みんな

 僕の病室に駆け込んできてくれたのはミュートス第二王女殿下だけではない。


「こ、後輩君!大丈夫だったの!?起きたって聞いたけど……本当に、大丈夫?何か、痛いところがあったりしたり……」


「大丈夫!?ぼ、僕と結婚するまで……君は死んではいけないんだよっ!そ、それなのに……大丈夫でっ!?」


「大丈夫であるか!?我と血の契約を交わし者よ!貴公より流されてくる力が弱々しく光るだけで我の心は張り裂けそうで……ッ!」」


 アンバー、セーラ、レイナ。


「よ、良かった……君が倒れたと聞いて心配していたんだよ。俺も加勢に行けばよかった、って今更になって後悔していて」


「すまない。王族でありながら君に様々なことを任せきりにしてしまった……本当に、すまない。そして、ありがとう」」


「相違、なさそうであるな。良かった……安堵するばかりである。これからはあまり無茶なことをするなよ?」


 ルス、アルベルト、ダスク。


「……」


「……の、ノア?」


 これはまさしく、僕がこれまで培ったみんなからの好感度だ。

 だけど、これはこれまで己が詰み重ねた僕の罪でもあるのだ。


 特に、ミュートス第二王女殿下を始めとする女の子たちに対してはあまりにも酷いことをしてきていた。

 彼女たちを人と認識せず、ただのゲームのキャラとして強引に運命を捻じ曲げた。

 ハーレムを作りたいなどという自分のくだらない、子供のような我儘で全員に思わせぶりな態度を見せるだけ見せて、誰にも向き合うことはなかった。

 全員に不誠実な態度を取り続けた。


「……ぁあ」


 なんと、非道なことをしていたのだろうか?


「ごめん」


 僕はベッドから這い出て、ゆっくりと立ち上がる。


「も、もう立ち上がって大丈夫なの?」


「うん、別にもう大丈夫」


 僕は心配そうに声をかけてくれる人の言葉に答える。


「……僕はまだ、やることがあるから」


「そ、そうなの?」


「うん、だから……僕はこの辺で」


 そして、逃げるようにして僕はこの場を後にするのだった。

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