第2話

主人公「紫央…久しぶりだな…。」


紫央「 …、 なの…?」


紫央「 っ!」


ギュゥゥ


主人公「し、紫央…?」


紫央「よかった…!また戻ってきてくれて…!」


主人公「紫央…!」


紫央「寂しかった…本当に、

寂しかったんだから…!!」


主人公「…。」ナデナデ


紫央「んんっ…えへへ…。」


主人公「紫央…。」


おかしい、こんな紫央は見たことがない…。


かなり弱っている…お姉さんが

死んだことがよほどショックだったらしいな…。


紫央「ねぇ、 …。」


主人公「何だ?紫央…。」


紫央「もう、島から出ていかないでね…。」


紫央「私達の前から…消えないで…。」


主人公「…。」


紫央「 …?」


主人公「あ、すまん、ぼーっとしてた…。」


紫央「全く… は昔から

変わってないみたいね。」


主人公「あ、あはは、そうなのか…?」


紫央「でも…よかった。」


主人公「…何がだ?」


紫央「 が島に戻ってきてくれて…

昔と変わっていないようで…。」


主人公「そうか…。」


紫央「あ、そうだ、この後時間ある?」


主人公「あぁ、あるぞ…。」


紫央「じゃあ、久しぶりに私の家に来ない?」


主人公「いいな、行くよ。」


紫央「じゃあ、行くわよ!」


主人公「あぁ。」


ー紫央の家ー


主人公「お邪魔しまーす!」


紫央「どうぞ、上がって。」


主人公「昔となんも変わってないなー!

うわ、懐かしい…。」


主人公「あれ、お母さんとお父さんは?

今日は仕事なのか?」


紫央「…。」


紫央「死んだ。」


主人公「…は?」


紫央「お父さんとお母さんは、死んだの…。」


主人公「なんっ…!?」


…死んだ?


嘘だろ?親が二人とも死んだ…?


それに紫央のお姉さんも死んだと聞いた…

何か妙だ…!!


主人公「何で…。」


紫央「…今から、私が言うことは

誰にも言わないでね…。」


主人公「…あぁ…。」


紫央「…殺されたの…。」


主人公「…え?」


紫央「私の家の人…皆殺されて、

何故か私だけ生かされたの…。」


主人公「っ…!?」


紫央「何でかは分からない…。」


主人公「…まさか…それをやったのって…」


紫央「え…?分かるの?」


主人公「あぁ…雪乃財閥だろ?」


紫央「…そう、正解よ。」


紫央「どうして分かったの?」


主人公「実は…ある人から雪乃財閥の

不正を暴くように言われてて…

それでこの島に来たんだ。」


紫央「え…そうなの?」


主人公「それもあるが、本来は紫央や結衣に

会いに来る目的もあったんだ。」


紫央「…なら、よかった…。」


紫央「でも、雪乃財閥の不正を暴くって

言うなら結衣に聞くのが一番でしょうね。」


主人公「え?そうなのか…?」


紫央「だって、そうでしょ?」


紫央「あの娘、雪乃家の生まれだもん。」


主人公「え…?」


主人公「ええっ!?」


紫央「知らなかったの?」


主人公「確かに、今までの結衣の

言っていたことも結衣の親が雪乃財閥の

人間なら辻褄が合う…!」


紫央「でしょ?」


主人公「確かに、結衣に聞けばある程度の

ことは分かるはずだ…。」


紫央「じゃあ、明日聞きに行きましょう。」


主人公「そうだな。」


紫央「ねぇ、 …?」


主人公「何だ、紫央?」


紫央「今日は、泊まっていかない…?」


主人公「え…?」


紫央「一人だとやっぱり心細いし…あと、

出来れば一緒に寝て欲しいの…。」


主人公「…。」


紫央「駄目、かしら…?」


さっきの紫央の話を聴いて、

今の紫央の目を見て断れる訳がなかった…。


主人公「…分かった。」


紫央「いいの!?」


主人公「あぁ。」


紫央「やった…嬉しい…!」


主人公「と、その前に飯だな。」


紫央「私が作るわ。」


主人公「お、任せる。」


紫央「フフフ、楽しみね…。」


ー数十分後ー


その後、飯を済ませて紫央が風呂を沸かして

くれたから風呂に入ろうと思ったんだが…。


紫央「じー…。」


乱入してくる気満々じゃねえか…。


主人公「な、なぁ紫央…?」


紫央「何?」


主人公「俺が風呂に入ってる間に

乱入して来るなよ…?」


紫央「そんなことをするわけないでしょ、

私達新婚夫婦じゃないでしょ?」


主人公「そ、そうか…。」


やっぱり、自意識過剰だったか…?


と、言うか若干昔の感じに戻ったか…?


主人公「…。」


一応、風呂の鍵を閉めておこう。


主人公「ふぅ…。」


シャワーの水を浴びながら、

ふと風呂の外を見てみることにした。


するとそこには…。


紫央「じー…。」


めっちゃ覗いてくる紫央が居た。


しかも当の本人は覗きがバレていることに

気がついて居ないらしい。


主人公「…。」


ガチャ、ガチャガチャ!


紫央「え?あれ?」


だが…残念だったな、鍵を閉めてるんだよ。


紫央「ね、ねぇ、何で開かないの…?」


もう隠す気ねえじゃねえかよ…。


主人公「鍵閉めてるからだよ。」


紫央「ねぇ、何で鍵なんて閉めるの、

お風呂に入れないじゃない!」


主人公「俺が出てから入ってくれ。」


紫央「 と一緒に入るからいいんでしょ!」


主人公「お前俺と一緒に風呂に

入ったことねぇだろうよ。」


紫央「なっ!バレた…!?」


主人公「バレるとかバレないとかもはや

そう言う次元の話ではないからな?」


主人公「てかお前、自分で夫婦でも

何でもないから乱入なんか

しないって言ったよな?」


紫央「う、うぐぐ…。」


なんか紫央が舞に似てきてる気がするんだが…

どうなんだろうか…?


主人公「とにかく、駄目だ、

すぐに出るからそれまで待ってろ。」


紫央「はーい…。」


ーー


主人公「…。」


舞から着信が来ている…。


主人公「何だ…?」


ちょっと、何で居ないの!?


主人公「はぁ…何であいつは俺の部屋に

侵入してきているんだよ…。」


今日は泊まってくる、

から今日は帰ってこない。


主人公「送信っと。」


主人公「返信返ってくんのはっや!?」


え、ちょっと何処に居るの!?


主人公「…。」


知り合いの家だよ。


主人公「…。」


主人公「返信早っ!?」


明日は寮に帰ってきてね!!


主人公「…。」


はいよ。


主人公「こんなもんでいいか…。」


紫央「よいしょっと。」


主人公「お、出たか。」


紫央「覗いてくれてもよかったのに…。」


主人公「…。」


どうしてこうなった…?


紫央は昔はもっと強気で、それこそ

こんなことは絶対に言わないはず…。


…お姉さんが死んだことがそこまで

ショックだったんだな…。


…そういえば、島を出る前に父さんと母さんから

紫央に祭の話をしてはいけないと聞いていた…。


…ってことは、この推測が合っているなら

要するに紫央の家族は祭の関連で

殺されたってことになる。


つまり雪乃財閥の悪事と祭が

何かしら絡んでいるのはほぼ確定だな…。


…だが少なくとも、紫央から祭の話は

聞けないな…。


何か手がかりはないか…?


紫央「ねぇ、 …?」


主人公「…どうした?」


紫央「もう遅いし、今日はもう寝ない…?」


主人公「歯は磨いたか?」


紫央「うん、お風呂から出たときに

一緒に磨いた。」


主人公「よし、じゃあもう寝よう。」


紫央「うん。」


ー紫央のベッドー


主人公「…。」


紫央「えへへ…。」


こんなに笑顔の紫央は今まででも

見たことがない…。


紫央「ねぇ、 …?」


主人公「何だ?」


紫央「手を握ってもいい…?」


主人公「…あぁ、構わない。」


紫央「えへへ、ありがと…。」


紫央「んんっ、あったかい…。」


主人公「…。」


紫央「最近はずっと寝心地が悪かったから

 と一緒に寝れるのが嬉しい…。」


主人公「…そうか、それはよかった…。」


ここまで来ると、俺が島を出てからどうして

紫央がこうなったのかを解明する

必要もあるかもな…。


紫央「ねぇ、私もう眠くなってきちゃった…。」


主人公「もう寝るか?」


紫央「そうしようかな…、ちょっと早い気が

するし、もう少し と話がしたいけど…。」


主人公「…そうか。」


紫央「こんなにいい気分で寝られるなんて、

 が島を出る前に戻ったみたい…。」


紫央「最近は嫌なことばっかり思い出して

よく眠れないの…。」


主人公「そうなのか…。」


紫央「今日は、久しぶりによく眠れそう…。」


主人公「…そうか。」


ーー


少年「…はぁ、どうしようかな…。」


少年「困ったな…。」


少年「ん…?あれは?」


紫央姉「あ、 君!」


少年「紫央のお姉さん!どうしてここに?」


紫央姉「ちょっと祭の用意で近くの

スーパーに買い出しに行こうとしてた所。」


少年「あー、祭…。」


紫央姉「双葉さんが待ってるから、

早く終わらせなきゃ。」


少年「大変なんですか…?」


紫央姉「うん、すっごく大変なの…。」


少年「やっぱり、そうなんですか…。」


紫央姉「紫央も楽しみにしてるし、

絶対に成功させたいのよね…。」


少年「紫央が、ですか…。」


紫央姉「あの子、君と一緒に行きたいって

言ってたよ、よかったね。」


少年「え、そうなんですか…?」


紫央姉「うん、あの子、正直になれない

所があるけど君の事を大切に

想ってるみたいだよ。」


少年「え…あの紫央が…?」


紫央姉「だから、私も頑張らなきゃな…。」


少年「はい、頑張ってください…!」


紫央姉「フフ、ありがと…。」


紫央姉「じゃあ、私はそろそろ行こっかな。」


紫央姉「じゃあ、またね!」


少年「はい!」


結衣「フフフ、紫央のお姉さんと

話せてよかったね。」


少年「わぁっ!?居たのかよ…。」


結衣「面白い物を見せてもらったよ…。」


少年「全く、俺は見せ物じゃないんだぞ…。」


結衣「あの人、思ったより

ガード固かったねぇ…。」


少年「そんなこと考えてないよ…

お前何言ってんだ…」


結衣「紫央も の狙いが自分の姉だと

知ったら…あぁ、怖い…。」


少年「…お前、俺を何だと思ってるんだよ。」


少年「てか、人の話を聞いてくれ…」


結衣「え? は でしょ…?」


少年「はぁ…お前もうダメだわ。」


結衣「何でぇ!?」


結衣「な、何が駄目なの…!?」


少年「あんまり人をからかうな。」モニュ


結衣「わぁー、止めろ、ほっぺたを

むにむにするでない!!」


少年「いつもの仕返しだよ、オラァ!」


結衣「ぎゃぁぁぁぁぁー!!?」


紫央「…。」


紫央「何これ…。」


紫央「これは触れるべきなの…?」


鈴「…?」


鈴(あの子達、私の1個下かな…?)


鈴(楽しそうだな…。)


鈴(ん?結衣も居る…。)


鈴(仲良いのかな…?)


鈴の母「鈴、行くよ。」


鈴「あっ、うん!」


鈴(いつか、あの子達と話せたらいいな…。)


ーー


主人公「っあぁ…。」


主人公「よく寝た…。」


こんな記憶あったっけか…覚えてないけど

確かこの記憶は…。


島を出る2週間くらい前だったか…?


…てか、双葉さんが祭に関わってたって

言ってなかったか…?


真偽は分からないが…双葉副生徒会長が

祭の情報を知っている可能性があるのか…?


確かめてみる価値はありそうだな。


主人公「…。」


紫央「すぅ…すぅ…。」


主人公「そして、お前はまだ寝てんのかよ。」


紫央「…ん?あれ、もう朝…?」


紫央「おはよ…。」


主人公「おはよう…。」


紫央「 の寝顔見ながら寝たから

よく眠れた…。」


主人公「そうか、それはよかった…。」


いや、それはよく考えたらいいのか…?


…いや、その考え自体細かいか…?


紫央「もう朝ごはん食べちゃおう?」


主人公「そうしようか…。」


ーー


主人公「ごちそうさま。」


紫央「ふぅ、食べた食べた。」


主人公「じゃあ、俺は学校の準備が

あるから寮に戻る。」


紫央「うん、またね!」


主人公「あぁ、また会おう。」


紫央「…。」


紫央「にしても…また がこの島に

帰ってきてくれるなんてね…。」


紫央「…少しはこの世界に希望を

持ってもいいってことなのかな…?」


紫央「… がこのまま帰ってこなかったら、

私はどうなってたんだろ…。」


紫央「まあ、…死んでるだろうね…。」


紫央「また昔のような日々は

帰ってきてくれるのかな…。」


結衣「やぁ、元気そうで何より。」


紫央「…そっちこそ、この前会ったときより

口角が上がってるように見えるわよ…?」


結衣「それはそうだよ…ようやく

大切な人が私達の元に帰ってきて

くれたんだからね…。」


紫央「…そう言えば、話しといたわよ、

結衣の名字のこと…。」


結衣「…そうか…。」


結衣「…深刻なのか?」


紫央「…そうみたい。」


結衣「…。」


紫央「分かってたんでしょ?

こうなることくらい…。」


結衣「…どうして…。」


結衣「どうして神はどこまでも

残酷なのだろうか…。」


紫央「…。」


紫央「本当は、神なんて居ないんじゃない?」


結衣「ハハハ…そうなのかもね…。」


結衣「だとしてもこれは酷いよ…。」


紫央「…。」


紫央「恨むんならアンタの一族を恨みなさい。」


結衣「…そうだね。」


紫央「…私達に残されてる時間は

案外少ないのね…。」


結衣「なあ、紫央…。」


紫央「何?」


結衣「時々、 が私達のことまで

忘れてしまわないか不安になるんだ…。」


紫央「ねぇ、冗談でもそんなこと

言わないで…。」


紫央「私まで不安になるの…。」


結衣「…すまない。」


紫央「…。」


紫央「結衣…。」


結衣「…なんだい…?」


紫央「…この件に を巻き込ませて

よかったのかな…。」


結衣「…巻き込みたくはなかったけど…

こうするしかなかったんだよ。」


紫央「…そうね。」


結衣「私達が に出来る一番のことは、

早くこの件を終わらせること。」


結衣「そして、 を…」


紫央「…私達も、そろそろ学校行く

準備しなきゃじゃない?」


結衣「…それもそうか。」


ーその頃寮にてー


主人公「…。」


舞「…。」ゴゴゴゴゴゴ


主人公「…これはどう言う状況なんだ…?」


舞「 のバッグは私が預かったから。」


主人公「え、ちょ、困るんだけど…。」


舞「じゃあ…1つ答えて?」


舞「何で昨日泊まったの?」


主人公「え?そりゃ泊まってほしいって

言われたから停まったんだけど…。」


舞「…女?」


主人公「…うん。」


舞「…ヤった?」


主人公「いや、ヤってないけど…。」


舞「…。」


舞「なら、よろしい!」


主人公「え、えぇ…。」


舞「でも、次から泊まるときは

事前に言ってね!」


主人公「あ、あぁ…。」


何なんだこいつは…。


主人公「あ、あの…バッグ…。」


舞「あぁ、ごめん、忘れてた。」


舞「はい。」


主人公「ありがとな。」


舞「はーい。」


もう気がついたら部屋に舞が居る光景にも

慣れてしまったな…。


主人公「じゃあ、もう学校行くか。」


舞「うん!」


ーー


主人公「よし…ここか。」


学校が終わって、俺はある場所に

向かうことにした…。


コンコン


主人公「失礼します。」


ガチャ


鈴「あ、 君!」


鈴「生徒会に入る気になったの?」


…あれ?そんな事言われたっけ…。


あ、入学式の時誘われたんだっけ…。 


記憶が曖昧だな…。


主人公「いえ、その件ではなくて…。」


鈴「そう。じゃあ要件は何?」


主人公「前回の祭のことについて

聞きたいのですが…」


鈴「…え?」


主人公「双葉さんなら何か

知ってるかと思いまして…。」


鈴「…。」


鈴「前回の祭はね、失敗しちゃったの…。」


主人公「え、そうなんですか…!?」


鈴「…祭の一番の目玉の行事として、

演舞があるのは知ってる?」


主人公「はい、微かに聞いたことがあります。」


鈴「あれが失敗しちゃって…。」


主人公「…そうだったんですね。」


鈴「私も祭の準備を手伝ったりしたんだけど、

あんまり上手くいかなくてね…。」


鈴「それで、演舞を踊る巫女役の人に

助けられたのよね。」


主人公「…その人は、何て言うんですか?」


鈴「隼歌さんって言う人で…確か名字は…」


鈴「…確か、村上だっはず…。」


主人公「っ…え?」


村上…?


ってことは、まさか紫央のお姉さんか…!?


…何となく情況を掴めたかもしれない。


読みが合っていれば、紫央のお姉さんが

祭の演舞を失敗させて、それで紫央を

除いた紫央の家族が殺されたってことだ…。


主人公「そうですか、

ありがとうございます。」


主人公「では、俺はそろそろ…」


鈴「あ、少し待って!」


主人公「何です?」


鈴「 君ってこの後予定ある?」


主人公「ないですが…。」


鈴「じゃあ一緒に帰らない?」


主人公「いいですよ。」


鈴「いいの?」


主人公「俺は構わないですよ。

特に予定とかもないので…。」


鈴「ならよかった。じゃあ行こうか。」


ー帰路にてー


鈴「そういえば、 君って

何でこの島に来ようと思ったの?」


主人公「昔の馴染みに会おうと思いまして。」


鈴「なるほどね。」


主人公「特に仲が良かった二人なんですけど、

昔とは変わってないようでした。」


鈴「…。」


主人公「どうかしましたか?」


鈴「…いえ、何でもないわ…。」


主人公「…そう言えば、結衣とは

どう言う関係なんですか…?」


鈴「…結衣と、か…。」


鈴「家族とか、姉妹とかそう言う感じかな…。」


主人公「…なるほど。」


鈴「もう、あの子とは長い付き合いだから…」


主人公「そうだったんですか…」


鈴「あの子、 君が島に帰ってくるって

聞いたときすごく喜んでたんだって。」


主人公「あ、そうなんですか!?」


主人公「昨日会ったときはそんな

素振りはなかったんですが…。」


鈴「そうなの?あの子けっこう緊張してた

感じだったけど…。」


主人公「そうたったんですか、

知らなかった…。」


鈴「…あ、もうすぐ寮だよ。」


主人公「そうですか、ありがとうございます。」


主人公「…あ、そう言えば1つ

聞きたいことがあるんですが…?」


鈴「どうしたの?」


主人公「結衣は今どこに居ますか?」


鈴「今か…確か、この時間帯は

コンビニに居ることが多いはずよ。」


主人公「…あれ、この近くにコンビニなんて

ありましたっけ…?」


鈴「2年くらい前にできたんだよ。」


主人公「そうなんですか…知らなかったな。」


主人公「助かります、結衣に聞きたいことが

あったので…。」


鈴「聞きたいこと?」


主人公「…少しデリケートな話なので、

話すことは出来ません…すいません。」


鈴「いや、私は大丈夫だよ。」


鈴「それで、結衣にはいつ会いに行くの?」


主人公「荷物を家に置いたらすぐに

行こうと思います。」


鈴「そっか。」


主人公「あ、もう着きました、

ありがとうございます。」


鈴「じゃあね。」


主人公「はい!」


鈴「フフフ…。」


???「…。」


鈴「…?後ろに誰かいる…?」


鈴「気のせいかな…。」


鈴「知ってる人かな…?そんな気がする。」


ーー


主人公「ここがコンビニか…?」


副会長に言われたコンビニまで来てみたが、

どうやら結衣は居ないようだ…。


主人公「あれ…?おかしいな…。」


主人公「…ん?あれは…。」


舞「ふぃー…。」


主人公「舞…?」


舞「…あれ? が近いな…何でこんな所に?」


舞「ま、いっか。」


主人公「あいつは何をしてるんだ?」


舞「寮に帰るのが楽しみだなー。」


舞「フフフ、 の盗撮ファイルに

また新しい写真が増えるよ…。」


主人公「…あいつ、俺のことを盗撮

してた癖に俺に見られてることには

気がついてないのか…何なんだ。」


舞「そうと決まれば寮まで直行!」


主人公「元気だな、あいつ…。」


主人公「…さて、俺はどうするか…。」


???「…こんにちは。」


主人公「っ!?」


???「貴方にいいことを教えましょう。」


主人公「…え?」


???「雪乃財閥の不正を暴くなら

双葉鈴に協力を仰ぎなさい。」


主人公「…?」


???「彼女の家は雪乃家の側近に

あたる家系よ、彼女の協力なしに

この事件を解決するのは難しいわ。」


主人公「…お、おい、なぜその事を

知ってるんだ…」


???「それじゃあね。」


主人公「ちょ、ちょっと!?」


主人公「…何なんだ…。」


結衣「やぁ、 、元気かな?」


主人公「わぁっ!?」


結衣「フフフ、驚いてる…。」


主人公「…何の用だ?」


結衣「…用があるのは の方

なんじゃないのかな…?」


主人公「…え?」


結衣「何でも聞くといい、何なら私は

スリーサイズを聞かれてもいいよ?」


主人公「…。」


主人公「雪乃財閥、その上層部が

起こした不正って何だ…?」


結衣「…フフフ。」


結衣「アハハハハ!」


主人公「っ…え?」


結衣「待っていたよ、この時を…!!」


結衣「話すよ、雪乃財閥の不正についてね。」


結衣「まず1つは、談合による不正競争だ…!」


結衣「そしてもう1つ…。」


結衣「これは、雪乃財閥の裏の顔だよ…。」


結衣「私もたまたま知った話なんだが…。」


結衣「雪乃財閥は不法な兵器の

開発をしている…!」


主人公「…え?」


結衣「兵器と言っても、戦車とかミサイルとか

そんな生易しい物じゃないよ。」


結衣「雪乃財閥が作っているのは、

細菌兵器に、生物兵器、果ては核を

製造する計画があるらしいんだ…!」


主人公「…は!?」


主人公「…それって、もしかしなくても

不味いのでは…!?」


結衣「あぁ、誰かが止めなければ

最悪の場合国家が転覆する…。」


主人公「…まさか、そんなことに

なっているとは…。」


結衣「だが、これを告発するには

計画の仕様書を盗み出す必要がある…。」


主人公「…その為には、雪乃財閥の

研究所に入る必要があるな。」


結衣「…だが、研究所の場所が

分からないんだ。」


主人公「じゃあ、まずその研究所を探すか。」


結衣「うん、その事については後々話すよ。」


主人公「そうか、分かった。」


結衣「じゃあ、また明日ね。」


主人公「あぁ、また明日。」


結衣「あぁ、あともう1つ。」


結衣「雪乃財閥は、祭りでも不正を

行っている。」


主人公「何?」


結衣「このことはまた明日会った時にでも

話させてもらうよ。」


主人公「分かった。」


結衣「じゃあ、また明日…。」


主人公「あぁ。」


ーその後、寮にてー


主人公「ハァ…。」


手がかりは掴めたが、結衣を

巻き込む事になった…。


それより、気がかりなのはあの

ストーカーだ…。


島にまで付いてきていたとは…。


奴の目的は何なんだ…?


何故あのストーカーは俺に付きまとうんだ…?


考えても無駄か…?


…どうしよう…。


舞「どうしたの?ため息なんてついて。」


主人公「わぁっ、居たのかよ…。」


舞「ずっと居たよ。隠れてたけど…」


舞「それで、どうしたの?」


主人公「…実は、またストーカーが

出たんだ…。」


舞「え…?」


主人公「しかも、気がかりなことを

言ってきて…。」


舞「…何?」


主人公「雪乃財閥の不正を暴くのに

双葉副会長の協力を仰げって…。」


舞「…待って、そのストーカーは、

私達の計画を知ってるの…?」


主人公「その可能性が高い…。」


舞「…そうなのか…。」


主人公「あと、報告なんだが協力者が

増えることになった。」


舞「え、誰?」


主人公「雪乃結衣。俺の幼馴染みで

雪乃財閥の関係者だ。」


舞「え、 の幼馴染みに雪乃財閥の

関係者が居るの…!?」


主人公「あぁ、雪乃財閥の関係者だって

ことはつい最近知ったんだけどな…。」


舞「そうなんだ…。」


主人公「それで、雪乃財閥の不正の

詳細が分かった。」


舞「お、いいじゃん!」


舞「それで、内容は?」


主人公「談合と不法な兵器の製造だ。」


舞「おぉ…けっこうガチめのやつが来たな…」


主人公「細菌兵器や生物兵器を製造してる

らしくて、さらに恐ろしいのが

核を製造する計画があるらしいんだ…。」


舞「え、それってもしかしなくても

相当不味いのでは?」


主人公「あぁ、誰かが止めないと最悪

日本が終わっちまう。」


舞「じゃあ、尚更私たちが

なんとかしないと…!!」


主人公「あぁ、必ず止めよう。」


舞「なんか、すごい大事になってきたね…。」


主人公「確かに、俺もここまでの話に

なることを想定してなかった。」


舞「…うん、私たちって責任重大なんだね…。」


舞「私、片目の視力無いんだけど、

大丈夫かな…?」


主人公「大丈夫だ、きっと上手くいくさ…。」


舞「うん、そうだね…。」


舞「勝利を信じよう…!」


ーー


…何だこれは…?


暗くて何も見えない…。


ん?誰か居る…。


男性「…行け。」


え?何て…


男性「サンフィア真北の地下に行け…!!」


っ、何だ、体が熱い…!!


男性「そこにお前の探している物がある…!」


何だ、クソッ、うわぁぁぁぁ!!


主人公「がぁっ!!?」


…何だったんだ、今の夢は…。


…寝る直前の記憶がない…。


…確か、舞と飯を食べて、その後舞を寮まで

送って、その後寝たんだ…。


…にしても何だ、サンフィア真北ってのは…。


主人公「ま、いっか…。」


ーー


主人公「ふぅ、学校終わり。」


この後は、結衣と計画を話すはずなんだが…


主人公「結衣は何処に居るんだ…?」


主人公「こんなことなら、結衣と

連絡先でも交換しておけばよかったな…。」


主人公「…とりあえず、帰るか…。」


鈴「あ、 君!」


主人公「鈴さん!」


鈴「今日も一緒に帰らない?生徒会の

仕事が早く終わったの。」


主人公「いいですよ、帰りましょう。」


鈴「うん、ありがと。」


…話すべきか?副会長に雪乃財閥のことを…。


主人公「…。」


鈴「どうかしたの?」


主人公「いえ、何も…。」


…話そう、隠したって無駄だ…。


主人公「…副会長に、少し話したいことが

あるんですが、いいでしょうか…?」


鈴「いいよ、何でも話して…?」


主人公「…俺がこの島に帰ってきた理由の

1つになるんですが…。」


鈴「それは、何…?」


主人公「雪乃財閥の不正を暴く事なんです…。」


鈴「…え?」


主人公「それで、1つお願いがあるんですが…」


鈴「…どうしたの?」


主人公「とある人に雪乃財閥の不正を

暴くために副会長の協力を仰いだ方が

いいと言われまして…。」


鈴「…つまり、それに私の協力を

頼みたいと言うこと?」


主人公「…はい。」


鈴「…その答えは、私の家で言ってもいい?」


主人公「…俺はそれでも構いませんが、

家に帰って大丈夫なんですか…?」


鈴「大丈夫だよ、あの寮はルールが緩くて

家とかに帰っても特に問題はないから。」


主人公「なら、大丈夫ですね。」


鈴「オッケー、じゃあ、私の家に行こう。」


主人公「はい!」


ー双葉鈴の家ー


鈴「ただいま。」


主人公「お邪魔します。」


鈴の母「鈴、お帰り!」


鈴の母「あれ、その人は…?」


鈴「高校の後輩。」


主人公「副会長のお母さんですか、

お邪魔します…。」


鈴の母「どうぞどうぞ。」


鈴「じゃあ、早速部屋に行こう。」


主人公「はい。」


ガチャ


主人公「失礼します…。」


鈴「そんなに緊張しないで大丈夫だよ。」


主人公「は、はい…。」


主人公「所で、副会長のお母さんって

どんな人何ですか…?」


鈴「お母さんか…。」


鈴「私、お父さんが産まれる前に

死んじゃって…。」


鈴「そこから私を一人で

育ててくれたんだよね…。」


鈴「いつでも私を優しく見守っててくれて、

困ったときに必ず助けてくれる、

頼りになる人かな…。」


主人公「なるほど…。」


主人公「いい人なんですね…。」


鈴「本当に、頭が上がらないよ…。」


鈴「…あと、私を呼ぶときは名前でいいよ。」


主人公「あ、はい…。」


鈴「それで、答えだったね…。」


鈴「勿論、大丈夫だよ。」


主人公「え、いいんですか…!?」


鈴「…実はお父さんが雪乃財閥で

働いてたんだけど、そこの労働環境が

すごく酷かったらしいの…。」


鈴「そのせいで、お父さんは

自殺したんだって…。」


主人公「え…!?」


鈴「遺書はあるらしいんだけど、

見せてもらえないんだ…。」


主人公「…そんなことが…。」


鈴「だから、雪乃財閥に恨みが

ないわけじゃないの。」


鈴「それに、後輩が困ってる時に

助けにいかない訳がないじゃない…!」


主人公「…ありがとうございます、

恩に着ます…。」


鈴「これから、改めてよろしくね。」


主人公「はい…!」


鈴「それと、後1つ。」


鈴「私の家は雪乃家の側近の一族なんだ。」


主人公「そうなんですか…?」


鈴「だから、ある程度の情報だったら

集めてこられると思う。」


主人公「それは助かります…!」


鈴「…それで、まずはどうしようか。」


主人公「結衣が情報を持ってるから、

結衣と計画を話すつもりなんだけど…」


結衣「私を呼んだかい?」


主人公「わぁっ!?」


舞「私も居るよ。」


主人公「え、舞!?」


結衣「ここに向かってる時に見かけたから

連れてきたんだ。」


舞「結衣ちゃんがいい人そうでよかったよ。」


結衣「フフフ、そうでしょ?」


主人公「…それ、自分で言うのか…?」


結衣「あぁ、あと実は紫央も呼んであるから

そろそろ来ると思うよ。」


主人公「紫央も来るのか…。」


結衣「それで、雪乃財閥の研究所が

ありそうな所を調べてみたんだが…。」


結衣「だいたいこんな感じになった。」


主人公「んーと…」


主人公「雪乃財閥の本社に…雪乃財閥の

系列の施設か…。」


主人公「ん?なんで役所がリストアップ

されてるんだ?」


結衣「雪乃財閥と島が癒着してるって

話を聞いたことがあるから、

一応入れておいた。」


舞「…学校の地下まで

リストアップされてるし…。」


結衣「とりあえず、この辺りを

手分けして探そう。」


鈴「でも、それだと時間が

かかりそうじゃない?」


結衣「そうなんだよ…だから手がかりが

あればいいんだけど…。」


主人公「…サンフィア真北?」


結衣「…え?」


鈴「サンフィア真北って何だっけ?」


舞「雪乃財閥の系列会社のホテルだよ、

最近函館に大きめのができた…」


鈴「あぁ、あれ建設される時住民から

反対を受けてたんだけど反対してた人の

リーダー格の人が行方を眩ませて、

それ以来見つかってないらしいの…。」


舞「何それ、すっごい怪しい…!」


結衣「でも、何でそこで

サンフィア真北が出てくるんだ?」


主人公「今朝の夢でサンフィア真北に

行けば探してる物があるって言われたんだ…。」


結衣「…何ともピンポイントな夢だな…。」


主人公「…どうする?行くか…?」


結衣「行く価値はありそうだね。」


舞「よっし!じゃあひとまず

サンフィア真北に行こう!」


鈴「え、今から…?」


舞「あ、今は遅いか…。」


鈴「明日お休みだから、明日に行こう?」


舞「そうしようか。」


結衣「じゃあ、明日の朝8時半に

サンフィア真北集合でいいかい?」


主人公「あぁ。」


舞「いーよ!」


紫央「…来るタイミングを間違えたかしら?」


主人公「あ、紫央!」


鈴「紫央ちゃん!久しぶり…!」


紫央「…はい、お久しぶりです…。」


主人公「…?」


おかしい、紫央の元気がない…?


鈴さんに会ってからか?

生気が抜けたみたいだ…。


舞「どしたの?元気ないけど…?」ムニムニ


主人公「お前は初対面の奴の

頬っぺたをむにるな…。」ベチ


舞「わぁっ!!」


紫央「…。」ジー


紫央が俺のことを見ている…。


紫央「…」ガシッ


そして紫央は俺の裾を掴んで、離さんばかりの

力が袖越しに伝わって来るようだ…。


結衣「紫央…?」


舞「あー!私を差し置いて の袖を

掴むなんてずるいぞー!!」


舞「私もするー!」ガシッ


お前もか…。


鈴「…?」


鈴さんが困ってるみたいだ、

どうにかしなければ…。


鈴「…元気なさそうだけど、大丈夫…?」


紫央「…。」


紫央「いえ、私は問題ないので

気にしないでください…。」


鈴「そ、そう…?」


…何だこの状況は…?


紫央「…そう言えば、このメンバーで

集まるのもかなり久しぶりね…。」


結衣「そういえばそうだね…。」


舞「3人は元々幼馴染みだったんだっけ?」


主人公「…あぁ、そうだ。」


鈴「仲がいいのね…。」


主人公「はい、長い付き合いなので…。」


舞「まぁ、私も負けてないけどね…!」


主人公「…そう言えば結衣、1つ

聞きたいことがあるんだが…。」


結衣「なんだい?」


主人公「…俺がここに来る確証はなかった

はずだ、なのに何故ここに来た?

紫央を呼び出すと言うことは確証が

あったと言うことだろう…?」


結衣「…それ、聞いちゃう?」


主人公「…何か、理由はあるのか…?」


結衣「…ごめん、今はノーコメントで

お願いできないかな…?」


主人公「…あぁ、構わないが…。」


結衣「すまないね…。」


主人公「ただ、いつか話してくれ。」


結衣「分かった。」


主人公「…そういや、そろそろ解散にするか?」


結衣「そろそろ日も落ちるし、そうしよう。」


主人公「じゃあ、明日の8時半だな。」


結衣「あぁ、遅れないでよ。」


主人公「分かってる。」


鈴「私はこのまま家に居るよ、

じゃあ、また明日ね。」


舞「はい、また明日!」


主人公「今日はありがとうございました。」


鈴「こちらこそ。」


結衣「それじゃあ、行こう!」


ガチャ


鈴の母「あれ、帰るの?」


主人公「はい、今日は

ありがとうございました。」


鈴の母「いえいえ、こちらこそどうも、

娘と一緒に居てくれて。」


主人公「お邪魔しました。」


鈴の母「また来てね!」


主人公「はい!」


ーその後寮にてー


舞「ただいまー!」


主人公「ここはお前の部屋ではないけどな。」


舞「げっ、何故バレた!」


主人公「バレない訳ないだろ。」


舞「マジかー…。」


主人公「マジかじゃないんだよ、

自分の寮に帰ってくれ。」


舞「はーい…。」


舞「じゃーねー!」


主人公「あぁ、また明日。」


主人公「…。」


主人公「…クソ、結局みんな

巻き込んじまったな…。」


主人公「犠牲なしで最後まで

終われればいいんだが…。」


俺の頭の中に1つの不安がよぎる。


…俺の本土の親の顔が、思い出せない…。


主人公「何がどうなってるんだ…。」


俺が忘れっぽいのは元からだが、

ここまで酷いのは始めてなんだ…。


…このまま、あいつらの顔も

忘れてしまうのだろうか…。


…考えたくもない。


そんな最低な未来、ごめんだ…。


主人公「…今は考えるだけ不安になるだけだ、

もう寝てしまおう…。」


ーー


…。


少年「なー、1つ聞きたいことがあるんだが…」


結衣「どうしたの?」


少年「お前の名字って聞いたことないからさ、

お前の名字って何だ?」


結衣「…知りたいかい?」


結衣「どうせすぐ君の嫁に行くから

覚える必要もないかもしれないがね…」ボソッ


少年「あぁ、知りたいよ。」


結衣「そうか、知りたいか。なら

教えよう…私の名字は、雪乃だ。」


少年「あれ、雪乃って聞いたことあるな。」


結衣「そりゃ、雪乃財閥は有名だからね。」


少年「あー、雪乃ってその雪乃か…!!」


少年「…ってことはあの家紋は雪乃家の

家紋だったのか…!!」


結衣「フフフ、そうだよ。」


少年「はえー、結衣ってすごかったんだな…」


結衣「そうかい?私からしたら雪乃なんて

クソ同然だと思うけどね…。」


少年「…まぁ、結衣の場合はそうか…。」


結衣「財閥の御曹司もいい物

じゃないんだよ…残念だけどね。」


少年「頑張ってるな。」ナデナデ


結衣「んんっ…。」


紫央「じー…。」


紫央「何やってんだろ…。」


ーー


主人公「…。」


今の夢は…?


こんなこと、覚えてないぞ…?


これまでの夢に出てきた記憶は

思い出せる物だった、だが今回は違う。


欠片も覚えてないんだよ…。


こんなことを本来忘れるわけないんだが…。


こんな重要なことまで忘れてるなんて、

本当に俺はどうかしてるよ…。


主人公「後で結衣か舞に相談するか…。」


主人公「今日は時間ないし、

朝飯抜きでもいいか…。」


主人公「とっとと着替えて

サンフィア真北に急ごう…。」


ーサンフィア真北ー


主人公「お待たせ。」


紫央「 !待ってたわよ。」


舞「結衣ちゃんと鈴さんはまだ来てないよ。」


主人公「珍しいな、あの二人が…。」


結衣「やぁ、待たせたね。」


鈴「みんな、おはよう!」


主人公「結衣!それに鈴さんも…。」


結衣「ごめん、ちょっと準備に

手間取ってね…。」


鈴「それで私も手伝ってたんだけど、

結局この時間になっちゃった…。」


舞「いいの、時間内に来たんだから…。」


結衣「ありがとう、それじゃあ入るよ。」


ウィーン


サンフィア真北は、イメージ通り豪華な

リゾート施設のようだった…。


結衣「雪乃財閥の施設は、顔パスさえ

あれば通れるから大丈夫だよ。」


紫央「それで、研究施設があるとしたら

何処にあるの…?」


結衣「このサンフィア真北は小型でね、

宿泊できる部屋が5部屋しかないんだ…」


結衣「だから隠せる場所は限られてる、

恐らくは…。」


結衣「電気室…?」


主人公「その根拠は…?」


結衣「前に雪乃財閥の屋敷の電気室に

地下に繋がる扉を見たことがある、

だから可能性は高いはずだよ…。」


ウィーン


電気室は、外の雰囲気と打って変わって、

無機質な雰囲気だった…。


結衣「おそらくこの奥に…。」


ウィーン…


結衣「ビンゴ…♪」


紫央「本当にあったわね…。」


結衣「あと、ここからはこれを持って。」


舞「これは…銃?」


結衣「急になってすまないね、

ここから先は人間兵器がうろうろしてる

可能性が高いんだ、だから護身用に

持っていて。」


主人公「…分かった、けど…」


紫央「使えるかな…?」


結衣「どうにかするしかないよ。」


結衣「…さて、もう研究所に入るけど

心の準備は出来た?」


主人公「…あぁ!」


鈴「行こう…!!」


結衣「じゃあ、開けるよ!」


バタン!


主人公「…これは…!!」


そこで目にしたのは、異様な光景だった。


無機質な鉄の壁に無数の赤い液体が

ついている、これは恐らく血だろう。


舞「ねぇ…ここやばいよ…!!」


結衣「今さら狼狽えるな…!もう

覚悟を決めてきたんだろ…?」


舞「…!」


結衣「なぁに、最悪奴らの脳天を

ぶち抜けば流石にくたばるだろ…!」


結衣「で、どうする?集団で動く?

単体で動く?」


鈴「単体で動くのは危険だよ、

人間兵器に襲われても気づけないから…。」


主人公「俺も同意見だ。」


結衣「分かった、集団で動こう。」


結衣「まず、どっちから行く?」


主人公「まずは右から行こう…。」


結衣「分かった、それじゃ右の方から行くよ。」


舞「…ねぇ、もし私が人間兵器に襲われて

殺されそうになったら助けてくれる?」


主人公「そりゃ、助けるに決まってるだろ。」


舞「…それは心強い、期待してるよ。」


主人公「…あぁ、任せろ。」


…とは言ったが、内心は不安ばかりだ。


皆が人間兵器や研究員に襲われたら

本当に助けられるのだろうか…。


紫央「そういや、昔も3人で森を

探検したっけ…。」


主人公「…そんなことあったか…?」


紫央「っ…!!」


結衣「あれだよ、途中で紫央が怖くなって

 の腕に抱きついてた…」


主人公「…?あぁ、あったかも…。」


紫央「…。」


結衣「なぁ、 …。」


主人公「どうした、結衣…?」


結衣「1つ思うことがあるんだ。」


主人公「…何だ?」


結衣「私達が変わったんじゃなくて、

 が私達の記憶を忘れたんじゃないかって…」


主人公「…え?」


結衣「…いや、今のことは忘れてくれ。」


主人公「…。」


結衣「待って、ここ部屋だ…。」


主人公「何?」


舞「早速入ろう。」


ガチャ


主人公「ここは…。」


どうやらここは資料室だったようだ。


結衣「よっし、ここの資料をありったけ

持っていこう。」


主人公「待てよ、ここの資料を告発すれば

もういいのでは…?」


結衣「…いや、ここに書いてるのは

私たちの追い求めてた物じゃないらしい。」


主人公「え…?」


舞「な、なんじゃこりゃ…!!」


そこにあった資料は、記号が文字のように

並んでいた、これを読むのは不可能だ…。


紫央「これを解読できれば、何とか

できるかもしれないけど…。」


結衣「これが使える可能性は低いが、

一応持っておこう。」


舞「よし、もうこの奥に

道はなさそうだし、戻ろうか…。」


結衣「あぁ行こう。」


ーー


結衣「じゃあ、次は左に行こう。」


鈴「うん、行こう!」


主人公「…なぁ、所で結衣…。」


結衣「ん?なんだい?」


主人公「1つ悩みがあるんだが、

聞いてくれないだろうか…?」


結衣「それは何だい…?」


主人公「実は…この島に来る前から、

ずっとストーカーが居て、

しかもどうやらこの島にそのストーカーが

来たらしいんだ…。」


結衣「え…?」


主人公「分からないんだ、その

ストーカーの目的が何なのか…。」


主人公「そのストーカーは鈴さんに

この計画に協力してもらうように

言ってくるし、俺の名前も知ってた。

本当に意味が分からないんだ…。」


鈴「え…、私を?」


結衣「この計画が外部に漏れてるのか?

それは不味いな…。」


結衣「そのストーカーの特徴は?」


主人公「基本常時背後に居て、

フードを被っている大人の女性だ…。」


結衣「なるほどね…。」


結衣「…これは私の考察だが、その

ストーカーは と関わりの深い人物だ…。」


主人公「その理由は?」


結衣「まず前提として、そのストーカーは

こちらの情報を知っている、それはつまり

我々の知っている人物の可能性が高い。」


主人公「…つまり?」


結衣「その中でも をストーカーする

理由が大きかった、だから をストーカー

してたんだろう、おそらくな。」


主人公「…そうなのか…。」



結衣「…そんなことを言ってたら、

部屋らしき物を見つけたよ。」


主人公「…この部屋は?」


鈴「とりあえず、入ってみましょう。」


主人公「あぁ、そうだな。」


ガチャ


主人公「…ここの部屋は…」


紫央「ここは…倉庫みたいね。」


結衣「何かないか…?」


鈴「いや、ダメみたい、どうやら

すべて鍵がかかってるみたいで…」


結衣「そんな…じゃあ、ここは

手がかりなしか…。」


主人公「…一旦、戻るか…。」


結衣「そうしよう。」


ーー


主人公「特に、これと言った手がかりは

なかったか…。」


紫央「どうする?これ以外に道は

なさそうだし…。」


結衣「うーん…出直すか…?」


鈴「待って、これは何?」


主人公「どうしました?」


鈴「これ見て!」


結衣「これは…スイッチか?」


鈴「装飾のような物の裏にあるなんて…

これは何かありそうじゃない?」


結衣「どうする、押してみるか…?」


主人公「ここは押そう、押さないことには

状況は変わらない…。」


結衣「分かった、じゃあ押すよ。」


ガチャ


ウィーン


すると、まん中の壁が開いて、

中から道が出てきた…。


結衣「手がかりはこの奥にあるな…。」


舞「ま、まさかこんな所に隠し扉があるなんて…。」


結衣「よし、早速行くよ…!」


主人公「あぁ…。」


結衣「…ここは…?」


そこには、広い空間が広がっていた…。


主人公「ここは何の空間なんだ…?」


紫央「待って、奥に何か居る…!」


舞「…え?」


奥の方に目を向けてみると、そこには

目を疑う光景があった…。


主人公「っ…!?」


人間兵器「…。」


そこには、腕や足、頭などが改造されていた

人間兵器のような物が複数体居た…。


主人公「何だあの化け物は…

本当にこの世の物なのか…?」


鈴「あれが人間兵器…?」


紫央「うん、そうなんだけど…。」


結衣「この状況はかなりまずいんだよ…。」


主人公「え…?」


紫央「人間兵器は脳の一部を切除されていて、

人為的なコントロールが効くようにさてるの。」


結衣「そして、奴らは発見した対象を

死ぬまで追い回す習性がある…。」


結衣「つまり…」


人間兵器「…!!」


主人公「っ、見つかった!!」


結衣「っ、何…!?」


結衣「奴らは遠距離用の武器を持ってない、

近づかれないように逃げるんだ!!」


鈴「っ!来る!」


結衣「させるかっ!!」ドォン


人間兵器「…」バキィン


紫央「あれは人間じゃない、

殺すしかないわ…!!」


舞「っ…!!」


主人公「奥に逃げるぞ!」


鈴「っ、うん!」


紫央「っ!」バァン


人間兵器「…。」バキィン


舞「がぁっ!」ドダッ


人間兵器「…!」


主人公「っ!舞!!」ドォン


人間兵器「…。」


主人公「このっ!!」


人間兵器「!!」バギィン


舞「っ、ごめん…!」


主人公「いいんだ、急ぐぞ!!」


舞「うん!」


結衣「扉があった!!入るよ!」


紫央「早く!」


主人公「よし…!全員居るな…!」


舞「閉めて…!」


鈴「うん、閉めるよ!」


バタン


主人公「ハァ…」


???「ようこそ…。」


主人公「っ!?」


結衣「誰だ!?」


???「あぁ、申し遅れました…

私、雪乃財閥研究部門所長の

鵜伏大海と申します。以後お見知りおきを。」


鵜伏「そして、お見事でした…

さきほどの身のこなし…私の作った兵器を

ものともしない…とても素晴らしい。」


結衣「…。」


鵜伏「ですが…残念、ここに貴方方が

望んでいる物はありません。」


主人公「何…?」


鵜伏「それにしても、貴方、よくここが

分かりましたね…何かトリックでも

あるのですか?」


主人公「…何も?」


鵜伏「そうですか…。私は何かしかけの

ような物があると思っていたのですが…

勘違いだったようで…お恥ずかしい。」


鵜伏「ですが、ここで出会えたのも

何かの縁、私から貴方達に向けて

ささやかながらプレゼントを

用意させていただきました。」


主人公「何?」


鵜伏「貴方方とはこの先も会うことに

なるでしょう、だからここで

貴方方に私からアドバイスを1つ…。」


鵜伏「自分の親を大切にしてあげて

くださいね…?」


鵜伏「でないと、酷い目に会うことに

なりますから…!」


鵜伏「それでは、プレゼントは奥の

部屋に置いてありますので…」


鵜伏「それではまた会いましょう。」


主人公「待て!」


そして、鵜伏と名乗る男は姿を消した…。


主人公「…消えた…?」


鈴「今のは、ホログラムだったみたいね…」


主人公「…今の男、何だったんだ…?」


紫央「…それは、奥の部屋に行けば

分かることなんでしょ…?」


主人公「…あぁ。」


鈴「待って、少しいい…?」


結衣「どうしたの?」


鈴「何か、嫌な胸騒ぎがするの…。」


結衣「大丈夫?気分が悪いなら休むか…?」


鈴「…いや、大丈夫…。」


鈴「それより、早く行こう?」


主人公「…はい、そうですね…。」


だが、俺達はこの選択を後悔することになる…


ガチャ


主人公「…は?」


舞「…。」


紫央「何ッ…!?」


結衣「…何てことだ…。」


俺達は、そこに立ち尽くす。

ただ立ち尽くすだけで、何もしない。


何も出来なかった。

そこにあるものがただ恐ろしくて、

絶望した…。


…いや、憎しみを覚えた…。


これが奴らのやり方なんだと…

身に染みたようだった。


…でも、今はここで、目の前にある

物に絶望し、立ち尽くすしか出来なかった…


鈴「何…で…。」


そしてここに、一人の少女が立ち尽くしている。


この少女は、今目の前にある、人だった物と

沢山の思い出を交わし、時にはぶつかることも

あっただろうが、それでもいい関係で

在り続けていた…。


だが、それも奴らが奪った。


鈴の母「…。」


無情にも、この双葉鈴の母が目を

覚ますことは2度とない。


十字架に張り付けられ、首には

杭が打ち付けられ、その眼からは

光が失われている…。


その少女の悲痛な叫びすら、

その耳には届かない。


この世界の、奴らの残酷さが

恐ろしいほどに分かった、だが…。


それには犠牲を払いすぎた。


鈴「どうして…こんなことを…」


鈴「朝ご飯も一緒に食べたよね…

なのに何で…!!」


鈴「どうして…!!!」


結衣「…。」


まだ、世界を知らない少女が受ける仕打ちに

しては、残酷すぎる…。


鈴「夢なんだったら、すぐ覚めて…」


鈴「覚めてよ…お願いだから…!!」


鈴「ねぇ…どうして…。」


鈴「酷いよ…お願い…神様…

お母さんを助けてよ…」


鈴「どうして…お母さんは何もしてない…」


鈴「何で…!」


紫央「…ねぇ、結衣ちょっとこっち…」


結衣「…何?」


紫央「これって、爆弾…!?」


結衣「…え?」


結衣「逃げろ!爆弾だッ!!」


主人公「なっ…!?」


舞「どうしよう…このままじゃ…!」


鈴「お母…さん…」


舞「鈴さんは!?」


主人公「俺が担いでいく!!」


結衣「早く!出るよ!」


主人公「鈴さん!!」


鈴「…だめ、離して!!」


主人公「駄目です、早くここから出ないと!」


鈴「嫌!止めて!」


主人公「鈴さん…」


主人公「ごめんなさい…!!!」


ギュッ


鈴「え…?」


鈴「だめ、待って!嫌だ!!」


鈴「おかあさぁぁぁぁぁん!!」


ガチャ


バガァァァァァン!!


結衣「っ!!」


舞「全員、居るよね…?」


紫央「…うん、居る。」


鈴「お母…さん」


鈴「ううっ…。」


主人公「おい…嘘だろ…?」


結衣「…え?」


人間兵器「…!」


舞「人間兵器が…あんなに…!?」


紫央「やばい…このままじゃ

みんなここで死んじゃう…。」


主人公「いや…ここでくたばっちゃだめだ。」


主人公「鈴のお母さんの仇を取るんだ!!」


主人公「うぉぉぉぉぉっ!!」


紫央「っ! !」


バァン


人間兵器「…!?」


バガァン


主人公「はぁ…やった?」


紫央「でも、このままじゃ…!」


結衣「っ、この化け物がぁぁっ!」ドォン


人間兵器「!」


バガァン


結衣「はぁ…はぁ…」


舞「させるかぁぁぁ!!」バァン


人間兵器「!?」


バガァン


主人公「くそ…どんだけいんだよ…」


だが、その時奥の方から声がしてきた。


そして、銃弾の音が部屋に響いた。


???「っ、ごめんなさい、遅れた!」


結衣「っ、貴方は!」


???「貴方達は右を!私は左を殺るわ!」


紫央「っ、はい!」


舞「ねぇ、あの人って…」バァン


主人公「あぁ…間違いない。」


主人公「俺の、ストーカー…!」バァン


紫央「やぁ!」バァン


結衣「ふっ!」


主人公「これでこっちは最後っ!」バァン


主人公「そっちは!!」


紫央「…全員、死んでる…?」


???「ごめんなさい、待たせてしまって…」


結衣「いいんだ…」


???「そっちは…何かあったの?」


結衣「あぁ…最悪の気分だよ、

今まで生きてきた中でも最悪。」


???「そんなに…。」


結衣「…詳しいことは、あっちで話そう。」


???「ええ、そうね。」


主人公「…あんた、何で俺らを

助けたんだ…?」


???「 、ごめんなさい、今まで

助けてあげられなくて…。」


主人公「…え?」


???「あぁ、紹介が遅れたわね。」


???「私は雪乃楓花。」


???「貴方の実の姉よ。」


結衣「…は?」


主人公「…え?」


Next…。

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