんなことないよ…。」


主人公「舞、俺もう先が長くないかも

しれないんだよ…。」


舞「…え?」


主人公「俺は、思ってるより多くの記憶を

忘れてるみたいなんだ…。」


主人公「…だから、もしこの病が

治らなかったとしたら俺は近いうちに

死んでしまうだろう…。」


主人公「もしそうなったら、俺のことは

忘れてくれても構わない…」


舞「…は?」


主人公「…舞ならきっと俺が居なくても

楽しく暮らしてくれると信じてるよ…。」


舞「何で…」


舞「何でそんなことを平然と言えるの…!」


主人公「…え?」


舞「どうして、そんな自分の命を

安く見るの…!」


主人公「え、それは…」


舞「短い命だろうと、私にとっては関係ない…」


舞「私にとって、 は誰よりも大切なの…!」


舞「だからそんなこと言わないで、お願い…!」


主人公「ま、舞…。」


舞「私、 にずっと助けられてきたよね…。」


舞「だから今度は私が を助ける番なんだね…」


主人公「ま、舞…?」


そこに居た舞は、俺が今まで見たことも

無いようなオーラに包まれている様だった…


なんと言うか、強い決意を抱いている

ような、そんな感じだった…。


舞「ねぇ、 …。」


主人公「…何だ?」


舞「私に を守らせてくれないかな?」


主人公「…え?」


舞「私、絶対に を傷つけさせないから…。」


舞「…いいかな?」


主人公「か、構わないが…」


舞「そっか、良かった…」


舞「 も大変だとは思うけど、私も頑張るよ…。」


主人公「…そうか…。」


舞「 には長生きして欲しいし、

記憶障害も直して欲しいから、

絶対にあいつらを倒すよ…。」


主人公「…そうだな。」


舞「…うん!」


…いくつか気がかりな事がある…。


まず、舞の雰囲気が島に来る前と大幅に

変わっているような気がするんだ…


舞の中にある明るさが消えたような、

そんな気がしてならないんだ…。


…そして、もう一つ…。


よくよく考えたら、鵜伏はなんで俺達を

襲撃しておきながら俺達に何もしなった?


あいつがやった事と言えば、佑伸さんを

残酷に殺したことだけ…。


機材を破壊したりとか、そう言うことは

一切なかった…。


しかも佑伸さんの様子を見るに、あれは

鵜伏が仕組んでいたことだろう…。


…意味が分からない。


最悪、佑伸さんに俺達の誰かを殺させれば、

戦力を大幅に削げるからな…。


…まさか、そうする必要がないのか…?


…よく考えてみたら奴は、遊んでいるかの

ようだった…。


…奴は何を考えている…。


無策であいつの元に突っ込むのは、

危険だ…。


行くのは策を練ってからの方がいいだろう…


舞「あ、そう言えば今日の夜空いてる?」


主人公「空いてるが、どうした…?」


舞「いや、久しぶりに2人で話したいなって

思ってさ…。」


舞「私の部屋で少し話さない?」


舞「将来のこととか、色々話したいんだ…」


主人公「…。」


主人公「いいな、やろう…。」


舞「いいの?やった!」


舞「じゃあ、夜、楽しみにしてるよ!」


主人公「あぁ。」


ーー


主人公「…。」


結衣「おーい、 !」


主人公「何だ?どうした…?」


結衣「それが、奴らに奇襲を仕掛けられる

かもしれないんだよ!」


主人公「何?それはどう言うことだ…?」


結衣「それが、楓花さんが奴らの研究所の

場所を特定したみたいなんだ!」


主人公「何?そうなのか…?」


結衣「だから、明日にでも行けるよ…!」


主人公「いや、明日は駄目だ…!」


結衣「え、それは何故…?」


主人公「何も考えずにすぐに行くのは

危険すぎる、実際前回研究所を見つけてすぐ

行って、死にかけたからな…。」


主人公「今回は、入念に策を練ってから

研究所に行った方がいいだろう…。」


結衣「でも、どうするんだ…?」


主人公「それを今から考えよう…。」


結衣「そうだな、そうするか…。」


主人公「まず、人間兵器への対策が

第一だ…。」


結衣「でも、まだ人間兵器のデータがない、

対策ってどうするんだ…?」


主人公「ハッキングでどうにかデータを

集められないか…?」


結衣「…そうだな、楓花さんに聞いてみるか…」


ーー


結衣「楓花さん、ちょっといいかな…?」


楓花「どうしたの…?」


結衣「ハッキングで人間兵器のデータを

調べることは出来ないかな?」


楓花「あぁ、それを今やっていたのだけど…」


楓花「一応、これがハッキングしたデータ

なんだけど…」


結衣「お、あるのか、なら…」


楓花「いや、それが人間兵器の製造方法は

書いてあるけど、肝心の弱点はここには

のってなくて…。」


主人公「これは…また鵜伏の野郎に

嵌められたか…クソ。」


楓花「ただ、製造方法から弱点を割り出す

ことも不可能ではないはず…。」


結衣「なら、それでやってみよう。」


楓花「そうするわ…。」


楓花「…待って、結衣…。」


結衣「どうしたの?」


楓花「この研究所のある所、何か違和感を

感じない…?」


結衣「んーと確か、デパートの地下に

あるんだっけか…。」


楓花「あの鵜伏がそんな目立つ場所に研究所を

置くかな…?考えにくいと思うんだけど…」


結衣「確かに…妙だ。」


主人公「何か意図があるのか…?もしかしたら

ここの研究所もハッタリの可能性があるかもな。」


結衣「…ありえなくはないな…。」


楓花「確かに、鵜伏はそう言うことを

してくる可能性があるわね…。」


主人公「デパートの地下に研究所を

置いた意味についてはどう思う?」


楓花「…警備を置きやすくするため、かな…?」


主人公「おそらく可能性として高いのは

多くの人を巻き込んで爆破できるから、

と言うのも考えられると思う…。」


結衣「…何?」


主人公「俺は分かるんだよ、鵜伏、奴は

俺らの想像よりやばい奴だってな…。」


楓花「…。」


主人公「考えられる全ての可能性を視野に

入れて行った方がいい、奴は、鵜伏は

何を考えてるか分からないからな…。」


楓花「…そうね。」


楓花「…製造方法から人間兵器の弱点を

割り出すのは無理そうね…。」


主人公「どうしても、無理そうなのか…?」


楓花「うん、弱点に当たる部分を上手く

隠されてるみたい…。」


主人公「…待て、ここ、大体の機能は

人間からの流用って書いてないか…?」


楓花「…え?」


主人公「ほら、人間をベースとして、主な

機能を人間のものから流用しているため

目と内臓は構造的に組み替える事が不可能って

書いてある…。」


結衣「じゃあ、目を狙い撃てば奴らの

目は使えなくなる、つまり目を狙えば…」


主人公「いや、人間兵器は間違いなく

複数体居るだろう…。」


主人公「つまり、いくら目を狙って撃って

命中したとして、それを何回も

繰り返さなければいけない、そうしていても

キリがないんだ。」


結衣「でも、内臓は狙えなそうだし…」


主人公「問題なのはここからだ。」


主人公「大体の機能が人間のものから

流用されてるってことは脳みそも恐らく

流用されているはず…。」


主人公「だから、首と銅をどうにかして

切り離すことが出来たら人間兵器の機能は

停止する…はずだ。」


結衣「でも、奴らの皮膚は鋼鉄で

覆われている、銃弾で撃ち抜けるかな…?」


主人公「いや、人間から機能を流用してるなら

恐らく首は人体の構造的に鋼鉄で覆えない…」


主人公「だからそこに関しては問題ないはずだ。」


結衣「なら、大丈夫だね…。」


主人公「だが、不安なのが…」


主人公「本当に全ての機能を人体から

流用しているかだ。」


結衣「それは、つまり…?」


主人公「たとえば、脳みそが要らなくなって、

首から上が無くても機能が停止しない

ようになってるとか…。」


結衣「それは、恐ろしいな…。」


主人公「だから、そこまで考えた上で

研究所に足を踏み入れる必要がある…。」


結衣「…奴ら、どこまで狡猾なんだ…。」


主人公「そう言う奴らと俺らは戦ってるんだ、

油断は絶対にするな…。」


結衣「…分かってる、ただ、少し不安だ…。」


主人公「俺もだ…。」


楓花「鵜伏は佑伸さんとその娘さん、

そして鈴ちゃんのお母さんの仇だから、

絶対に倒したいわね…。」


主人公「…それだけじゃない。」


楓花「…え?」


主人公「奴は間違いなく計画や自分の

私利私欲のために何人も人をいたずらに

殺めてきたんだろう…。」


主人公「そんな被害に会った全ての人のために

あいつは討伐しなきゃいけないんだ…。」


楓花「…えぇ、そうだったわね…。」


主人公「そう、だから…」


主人公「たとえこの命を散らしてでも、

鵜伏を倒さなきゃ…。」


楓花「…それは、駄目…!」


主人公「何でだ…?」


楓花「どうして鵜伏や雪乃財閥に

苦しめられた が鵜伏のために

死ぬ必要があるの…!」


主人公「だって、どうやったって

俺は死ぬんだろ?同じだろ…。」


結衣「え…!?どう言うこと…!?」


主人公「俺がかかってる細菌兵器は進行する

ごとに記憶障害も悪化するらしいんだ、

だからもう手遅れなんだよ…。」


結衣「でも、特効薬が見つかったら…!」


主人公「え、特効薬って何だよ…」


楓花「鵜伏が恐らく持っているはずよ…。」


主人公「…そうなのか…?」


おかしいな…そんなの聞かされてない。


何故だ…?楓花さんの性格を考えたら

そんな物があるなら絶対に最初に

言ってくるはず…。


さては、何か裏があるな…?


楓花「…今まで言ってなくてごめん…」


主人公「…別に、いいんだよ…。」


楓花「…ごめんね…。」


ーー


結衣「…なぁ、紫央、どうなってるんだ?」


紫央「結衣?どうしたの?」


結衣「どうやら が特効薬の存在を

知らされてなかったみたいなんだが…。」


紫央「え?そうなの…?」


結衣「おかしくないか?楓花さんの性格を

考えたら が不安にならないように絶対に

特効薬の存在は教えると思うんだが…」


紫央「確かに妙ね…楓花さんは

特効薬の存在を真っ先に教えるのもだと

思ってたんだけど…。」


結衣「そうなんだ、最近の楓花さんの

行動は楓花さんらしくない…」


結衣「舞に調査させてるけど、

結局原因はなんなのだろうか…」


紫央「え、結衣そんなことさせてたの…?」


結衣「あぁ、念には念を置いておいた。」


紫央「お、置きすぎじゃない…?」


結衣「そうかな…?これくらいがちょうどいい

と思ったんだが…。」


紫央「結衣ってそう言う所ですっごい

入念だよね…。」


結衣「こう言うことは事前に色々しておかないと

気が済まない質なんだよ私は…。」


紫央「…そう言えば、結衣ってそうだったわね。」


結衣「だが、ついさっき何の準備もなく

鵜伏の研究所に突っ込むことを に提案

してしまった、反省だな…。」


紫央「え?そうなの?意外ね…。」


結衣「…私、正直けっこう焦ってるかも

しれないな…。」


紫央「…確かに結衣は最近平静を保ててる

様には見えないわね…。」


結衣「…それは案外紫央もそうなんじゃ

ないのか…?」


紫央「…だって、そりゃそうでしょ…」


紫央「一番大切な人が死ぬかもしれないのよ…」


結衣「…そうだな…。」


結衣「私達は常にそんなリスクを背負いながら

戦っているんだな…。」


紫央「…そうね。」


紫央「…何とかなるかな?」


結衣「何とか、しなきゃ駄目なんだよ。」


紫央「…。」


紫央「そうね…。」


ーー


主人公「舞ー?居るかー?」


舞「うん、居るよ、入って…。」


主人公「あぁ、失礼するぞ…。」


舞「…それで、まず何から話そっか。」


主人公「…まず、一つ、いいか?」


舞「うん、何…?」


主人公「俺は、多分助からないと思う…。」


舞「…え?」


主人公「…俺の記憶障害は、皆が

思ってるよりもずっと重症化してるんだ…。」


舞「っ…!!」


主人公「…だから、死ぬ前にせめて

皆と思い出を作りたいんだ…。」


舞「…」


主人公「特に鈴さんとは出会ってまだ

間もないからな、仲を深めたいんだ…。」


舞「…っ。」


主人公「楓花さんが何を考えてるかも知りたいし

結衣や紫央とも久々に遊びたいし、何より…」


主人公「舞、お前とまた馬鹿みたいに

はしゃぎたいんだ…。」


舞「っ…!!!」


主人公「覚えてるか?確かいじめの件を

終わらせた後に遊園地行ってさ、お化け屋敷で

絶叫しまくったよな…。」


舞「…!」


ポロッ


舞「うん…覚えてる…覚えてるよ…!!」


舞「確かさ、私出た後力尽きて に

思いっきり抱きついたんだよね…。」


主人公「そうだ、覚えてるぞ…!」


主人公「…待って、舞、泣いてるのか?」


舞「な、泣いてないよ…。」


舞「ただ、玉ねぎ切ったからそれだと思う…」


主人公「何でこのタイミングで涙が

出るんだよ…やっぱ泣いてんじゃん。」


舞「泣いてないって…このバカ、女たらし、

トマト苦手なくせに…。」


主人公「ちょ、なんでトマト苦手なこと

お前が知ってんだよ…。」


舞「だって、ぐすっ、 とずっと

一緒に居たもん…それくらい、分かるよ…」


主人公「そ、そんなもんなのか…?」


舞「うん、そうだよ…ぐすっ。」


主人公「てか、何でそんな泣いてんだよ…」


舞「だって…嬉しいんだもん…」


主人公「え?」


舞「 があの時のことを、大切な思い出を

覚えててくれたんだもん…。」


主人公「っ…!」


舞「っ、なんでこんなに涙が出てくるの…」


主人公「舞…。」


舞「何で私泣いてるんだろ…。」


舞「こんなしょうもないことなのに…」


主人公「…でも、覚えてることは

あったんだな…。」


主人公「全部を忘れてる訳じゃ無かったんだ…」


舞「良かったよ、本当に…」


主人公「…でも、最近記憶がどんどん

薄れていっているのが分かるんだ…。」


舞「…うん…。」


主人公「俺、怖いんだよ…記憶を

失うことも、死ぬことも…。」


主人公「…なぁ、舞…」


舞「…何…?」


主人公「俺が居なくなった後でも、

上手くやってくれよ…。」


舞「…ねぇ、 …。」


主人公「…何だ?」


舞「居なくなるとか、そんなこと

言わないで…。」


主人公「…すまない。」


舞「…私、夢があるんだ…。」


主人公「…夢…?」


舞「…私、 と結婚したいんだ…。」


主人公「っ…。」


舞「…だから、 には死んでほしくないの…」


主人公「舞…。」


舞「大丈夫、特効薬は絶対に見つかるから…!」


主人公「あ、あぁ…。」


舞「絶対、助けるよ…!」


主人公「…。」


舞「ねぇ、そう言えば…」


舞「私が大野家の人間だったことに、

何の意味があると思う…?」


主人公「…と、言うと…?」


舞「妙じゃない?皆殺しにされそうに

なったのに1歳くらいの子供を助けるなんて…」


主人公「…確かに、そうかも…」


舞「そんな幼い子供を助けるのには

大きなリスクが付きまとう、なのに

わざわざ助けるなんて、何かあったのかな…。」


主人公「…それは、鵜伏の元に行って

確かめるしかない。」


舞「うん…。」


主人公「鵜伏なら何か知ってるはずだ…

まぁ、奴がそんなこと話すとは考えにくいが、

手がかりくらいは手に入るはず…。」


舞「だったらいいな…でも、一番は

 にこの先も生きてもらうことだよ。」


舞「それさえ出来れば、私の過去なんて

正直どうでもいいよ…。」


主人公「でも、知りたくないか…?

自分なことだろ?知っておいて損は

ないはずだ…。」


舞「…でも、私の出自のことについて

分からなくても私が死ぬ訳じゃないでしょ?

だから、いいの。」


主人公「そうかな…俺は知りたいよ、

舞の昔の事について…。」


舞「そうなの…?」


舞「…。」


舞「なんか嬉しいな… が私の

ことに興味を持ってくれてて。」


主人公「…っ。」


舞「…何で赤くなってるの?」


主人公「え、嘘、赤くなってる…?」


舞「うん、すっごい赤くなってるよ…。」


主人公「まじか…何か恥ずかしい…」


舞「別にいいじゃん、私達もう長いんだし。」


主人公「確かに、もう長いよな…。」


主人公「感慨深いな…。」


だからこそ、舞には苦しんで欲しくない…


ただでさえこんなことに巻き込ませておいて、

俺のせいで苦しい思いをさせてるんだ…


苦しんでる舞の表情を見ると、こっちまで

悲しい気持ちになるんだ…。


舞は大切だ、俺の人生には欠かせない、

俺の大切な人…。


本土に行ってから、ずっと一緒に居た、

辛い時も苦しいときも、楽しい時も…


そう、だから…申し訳ない、そんな思いが

ずっと俺の胸の中で込み上げて来るんだ…。


大切な人をいたずらに傷つけたことへの、

罪悪感が…。


…どうにかできないかな…。


舞「…これからも、ずっと一緒に居てくれる?」


主人公「…。」


主人公「保証は出来ないけど、俺に出来る

全ての努力をするよ…。」


舞「…そっか。」


舞「きっと、上手く行くよ…。」


主人公「…あぁ、そうだな…。」


舞「…湿っぽくなっちゃったね。」


主人公「さっきから、ずっとそうだろ…。」


舞「…確かに、そうだね…。」


舞「湿っぽいのは駄目だね…

明るい話をしよう。」


主人公「だな…。」


舞「…そう言えば、鈴さんと遊園地に

行ってきたんだっけ…。」


主人公「…っ、あぁ…。」


舞「いいな、私も今度連れてって…。」


主人公「あぁ、行こう。」


舞「やったー!」


主人公「…。」


舞「んー…。」


舞「元気ないね…。」


舞「どうかしたの?」


主人公「いや、何でもないんだ…。」


舞「…。」


主人公「ま、舞…?」


舞「じー…。」


舞「…もしかして、私のこと大切だから

傷つけたくないって思ってた?」


主人公「はっ…!?」


舞「その反応、図星だね。」


主人公「っ…。」


舞「 ってそう言う所で昔から

優しいよね…。」


主人公「…そうなのか…?」


舞「そうだよー、きっと昔から

そう言う性格なんだよ。」


舞「だから、好きなんだけど…」ボソッ


主人公「んー、そうでもないと思うが…。」


舞「えー、そんなこと無いって!」


主人公「…そんなじゃないよ、ただ…」


主人公「大切な人にはいつも笑ってて欲しい…」


主人公「大切な人には辛い顔じゃなくて

笑顔で居て欲しいんだ…。」


主人公「ただ、それだけ…。」


舞「っ…」


主人公「舞…?」


舞「やっぱり はいい人だよ…」


主人公「…。」


主人公「そんなんじゃない。」


舞「えぇ、そんなこと…」


主人公「前にも言ったけどさ…」


主人公「俺、部活でレギュラー取るために

先輩にでまかせの悪評流したことあるんだ…」


舞「…。」


主人公「俺は、いい人なんかじゃないよ。」


舞「ねぇ、私知ってるんだよ…。」


主人公「…何をだ…?」


舞「 のお母さんから聞いたんだ、

それは私のせいなんだって…。」


主人公「…え?」


ー数年前ー


ザザザザザザ…


舞「…。」


今日も と一緒に帰れなかった。


一人にしてくれって、辛そうだった…。


舞「…。」


舞「雨、強いな…。」


舞「どうしたんだろ、 …。」


母「あ、舞ちゃん…!」


舞「あ、お母さん!どうしたんですか?」


母「 は一緒じゃないの…?」


舞「はい、何だか落ち込んでるみたいで。」


母「無理もないわ、だってあんなことに

なったんだもの…。」


舞「あんなこと…?」


母「部活のレギュラーを取るために先輩を

陥れたって言ってたんだけど…」


舞「聞きました、でも はそんなこと

するとは思えません…。」


母「そうね…あの子はそんなことを

する子じゃない。」


母「だから、気になって部屋に入って、

日記を見てみたの…。」


舞「え、大丈夫なんですか…?」


母「…多分、あの子にバレたら

きっと怒られるわね。」


舞「えぇ…」


母「それで、中身を見てやっぱりか、

と思ったわ…。」


舞「え、そうなんですか…!?」


母「…あの子、舞ちゃんのこといじめてた

人達の部下の人達にいじめを受けてた

みたいだったの…。」


舞「…」


母「…。」


母「…それで…あの子は…良くしてくれた

先輩の悪評を流せと言われて…」


母「流さなきゃ舞ちゃんを袋叩きにするって…

言われたらしいの…。」


舞「…」


舞「…なん…で…」


こんなことってないよ…。


私のせいだ、私のせいで が…、あぁ…


舞「うぅ…」


舞「っぐ…ひぐ…」


自然と涙が流れてきた…


そして、私の手から傘が落ちていった。


涙が雨と溶けて、消えていく…


こんな辛いことは今までなかった。


私のせいで大切な人が苦しんでいる…


母「…舞ちゃんは悪くないよ、絶対に…!」


舞「っ、お母…さん…」


母「あんな大人気ない連中、群れなきゃ

何も出来ないからああなのよ…」


舞「っ…」


母「悪いのは舞ちゃんじゃない、

勝手な復讐意識であの子を追い詰めた、

あいつらが悪いのよ…!」


舞「お母さん…」


舞「っぐ…」


いや…


泣いちゃだめ。


今私に出来ることは を助けること…!


舞「…私、 の所に行ってきます。」


母「…一つだけ、いい?」


舞「…何ですか?」


母「どうか、あの子にこのことは

言及しないで欲しいの…」


舞「それはどうして…?」


母「この事について舞ちゃんの口から聞いたら

きっとあの子の心は持たないわ…。」


母「ただ、優しく寄り添って…」


舞「分かりました…」


あんな奴らに、私の一番大切な人の

心を壊させてたまるか…


…私は、ずっと天涯孤独なのかなと思ってた。


孤児院でも居場所が無くて、

その後預けられた家でも私に

興味が向けられることは無かった…。


本来私は大人しかったし、いじめも受けたから

他人をあんまり信用出来なかった…


でも、あの日 と出会って世界が変わった。


確信したの、人間不信な私が、この人は

私の事を助けてくれるって…。


眼帯付けてるし、びしょ濡れで服も

汚かった私の事を偏見を持たずに

1人の人として話してくれた…


それは私にとって初めての経験だった。


先輩に裏切られて、最後の助け舟も

掴めなかった私には、どれだけ輝いて

見えたか、今でも鮮明に覚えてる…。


舞「…行ってきます。」


もう、私は一人じゃない…。


今度は私が支える番なんだ…!


ーー


主人公「…。」


俺、もうだめかもしれない…。


舞を人質に取られて、先輩を売ってしまった…


あんな奴らに…俺は負けた。


俺は弱い…


舞「っ…おーい!」


主人公「なっ…!」


舞「そこに居ると風邪ひくよ?私傘

あるから一緒に…」


主人公「…来ないで、くれ…」


舞「…やだ。」


主人公「頼む…!」


舞「ねぇ、 …。」


主人公「俺に、お前と一緒に居る資格なんて

無いんだよ…!」


舞「資格ならある!」


ギュゥ


舞「私があるって言ったらあるんだよ…!」


主人公「…でも…」


舞「でも無効化!」


主人公「え、だって俺は…」


舞「関係ない!だって は私のこと

助けてくれたでしょ?だから…」


主人公「幻滅しただろ、あんなことするなんて…」


舞「うるさい! は悪くない!」


主人公「っ、は…?」


舞「聞いたよ、あの部の顧問の先生が

レギュラー以外全員退部にするって

言い出したんでしょ!」


主人公「っ、何でそれを…」


舞「悪いのはあの顧問の先生だよ、

 は悪くないの!」


主人公「でも、俺は人を陥れ…」


舞「だから、でも無効化だって!!」


主人公「っ、す、すまん…。」


舞「とにかく、家帰ろうよ、体拭きたいし…」


舞「あ、勿論 の家だから!」


主人公「え、そんな…」


舞「ほら、善は急げだよ、帰ったら

一緒に体拭こうね!」


主人公「ちょ、ちょっ…」


私は雨に濡れた手を握る。


主人公「っ…」


舞「ねぇ、 って意外と初心なんだね…」


主人公「なっ、そんなこと…」


舞「ちなみに今私ノーパンだよ。」


主人公「は、はぁっ!?」


舞「嘘だよ嘘々。」


舞「フフフ、反応面白いから

からかい甲斐があるよ…。」


主人公「何だよ、もう…」


舞「…。」


舞「やっぱり、 は笑ってる方がいいよ。」


主人公「っ…。」


舞「ささ、もうすぐだよ…」


舞「フフフ…。」


ー今に戻るー


主人公「…最初から知ってたのかよ…」


舞「…こんな話、私もしたくなかったけど…」


舞「ねぇ、もしかして私に嫌われようと

してたりする?」


主人公「…」


舞「それなら、無駄だよ…。」


舞「…私ね、あの話を のお母さんから

聞いたとき何て考えたと思う?」


主人公「それは…」


舞「罪悪感や申し訳無さ、それもあった…」


舞「けど、最初に考えちゃったの…」


舞「 が先輩じゃなくて私を選んで

くれてよかったって…」


主人公「え…?」


舞「私、 のことしか頭に無いんだ…」


舞「だから、私も同じだよ…。」


舞「あはは…ねぇ、失望した?

私って案外どうしようもないんだよ…。」


主人公「舞…」


舞「実はずっと の部屋に盗聴器とか

盗撮用のカメラとか仕掛けてたんだ…」


舞「ははは、やっぱり楓花さんより私の方が

ずっと質が悪いよ…。」


舞「…ねぇ、 ?」


舞「これでもまだ、自分が

いい人じゃないって言える…?」


主人公「…。」


舞「私、 がいないと生きていけないんだ…」


舞「だから、この計画に乗ったのも

自分のため。」


舞「だって、 と離れたくないもん…。」


舞「しかしあの細菌兵器の事を聞いたときには

内心発狂しそうになったよ、なんで誰よりも

優しい にあんな酷い仕打ちをするんだって、

許せないよ、あの雪乃財閥…」


舞「雪乃財閥が潰れようが潰れまいが

どうでもいいと最初は思ってたよ、

けど気が変わってあいつら全員

ぶち殺してやろうって思ったの。」


舞「にしてもみんな甘いよね、潰すだけじゃ

足りないよ、跡形も残さないで消し去るだけ

でも私的には足りないかな…」


主人公「…なぁ、舞…。」


舞「あっ、どうしたの?」


主人公「…俺は舞が何と言おうが舞のことは

大切だよ…。」


舞「え、嬉しい…」


舞「優しいね、 …。」


主人公「あとさ、盗撮カメラと盗聴器が

あることは知ってたよ?」


舞「へー、知ってたんだ、やっぱり

 はそうめ…」


舞「…待って何て?」


主人公「だから、盗聴器とカメラの

存在は最初から知ってたって…」


舞「え?」


舞「えぇー!!?」


主人公「だって聞こえてたもん、トイレから

帰ってきたら盗聴器だの何だの聞こえて、

それで舞が帰った後にコンセント確認したら

案の定身に覚えのない機器が刺さってたし…」


舞「さ、最初からバレてた…」


舞「で、でもなんで外さなかったの…!?」


主人公「え、舞なら被害は出ないだろうな、

と思ったから外さなかったんだよ。」


舞「そ、そんな…」


主人公「舞にヤンデレは早いってことだ。」


舞「むー…。」


舞「…なんちゃって。」


主人公「…え?」


舞「あはは、あははははは。」


主人公「ま、舞…!?」


舞「残念だけど、甘いよ。」


舞「違和感を感じたことはない?たとえば

ゴミ箱の中身が消えたり、起きた時にあそこに

変な感覚を覚えたりとか…」


主人公「え、それは…」


主人公「…舞、お前まさか…」


舞「残念だけど、どうやら私のほうが

1枚上手みたいだね。」


舞「楽しいんだよ、 が使ったティッシュを

食べるの、 と一体化してるみたいで…」


主人公「なっ…!?」


舞「夜は に隠れてその…するのが、

言葉にするの難しいんだけど、

すっごく楽しいんだよね…。」


主人公「ま、舞…!?」


舞「驚いた?これが本当の私。」


舞「本当は最後まで隠したかったけど、

もうどうでもいいや。」


舞「だって…」


舞「 に忘れられたくないし。」


主人公「…え?」


舞「私いいこと考えたんだ。」


舞「強いインパクトを に与えれば

きっと私の事をずっと覚えてくれるって…」


舞「そしたら病気の進行も遅れるかもだし、

一石二鳥だよ…。」


主人公「…舞、そこまで考えて…」


舞「はぁ!?そんなの建前だよ、

全部自分のために決まってんじゃん!!」


主人公「…え?」


舞「あぁ、ごめん、怖がらせちゃった?」


舞「でも、本当の事だから…」


舞「私は誰よりも を愛してる…」


舞「だからこそ の全てを私に

さらけ出して欲しい…」


主人公「舞…どうしちまったんだよ…」


舞「どうしたもこうしたも無いんだよ。」


舞「これが、純度100%の私、伊上舞なの!!」


主人公「舞…」


主人公「なぁ、教えてくれよ…」


主人公「何でそんなお前が鵜伏を撃った?」


舞「…あ?」


主人公「あそこで撃つのはリスクがあった。」


主人公「あそこでもし仮に撃って鵜伏が

死んだとして人間兵器を待機させてる

可能性がある。」


主人公「そうじゃなくても研究員だとか、

雪乃財閥からの刺客とかがいるかもしれない…」


主人公「じゃあ何でお前があの時鵜伏を

撃ったのか…。」


主人公「その答えは単純明快だ。」


主人公「舞、お前が佑伸さんと佑伸さんの

娘さんを助けようと、助けたいと思ったからだ、

そうなんだろ、舞…!」


主人公「舞、自覚ないかもだけどお前は

いいやつなんだよ…」


主人公「なぁ、そうだろ、舞…!」


舞「…。」


舞「勘違いしないで。」


舞「私が助けるのはこの世で一人だけ…。」


舞「あそこで撃たなければ に危険が及ぶ、

そう考えたから撃った、それだけ。」


主人公「舞…!!」


舞「…私はそんなんじゃない。」


舞「私にそんな役割は似合わないよ。」


舞「だから…」


主人公「…!」


舞「どうかこれから、新しい私を

よろしくね…」


舞「旦那様…」


舞「なんちゃって!あはは…」


舞「流石に早いよね、そんなの…」


主人公「舞…?」


舞「いやー、いつもあれだと疲れるからさ、

すぐに戻さないと駄目なんだよねー。」


舞「いやー、私にはそう言う、真面目なのは

向いてないよ。」


舞「ただ、楽しくはしゃいだりおちゃらけたり、

そゆのが一番楽しいんだよ…。」


主人公「舞…。」


主人公「…俺はどんな舞でも、構わない…」


主人公「ただ、舞は舞らしくが一番だ…」


舞「ふふふ…」


舞「本当にそう?」


主人公「っ…!」


舞「あはは、ジョークだよジョーク、

いやー はいつでも面白いなー。」


主人公「ま、舞…。」


主人公「びっくりするだろ、全く…」


舞「ごめん、以後気をつけます!」


主人公「…そうしてくれ。」


ーー


主人公「…ここは?」


夢の中…か。


島に来てからよく見るな…。


???「 …聞こえるか?」


主人公「…貴方は…?」


???「…鵜伏さんは、お前の事を探している…」


主人公「…え?」


???「時は近い…」


???「研究所の一番奥の鵜伏さんの研究室、

そこのさらに奥の部屋で待っているぞ…」


主人公「な、何言ってるんだよ…

意味が分からない…」


???「…お前が選ぶ、その選択を

楽しみにしているぞ…」


主人公「ちょっ、待っ…」


主人公「はっ…!」


夢が覚めた…


何だったんだ、今のは…


だが、あれの気がかりなことは一つ。


俺は、夢に出てきたあの男の声や

姿に見覚えがある…。


それも、強く印象に残っている…。


主人公「…研究室の奥の部屋、か…。」


舞「 、起きてる?おっはよー!」


主人公「ま、舞…」


主人公「お、おはよう…。」


舞「楓花さんが話があるって、多分

研究所に行く計画が完成したんだと思う。」


主人公「…分かった、行ってくる。」


舞「後で私にも聞かせてね!」


主人公「あぁ…。」


ーー


主人公「楓花さん、居ますか…?」


楓花「…来たわね。」


主人公「それで、話って何ですか…?」


楓花「ひとまず、研究所を襲撃する

計画の全容が出来たわ。」


楓花「今からでもあいつらの研究所を

攻め落とせるわ…。」


主人公「…いや、まだ早いのでは…?」


楓花「…早くしないと、だって時間が

ないんだもの…。」


主人公「…確かに、そうでしたね…。」


楓花「でも、今日は流石にしないわ…。」


主人公「そうですか、よかった…。」


楓花「色々準備してから行かないと…」


主人公「そうですね…。」


楓花「とりあえず、人間兵器の製造方法から

まだ弱点を割り出してみる。」


主人公「分かりました、頑張ってください…」


楓花「うん…。」


結衣「おはよう…。」


主人公「結衣、おはよう…。」


結衣「そう言えば、何か夢でも見たかい?」


主人公「あぁ、だがいつもとは違う…。」


結衣「と、言うと…?」


主人公「俺の記憶じゃなかった…。」


主人公「誰だか分からない男性が俺に

語りかけてきたんだ…。」


結衣「…何?」


結衣「それは何かおかしくないか…?」


主人公「あぁ、有り得ない話だ…。」


主人公「ここ最近、何かおかしいんだ…」


結衣「もしかしたら、何かしらの意思が

直接 の脳に語りかけてきてたりしてね。」


主人公「…まさか。」


主人公「現実的な話じゃないよ…。」


結衣「そうだな…。」


結衣「…。」


主人公「結衣、どうした…?」


結衣「あぁ、何でもない…。」


結衣「とりあえず、私は部屋に戻るよ…。」


主人公「あぁ、分かった。」


結衣「…。」


ガチャ


結衣「…。」


結衣「ぐ…あぁっ!」


結衣「…はぁ、はぁ…」


…また、吐いた… 


ここ最近はずっと汗が止まらないな…。


正直、私はかなり焦ってるんだろうな…


…実際、最初に研究所に行ったとき

何も準備せずに行ってしまったからな…


…せっかく が島に戻って来てくれるって

なったのにこんな事ってないよ…


結衣「吐いた跡、掃除しなきゃな…」


結衣「あぁ…」


結衣「嫌だなぁ…」


結衣「どうしてこうなったんだろ…」


主人公「…結衣?」


結衣「…あ…。」


next…

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