エーテルワイスとスターチス

@ziasoma

第1話

…春、入学式を終え、桜が散り始め

春の終わりの足音が近づいてくるこの季節…。


俺は訳あって、本土から離れて

故郷の島に戻ってきていた…。


ある計画のためにこの島に戻ってきて

いたのだが、その計画は頓挫していた…。


舞「手がかりは見つかった?」


主人公「いや、まだだ…。」


この少女は舞、本土に行ってから色々

あって仲良くなった、本土での幼馴染み

のようなものだったんだが、

こっちの島にまでついてきた…。


舞「そういえば、 と話したいって

人が居るんだけど…。」


主人公「え?」


舞「自習室で待ってるって、

行ったほうがいいと思うよ。」


主人公「分かった、行ってくる。」


ー自習室ー


主人公「失礼します…。」ガララ


???「あ、来てくれたんだね…。」


主人公「…?」


そこに居たのは、落ち着いた雰囲気のある

白髪の美少女だった…。


だが…。


主人公「…まさか、結衣…?」


主人公「俺は、その少女に見覚えがあった。」


結衣「 、久しぶり。」


主人公「久しぶりだな!いつ以来だったか…」


結衣「小学3年の時に最後に会ったから…

だいたい7年ぶり?」


主人公「めっちゃ可愛くなったな、お前。」


結衣「それは、昔の私が可愛くなかったって

意味かい…?」


主人公「いや、そう言う意味じゃなくてな…」


結衣「フフフ、それくらい分かってるよ…。」


主人公「…あんまり人をからかわないでくれ…。」


結衣「 が変わってないようでよかった。」


主人公「結衣も、昔のまんまだな。」


結衣「そう言えば、鈴さんにはもう会った?」


主人公「あぁ、会ったよ。」


主人公「そう言えば、紫央はどうしたんだ…?」


結衣「…。」


主人公「教えてくれ、紫央に何があった?」


結衣「…詳しくは知らないけど…

知ってることを話すよ。」


結衣「 が島を出て間もない頃に…

紫央のお姉さんが…」


結衣「死んだんだ…。」


主人公「…え?」


結衣「死因は分からない、けどそれ以来

紫央の顔から笑顔が消えたんだ…。」


結衣「…1つ、頼みがあるんだ。」


主人公「…何だ?」


結衣「紫央と会ってくれないか?」


結衣「紫央はどうやら が島に戻ってきた

ことを知らないらしくてね…。」


結衣「 が会ってくれたら、紫央にも

元気が戻ると思うんだ。」


主人公「分かった。」


主人公「遅かれ早かれ、紫央とは

会うつもりだったんだ。」


結衣「そうなのか、なら話は早い。」


結衣「紫央は学校が終わったら桜が見える

高台に行くことが多いんだ、だからそこに

行けば紫央に会えるはずだよ。」


主人公「分かった、行ってくる。」


結衣「紫央によろしく伝えておいてね。」


主人公「あぁ、分かった。」


ーー


舞「お、 、どうだった?」


主人公「何がだ?」


舞「手がかりは何かあった?」


主人公「手がかりはなかった、だけど

予定ができたから今から行ってくる。」


舞「そっか、行ってらっしゃい!」


主人公「あぁ、行ってくる!」


本来俺が島に行く目的は、結衣や紫央に

会うことだったんだ。


だが、その旅路は、とても

過酷な物に姿を変えた。


あれは今から数ヶ月ほど前だった…。


ー数ヶ月前ー


…。


酷い眠気に苛まれながら、目が覚めた…。


たしか、今日は木曜だったか…?


今は…何時だ?


…時間を見たところ、どうやらまだ学校までは

時間があるらしい。


まだ、少し寝ていたいが…。


…さて、少々億劫だがそろそろ布団から

出ることにしよう…。


ファサッ


まだ冬だから、やはり肌寒いな…。


…もう少し、布団に居てもよかったかもな…。


ガチャ


タッタッタッ…。


母「あ、起きたの?」


主人公「あぁ、おはよう。」


母「今から朝ごはん作るから、少し待っててね。」


主人公「あぁ、分かった。」


父「 、起きたか、おはよう。」


主人公「父さん、おはよう。」


父「今日はいつにもまして

寒いような気がするな…。」


主人公「確かに、昨日は朝こんなに

寒くなかったはず…。」


父「勉強は最近はどうだ?」


主人公「ちょっと、今やってる数学の問題が

少々難しくて…。」


父「そうなのか、どうゆうやつだ?」


主人公「確か、1次関数の応用問題だった。」


父「なるほど…確かにそれは難しいな。」


主人公「本当に大変だよ、正直高校受験までに

覚えられるか不安になってきて…。」


父「そういや、もう志望校って決まってたか?」


主人公「うーん、まだ決まってない。」


父「そろそろご飯が出来そうだから、

この話はあとでしようか…。」


主人公「そうだね。」


こんな他愛もない会話、日常って

だいたいこんなもんなんだろうな…。


母「ご飯出来たよ。」


主人公「今行くよ。」


父「行くか…。」


母「はい。」


主人公「あれ、今日の目玉焼き何か味が

違う気がする…。」


母「卵の種類を変えてみたの、美味しい?」


主人公「あぁ、美味しいよ。」


父「そういやさっきの話の続きなんだが、

高校はどうするんだ?」


主人公「うーん…どうしよう、まぁ進学校は

無理だろうしな…。」


母「そういえば、 が元居た島の方に

戻るって言うのは?」


主人公「…え?」


…と、言うのも俺は元々本土ではなく、島に

居たんだが訳あって本土に来たんだ。


母「最近、雪乃財閥が全寮制の高校を

建てたみたいで…行ってみてもいいかもよ。」


主人公「すごいんだなー、雪乃財閥って…。」


父「そういや、今日の新聞で見たんだが

雪乃財閥が函館に高級ホテルを建てる計画を

建てたんだってな…。」


主人公「へー、そうなんだ…。」


母「それで、どうするの…?」


主人公「あぁ、高校だっけ…。」


主人公「うーん…。」


主人公「…それもありだな。」


母「そう、じゃあ、その高校に行く?」


主人公「ひとまず、その方針で行くことにする。」


父「そうか、ひとまず の志望校が

決まってよかった。」


父「でも、なんでその高校に

行くことにしたんだ?」


主人公「昔の友達とかにも会いたいし、

それにあそこの桜をもう一度見てみたくて…。」


主人公「何より、そろそろ志望校決めないと

いい加減やばいし…。」ボソッ


母「さ、桜…?」


父「…小耳に挟んだんだが、あそこの桜は、

世界一美しいと言われててね…。」


母「…あぁ、聞いたことあるかも!」


主人公「ごちそうさま。」


母「はい。」


主人公「さて、学校に行く準備でもしようか…。」


主人公「…。」


そろそろ、あいつが来る時間か…。


コンコン


母「はーい、今行きます!」


ガチャ


舞「あ、お母さん、おはようございます!」


母「あ、舞ちゃん、おはよう。」


舞「 はまだ居ますか?」


母「 なら今は学校に行く準備をしてる所よ。」


舞「おーい、 ー!」


主人公「あ、舞!」


舞「学校行くよ!」


主人公「ちょっと待っていてくれ、

あと少しで準備が終わるから。」


舞「早く!早く!」


主人公「ちょっと待ってろ。」


舞「まだー?ねぇ、まだー?」


主人公「落ち着け、あともう少しで終わる。」


主人公「よし、終わった。」


舞「じゃあ、学校行くよ。」


主人公「あぁ。」


主人公「行ってくるよ。」


母「二人とも、行ってらっしゃい。」


舞「行ってきまーす!」


ガチャ


母「ふふ、元気があっていいわね…。」


ーー


舞「そう言えば、そろそろ受験だったよね…」


主人公「面倒くさいな…どうしよう。」


舞「そう言えば ってまだ志望校

決まってなかったよね、どこがいいとか

考えてるの?」


主人公「今それを探してる所だ。」


舞「なるほど…。」


舞「いい高校が見つかるといいね。」


主人公「…あぁ、そうだな。」


舞「そう言えば…」


舞「 って彼女とか居るの?」


主人公「…え?」


舞「その反応、さては居ないな?」


主人公「いや、何の脈略もなく

来たから驚いただけだ…。」


舞「え、じゃあ居るの!?」


主人公「…居ないに決まってんだろ、

だって俺友達すらお前以外に居ないんだから。」


舞「え、 って友達居ないの!?」


主人公「事実だけど、その反応は傷つくな…。」


舞「へー、以外だな、 って色んな人と

話せそうな気がするんだけど…。」


主人公「そうなのか?」


舞「居ないのか…。」


舞がこの反応をするのもある意味納得かもな…。


昔は友達とかけっこう居たからな、

けど今は…。


舞「てか って彼女も居たことないんだ。」


主人公「そうなんだよ、

どうにかできないかな…。」


舞「ねぇ、 …?」


主人公「何だ?」


舞「 さえ良ければ私が の

彼女になってあげようか?」


主人公「…え?」


舞「フフフ…。」


主人公「…」


舞「あ、今ちょっと赤くなった!!」


主人公「はぁっ、う、うるせぇよ…!」


舞「あははは、おもしろーい!」


主人公「あんまり俺を

からかうのはやめてくれよ…。」


舞「えー、どーしょっかなー…?」


主人公「全く、勘弁してくれよ…。」


舞「ふふふ、 もまだまだだね…。」


主人公「っ、くそ…。」


この話題を続けると録なことがない、

話題を替えよう…。


主人公「そういえば、天気予報見たんだけど

今日降水確率60%らしいぜ…。」


舞「嘘、こんなに晴れてるのに…?」


主人公「これから曇るらしい…。」


舞「そんな、今日傘持ってきてないのにー!」


主人公「…ん?傘…?」


主人公「…え?」


舞「もしかして、傘持ってきてないの!?」


主人公「…どうやら、そのようだ。」


舞「なーんーでーよー!!」


舞「相合い傘出来るかと思ったのに…」ボソッ


主人公「失念だった…。」


舞「もう私濡れるの確定じゃん!!

どうするの!?」


主人公「えぇ、そう言われましても…。」


舞「そこは傘持ってきてないの!!

どうして忘れちゃったの!!」


主人公「降水確率60%だから

大丈夫だよ…多分。」


舞「多分って何!?」


主人公「とにかく雨が降らないことを祈ろう。」


舞「そうだね…。」


主人公「さて、学校に着いたか…。」


舞「面倒くさいなー。」


主人公「確かにな。」


校門をくぐり、そのまま正面玄関に入って、

靴箱に靴をしまう、そして舞が時間割を見る…。


舞「げ、1時間目、私の苦手な地理だ…」


主人公「それは残念だったな。」


舞「 だって前回の地理のテスト点数

低かったじゃん…」


主人公「ぐ、痛いところを突いてくるな。」


舞「だって事実だもーん。」


主人公「それはそうなんだけど…。」


舞「次回のテストもダメになりたくないなら、

せいぜい勉強することね。」


主人公「前回のテストで俺より12点も点数

低かった人に言われたくないね。」


舞「ぐ…」


主人公「おら、とっとと席着くぞ。」


舞「はーい…。」


主人公「…。」


舞はこんな感じで、少し

お調子者みたいな所があるんだが…。


あいつには、俺以外が

知らない顔を持ってるんだ…。


ー数時間後ー


主人公「あー、やっと終わったよクソッタレ…」


主人公「えーと、部活行くか…」


主人公「あ、今日部活休みじゃん…。」


主人公「てか、外土砂降りだからもし今日

部活あったとしても絶対休みになるじゃん…。」


主人公「てか、俺部活辞めたんだったわ。」


主人公「何で辞めたんだっけ…。」


主人公「あんま覚えてないな…。」


主人公「あ、思い出した、受験と進路決め

に集中するためだった…。」


主人公「帰ったら、勉強しなくちゃな…。」


主人公「あぁ、駄目だ、それを考えたら

帰りたくなくなってきた…。」


主人公「…あれ?そもそも部活辞めた理由

そんな理由だったっけ…。」


主人公「部活辞めたのもう大体1年前だからな…」


主人公「あぁ…習慣って怖ぇ…。」


主人公「何でこんなことを忘れてるんだ、俺は…」


舞「何言ってんの。」


主人公「わぁっ!?」


舞「早く帰ろう。」


主人公「…1ついいか?」


舞「何?」


主人公「付き合って、くれないか…?」


舞「え!?」


舞「そっ、そんな急に言う!?」


主人公「急ではないだろ。」


舞「たっ、確かに、もう私達3年近い

付き合いだもんね…。」


主人公「え?」


舞「いやー、付き合うってなると、やっぱり

緊張しちゃうなー。」


主人公「…は?」


舞「こっ、こんな私ですが、末永くよろしく

お願いします…!!」


主人公「お前は、何か勘違いしていないか…?」


舞「え?」


主人公「俺は勉強に、付き合って欲しいと

言ったんだが…。」


舞「…ふぇ?」


主人公「いや、最近勉強が上手くいかないから

一緒に勉強すれば効率も上がるかと思って…。」


舞「…。」


主人公「ま、舞…?」


舞「…許さない。」


主人公「え…?」


舞「絶対に、許してあげないからぁー!!」


主人公「えぇー!?」


舞「待ちなさーい!!」ダッ!


主人公「ぎゃぁぁぁぁ!?」タッ


舞「待てぇぇぇぇ!!?」


主人公「うわぁぁぁ!?」


男子生徒「おいおい、ありゃ何だ?」


男子生徒2「あーあ、あいつ、終わったな。」


女子生徒「何、あの騒ぎは…?」


女子生徒2「4組のDQN共が騒いでるんでしょ。」


主人公「ぎゃぁぁぁ!!」


舞「待てぇぇぇぇ!?」


女子生徒「…。」


女子生徒2「…あれはある意味、DQNと言って

差し支えないかもね。」


女子生徒「…そうなの?」


女子生徒2「私にもよく分からないけど。」


女子生徒「てか、廊下をあんな走っていいの?」


女子生徒2「あー、確かに…。」


主人公「やばい…息が持たない…。」


舞「待てぇぇぇぇ!?」


こんな事をしている間に、校門に着いた。

辺りはすっかり暗くなってしまっているみたいで、

土砂降りの雨が降り注いでいる。


不審者でも出たらどうしよう。最近、どうやら

ストーカーが居るみたいだし…。


でもまぁ、正直に言うと…。


主人公「やばい…!」


舞「待てやぁぁぁぁ!?」


受験を間近に控えた女子ががこんな暗い道で

同じく受験を間近に控えた男子をずぶ濡れに

なりながら追いかけてる、この光景こそ世間から

すれば不審者に見えるのかもしれないが…。


…ん?


主人公「誰か、居る…?」


舞「うわぁっ!?」ズデン


主人公「あれは…まさか?」


舞「いてて…急に止まらないでよ…滑るじゃん。

ん?どうかした?」


主人公「…逃げるぞ、舞!!」ダッ


舞「え、ちょっと!?」


主人公「やばい…ほとんど体力を

使い切ってしまった…!!」


舞「まさか、 が最近言ってたストーカー!?」


主人公「そうだ!」


舞「まずいじゃん、早く逃げなきゃ!!」


主人公「やばい、死にそう…。」


舞「最悪担いでくよ!」


主人公「そうか、すまない!」


舞「っ、追ってきてる…!!」


主人公「な、何!?」


舞「でも、もうすぐ家だよ!」


主人公「そうだ…早く帰らなきゃ。」


主人公「っ…!!」


主人公「帰ってこれた…。」ガチャ


舞「早く、早く閉めて!」


主人公「分かってる…。」


母「お帰り、え、どうしたの、

そんなに濡れて…しかも舞ちゃんまで…。」


主人公「いや、何でもない、大丈夫だ…。」


母「そ、そう…。」


母「あぁ、タオル持ってくるわね!」


主人公「分かった。」


主人公「上がってけ、濡れてるだろ。」


舞「うん、分かった…。」


母「はい、タオル。」


主人公「あぁ、ありがとう。」


主人公「ほら、舞の分。」


舞「ありがとう…。」


…舞の衣服が水で濡れて透けている…。


そして、透けた先にある舞の下着に

つい視線を向けてしまう…。


主人公「…。」


舞「っ…!」


舞「…。」ニヤリ


主人公「っあ…。」


ヤバい、舞にバレた…。


舞「…何見てるの、 のエッチ!」カァァァ


主人公「ご、ごめん…。」


舞「な、何で謝るの…。」


主人公「だ、だって、舞の…下…着を…」


舞「こ、これ以上は言わないでいいから…。」


主人公「そ、そうか…すまない。」


舞「と、とりあえず、部屋入ろ?」


主人公「そ、そうだな…。」


ー主人公の部屋ー


舞「それで、何するんだっけ…。」


主人公「勉強だよ、勉強…。」


舞「あぁ、そうだったね…。」


主人公「どれからやろうか…?」


舞「やっぱ、数学でしょ。」


主人公「そうか。」


舞「…。」


舞「そういや、志望校は決まった?」


主人公「実は、決めたんだ。」


舞「お、決まったんだ。」


主人公「そうなんだよ、今更だけど…。」


舞「そんで、どこの高校にしたの?」


主人公「ええっと…」


主人公「何だっけ?」


舞「えっ!?」


主人公「聞いてくる。」


ガチャ


舞「えぇ…。」


舞「…。」


主人公「聞いてきた!」ガチャ


舞「早っ!?」


舞「それで、どこの高校だって?」


主人公「天童山高校(仮)ってとこだ。」


舞「…待って、聞いたことあるかも…。」


主人公「俺の故郷の島に最近できた、

全寮制の高校だ。」


舞「…え?」


舞「…ってことは…。」


主人公「俺はその島に行く。」


舞「つまり、 とはもう、会えないの…?」


主人公「…寂しくなるな。」


舞「…嫌だ。」


主人公「…え?」


舞「嫌だ…絶対に、嫌だ!!」


主人公「お、おい、どうしたんだよ、舞?」


舞「 とこれで終わりなんて絶対に嫌だ!

考え直してよ、お願い!!」


主人公「…駄目だ、駄目なんだ…。」


舞「何で…どうしてなの!?」


主人公「…故郷に、戻りたいんだ…。」


主人公「故郷に帰って、会いたい人が居るんだ…」


舞「戻るとしても、一度会いに

行くだけでいいじゃん!」


主人公「…それに、俺は故郷に居た時間が

長くない…。」


主人公「…昔の頃を思い出してみたいんだ…。」


舞「で、でも…」


主人公「悪いが、志望校を変えるつもりはない。」


舞「…嫌…!!」


舞「絶対に、絶対に嫌…」


舞「行かないで…行かないでよ…!!」


主人公「…申し訳ない。」


舞「ねぇ、私 のためなら何でもするよ…?」


そう言うと、舞は突然と上を脱いで、

下着だけになった。


主人公「…舞、何してる!」


舞「一緒に居てよぉ…お願いだからぁ…」


舞「ねぇ、 …!」


そして、舞が徐々にこちらに近づいてくる。


舞「ねぇ、…!」


ドサッ


舞は、俺を押し倒してきた。


主人公「何を…!」


舞「えへへ… ?」


舞「私、 とだったら

そう言うこともしていいよ…?」


舞「だから…ね?」


主人公「止めろ…舞…!」


舞の顔が近づくと共に、舞の豊満な

胸も顔に近づいて来るようだ…。


そして舞が、スカートに手を伸ばし

スカートを脱ぎ始めている…。


だが、それ以上に…


舞「えへへ… ?」


舞「いっぱいシてあげる、だから…」


舞「島なんかに行かないで…。」


舞「いかないで…!」グスッ


舞が流す涙が、体にかかっていく

感覚を強く感じた…。


舞「ずっと一緒に…居てほしいよぉ… …!」


舞「 が居なくなったら…もう、辛くて

もう無理だよぉ…。」


主人公「…」ナデナデ


舞「 が居ない世界に生きてたって、

意味ないのぉ…楽しくないもん…!」


主人公「…すまない…。」


舞「っぐ、 …!!」


もしかして…俺はやってはいけないことを

しようとしているのだろうか…?


…正直、舞は優しいし人当たりが

良くて一緒に居て楽しいいい奴だ、ここで舞との

関係が終わりなんて、俺ももったいないと思う…。


…けど、俺の中の何かが、島に行けと強く

言っているような気がしてならないんだ…。


それに、どうしても会いたい人が居るんだ…。


…。


舞「っ…」


主人公「…寝てる、のか…?」


主人公「すまないことをしたな…。」


主人公「いつか、必ずこの償いを果たす…。」


主人公「…もう、暗いな…。」


主人公「完全に、夜になったみたいだな。」


主人公「幸い、雨はもう病んだようだ…。」


主人公「…悪い気はするが、舞を起こすか。」


主人公「おい、起きろ…。」


舞「…うん、 …?」


主人公「もう夜だ、帰るぞ…。」


舞「うん…分かった。」


主人公「ほら、忘れ物はないか?」


舞「…うん、大丈夫だよ。」


主人公「そうか、よかった。」


ガチャ


主人公「母さん、舞を家まで送ってくる!」


母「はーい!」


舞「今日はありがとうございました。」


母「はい、どうも。」


母「…。」


父「…どうする…?」


母「…あの子は島に行く気よ。」


父「…本当に、これでよかったのだろうか…。」


母「…あの子を、信じましょう。」


父「そうだな…。」


母「あの子は誰より真っ直ぐで、

誰より強い子だから…。」


父「… なら、うまくやってくれるはずさ、

そう信じよう。」


母「…そうね。」


母「さて、今日の夜ご飯はハンバーグよ!」


父「おおっ、いいな!」


ーー


舞「ねぇ、 …。」


主人公「…何だ?」


舞「私、 と一緒にの所に行きたい…!」


主人公「…無茶だ、それに、舞は志望校

もう決めてたんだろ…?」


舞「…それでも、私の志望校を変えてでも、

 と一緒に居たい…!」


舞「…ダメ、かな…?」


主人公「…気持ちはとても嬉しいが…」


主人公「大事なのは、俺と一緒に居ることじゃ

なくて、お前自身の未来だろ…?」


主人公「…聞いたよ舞、進学校に行くんだろ?」


舞「…うん、そうだよ。」


主人公「舞には、正しい選択肢を選んでほしい。」


主人公「お前には、俺じゃなくて、大切な

お前自身の未来を選んで欲しいんだ…。」


舞「…そっか。」


舞「それが、 の答えなら…。」


舞「…私は、自分で私の未来を決めるよ…。」


主人公「…そうか、それはよかった。」


舞「…着いちゃったね。」


主人公「…そうだな。」


舞「…もう少し、一緒に居たいな…。」


主人公「…俺もだよ。」


舞「…でも、もう帰らなきゃ…。」


主人公「…そうか。」


舞「じゃあ、また明日ね。」


主人公「あぁ、また明日。」


ガチャ


主人公「さて、俺も帰るか…。」


主人公「…。」


主人公「っ…!!?」


主人公「あ、あれは…!!」


???「…。」


主人公「俺の、ストーカー…!!」


主人公「っ…!!」タッタッタッ


???「待って!」


主人公「っ!!?」


???「…聞いてほしいことがあるの。」


主人公「…。」


???「…あの島に、戻ってはだめ。」


???「あの島に戻ったら、あなたは酷い目に

会うことになる…!!」


???「この件にあなたは関わらない方がいい…」


主人公「…。」


???「…それでも、それでもあの島に戻りたい

と言うなら、1つ教えておくわ…。」


???「なるべく目立たないようにして、特に

雪乃財閥の人間に目を向けられないようにして、

じゃないと、あなたの身に大変な事が起きる…」


主人公「…。」


???「…今、私が言えるのはここまで。」


???「それでは、また会いましょう。」


???「 、あなたの武運長久を願うわ。」


主人公「…。」


主人公「何なんだ…?」


主人公「あの件って、何だよ…?」


主人公「それにあのストーカー、俺の名前を

知っていた…。」


主人公「いや…そもそもおかしい、何でそこで

雪乃財閥の名前が出てくるんだよ…」


主人公「…妙だ、やっぱり…。」


主人公「行かなきゃ駄目なんだな…。」


主人公「俺の故郷に…。」


ーー


主人公「ただいま。」


母「お帰り、もうご飯できてるよ。」


主人公「お、いいね。」


母「今日はハンバーグだよ。」


主人公「いいじゃん。」


母「手洗って、早く食べましょう。」


主人公「分かった。」


主人公「…。」


主人公「話そう、島に行くことを…。」


主人公「手洗ったよ。」


母「そう、なら冷めないうちに食べましょう。」


主人公「あぁ、そうするよ。」


主人公「いただきます。」


主人公「…。」


主人公「ね、ねぇ母さん…」


母「どうしたの?」


主人公「俺、島に行くことにするよ…。」


母「…。」


父「行くんだな、島に…。」


主人公「うん。」


母「…実は、私達話してなかった事があるの。」


主人公「…え?」


父「…実は、お前が実の親だと思っていた人は、

実はお前の親じゃないんだ…。」


…え…?


主人公「…は?」


母「すぐに信じてもらえないことは分かってる。

でも、本当なの…。」


主人公「…訳が分からない。」


主人公「じゃあ、俺の本当の親は誰なんだよ…」


母「…。」


主人公「母さん…?」


父「すまない、 …。」


主人公「どうしたんだよ、父さん…?」


母「ごめんなさい、話せないの…。」


主人公「…え?」


父「…すまない。」


主人公「…まさか、知ってるけど誰かに口止め

されてるってことか…?」


父「…。」


主人公「おい…まさか、知らない

なんてことはないよな…?」


母「…。」


主人公「もしかして、雪乃財閥の人間に

口止めされているのか…?」


父「っ…!?」


母「…。」


主人公「おいおい、母さん、何で

目を逸らすんだよ…!?」


主人公「それじゃあまるで、雪乃財閥の人間が

俺の本当の親の正体を口止めしている

みたいじゃないか…!!」


主人公「どうなんだよ…!!」


父「…。」


主人公「頼む…答えてくれよ…!!」


母「…。」


主人公「お願いだ…俺に教えてくれないか…!!」


主人公「包み隠さず、本当のことを…!!」


父「どうしても、話せないんだ…。」


父「…すまない…。」


主人公「おい…雪乃財閥が何をしたんだよ…

島に戻ったら酷い目に会うって何だよ…

もう頭がおかしくなりそうなんだよ…!!」


主人公「頼む、話せる限りのことでいいから、

全部話してくれ…!!」


父「…。」


母「…。」


母「私達、実はあの島の出身なの…。」


父「…!」


父「話すのか…?この事を…!」


母「ええ…そうよ。」


父「…分かった。私も覚悟を決める…!」


主人公「…え?」


母「それで、島の中でも高い地位に居た一族の、

分家の生まれだったの…。」


主人公「…え?」


父「…でも、ある出来事を切っ掛けに、

島を出ることにした…。」


母「…私達の名字、教えてなかったでしょ…?」


主人公「…そういえば、そうだ…。」


母「…私達の名字も、大野なの…。」


主人公「…!?」


主人公「俺と、同じ名字…!?」


主人公「でも、俺の家が島の名家だったなんて、

聞いたこともないぞ…?」


父「それは、そうだ…。」


母「大野家は、失墜したの…。」


主人公「え…!?」


主人公「まさか、さっき言ってた父さん達が

島を出る切っ掛けになったことか…!?」


父「…いや、それとは違う。」


主人公「え…!?」


主人公「何なんだよ、それは…!!」


父「…。」


父「すまない、話せないんだ…。」


主人公「…え?」


父「本当に、申し訳ない…。」


主人公「それは、どうして…!!」


母「…雪乃財閥の人間に、脅されているの…。」


主人公「っ…やっぱりかよ…!!」


母「…1つ、お願いがあるの…。」


主人公「…何?」


母「雪乃財閥の不正を暴いてほしいの…。」


主人公「…え?」


父「雪乃財閥は、私達を脅したこと以外にも

多くの不正を働いている…。」


父「それを暴くことが、お前にはできる…。」


父「いや、お前が居なきゃ駄目なんだ…!!」


主人公「…え?」


主人公「何故、俺なんだ…?」


父「…お前は、島で起きた事件において

とても重要な立ち位置に存在しているんだ…!」


主人公「…何だって?」


父「手がかりは、とても少ない…。」


父「ただ、必ず成し遂げることができる…。」


主人公「…?」


父「 、お前なら、あの島を変えられる…!!

雪乃財閥を裁くことが出来る…!!」


母「…絶対に、生きて帰ってきて。」


母「私達の元に…。」


主人公「…。」


主人公「あぁ…、分かった。」


主人公「…ごちそうさま。」


ーその夜ー


主人公「はぁ…どうしよう…。」


主人公「死ぬ可能性があるなんて、

聞いてないぞ…?」


主人公「てか、たかが一個人がどうやって

雪乃財閥を止めるんだよ…。」


主人公「はぁ…どうしたもんかな…。」


主人公「こんなことに舞は巻き込めない、

あいつには島に行かないように念押ししよう。」


主人公「まぁ、あいつは行かないだろうが…。」


主人公「それより、気に触るのは

あのストーカーだ…。」


主人公「あいつは何を考えている…。」


主人公「あいつは、島の関係者で

間違いないだろうが…」


主人公「何が目的なんだ…?」


主人公「…今は考えるだけ無駄か…。」


主人公「いや、そもそもおかしい…」


主人公「父さんや母さんはなぜ雪乃財閥の不正を

暴く役割を俺に与えたんだ…?」


主人公「きっと、それにも理由があるんだろうが…

なぜ俺なんだ?」


主人公「地位も何も持たない俺が、大財閥の

雪乃財閥をどうにか出来るなんて、

本気で思っているのか…?」


主人公「…とりあえず、今は寝よう。」


主人公「今はそんなこと考えたって無駄だ…。」


ーー


…。これは…


記憶、はるか昔の記憶だ…。


そうだ、大体…


7年くらい、前の事かな…。


白髪の少女「…。」


少年「お、結衣、どうしたんだ?」


結衣「…いや、どうもしないよ…。」


少年「そうなのか?」


結衣「…家に居たくないから、ここに居るだけ。」


少年「…なるほどな。」


結衣「…要は、いつも通りってこと。」


少年「たしか、家が厳しいんだったっけ?」


結衣「…厳しいなんて話じゃないよ。」


結衣「…まさに、生き地獄と言った所…。」


少年「えー、そんなに?」


結衣「本当に大変だよ、何もしても

暴力を振るわれるし、ご飯もまともに

食べられないし最悪だよ。」


少年「そうか…、大変なんだな。」


少年「…。」ナデナデ


結衣「ん…。」


結衣「でも、こうして が頭を撫でてくれるから

頑張ろうって気になれるよ…。」


少年「そうか、それは良かった。」


少女「むー…。」


結衣「ねぇ 、紫央が来てるよ。」


少年「あ、紫央!」


紫央「 、私の頭も撫でてよ…。」


少年「…え?」


紫央「いいから…撫でてよ…。」


結衣「珍しいね、何かあったの?」


紫央「…何も無いわよ…。」


少年「…。」ナデナデ


紫央「ん…」 


結衣「やっぱり機嫌いいじゃん、どうしたの?」


紫央「何でもないって…」


少年「あぁ、紫央の姉ちゃんが久々に

帰って来るんだって。」


結衣「へー、そゆこと…。」


紫央「えぇっ、いっ、言わないでよ…!!」


少年「いいじゃん、別に…。」


紫央「いいわけないでしょ…、もう!」


結衣「紫央のお姉ちゃんって、どんな人なの?」


紫央「うーん…優しくて、それで居て、

余裕のある感じで…一緒に居て楽しい人…かな。」


少年「そういや、紫央の姉ちゃんって何で

家に居なかったんだ?確か紫央の姉ちゃんって

まだ高校生だろ?」


紫央「確か、祭りの準備の手伝い

だって言ってたような…。」


少年「…あれ、祭りって、何だっけ…?」


結衣「7年に1回この島で行われる、土地神の

怒りを沈めるための儀式みたいな物だよ。」


少年「へー、色々知ってんな、結衣…。」


結衣「この島の人間なら、知ってて当然だよ。」


少年「ありゃ、そうなの…?」


紫央「もう…」


紫央「はぁ…何で ってこんなに

忘れっぽいんだろ…。」


少年「だよなー、昔っからずーっと

忘れやすくて…そう言う体質なのかな…?」


紫央「…忘れっぽいのに体質なんてあるの?」


少年「…多分ないよな…?」


結衣「…わ、私に聞かれても、そんなこと

知らないよ…。」


少年「…そうか、だよな…。」


少年「うーん…昔はこんなん

じゃなかったんだけどな…。」


結衣「え、そうなの…?」


紫央「そうなのよ…いつからかこんなに

忘れっぽくなって…。」


結衣「なんでそんなに忘れっぽくなったの…?」


少年「うーん、理由があった気もするけど、

覚えてないなぁ…。」


紫央「え、理由なんてあったの?」


少年「いや、そんな気がしてるだけだ、

あんまり真に受けないでくれ。」


紫央「…そう…?」


少年「はぁ…」


少年「こんな日々も、いつまで続くかな…。」


ーー


主人公「っ…」


もう朝か…?早いな。


…この夢は、確か俺が島を出る直前の記憶。


この夢に出てきた少女は…紫央と結衣。


二人とも、俺の幼馴染みだ。


よく覚えている、結衣は親が厳しくてたまに

泣きそうな目をしている時があった…。


そして、紫央は少し気が強くてたまに

口が悪いが、いい奴だった。


…二人とも、島に戻ったら会いたかった人、

俺が島に帰りたい理由の1つだ。


…だけど、記憶が合ってたらこの後、

親が死んだと聞かされて、そのまま本土で

今の親に引き取られた…。


本当に突然だったから、二人に何の挨拶も

出来ずに終わっちまった…。


だから、絶対に会わなきゃいけないんだ…。


主人公「…。」


それに…


ひとつ、気になることがある。


俺が島を出る直前の3日間、

紫央を見なかったんだ…。


それが、どうしても引っ掛かるんだ…。


主人公「…まぁいい。」


主人公「とりあえず、飯でも食うか…。」


ガチャ


主人公「おはよう…。」


父「 、おはよう…。」


主人公「今日の朝ごはんは何?」


父「普通のご飯だよ。」


主人公「そうか…。」


母「おはよう。」


主人公「母さん、おはよう。」


母「そういえば、 にもう1つ話さなきゃ

いけないことがあるの…。」


主人公「え、まだあるの…?」


母「紫央って言う女の子のことは覚えてる?」


主人公「紫央…?紫央がどうかしたのか?」


母「そう、その子…紫央に、祭りの話を

してはいけないわ。」


主人公「…え?」


主人公「…それは、どうして?」


母「…。」


母「それは…。」


主人公「話したくないのか…?」


主人公「それとも…」


主人公「知らない、とか…?」


母「…!」


父「おい、よせよ …!」


主人公「…でも…!」


父「こんな所で言い争ってても無駄だ…!」


主人公「…。」


父「とにかく、話してはいけない…。」


主人公「…分かった。」


おかしい…、父さんと母さん

一体は何を隠している…。


誰にこのことを知らされたんだ…?


紫央に何があったんだ…?


…分からない…。


こんな状態で島に行っていいのか…?


俺は、どうすればいいんだ…。


ーー


そんなことを考えている間に、気付けば

受験が終わって俺は中学を卒業していた…。


今は島に向かう船に乗る所だ…。


紫央のことをついては結局の所最後まで

聞き出せなかった。


だが、気がかりなことが1つだけある…。


…最近、ストーカーが現れない…。


元々ストーカーの存在に気づいたのはしばらく

前だったから気づかれたことを恐れたと言う

可能性は低い…。


だとしたら、なぜ現れないんだ…?


…分からない、奴は何を考えている…?


それに、何より気がかりなことがある…。


これは最近気づいたことなんだが…。


俺は、あのストーカーと以前何度も会っていた…。


気づいたんだ、あのストーカーの風格、

何度も目にしている物だった…。


…だが、何故この事を忘れっぽいことに

定評のあるこの俺が覚えていたのかは謎だが…。


主人公「やっべ、そろそろ船出んじゃん。」


主人公「早く乗らなきゃ…!」


タッタッタッ


主人公「ふぃー、あぶね…。」


ウィーン


主人公「出発したか…。」


主人公「危ねぇな…。」


舞「やぁ、遅かったね。」


主人公「ん?どうした舞…?」


主人公「え??」


主人公「えぇーー!!?」


舞「どうかしたの?」


主人公「お、お前なんでここに居るんだよ!?」


舞「えへへー。」


舞「 と一緒に居たかったから、

志望校、変えちゃった。」


舞「へへへー。」


主人公「まっ、舞、お前自分が何やったか

分かってんのか…!?」


舞「多少は分かってるつもりだよ。」


主人公「じゃ、じゃあ何で…!?」


舞「だって、 と一緒に居たかったんだもーん。」


舞「いぇーい。」


主人公「何やってんだよ…!!」


舞「私は、私自身で未来を選んだ…。」


舞「私が最も進みたい未来に足を

踏み出そうと思ったの。」


主人公「…どうして…!」


舞「ふふふ、私が を想う気持ちを

見くびっていたようだね…!」


主人公「…。」


主人公「…すまん、腹が痛くなってきた、

ちょっとトイレに行ってくる…。」


舞「え、う、うん、気を付けて…?」


ートイレー


主人公「っ…くそ…!!」


主人公「最悪だ…!!」


主人公「舞を巻き込んでしまった…!!」


主人公「あいつはこの件には巻き込ませない

ようにしようと決めたのに…!!」


主人公「どうすれば…舞を巻き込む

訳にはいかないのに…!」


ーその頃ー


舞「…やっぱり…か。」


舞「ここまでずっと吐かなかったのに、

急に吐くのは予想外だったけど…。」


舞「ようやく役にたったな…。」


舞「 のかばん仕掛けておいた盗聴機…。」


舞「最初っからおかしいと思ってたんだよね…。」


舞「私の高校は進学校ではあったけど、

そこまで有名な高校ではない…。」


舞「あそこまで執拗に止めようとするのは

流石におかしい…。」


舞「途中からどう考えても露骨に止めようと

してたし、違和感があったんだよね…。」


舞「…来た、か…。」


主人公「ごめん、遅くなった…。」


舞「…ねぇ、 …?」


主人公「どうした?」


舞「私に隠してること、ない…?」


主人公「…え…?」


舞「実は私ね、 のかばんに

盗聴機仕掛けてたんだ。」


主人公「えっ…!?」


舞「ねぇ、 …。」


主人公「…何だ?」


舞「何を隠しているの?」


舞「何故、私を島から遠ざけたかったの…?」


主人公「…。」


主人公「お前をこのことに巻き込む

訳にはいかないんだ…。」


舞「…それは何で?」


主人公「…お前が死ぬかもしれないからだ。」


舞「…え?」


舞「…何でそんなこと…」


主人公「今から話すことは、

他の誰にも話さないでくれ。」


舞「…うん、分かった。」


主人公「実は…島で雪乃財閥の不正を暴く

役割を与えられたんだ…。」


舞「雪乃財閥の…不正…?」


主人公「俺の親が脅されたんだ。」


舞「それはどうして…?」


主人公「…それが、俺も知らないんだ…。」


舞「…そうなんだ…。」


主人公「何回も聞こうとしたんだが、

何故か教えてくれなかったんだ…。」


舞「え…、そうなの?」


主人公「そうなんだ…何でなんだろうか…。」


舞「ようするに、雪乃財閥の不正を暴くには

証拠が少なすぎるってことだね!」


主人公「そうなんだよな…

どうやって集めるか…。」


舞「時に よ、こんなに難しいことを

一人でやろうとするほど は考えなしで

やってる訳じゃないよね…?」


主人公「…おい、それはどう言う意味だ…?」


舞「簡潔に言うけど、私にも手伝わせて!」


主人公「…お前、自分が何を言ってるのか

分かってるのか…?」


舞「分かってるよ、これは危険だから

巻き込みたくないって言いたいんでしょ?」


主人公「…そうだ。」


舞「でも…」


舞「残念だったね、 !」


主人公「…何がだ?」


舞「私、伊上舞は、 が思っているほど

軟弱じゃないんですよ…!」


主人公「え…?」


舞「足手まといにはならないから、ね?

お願い!私は本気なの!」


主人公「…。」


確かに、舞は芯が強い、もし舞が仲間に

加わってくれるならとても心強いだろう…。


でも、俺はもう舞が苦しむ姿を見たくないんだ…


舞は、中1の時に始めて出会った。


だが、当時の舞はいじめを受けていた…。


その時の舞の全てを諦めたような、辛そうな瞳を

思い出す度に泣きそうになるんだ…。


俺にとって、舞は大切な友人だ…。


何とも替えがたい、唯一無二の存在…。


そんな人に、もう苦しんでほしくない…。


主人公「…だめだ。」


舞「…そんなことってないよ。」


主人公「…え?」


舞「 に助けられっぱなしなんて嫌!

ずっと支えて貰ってたのに、何も返せない

なんて絶対嫌!」


主人公「…」


舞「ねぇ、考え直してよ…。」


主人公「駄目、なんだ…。」


舞「ど、どうして…!」


主人公「もう舞に苦しんでほしくないんだよ!」


舞「え…?」


主人公「舞は俺にとって特別な人なんだ、

もう舞の辛い顔を見たくないんだよ!」


舞「っえ…」カァァァ


主人公「…だから、申し訳ないが…。」


舞「…。」


舞「だめか…。」


舞「もう、強行策で行くしかないか。」


舞「…ごめんね、 …。」


舞「私、卑怯なことする…。」


主人公「…え?」


ドンッ!


主人公「っ!?」


舞「えへへ…押し倒しちゃった。」


主人公「舞、何を…!」


舞「えへへ、 …。」


チュッ


主人公「っ!?」


舞「えへへ…ちゅーしちゃった…♡」


主人公「ま、舞…?」


舞「今から私は にある条件を提示するよ…。」


主人公「条件…?」


舞「私を雪乃財閥の不正を暴く

仲間に加えてくれるなら を解放する。」


舞「もし私を仲間にしないなら…。」


舞「私は今から を犯して の子供を孕むよ。」


主人公「え…!?」


舞「勿論墜ろすつもりはないし、 には

父親として責任をとってもらうからね。」


主人公「っ…。」


舞「えへへ…私はどっちでも構わないよ?」


主人公「…。」


主人公「分かった、舞を仲間にする、だから…」


舞「えへへ、いいよ…離れてあげる。」


主人公「ふぅ…。」


舞「ねぇ、 ?」


主人公「何だ?」


舞「まさか、ここを切り抜ければ私を

どうにかできると思ってる…?」


主人公「…え?」


舞「実は私ね、私の服の中にも

盗聴機仕掛けてたんだ…。」


主人公「え…?」


舞「えへへ、言質、取っちゃった…♡」


主人公「…どう言うことだ…?」


舞「まさか、嘘はつけないよね…?」


主人公「…お前、本当にやるつもりなのか?」


舞「…うん。」


主人公「…死ぬかもしれないんだぞ…。」


舞「私はそれでも構わないよ。」


舞「だって、今まで に助けられっぱなし

だったからそろそろ私が助けなきゃでしょ?」


主人公「…だが、だからって死ぬかも

しれないリスクを背負う必要はないだろ…。」


舞「でも、死ぬかもしれないリスクを

背負ってるのは も同じでしょ?」


主人公「それはそうだが…。」


舞「死ぬ可能性のあるリスクを背負うのが

一人増えただけでどうってことないでしょ。」


主人公「だが…」


舞「ええい、細かいことはいいの!!」


主人公「わぁっ!?」


舞「 は黙って私をお供に

してくれればいいの!!」


主人公「お、おう…。」


舞「分かった!?」


主人公「は、はい…。」


舞「分かればよろしいのです。」


主人公「…なんか、いいように

されてる気がする…。」


舞「何か言った?」


主人公「…いや、何も…。」


ー数時間後ー


主人公「…暗いな、もうこんな時間か…。」


主人公「考え事してたらすっかり

夜になっちまったな…。」


主人公「とっとと飯でも食って寝るか…。」


舞「お、 。」


主人公「舞はもう飯食ったのか?」


舞「そりゃそうでしょ。もう8時半だよ?」


主人公「え、8時半?マジ?」


舞「…まさか、まだ食べてないの?」


主人公「っべ、やっちまったわ…。」


舞「マジすか…食ってないんすか…。」


主人公「そうなんだよ…終わったかもしれん。」


舞「時計とか見てなかったの?」


主人公「全く見てなかったわ…反省。」


舞「そう言えば、 は何食べるの?」


主人公「軽くサラダでも

食おうかな…と思ってる。」


舞「え、サラダだけ…?」


主人公「しょうがないよ、

時間が時間だから…。」


舞「確かに、この時間帯に重めの物食べると

翌朝に響くからね…。」


主人公「じゃあ、俺は食ってくる。」


舞「おう、行ってらっしゃい。」


主人公「…。」


俺は、席についてテーブルに並べられた

サラダを見てみることにした。


主人公「やけに豪華なサラダだな…。」


主人公「…いただきます。」


…。


これでよかったのか…?


何が起こるかも分からないこんなことに

舞を巻き込んで…。


どうしても舞を危険な目に会わせたくない…。


今からでも、どうにかして舞を

巻き込ませないように出来ないか…?


…いや、もう舞の意思を変えることは

出来ないだろうな…。


主人公「あれ、もう食い終わっちまったのか。」


主人公「…うーん、どうしよう…。」


主人公「もう、寝るか…。」


そして、俺は寝室に向かうことにした…。


主人公「…。」


が、何故か視線を感じた…。


主人公「何だ…?妙だな…。」


だが、そんなことは気にも止めずに、俺は

寝室へと足を運び、そのまま眠りについた…。


ーー


少年「結衣、それは何だ?」


結衣「あぁ、これ…?」


結衣「うちの、家紋みたいな物だよ。」


少年「へー…家紋か…。」


結衣「でも正直、私からしちゃゴミクズ

みたいな価値しかないけどね…。」


少年「ひ、酷いな…。」


結衣「でも、これが一時期世に

出回りかけたことがあってね…。」


結衣「その時の相場価値が200万も

あったらしいんだよね…。」


少年「それ、そんなにするのか…!?」


結衣「うん、欲しいならあげるよ?」


少年「え、申し訳ないよ…。」


結衣「と言うかあげるよ、少なくとも、

私が使うことはないからさ。」


少年「え、でも…。」


結衣「こないだ、紫央のお姉ちゃんの

胸ガン見してたこと紫央にバラすよ?」


少年「だーっ!?なっ、何でそんなこと

お前が知ってんだよ!?」


結衣「さぁ、何でだろうね…?」


結衣「それより、これ、受けとるの?

受け取らないの…?」


少年「わっ、分かったから、受けとる、

受けとるから、頼む、バラさないでくれ…。」


結衣「フフフ、いいよ。」


少年「よ、よかった…。」


紫央「何がよかったの?」


少年「はにゃぁ!?」


紫央「何で面食らったような顔してるのよ。」


結衣「フフフ…。」


紫央「もしかして結衣、あんた何かやった?」


結衣「さぁ…何かやったかもしれないし、

何もやってないかもしれないよ…。」


紫央「何であんたそんなに

テンション高いのよ…。」


結衣「さぁ?何でだろうねぇ…フフフ。」


紫央「むー…何か引っ掛かるな…。」


ーー


主人公「ふぁーあ、よく寝たな…。」


また、昔のことの夢だ…。


この日は確か、一番結衣のテンションが

高かった日だよな…。


後々聞いた話だと、親が海外視察のために

長期の出張に出てたんだよな…。


舞「 、おはよう。」


主人公「わぁっ!?」


何でこいつはさも当たり前かのように

人の布団に潜り込んでいるんだ…。


舞「もう島についたんでしょ、

早く行こうよ。」


主人公「な、何でお前は俺の布団に居るんだ…?」


舞「そんなことどうだっていいでしょ、

ほら、早く行くよ。」


主人公「わあつ、やめろ、引っ張るな…!」


舞「あ、でもその前にご飯食べなきゃね。」


主人公「あ、そうか…。」


舞「早く島見たいし、軽く済ませよう。」


主人公「そうだな…。」


ーー


主人公「ごちそうさま。」


舞「よし、行こう!!」


主人公「待て待てちょっと、引っ張るなって!」


舞「ほらほら、行くよ!早く!」


主人公「ちょ、ちょっと早いって!」


???「…?」


主人公「ちょっと、観光しに

来たんじゃないんだから、そんな走るなって!」


ー数時間後ー


主人公「島の主要主要全部

回るの時間かかったな…。」


舞「ね。大変だったね…。」


主人公「…あれ?寮ってどうするんだろ…。」


舞「あ、そうじゃん、どうしようね。」


???「どうかしました?」


主人公「いや、それが…」


???「待って、貴方は さんですね?」


主人公「はい、そうですが…。」


???「申し遅れました、私、天童山高校

副生徒会長の双葉鈴と申します。」


主人公「あぁ、副生徒会長の人…?」


鈴「寮はもう利用出来ます、

今から案内しますね。」


主人公「はい、ありがとうございます。」


鈴「では、こちらの方に。」


舞「むー…。」


鈴「貴方のことは結衣から聞いていました。」


主人公「あぁ、貴方が鈴さんですか。」


鈴「結衣が寂しがっていたので、

出来るだけ早めに会ってあげてくださいね。」


主人公「はい、そうします。」


舞「そう言えば、私と は

同じ部屋なんですよね?」


主人公「え?」


鈴「え?」


舞「?」


主人公「舞、知ってるか?女子と男子は

別の寮なんだぞ?」


舞「え?」


舞「えぇー!?」


主人公「知らなかったのかよ…。」


舞「そんな、 と同棲出来ると思ったのに…。」


鈴「そんなこと出来るわけないでしょう…。」


舞「そんな…。」


主人公「何で出来ると思ってたんだお前は…。」


舞「え、寮ってそんなもんでしょ…。」


主人公「んな訳ないだろ。」


舞「そうだったんだ…悲しい」


鈴「あ、ここが寮ですね。」


主人公「着いたか…。」


鈴「右が男子寮で、左が女子寮です。」


主人公「じゃあ舞、また明日な。」


舞「はーい。」



主人公「…。」


舞「…。」


主人公「お前は左だ。」


舞「あいてっ!何故バレた!」


主人公「そりゃバレんだろ、男子寮に

忍び込もうとするんじゃねぇよ。」


舞「はーい…。」


舞「あ、私は が私の部屋に忍び込んできても

大丈夫だから!むしろ忍びこんできて!」


主人公「いやそれは大丈夫じゃないから!

ちょ、おい!」


主人公「…あいつ、島に来てから

本性表し始めたな…」


ー現在ー


主人公「本当にここに居るのか…?」


主人公「にしてもここからは

桜がよく見えるな…。」


主人公「…ってか、ここ海も見えるじゃん、

ここいい所だな…。」


主人公「昔は気づかなかったな…。」


主人公「ん…あれは…?」


主人公「紫央…?」


主人公「おーい、紫央!」


紫央「え…?」


紫央「 …?」


next…

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