現地
原作通りに魔の森から大量に魔物が溢れ出し、国境部の砦へと攻撃を開始したとの連絡を受けた僕はすぐに出立の準備を整えて生徒会室を飛び出していた。
「ふんふんふーん」
生徒会室から飛び出した僕は影法師で敵国の様子を探りながら、国境部にある砦の方へと向かっていく。
「……ふむふむ。既に敵国は動き出す準備は万端か。敵兵の数は……原作通り。状況を把握するための先方は、まだそこにいるのか?詳しい行間はゲームでも描かれていないからなぁ……」
僕は影法師を使って魔の森よりあふれ出した魔物によって国境部の守りが崩壊したタイミングで動き出す敵国の様子を探っていく。
そして、更に奥、敵の頂点である敵国の国王陛下の方にまで影法師を伸ばしていく。
『それにしても、エスカルチャ家の人間にはこの会話も聞かれているでしょう……本当に、あの国へと牙を剥くのですか?』
『くだらぬ。奴らに出来るのは我らを見ることだけだろうけ。奴らに出来ることなどもはやない。此度の戦はすべて王たる我の頭の中で立案し、臣下たちには別名義で動かせていた軍隊を使っているのだ。いくら、エスカルチャ家であろうとも流石に読めまい。今更気づいても無力な奴らに出来ることなどない』
『それもそうですな!』
……今すぐに影法師から魔法を発動させてこいつらを暗殺してやろうか?
僕はそんなことを考えながら、エスカルチャ家のことを舐めくさって高笑いを浮かべる国王陛下とその側近の思惑が原作通りであること確認する。
となると……あそこの軍隊を動かせば……。
「っとと、着いちゃった」
今度は敵国の様子ではなく、味方の様子。
僕が砦の人間が退却した後、何事もなかったかのように敵国を封じ込められるようにセットアップしていた自軍の様子を確認しようとしたところで僕は砦の上空にまでやってくる。
「あ、あれ……?」
だが、砦の上空にまでやってきた僕は未だ砦の中から魔物との戦闘音が響いてきていることに困惑の声をあげる。
「ど、どうなっているの?既にここからはもうみんな撤退しているはずじゃ、あの濁流とでもいうべき魔物の群れを前にあれだけの人員で防衛できるわけが……あ、あれかな?逃げ遅れた奴がぁ」
僕は自分の想定していたものとは違った抗魔結界の中。
国境部の砦の様子に動揺の声を漏らしながら、ふらふらと僕は砦の方へと舞い降りる。
「お待ち、しておりました……ノ、ア……様」
「……は?」
そんな僕を出迎えたのは既に死にかけとでもいうべき砦の責任者。
「じ、爺やっ!?」
既に退却しているはずの、僕の教育係であった爺やであった。
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